ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
383 / 2,518

第383話 インペリアルガード全滅

しおりを挟む
 タンク系の戦闘を伝えようと思いましたが、シュリはすでに戦闘が終わっているので、シュリの戦闘はリプレイでお届けします。(なんだろな、この口調は?)

 シュリ・リリー・シャルロットが、相手タンクを城の外に放り投げたところまでさかのぼる。

「お前らも、俺らと同じパーティーの壁ってことか。突然の事で対応が遅れてしまったが、本気で戦うにはちょうどいいな。皇帝のいる城を攻めたのだ、それ相応の報いを受けてもらうぞ!」

「御託はいいから、さっさとその首輪を寄越しなさい。それがなければただの雑魚なのですから、余計な面倒をかけさせないでください」

 シュリも挑発しているね。インペリアルガードなのに、煽り耐性が低い気がするんだよな。能力優先で首輪の能力で縛ってる感じなのかな?

「お前たちは、横にいる二人をけん制しておきなさい。私が真ん中の女を倒すから、邪魔させないようにすればいいです。倒してしまってもかまわんぞ」

 敵のリーダーがまわりに指示を出してシュリとの戦闘に入るようだ。

 盾同士でぶつかり合った。うちのメンバーの装備は、軽量化がかかっているので、全体的にフル装備の兵士や冒険者に比べて自重が軽い。だけどシュリの英雄症候群は、筋肉の密度が普通の人間の数倍はあるので体重が……おっとこれ以上はタブーなので話せないが、それとステータスのおかげで、相手のリーダーが若干押し返される。

「どういうことだ、お前? 例えるなら岩山にぶつかったような感じだ。ただの小娘がそんな頑丈なわけがない。その鎧に何かからくりがあるのだろう? 娘を前線に立たせて、後ろにいるあの男は屑だな。

 俺が一番強いのだから、男としてあいつが出てくるべきだろうに。どうだ、あんな奴を捨てて帝国に来い! ここでなら、お前の力を存分に活かせるぞ」

 このセリフを聞いた瞬間のシュリの表情は、正直俺でも怖いと感じた。今までニコニコしていたのに、途端に無表情になり目がすわっていたのだ。表情が消えたと同時に武器を装備しなおしている。今まで使ってたのが剣だったが、鈍器に持ち替えていた。

 そこからは一方的だった。普段繊細な戦い方をしているのに、微塵も繊細さが感じられないほどの荒々しい戦いだった。

 リーダーの人間が何かを言っているようだったが、シュリはガン無視をしており一気に距離を縮めて、力いっぱい鈍器をふるっていた。危なげなくリーダーは盾で防御したが、次の瞬間人間同士が争って出せる音ではない、大音量で金属同士のぶつかる音が響きわたった。

 敵のリーダーが持っていた盾は変形して、曲がってはいけない方向に左手が曲がっていた。それでも戦意を失っていないのは、あの首輪の所為か? 力の差を見せても、今回の敵の中で戦意を失った奴が居ないんだよな。そんな物を妻たちに着けてほしくないのだが!

 戦意が無くなっていないと判断したシュリは追撃を行う。姿勢をかがめて突っ込んでいき、足を刈り取る様に鈍器を振り切ってから、返す際に右手に持っている剣を強打し、さらおまけで籠手も剥ぎ取っていた。

 そしてここからが自分の目で見た場面に戻る。腕や足が曲がっちゃいけない方向に曲がっていて、うーうーあーあー言っているようにみえた。さすがに両手足の骨を折られたら、ステータスが高かろうが動けなくなるわな。

 軽戦士系が戦闘を終わっても、タンクの残り二人はまだ戦闘をしていた。今までのメンバーと違うのは、何かを確認するような感じで戦っている事だろうか? すこし攻め込まれている印象があるが、シュリが見守っている状況を考えると、何かを試している可能性が高いか?

 二人ともタンクとして、まともに戦ったことなかったっけ? 大体矢面に立つのはシュリだったから、経験値がただでさえ少ないのだ。ここで相手から、戦い方を奪えるだけ奪うってところだろうか?

 俺の考えは正しかったようで、戦闘経験の多い人間からその動きを盗むのは、成長するために必要だと考えて、二人は色々試していたらしい。

 戦闘中にいろいろ言われていたが、すべて無視して自分たちの糧になる様に邁進したそうだ。これ以上学びきれないと思った瞬間に、二人の決着がついた。俺の予想ではステータス的には、首輪の効果あっても同じくらいだったと思う。だが、実際は思ったより強化されていなかったのかもしれないな。

 最後に重戦士系だ。こっちはケイティとクシュリナの戦闘は既に終わっていた。それにしても、アリスとこれだけ長い時間打ち合ってられるんだから、あの長身筋肉女性は相当な実力者だ。

 アリスも珍しく少し血が出ているのが分かる位攻撃を受けているのだ。不思議なことで魔法を絡めた戦闘をしていないのが気になった。

 戦闘が終わって聞いてみると、タンクの二人と同じ理由だった。少し打ち合った後に、かなりの実力者であることを感じたので、魔法無しで戦ったそうだ。ちなみに武器は太刀を使っている。刀匠カエデの力作だ。

 打ち合っているのを見学していると、自分が戦っている最後の一人だという事に気付き、全力の攻めに入った。アリスが一番得意としている魔法剣で、火魔法を刀にまとわせて、切ると焼くを同時に行う攻撃だ。

 アリスの刀の柄尻には、火魔法を補助する際に使われるルビーを埋め込んであり、効果が高くなるように設計されている。

 長身筋肉女は、炎をまとったからといって慌てることなく対応するが、受けた次の瞬間に刀にまとっていた炎が、衝撃で体に降り注いでやけどの跡を作っていく。

 次の攻撃は氷の魔法をまとわせており、刀身の周りには白い靄が出ている。

「あんた、この私に手加減してたのかい? なめられたもんだね。器用な娘だよ、負けてられないね!」

 氷をまとった刀を受けるのは拙いと考えた長身筋肉女は、距離をとって避けようとしている。

 カウンターの一撃でも考えているのかな? アリスはさらにスピードを上げて距離を縮める。避けきれないと判断した長身筋肉女は受け流した。得意ではなかったような印象だが、戦闘経験が豊富なおかげかきっちりと受け流している。

 攻撃に失敗したと感じたアリスは今度、雷を刀身にまとわせて切りつける。バチバチと雷が刀身近くではじけている。本当にアリスって器用だな。

 長身筋肉女はスピードで負けているのは、実感しているようで無理に避けようとせずに受け流して、その後に一撃入れようとしているのではないだろうか? でも、その魔法剣は受け流しをおススメできないよ。

「あがががががっ」

 刀身がふれると長身筋肉女は、そんな声を出して痙攣した状態になる。これで決着はついたな。アリスが縛り上げているのを見て、インペリアルガードが全滅したのを確認する。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...