ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
380 / 2,518

第380話 インペリアルガードとの相対

しおりを挟む
 マップ先生の表示では、インペリアルガードは動いているのだが、こちらに向かってくる気配は全くない。皇族は一ヶ所に集められ、皇帝がインペリアルガードに何かを指示しているのだと思う。マップ先生の情報だけでは、正確なことは分からないので、あくまで憶測になる。

 インペリアルガードが出てこないので俺たちは、文官共の回収を行っている。外からの援軍がこれないように、城門は開けられないように細工している。

 大体九割方回収した所で、時刻が午前三時を回った。時々男の叫び声が聞こえてくるのだが、誰の声だろうな? 状況を考えれば、インペリアルガードが大声出す事はないだろうし、皇帝もそこまで短気ではないよな? それなら皇帝の子供の声だろうか? 三十代のおっさんなのだが……

 四人目の勇者は色々と面倒かもしれないので、後の回収にしよう。

「よ~し、城の中の大半の人間をダンジョンに強制招待できたな。残りの文官は隠れてるつもりみたいだし、わざわざ連れに行くのも面倒なので放置しよう。次が本命の皇帝がいるから、注意していこう。人数を考えれば二対一で対応ができるから、絶対に一人で戦おうとするなよ!

 二対一で確実に拘束しろ。手加減が難しいなら殺してしまってもかまわない。できる限りで生け捕りにしてくれ。高レベルの兵士だと、ヴローツマインの技能集団首領のダリアが喜ぶんだよな」

「ご主人様、こいつら生かしておくんですか?」

「そのつもりだな、だってさ死ぬのは一瞬だぜ? どうせなら、長く苦しむようにするのが仕返しってもんだろ? 今まで帝国のトップにいたのが奴隷になるんだぜ? 考えるだけでも楽しそうじゃん。ツィード君謹製の奴隷の首輪なら、いくらレベルが高くても抵抗はできないからな」

 俺の発言を聞いて若干ひいている妻たちだが、俺からしたら簡単に殺す方がひくのだが……今なら俺も簡単に殺しちまうか。長く苦しませるっていう発想は、この世界では少ないんだろうか? 罰ってそういうもんだと思っているけど違うのかな?

「できれば奴隷にしたいだけで、無理にしたいわけじゃないから、大変ならサクッと刈り取っていいよ。ただ皇帝だけは絶対に殺すな! 念のためエリクサーがあるか確認しておいて、無かったら申告するように!」

 以前に渡しておいたエリクサーが、しっかりと腕輪の中に入っているようだ。むしろなくなっていたら、何に使ったのかが気になってしょうがないけどな。

「皇帝だけ捕まえれるなら、捕まえるかな? あまり動いてないから、あいつらが集まってる下の部屋までいって、皇帝の下の床だけ抜いて招待しようか? うん、いい考えだ! 俺がクリエイトゴーレムで床抜いてすぐに塞ぐから、他の奴らが対応する前に無力化しよう」

 時々男の怒鳴り声が聞こえてくるが、それ以外は静かなものだ。下の部屋についたので準備を始める。アンカーを使って天井に張り付いて、後は落とすだけになった。

「ご主人様! 避けてください!」

 マップ先生を確認していたキリエから、悲鳴に近い警告が飛んできた。尋常じゃない様子だったので、アンカー外す時間も惜しんで、天井をけってから飛び降りる。同時に天井が崩れて十二人のインペリアルガードが現れる。

 妻たちは、臨戦態勢に入っており、相対していた。

「こんな女ばかりのよわっちそうな奴らに、いいようにされてたのか? 城の警備の質は低いな~後で全員にやきを入れてやるか」

「敵を見た目で判断するな。そんなんだから、あの時に足元をすくわれてケガをしたんだ、反省しろ!」

 二十代半ばくらいの威張っている男が、俺たちの事を見下していた。そいつを咎めるように、五十代前半くらいの男が苦言を呈している。

「女だからって弱く見る癖はやめな。どうしてもしたいっていうなら、私に勝ってからにしなさい。この部隊で一番弱いのに強がるなよ」

 次に出てきたのは、身長が一九〇センチメートル近くある筋肉ダルマの女性が出てきた。見た目は、うん、マァマァダトオモウヨ。おっといけね、ついつい片言になってしまった。

「お前ら静かにしろ、敵を目の前にして油断するなと、いつも言ってるだろ? 全員配置につけ」

 偉そうに現れた十二人の中でも、見ただけで装備が優れたものだと分かる男が前に出てきた。こいつが部隊のリーダーだろう。こいつが言葉を発してから、場が緊張したのだ。厄介そうな相手だな。

「総員、戦闘準備! 作戦はさっき言った通りに」

 リーダーらしき男が、ハンドサインで何かを指示する。後方にいたローブに身を包んだメンバー三人の魔力が高まっていく反応が感じられた。

「ピーチ! 物理!」

 俺の指示に従ってピーチが対物理結界を構築して、俺たちと相手の間に結界の壁を作る。俺はそれに合わせて、対魔法結界を構築して展開する。

 どんな魔法発動になるかわからなかったので、うちで一番強い魔法を撃つライムの倍くらいまで防げるように魔力を注ぎ込む。倍といっても感覚的に行っているので、実際にはどのくらいまで防げるかは不明である。

 三人がそれぞれ違った魔法を放ってきた。一人は火系、一人は風系、一人は土系の範囲魔法を放ってきた。火と風は合わさることによって効果が高くなっている。

 そこに土魔法のサンドストームだろうか? 火と風が合わさって強力になっているところに砂が入り込み、熱を持って高速で相手に襲い掛かってきた。

 一点集中型の魔法だったら突破されたかもしれないが、範囲攻撃では今張っている結界は突破できない。魔法によって熱くなった空気までは防げなかったので、ライムにアイコンタクトをとって熱遮断の結界を張ってもらう。

「へ~この攻撃に対応できるんだ。よわっちそうな奴らって言ってごめんね! これなら俺も楽しめそうだな。久しぶりにやっちゃうよ!」

「一番弱いお前が言うな、でも少しはやるようだな。前に手応えのある相手をしたのはいつだったかな? 仲間内でしか張り合えないから、面白くなかったのは本当のことだし楽しませてもらおうか!」

 戦闘狂が何人かいるようだ。威張っているやつを止めた長身の女も戦闘狂のようだ、こいつらって性格に問題はあるけど、実力があるから近くに置かれてる感じか?

「ご主人様、あいつらの首を見てください。全員に奴隷の首輪がついてます」

 王国の奴隷兵みたいなもんか? あいつらには苦労させられたんだよな……最悪、秘密兵器を使う必要があるか? グダグダ考える前に、全力を尽くそうか。それでダメなら秘密兵器を使って殲滅しよう。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...