ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
376 / 2,518

第376話 捕縛完了

しおりを挟む
「じゃぁみんな、行くよ。ここに穴をあけたら、俺が二人を押さえるから、シーフの方はシュリを中心に、タンク勢でチェインで引っ張り合うのもいい。とにかくこっちの作業が収まるまで、足止めしてくれたらいいから安全にね! グレイプニルがいったらみんなも突入してね」

 グレイプニルを発動して、タンクと後衛の勇者を捕えるようにイメージする。さぁいけ! 俺のイメージ通り二人を拘束する。

「なんだこの鎖! 全く外れないぞ! 魔法でも壊せないし、どうなってるんだ!?」

「俺にも絡んでやがる! 武器でも壊せないぞ! ほとんど手足が動かせないからどうにもできん! ちょっと助けてくれ!」

「馬鹿言うな! よくわからんマスク野郎どもが急に現れて、それどころ、じゃないんだ、よっ!」

 シーフの勇者は、襲い掛かってくる俺の妻たちの攻撃を、何とかしのいでいるようだ。その間にもミリーが、グレイプニルに拘束されている勇者から装備をはいでいる。

「おぃてめえ! 何で俺の装備をとる! それは俺のもんだろうが! 返せボケ!」

「俺の装備に触んじゃねえ! しかも投げ捨てんな! 返せ!」

「私たちの夫を殺そうとして、幼気な少女を暗殺者にさせたくせに……装備くらいでグダグダ言うなんてね。自分たちが正しいとでも思っているのかしら?」

「はぁ? 何わけのわかんねえ、しかも女か? 俺が夫を殺そうとした? こいつらが女神たちが言っていた、ダンジョンマスターに洗脳された女たちか? 俺がその洗脳から解いてやるから、この鎖を外せ」

「洗脳された? 誰が誰に? あんた、女神に騙されてるって、気付いてなかったの? 気付いてなかったから夫を殺そうとしてたのよね。一応言っておくけど私は洗脳されていないわ。

 万が一にも洗脳されてても、シュウの洗脳なら心から受け入れるわ。余計なお話はここまでね、あんたたちの見苦しい裸なんて、見たくないから服は残しておいてあげるわ」

 そんなことを言いながら、ミリーが手錠をかけていく。後ろ手と足に手錠をされ、手と足の手錠をさらにつなぐように手錠をかける。これで大丈夫かな?

「クソアマが! せっかく洗脳を解いてやるって言ってるのに、棒に振るいやがって! ぜってー後悔させて殺してやるからな! 手錠を外しやがれ!」

「頭が弱いんじゃないかな、あなたたち……人の夫を殺そうとしたのに、自分が殺される可能性がないと思っているんですか? いろいろ聞き出したら、殺すに決まってるじゃないですか。そんな当たり前な事もわからないなんて……だから馬鹿な女神たちに、いいように使われるんですね。クスッ」

「ちょっとミリー、ここで笑っちゃ、台無しよ……プフッ」

 俺はミリーが話している間に、シーフをグレイプニルで拘束していた。手が空いたカエデがミリーに笑っちゃだめと言っているが、自分も笑ってるんだからしょうがないよな。

「クソアマ共が! 早くこの手錠を解きやがれ! クソが!」

 このやり取りの間にも、シーフが装備をはがされながら罵声をあげている。

「みんな、このロープで縛ってくれ」

 取り出したのは前に暇つぶしで作ってみた、金属を繊維にしたものを編み込んだロープで、勇者たちをさらに逃げられないように拘束する。

 ここだと話しにくいので、引きずって毒のないエリアに移動する。

『よくやっt『ちょっと黙っとけ!』……おうふ。今回は何か言う前に黙らせたわね。いきなりの神託に反応するなんて、腕をあげたわね! 『後で相手をしてやるから少し待っとけって!』そうしたいのはやまやまなんだけど、そろそろグレイプニル返してもらうね!

 『ちょっと待て! これってくれたんじゃないのか?』最初に言ったでしょ、神具は基本的には勇者たちにしか授けられないってね! だから回収するのよ!』

 マジか、これがあれば色々安全だと思ったのにな。チビ神! グレイプニルって、複数あったりするのか? DPで召喚できたりは?

『神具は複数あるわ、基本的に一つの世界に複数は存在しないわね。それは、神たちが勇者に授けるから複数存在していないのよ。グレイプニルというか神具は、条件さえそろえばDPで召喚できるけど、その条件を満たせるのなら、正直神具は必要ないレベルだと思うわよ』

 くそ! さっさとグレイプニルを召喚できるようになりてえな!

『あなた変な事考えるわね、いくら使えるとは言ってもグレイプニルは、そこまで性能良くないでしょ? もう使い終わったと判断できるから、回収するわね~』

 相手を無条件で拘束できるとか、使い道ありすぎんだろ! 俺なら何でも切れる剣とか、何でも貫く槍より、グレイプニルの方がよっぽどほしいわ! 正直一対一なら負けはないんだぜ? 勝ちもないけど、負けもないっていうのはでかいだろ!

『何言ってるの? 勝てなきゃ意味ないじゃん! 何を言ってもグレイプニルは回収するからね、今回の用事はこれだけだから、また今度覗きに来るわ。しばらくは特に何もないだろうから……ブッ君で……グヘヘッ』

 こいつもだいぶキャラが変わったよな。回収されたもんはしょうがない。

「……ん様、ご主人様! 大丈夫ですか? 具合が悪いなら休憩をしましょうか?」

「ん? あーごめんごめん、グレイプニルが役目を終えたから、回収されちゃったんだよ。せっかく使えるいいアイテムだと思ったのにな。残念だな」

「そういう事でしたか」

「ご主人様、グレイプニルって神具だから作ることは無理だと思うけど、似たようなものをクリエイトゴーレムで作れないかな? ロープや鎖型のゴーレムとかだめ? マッスルメタルを使ったロープなら、伸縮しそうだけど」

 ピーチとのやり取りを聞いていたシェリルが、そんなことを言った。マッスルメタルを使ったロープか……ランクの高い魔石を使った魔核なら強度も上げられるし、長くてもある程度自由に動かせるか?

 魔核にプログラムを書き込むのが難しいだろうけど、きちんと作れたらかなり面白そうなものができるかもな! ロープじゃなくて、蛇型ゴーレムでもありか?

 ナイスアイディアを出してくれたシェリルを抱上げて、ほっぺにキスをする。

「ご主人様! シェリルは素敵なレディーだから、そのくらいじゃ嬉しくないの! こっちにして!」

 嬉しくないと口では言っているが、表情はめっちゃ喜んでいた、隠しきれてない。そんなことを言いながら、口をちょっと尖らせてついばむようなキスを迫ってきた。さすがにここで幼女にキスするのは、ロリコンのレッテルが貼られてしまうので、尖らせた口を俺のほっぺたにあてる。

「ご主人様! いけずなの!」

 プリプリ怒っているシェリルにもっかい、ぽっぺにキスをすると少し機嫌が収まったが、年少組が足元に集まってきて、全員俺の方にほっぺたを向けてきた。全員にキスするまでこれは収まらなそうだな、うかつな行動してしまったな。

 イリアを抱上げてキスすると、シェリルみたいに口をとがらせてきたので、この流れもしたいのか? キスをさせると、もう一度頬を指をさしてキスを催促してくる。年少組全員が同じ流れを催促してきたので、少し疲れてしまった。

 こういったやり取りをしている間にも、勇者たちが何かわめいていたが、声をあげるたびにリンドやカエデ、ミリーの姉御組に蹴飛ばされて、一時的に静かになっていた。

 こいつらに聞きたいこと聞いて……聞きたい事なんてあったっけ?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

処理中です...