ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第359話 ゴーストタウン解放初日終了

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 貴族を牢屋にぶち込んでからは俺の出番はなくなった。どうやらダンジョンに入った際に出会った獣人たちのパーティーが、きっちりと無線機を渡してくれたようだ。そのおかげでダンジョンで起きていたトラブルは、ディストピアの冒険者たちが対応してくれていたようだ。

 でもレベルを考えると初めの十ニ人の男パーティーに、ディストピアのメンバーが遭遇しなくてよかった。俺たちだから問題なかったが、基本的に五・六人のパーティーのはずなので、一パーティーで出会っていたら皆殺しになっていたかもしれないな。

 それはフェアリーたちだってそれくらいわかっているから、対応できなそうなら俺らが呼ばれるよな。

 初日の十八時頃までに捕まった馬鹿どもは、四十九人だった。俺たちが捕まえた貴族っぽい奴がニ人とその取り巻きが十四人、冒険者が十ニ人だったから、それ以外にニ十一人捕まったのか。

 四人・五人・五人・六人の四パーティーが捕まったらしい。ディストピアの冒険者に捕まった者たちは、下半身直結のやつらじゃなくて、別パーティーが倒した魔物のドロップを盗んだり、場所を争って喧嘩を初めて頭を冷やさせるために牢屋に放り込んだ形らしい。

 今俺たちはディストピアの家ではなく、城の中に準備しておいた俺たち専用のエリアにいる。もちろんシルキーたちがこっちのキッチンで食事を準備している。多めに作ってもらい、兵士たちの詰め所にも差し入れしてもらうようにお願いしている。

「あれから出動がかからなかったね。といってもダンジョンではトラブルがいくつかあったみたいだけど、ディストピアの冒険者たちが頑張ってくれたから、俺たちが出向く必要なかったしね。ディストピアの冒険者にも何か差し入れしたほうがいいかな?」

「そうですね~追加報酬は出していますが、最近はお金で食べれなくなっているので喜ばれるかもしれませんね。それよりも夜も何かあれば連絡が来ますのでゆっくり休みましょう。連絡が来るとすれば、貴族がらみの件が多いと思いますので、精神のすり減る相手ですからゆっくりしましょう」

 後にゴーストタウンに来た貴族が合計で八人という事を知り、半日で四人に一人が面倒起こしてる計算になるな、迷惑な確率だな。

 ゆっくりお風呂に入って眠くなったので横になることにした。妻たちは四交代くらいで、誰かが必ず起きているようにするとの事だ。俺もそれなら起きてようとしたら全員に、おとなしく寝るようにベッドに運ばれた。貴族が相手なら、体面上俺が話さないといけないみたいなので休んでくださいとの事だ。

 三幼女に抱き付かれて寝ると言われれば、断れず一緒に寝ていると、突然起こされた。

「ご主人様、また貴族がトラブルを起こしています。場所は酒場との事です、装備と馬車を準備しているので急ぎましょう」

 キリエに促されながら眠い目をこすって馬車に乗り込む。その中で着替えながら酒場で起きているトラブルを考えていた。貴族が酒場に行くのか? 自分の街だったら呼びつけたりするのかな? 宿で飲むより酒場の方がいいってことかな? いろいろ考えているとキリエから現場の報告があった。

 キリエの話を聞いていると頭が痛くなる。酒を飲みに行ったのに金を持ってきてないからツケておけ、後日払いに来る。そして店員と飲みに来ている娘が、可愛いかったようで夜付き合えといったらしい。貴族ってのはそんなに性欲が強いのか?

 そんなことを考えていたらミリーから『シュウ君も大概性欲強いじゃない?』俺の心を読まないでくれ。そして俺は妻限定だからね! セーフだセーフ! そして年中組! うらやましそうな顔でこっちを見るな! 君たちはまだ早い!

 お? 馬車の中から前を見ていると、道に出て何やら騒いでいる。見た感じ酔っぱらった貴族と騎士たちが女の子を連れていこうとしているな。ゴーストタウンの兵士は囲んで移動できないようにしているが、貴族が騎士に命令して剣を抜いているから、どうしようか迷っているようだ。

「そこの奴ら剣を収めろ」

 風魔法で俺の声を拡大して通りにいる全員に声を届かせる。そうすると兵士たちは安心した様子になり、こっちへ駆け寄ってくる。今までのいきさつを説明してくれた。キリエから聞いていた内容と相違は無いようだ。

「お前、この街でいい立場にあるようだな? だったらそこの兵共に言ってやれ! 俺は貴族なんだからお前らに従う必要は無いと、酒場の金も後で持ってくるって言ってるのに、今払えとうるさいんだ。

 ん? よく見たらお前の連れている娘たち、全員可愛いではないか! ちょっと貸し出せ、そうしたら本国にいい場所だったと伝えてやってもいいぞ?」

「うん、お前アウト! 飯を食べたら酒を飲んだら金を払う。当たり前な事もできないのか? それに嫌がっている娘を連れて行って事をいたせば、この街では強姦だよ。入る前に説明きいただろ? 貴族的な傲慢な振る舞いは禁止行為に当たることが多いってな」

「あぁん? 何で貴族である私が強姦などになるんだ? 私が抱いてやるというんだから、むしろ喜ぶべきだろ? そこの小僧に着いてきてる娘たちも、俺たちについてきた方がいい思いできるぞ?」

 おっと、妻たちから殺気があがったのが分かった。でもな、ここは俺の出番だ!

「ディストピアの領主に向かって散々な言い草だな。ミューズにグレッグの領主である俺よりも、いい思いをさせる事が可能だと? 寝言は寝てから言え!

 それに全員俺の妻だ、お前ら騎士たち全員の装備より妻一人ひとりの装備の方がはるかに高いわ! それでも俺よりいい思いをさせてやれるのか? 妻たちは全員冒険者でもあるからな!」

「所詮下賤の者が成り上がって領主になった感じだな! 貴族の技量はそんな事では決まらんよ。どれだけ相手を満足させてあげられるかだよ!」

「いや、言ってる意味わからんのだが。今現在その娘が嫌がってるじゃん」

「今はまだそう見えるだけだよ、すぐに俺の良さがわかるさ。金だけで成り上がった男など捨てて、こっちにこい娘たち」

「あいにく私たち、強引に女の子を連れていこうとする殿方は好みではないです。それにご主人様の近くより、いい思いのできる場所なんてないですよ。特に夜なんてね。ポッ」

 おぃミリー! 調子に乗って俺の事ご主人様とか言ってるし、最後の『ポッ』ってなんだよ! それに合わせて年長組と姉御組のメンバーたちよ、顔赤くするな! 年中組が羨ましそうな顔で見るからやめろ!

「私がせっかく誘ってやっているというのに分からん奴らだな、お前たち少し痛めつけてやれ!」

 騎士たちが剣を抜きこちらに向けてきた。何か美味いこと言ってるつもりなんだろうけど、お前らの視線って例えるなら、エロ親父が若い子を舐めまわすような視線なんだよな。めっちゃイライラしたので全力で叩きのめしてやったよ。

 過去形なのは、イライラしたあたりから記憶が飛んでるんだよね。妻たち曰く、めっちゃ怒ってるのにちょうどいい感じに手加減して、素手でボコボコにしていたようだ。

 特に貴族には泣こうが喚こうが一切を無視して、念入りに拳をたたき込んでいたらしい。最後に、貴族に向かって奴隷落ちにしてやると宣言したとの事だ。

 こんな奴誰も買わねえだろうな。こいつってマジで何ができるんだろう? どこに買われていくか楽しみだから、マークしておいてマップ先生で追跡調査してみよっと。

 結局初日にトラブルを起こしたのは、貴族が三人と冒険者と騎士をあわせて五十七人だった。大量と言っていいのかな? 明日は貴族共とダンジョンで女冒険者を襲ってた十ニ人の処刑からだな。
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