ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
343 / 2,518

第343話 ゴーストタウン攻防戦3ラウンド

しおりを挟む
「よし、みんな分断に成功したよ。これでゾンビレギオンだけになった。本体を倒すまではまわりからゾンビ系が沸いてくるから油断しないようにね。

 ミリーとカエデの話だと近付くにつれてランクの高い奴が、生み出される割合が上がるみたいだから、レギオン本体の相手は基本シュリを中心として、他の前衛は邪魔が入らないように対応してね。

 後衛はまわりの雑魚を減らしながら、シュリの手伝いをしてくれ。俺は自由に動かせてもらうよ」

 俺の指示に従ってみんなが連携をとって本体を切り崩していく。

 レギオン本体に生み出される敵の数は、本体の強さに比例すると言われている。今回は約五〇〇匹ほどではないかと。マップ先生に表示されている数がそのくらいなのだ。だけどそこが上限と思ってはいけないとの事だった。過去には一〇〇〇体以上を召喚する個体もいたそうだ。

 レギオン本体が一体になったので、生み出されるスピードが半分になっている。俺たちの殲滅速度が圧倒的に早くなっている。

 本体との距離が五十メートルを切ったところで、生み出されてくる敵が強くなってきていた。ノーマルのソルジャーやナイト、アーチャーといった強化種から、もう一段階強いゾンビジェネラルに、その強化種が混ざり始めていた。

「シュウ君、高いランクのゾンビが出始めたよ、ゾンビ系の上位種になってきてるよ。以前話したように毒攻撃とかも仕掛けてくるから、ヒーラーのメンバーと私は毒に注意を払うよ。シュウ君は万能薬を一応用意しておいてください」

 ミリーから指示が飛び、陣形が若干変わっていく。タンク役を中心として、前衛と後衛がフォローに入りヒーラーはそこからさらに一歩後ろ側だ。

 俺はみんなから離れてスライムたちと狐のコウとソウ、カエデ、ミリー、リンドを連れて他のメンバーとは違う方向から攻め始める。

 うちの前衛は、万能スライムのニコとその仲間たちだ。このメンバーを前に出しているのは単純に強いだけではなく、スライムという特性上毒などの状態異常に完全耐性を持っているからだ。

 縦横無尽に飛び回るスライムズを見て、この状況を見て最弱の魔物とか言える人間はいないな。ランクにしてB相当あるジェネラルの強化種を三匹を一匹で相手取っても余裕で殲滅していくのだ。

 それらが連携をとって攻めるのだ。敵から見れば悪夢に近いだろう。こんなにかわいいのに強いスライムたちだ。

 そして意外な事に、スライムと狐たちの連携が上手いのだ。狐が放った魔法がまるでスライムを避けているかの如く、敵だけに当たっていくのだから、狐たちの技量も高くなっているようだ。

 シュリとゾンビレギオン本体との距離が十メートルを切ると、ジェネラル系しかわかなくなっていた。シュリはかまわず、ゾンビレギオンとの距離を詰めていく。その光景に驚いたのか本体が後ずさりしている。だけど入口は閉めてあるため、どうがんばっても壁際までしか逃げられない。

 そういえばレギオンがゾンビ等を生み出せる距離はおよそ五〇〇メートル程だと思われる。直径一キロメートルあるこの大部屋の壁際にいて、一番遠くに沸いているのが中心位の場所なのでそう結論付けている。

 沸く場所に関しては、ランダムに生まれていると思っていいだろう。本体が焦っているのに、明後日の方向で沸いているやつもいるから、そういう条件で生み出していると考えられる。

 シュリとゾンビレギオンが相対する。まわりのゾンビとは違って結構質のいい装備をつけており、動きもゾンビとは思えないほど、チャキチャキと動いていた。

 装備から察するに、シュリと同系統のタンクと思っていいだろう。自分は守りを固めて召喚した奴らで、倒していくスタイルなのだろう。

 レギオン系の魔物を退治に行く時の定石は、レイドと呼ばれる複数のパーティーが協力し合って倒すのだ。

 本体を倒すシングル冒険者のパーティーを中心に、露払いをするAからBランク冒険者の複数のパーティーが、サポートして討伐するのだ。ちょうど今の俺たちみたいに倒しているという事だろう。

 シュリとゾンビレギオンとの勝負が始まった。シュリは英雄症候群であるため、同レベルの人間としては別次元なのだが、さすがSランクの魔物と呼ぶべきだろうか、本体のLvが六〇〇を超えており、シュリと以上のステータスをもっている。それを従えてるノーライフキングってどんだけ強いんだ?

 シュリと切り合っているのに、シュリの後方から飛んでくる矢や魔法を剣や盾を使って弾いているのだ。援護があるとはいえ、本体と互角に切り合っているシュリはすげえな、近くに沸いたジェネラルの強化種も倒しているんだからな。

 さて、こんなにノンビリしているわけにはいかないか。俺もシュリの援護に向かおうか。

「シュリ! 援護に入るよ、他の妻たちは今の立ち位置を維持して、俺のパーティーは遊撃に回わってくれ」

 フェンリルと同じSランクでも体のサイズが違うので、全員で周りを囲んでボコるとかはできないので、タンクと後衛、このパーティーの中で一番火力が高いのが俺なので、このメンバーで削り切る!

「まずは火付与でいってみようか! タイミングを合わせるよ」

 俺が全身に火付与を行い力を増幅していく。武器にもゾンビの苦手な炎をまとわせて待機する。シュリが【シールドバッシュ】で本体をはじいて距離をとったのに合わせて俺が突っ込む。右上段からの切り落とし、狙いは盾を持っている左腕だ。

 ゾンビレギオンも俺の動きに気付いていたので、避けようと俺の前から逃げようとするが、後衛からの移動阻害系魔法の各種バインドが飛んできていたため、その場に縫い付けられていた。

 焦った様子で盾を構え、俺の大薙刀をブロックする。俺は万全の状態で、本体は焦っていたのにも関わらず、きっちりと受け止められてしまった。だけど武器に付与された火属性の攻撃までは防げずに、ダメージを負っていた。

 万全の態勢で撃った攻撃を止められてしまい、硬直してしまった俺は本体を前に隙をさらしている。それを見逃す程ゾンビレギオンは甘くはなかったが、シュリが【シールドチャージ】をしながら、体ごと突っ込んできてくれたので助かった。

 バインドの効果がまだ発揮しており、ゾンビレギオンが体勢を立て直そうとしている時に、後方から狙いを澄ませたかのように聖銀で作られた矢が胸に吸い込まれて、動きが止まった。

「まだドロップを落としてないから死んでないぞ! シュリ叩き込め!」

 いつの間にか凶悪な鈍器、ソードメイスに持ち替えていたシュリが叩き潰す勢いで本体に止めをさした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗
ファンタジー
 異世界で暮らすただの商人・カイトは『レベル売買』という通常では絶対にありえない、世界で唯一のスキルを所持していた事に気付く。ゆえに最強ギルドに目をつけられ、直ぐにスカウトされ所属していた。  その万能スキルを使いギルドメンバーのレベルを底上げしていき、やがてギルドは世界最強に。しかし、そうなる一方でレベルの十分に上がったメンバーはカイトを必要としなくなった。もともと、カイトは戦闘には不向きなタイプ。やがてギルドマスターから『追放』を言い渡された。  途方に暮れたカイトは彷徨った。  そんな絶望的で理不尽な状況ではあったが、月光のように美しいメイド『ルナ』が救ってくれた。それから程なくし、共に世界で唯一の『レベル売買』店を展開。更に帝国の女騎士と魔法使いのエルフを迎える。  元から商売センスのあったカイトはその才能を遺憾なく発揮していく。すると驚くほど経営が上手くいき、一躍有名人となる。その風の噂を聞いた最強ギルドも「戻ってこい」と必死になるが、もう遅い。  見返すと心に決めたカイトは最強ギルドへの逆襲を開始する――。 【登場人物】(メインキャラ) 主人公 :カイト   / 男 / 商人 ヒロイン:ルナ    / 女 / メイド ヒロイン:ソレイユ  / 女 / 聖騎士 ヒロイン:ミーティア / 女 / ダークエルフ ***忙しい人向けの簡単な流れ*** ◇ギルドを追放されますが、実は最強のスキル持ち ◇メイドと出会い、新しい仲間も増えます ◇自分たちだけのお店を開きます ◇みんな優しいです ◇大儲けしていきます ◇元ギルドへの反撃もしていきます ◇世界一の帝国へ移住します ◇もっと稼ぎまくります

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ とある大陸にあるローレスト王国 剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。 だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。 そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。 「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」 タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。 異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが...... ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。

バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜

ふるっかわ
ファンタジー
ガチャで手に入れたアイテムには美少女達が宿っていた!? 主人公のユイトは大人気VRMMO「ナイト&アルケミー」に実装されたぶっ壊れ装備を手に入れた瞬間見た事も無い世界に突如転送される。 転送されたユイトは唯一手元に残った刀に宿った少女サクヤと無くした装備を探す旅に出るがやがて世界を巻き込んだ大事件に巻き込まれて行く… ※感想などいただけると励みになります、稚作ではありますが楽しんでいただければ嬉しいです。 ※こちらの作品は小説家になろう様にも掲載しております。

処理中です...