ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
338 / 2,518

第338話 スカルレギオン、ゾンビレギオン

しおりを挟む
 ミリー先生とリンド先生から、レギオンと呼ばれる魔物についてのレクチャーがあった。簡単に言えば、群体が魔物になったものといえばいいだろう。魔物なので魔石や中心になっているやつを、倒さない限り増え続けるとのことだ。

 レクチャーも済んだので、街の中を探索することになった。それにしても見れば見るほど不気味な街だよな。これが本当にゴーストタウンと呼ぶべき場所なんだろうな。

 街の大きさはディストピアよりは小さいだろうけど、フレデリクなんかよりはよっぽどでかいだろう。軽く十万人位は収容できるサイズだと思う。このサイズの街の食料ってどうしてたんだろうな? ダンマスの力があるならダンジョン農園みたいに、地下にも食料を作る土地は確保できるか?

 しばらく周りに注意しながら調べる範囲を広げていくが、人数を考えるとこれ以上広範囲を調べるとばらけてしまうので、それはさすがによろしくない。少し前に言った隊列で進んでいくことになった。

 逃げやすいように初めは外縁部、塀の近くを探索していくことになった。一応囮として使えるように五体作っていた、人造ゴーレムのうちニ体を連れてきている。囲まれたらその場を任せて、撤退してから体勢を立て直して色々考えるつもりだ。

「みんな気を引き締めていくぞ!」

 残っていないと思われていた武器防具以外にも、金目のものは残っていたが、大半の金属に関しては錆や浸食によって、ほとんど価値がないものだった。

 どんな金目の物があったのかといえば、宝石類や貴金属、金や銀、ミスリルやヒヒイロカネ、アダマンタイト等の朽ちない金属類は、そこそこ残っていたので良かった。

 外縁部の一角に鍛冶場などがありそこには、まだ使えそうな金属がそれなりに残っていたので、ドワーフたちやその弟子にプレゼントにしてあげよう。

 一日目は外縁部の半分ほど調べて夜になったので、俺たちはいったんディストピアに戻ることにした。

 入口には人造ゴーレムを五体置いて、何かが出てきてもはい出ないように守ってもらっている。スピリチュアル系の魔物の対策として、中級の光と炎の精霊をDPで召喚して守りをかためた。

 一応武器として、聖属性の聖銀と呼ばれるミスリル銀から精錬する、特殊な金属を使った武器を持たせている。前にも思っていたが、ミスリル銀=聖銀とは違うんだな。

 人間の俺たちには気付けないニオイだったが、なんかクサいんじゃないかと、俺を含め全員が一生懸命服のにおいをかぐ姿が見られた。オオカミたちは毛に匂いがついてる感じがしているみたいで、体を使ってお風呂に押されているので早くいってあげよう。

 そんなに臭いのかな? 明日はディストピア側の入口で待機してもらおうか。

 全身をアワアワにしてきれいにしてあげると、喜んで顔を舐めてきた。ちょっと俺の顔舐めるのやめてくれ、せっかく洗ったのにもっかい洗わなきゃいけなくなるだろうが! まったくもう!

 ニ日目!

 今日は外縁部の残り半分を探索していくが昨日とたいして変わらない成果だった。少し中心部に進むか進まないかを多数決を取ったが、今日は休んで明日から中心に入っていくことにした。

 三日目!

「さて、今日は街の中心に近付くから、昨日よりもしっかりと索敵するようにね。最悪街を壊してもいいから身の安全第一ね!」

 ニ日目三日目に調べた部分から内側に進んでいくと、まわりから物音がした。ガチャガチャとかズルズルとか明らかに嫌な音が聞こえてきた。今まで索敵に引っかかっていなかったのに突然湧いて出てきた。

「みんな、敵が出てきたよ。索敵に急に反応が出たから呼び出された奴らだと思う。おそらくレギオン系の魔物で間違いないね。骨系とゾンビ系は確定かな? それにしてもSランク以上に位置付けられる魔物がニ体か、囲まれないように注意するように!」

 周りからわらわらと、スケルトン系とゾンビ系の魔物が出てきた。何匹か倒して判明したが、魔石を落とさなかったのでレギオン決定だ。

 これからは、こいつらを倒しながら中心となる魔石を持ったやつを、探さなきゃいけないのか。すこぶるめんどくさい。人造ゴーレムを三体連れてきていたので、退路となる場所を確保してもらっている。

 一匹一匹はたいして強くないのだが、ランクにすれば、BからEランクの範囲の魔物くらいの強さだ。ノーマルのスケルトンだけではなく、ウォーリアー、アーチャー、メイジなどの強化種やスケルトンジェネラルの様な上位種までいろいろ出てくるのだ。ゾンビも一緒で強化種と上位種のポイズン系のゾンビまで出てきていた。

「これは面倒だな。今何匹くらい倒したかな、まだ疲れは感じないけど、こんなにたくさん出てきて倒した端から生き返るのはやめてほしい。レギオン系の魔物は物量で押しつぶすだけじゃなくて、本体もかなり強いらしいからな。ちょっと引いて様子を見よう」

 俺の撤退の指示と共にスケルトン達から距離を取る。足は遅いので囲いさえ突破すれば追いつかれることはなかった。

「ご主人様! ここら辺魔石がたくさん落ちてる! CからE位の魔石かな? 大量じゃ~」

 魔石を発見したシェリルが声をかけると年少組が拾い出した。追いつかれるまでには、まだまだ時間があるので戦利品として拾っていこう。

 入口まで戻ると人造ゴーレムを前に出して、追ってきたやつらを蹴散らしてもらう。視界に入ってればこの程度のやつらに、人造ゴーレムが負けるわけがない!

「んーどんどんスケルトンやゾンビの数が減ってるな。一定距離まで近付くと生み出してくるのかな? 本体探すのがめんどくさい。本体が移動しないならしらみつぶしに調べれば、いつか見つけられるから時間をかけて頑張ろうか。ディストピアを作った人間としては、こんなに近くに不安要素があるのは許せないからな」

 目の前の様子を観察しながら話している間に、年少組は魔石の鑑定をミリーに教わっていた。

「シュウ、レギオンの生み出した奴らからは魔石が取れないのに、魔石が取れるやつがいたってことは、レギオン以外にこの街の住人の成れの果てもいるってことになるわ。

 でもレギオンは自分の生み出したもの以外に、干渉することはなかったはずだから、魔石を落とした奴らを操っている上位種がいるかもしれないわよ。街の中心部にまとめていたってことを考えると、その可能性が高いわ」

 レギオンがニ体に、それ以外にも上位種の厄介な奴がいるってことか? 見つけちまったからには、この街を浄化してやらんとな。最悪街を更地に変えるほどの攻撃で、あぶりだしてもいっか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...