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第327話 原因の片鱗
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監視室にいる全員が見守る中、鬼人族はゆっくりとだが確実に中心に近付いている。通信で飛んでくる話では、どうやら中心に近付くほど体の動きを阻害される何かが強くなっているようだ。原因は分からないが、あの雲が何かをしているか、中に何かあると思っていいだろう。
阻害されていても動きに影響の出る程のものではない様子なので、鬼人族はどんどん進んでいくが大丈夫なのだろうか? 無理はしないでほしいところだ。
中心まで目算で八キロメートル程、大分雲の中心がはっきり見えてきているようだ。中心は台風の目みたいに穴が開いているが、そこから光が差し込んでいないので、台風みたいに穴が貫通しているわけではないようだ。ますます地球の常識で測れない現象だな。
しばらく様子を見ていると、急にモニターに映っている映像が変わった!
なんというか簡単に言えば夕方みたいに暗いのだ。何かと思えば中心から五キロメートル位に境目があり、幻惑魔法に近い何かがあるっぽい感じだ。鬼人族が出たり入ったりを繰り返して、体に影響がないか確認していたが、特に問題がないようだったので先に進むことを決めたようだ。
外から見ている明るい景色は、幻影結界? とでも呼べばいいのだろうか? それが映し出している幻影のようで、中心からおおよそ五キロメート以内は、今モニターに映し出されている薄暗い映像が本当の景色のようだ。
「なんでこんな手の込んだことをしているんだろうな? 先に何かあるのかね? 積乱雲ではないから雲の中に雷が走っているようなこともないし、本当になんだろうな? おっ!? 雲の中心あたりに何か、光ってるものがなかったか? ちょっと、上を映すように鬼人族に伝えてくれ」
俺の指示に従って二組の鬼人が上空、雲の中心を映し出す。拡大しないともうしわけ程度にしかわからなかったものが、拡大してもらうことでしっかりと見えた。
なんか見覚えがあるんだけど、ファ〇ナルファ〇タジーに出てくるクリスタルの様な形をしたものが浮いていた。その周りに同じ素材でできたと思われる球体の何かが四つクルクルと回っていた。
「んーなんだろねあれ。雲の原因の一つだと思うけど、これじゃよくわからんな。地上になければ調べることもできないよな。壊せないかね? 何も問題がなさそうだったら俺が壊してみたいな~」
俺の言葉にピーチが反応して、変な事を言わないでください! 的な視線を俺に向けて、
「ご主人様、危ない事はやめてください。安全が確認された場合だけですからね! 何が起こるかわからないのですから!」
と、言われてしまった。まったく俺ってそんなに危なっかしいかね? でも、命の危険があるから俺を心配してくれるんだよね。
何もないかのように鬼人族は進んでいる。中心まで四キロメート程にせまった時に通信が入る。
どうやら五キロメートを過ぎたあたりから、体にかかる阻害的な何かの強さが変わらなくなったと感じているようだ。二組から送られてくる情報なので間違いないだろう。でもなんであの幻影結界(仮)を境目にしたのだろうか?
しばらく何事もなく進んでいくと、とうとう発見してしまった! 二組いた鬼人族がお互いを視認できる位置まで来たようだ。といっても一キロメート以上は離れているので針の先くらいの小さい点だ。
よく見えたな、ステータスに影響されて視力もってそれはないか。それなら俺も視力がかなりよくなっているはずだしな。鬼人族の特性なのかな?
「お互いが見えたって事は雲の中心、地上には何もなさそうだな。やっぱり上空の雲の中心だと思われる所にあるクリスタル状の何かと球状の何かが原因とみるべきか。
ワンチャン地上に何かいるんじゃねえかなって思ってたけどそんなことなかったな。何日か変化がないか観察して問題なさそうだったら、当初の目的に戻ってもらって街を探索してもらうか。端にいる鬼人族も探索に回ってもらおう」
俺の指示に問題がなかったようなので、スプリガンが俺の出した指示を鬼人族に伝えている。
昨日は寝て起きたら雲の位置が変わってたという事だったので、今日は寝ずに状況を見ていてもらう事になっている。一組は雲の中心の真下、もう一組は幻影結界の境界線あたりで待機予定との事だ。
今のところ動いていないので、夜にだけ動くのかな? とか思っている。森の中から見た時も寝て起きたらなくなってたしな。だるまさんが転んだ的なノリで動く雲だったら面白いのにな。なんて心の隅で考えていた。
これ以上見ていても進展がなさそうだったので、今街の中を探索している鬼人族の方にスポットをあてる事にした。
街の中は俺たちが見て来たものと大部分は変わりは無かったが、一部だけ様子が全く違っていた。それは街の中央、おそらく領主やそれに準ずる誰かが住んでいたと思われる場所だった。
思われるというのは、まったく建物が残っていないから、そういう風な表現になっているのだ。大きな球状の何かに押しつぶされた地面がえぐれているのだ。
「これは街を押しつぶしたやつと、同じやつかな? 何が潰したかわからんけど」
「そうですね。おそらく同種のものだとは思いますが、街の瓦礫の量が釣り合わないのは分からないですよね。今回みたいに押しつぶされて地面に埋まっていればよかったのですが、街の状況は違いますからね」
「瓦礫自体が圧縮されてる? って事もないか、それなら煉瓦あたりのサイズが変わってないとおかしいけど、変わってなかったよな?」
過去の映像も引っ張り出して確認するが、あれ? 建物の煉瓦と瓦礫の煉瓦の大きさが違っている。
「まさかこんな所で瓦礫の少なさが判明したけど、上から押しつぶされただけじゃ瓦礫は圧縮しないよな? もし雲が原因だったと仮定して、中心から十キロメートあたりまで近付いた時の体の動きを阻害したあれが、重力魔法的な何かだったら強くすれば可能かな?」
俺の意見に首をかしげているメンバーもいるが、納得した顔をしているメンバーもいた。
「とりあえず、いろんな角度から街を撮影するように伝えておいて、他の街も探索してみれば何か分かるかもしれないからよろしく頼む」
自分でたてた仮説が真実に近いと思う一方で、何かが違うという違和感がぬぐえなかった。何かを見落としてるのかな?
阻害されていても動きに影響の出る程のものではない様子なので、鬼人族はどんどん進んでいくが大丈夫なのだろうか? 無理はしないでほしいところだ。
中心まで目算で八キロメートル程、大分雲の中心がはっきり見えてきているようだ。中心は台風の目みたいに穴が開いているが、そこから光が差し込んでいないので、台風みたいに穴が貫通しているわけではないようだ。ますます地球の常識で測れない現象だな。
しばらく様子を見ていると、急にモニターに映っている映像が変わった!
なんというか簡単に言えば夕方みたいに暗いのだ。何かと思えば中心から五キロメートル位に境目があり、幻惑魔法に近い何かがあるっぽい感じだ。鬼人族が出たり入ったりを繰り返して、体に影響がないか確認していたが、特に問題がないようだったので先に進むことを決めたようだ。
外から見ている明るい景色は、幻影結界? とでも呼べばいいのだろうか? それが映し出している幻影のようで、中心からおおよそ五キロメート以内は、今モニターに映し出されている薄暗い映像が本当の景色のようだ。
「なんでこんな手の込んだことをしているんだろうな? 先に何かあるのかね? 積乱雲ではないから雲の中に雷が走っているようなこともないし、本当になんだろうな? おっ!? 雲の中心あたりに何か、光ってるものがなかったか? ちょっと、上を映すように鬼人族に伝えてくれ」
俺の指示に従って二組の鬼人が上空、雲の中心を映し出す。拡大しないともうしわけ程度にしかわからなかったものが、拡大してもらうことでしっかりと見えた。
なんか見覚えがあるんだけど、ファ〇ナルファ〇タジーに出てくるクリスタルの様な形をしたものが浮いていた。その周りに同じ素材でできたと思われる球体の何かが四つクルクルと回っていた。
「んーなんだろねあれ。雲の原因の一つだと思うけど、これじゃよくわからんな。地上になければ調べることもできないよな。壊せないかね? 何も問題がなさそうだったら俺が壊してみたいな~」
俺の言葉にピーチが反応して、変な事を言わないでください! 的な視線を俺に向けて、
「ご主人様、危ない事はやめてください。安全が確認された場合だけですからね! 何が起こるかわからないのですから!」
と、言われてしまった。まったく俺ってそんなに危なっかしいかね? でも、命の危険があるから俺を心配してくれるんだよね。
何もないかのように鬼人族は進んでいる。中心まで四キロメート程にせまった時に通信が入る。
どうやら五キロメートを過ぎたあたりから、体にかかる阻害的な何かの強さが変わらなくなったと感じているようだ。二組から送られてくる情報なので間違いないだろう。でもなんであの幻影結界(仮)を境目にしたのだろうか?
しばらく何事もなく進んでいくと、とうとう発見してしまった! 二組いた鬼人族がお互いを視認できる位置まで来たようだ。といっても一キロメート以上は離れているので針の先くらいの小さい点だ。
よく見えたな、ステータスに影響されて視力もってそれはないか。それなら俺も視力がかなりよくなっているはずだしな。鬼人族の特性なのかな?
「お互いが見えたって事は雲の中心、地上には何もなさそうだな。やっぱり上空の雲の中心だと思われる所にあるクリスタル状の何かと球状の何かが原因とみるべきか。
ワンチャン地上に何かいるんじゃねえかなって思ってたけどそんなことなかったな。何日か変化がないか観察して問題なさそうだったら、当初の目的に戻ってもらって街を探索してもらうか。端にいる鬼人族も探索に回ってもらおう」
俺の指示に問題がなかったようなので、スプリガンが俺の出した指示を鬼人族に伝えている。
昨日は寝て起きたら雲の位置が変わってたという事だったので、今日は寝ずに状況を見ていてもらう事になっている。一組は雲の中心の真下、もう一組は幻影結界の境界線あたりで待機予定との事だ。
今のところ動いていないので、夜にだけ動くのかな? とか思っている。森の中から見た時も寝て起きたらなくなってたしな。だるまさんが転んだ的なノリで動く雲だったら面白いのにな。なんて心の隅で考えていた。
これ以上見ていても進展がなさそうだったので、今街の中を探索している鬼人族の方にスポットをあてる事にした。
街の中は俺たちが見て来たものと大部分は変わりは無かったが、一部だけ様子が全く違っていた。それは街の中央、おそらく領主やそれに準ずる誰かが住んでいたと思われる場所だった。
思われるというのは、まったく建物が残っていないから、そういう風な表現になっているのだ。大きな球状の何かに押しつぶされた地面がえぐれているのだ。
「これは街を押しつぶしたやつと、同じやつかな? 何が潰したかわからんけど」
「そうですね。おそらく同種のものだとは思いますが、街の瓦礫の量が釣り合わないのは分からないですよね。今回みたいに押しつぶされて地面に埋まっていればよかったのですが、街の状況は違いますからね」
「瓦礫自体が圧縮されてる? って事もないか、それなら煉瓦あたりのサイズが変わってないとおかしいけど、変わってなかったよな?」
過去の映像も引っ張り出して確認するが、あれ? 建物の煉瓦と瓦礫の煉瓦の大きさが違っている。
「まさかこんな所で瓦礫の少なさが判明したけど、上から押しつぶされただけじゃ瓦礫は圧縮しないよな? もし雲が原因だったと仮定して、中心から十キロメートあたりまで近付いた時の体の動きを阻害したあれが、重力魔法的な何かだったら強くすれば可能かな?」
俺の意見に首をかしげているメンバーもいるが、納得した顔をしているメンバーもいた。
「とりあえず、いろんな角度から街を撮影するように伝えておいて、他の街も探索してみれば何か分かるかもしれないからよろしく頼む」
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