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第292話 対応会議
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王国への報復対応会議は紛糾していた。まぁ紛糾って言ってもニつの意見がぶつかり合ってるだけなんですけどね。
フレデリクから脱出してディストピアに来たメンバーは、あれだけ俺たちに迷惑かけたのに逆恨みの行動で、更に迷惑を被ったのだから国王は処刑して面倒な奴らもまとめて処分、自分たちに都合がいい者か無害な者にトップを挿げ替えようという意見。
老ドワーフやリンド等のヴローツマインから来たメンバーと、グレッグやミューズを任せているメンバーからは、重鎮やある程度の貴族を処刑するのは一〇〇歩譲って許可するが、国王の処刑は絶対に行うのは拙いという意見だ。
このニつの意見が真っ向からぶつかり合っていた。
前者の意見も後者の意見も俺にはわかってしまう。
前者は迷惑ばっかりかけられたし、面倒なのでいなくなってくれればいいと思ってしまう俺がいる。
後者は国王がいなくなると王国が混乱して、さらなる面倒事が増える可能性が高いのだ、分かっていてわざわざ面倒事を呼び込む必要はないという事だ。その代わりに国王の意見に同調した奴らを始末することで、留飲を下げろって言われてるんだろうな。
ただここで俺がどちらかに偏った発言をすると、すべてがそっちの方向に傾いてしまうため迂闊な事は言えない。だから黙って見守る以外にできないのだ。
「あなた方は私たちの苦労が分からないから、そう簡単に殺すなとか言えるんです! 死ぬ思いをして住み慣れた街から逃げ出して、こちらに何の落ち度もないのに国家反逆罪にされたんですよ? あんな国王は百害あって一利なしです!」
おぅ、ピーチの言いたい事もよくわかるわ。
「確かに君たちの苦労は分からないが、今の王国の現状で国王を殺すのは愚策でしかないんじゃよ。ワシ等が集めた情報だと、国王はまだ四十代半ばでバリバリの現役なのじゃよ。
その子供たちで成人しているのがニ十四歳・ニ十歳・十八歳の王子とニ十一歳・十九歳の王女なのじゃ。王女の方は嫁ぎ先も決まっており、その家が王国の軍閥名家なので今国王がいなくなると、五人の子供たちが血を血で洗う争いを始めると思うぞ」
「むしろ私たちにとってはそうなった方が好都合なのですが、何か問題があるのですか?」
ブラックピーチ、エンジン全開だな。
「一〇〇歩譲って混乱した方がいいとして、君がかつて住んでいたフレデリクだったか? その街もその混乱に巻き込まれてもいいのか?
あそこはシュウが国家反逆罪で指名手配されてから、王の直轄地になったので否応なくリーファスと一緒に真っ先に標的になるぞ? ミリーの知り合いや、シュウによくしてくれた人だっているはずだ。その街がなくなっても君達はなにも思わないのかね?」
おぉ、ドワーフの爺さん伊達に歳とってないな! 国が混乱するってそういう事だもんな、ただの飲んだくれじゃなかったんだな。
「私たちの中で、あの街に一番長く住んでいたのは恐らく私ですよね。今の生活が嫌とかではないですが、あの街の人が傷付くのは避けたいです。それが私の本音です、わがまま言ってすいませんでした」
「ミリー、それはわがままじゃないぞ。もしあの街の避けたいのなら、みんなにお願いすればいいじゃないか。俺の妻なんだろ? 他の妻たちにお願いするのは決してわがままじゃないさ」
俺がそういう風に言うと、年少・年中組はウンウンとうなづいている。年長組は若干渋い顔をしているが、俺が住んでてお世話になった人達がいるのを知っているし、妻仲間のミリーからお願いされたら無下にはできないだろう。
今回嫁の一人であるリンドが国王を殺さないでくれと言っていたが、確固たる理由がないからただの意見対立になってしまったのだろう。
「みなさん、フレデリクの街を、私の知り合いをくだらない権力争いの犠牲にしないでください……」
妻たちは何も言わないで泣いているミリーを囲んで慰めるような形をとっている。その中である事に気付いたケイティがボソッとつぶやく。
「フレデリクの街の人を連れ出せば、問題なかったりするのかな?」
ん? 必要な人だけ連れ出せれば確かに問題ないんじゃないか? できれば満腹亭のおばちゃんは来てほしいな。あの人の料理って不十分な調味料であの美味さだったからな、ディストピアの食材と調味料を使えば、シルキーに匹敵する食べ物ができるんじゃないかと思ってるんだよな。元気にしてっかな?
「難しいかな、一応王国内では国家反逆罪で手配中だし、王国内でどんな情報操作が行われているか分からない以上、迂闊にフレデリクにはいけないです。それより国王を殺さないとなれば、どういった対応をとるのがいいでしょうか?」
そういえば王国内で俺たちの事どう思われてるんだ?
「そうじゃな、わしならディストピアに手を出そうと考えている重鎮や貴族、軍属の偉い所を切り捨てるかのう? 後は、国王にそれこそ教皇にした以上の恐怖を植えこんで様子見ってところかな?」
「確かに妥当な線かもしれないわね。付け加えるなら、国王の権力がギリギリ維持できるくらいの資金以外は、迷惑料として回収して、国家反逆罪を取り消させて国王の名の下謝罪させる、ってところでいいんじゃないでしょうか?」
「金を回収するのか?」
お金なら腐るほど召喚できるけど足りてないのか? それにお金を回収すると実力を見誤って王国が混乱しないか?
「そうですよ、お金がなければディストピアにちょっかいをかけられなくなりますし、危ない重鎮、貴族、軍属は処刑するから多少の混乱があっても、国が乱れるほどの混乱にはならないですね」
「リンドの言う通りだろうな。そこまで大きな混乱にはならないじゃろう。ひとまずの方針はそれで問題ないじゃろうから、細かいところを詰めていこうかの。どこまで処刑するかは大切なところだから集めた情報を基に決めようじゃないか。決まっても途中の街で貴族捕まえて情報を聞き出せして修正すれば問題なかろう」
「話はまとまったな。じゃぁ飲んd……おっと、ドワーフの爺さんが集めた情報を出してくれ、俺はそういったのに詳しくないからみんなに決めてもらう事になるけどな」
「おい! お前さん今『飲んだくれ』と言おうとしてなかったか? 『飲んだくれ』というのはな大酒飲みでたちが悪い人間を指すのじゃ! わしはたちは悪くないからただの酒好きな大酒飲みなだけじゃ!」
一応弁解しているつもりだろうか? 少し疑問になったので頭の中で考えていたら、どんどん話が進んでいっていた。俺がかかわってもいい事ないしみんなには頑張って決めてもらおう。
フレデリクから脱出してディストピアに来たメンバーは、あれだけ俺たちに迷惑かけたのに逆恨みの行動で、更に迷惑を被ったのだから国王は処刑して面倒な奴らもまとめて処分、自分たちに都合がいい者か無害な者にトップを挿げ替えようという意見。
老ドワーフやリンド等のヴローツマインから来たメンバーと、グレッグやミューズを任せているメンバーからは、重鎮やある程度の貴族を処刑するのは一〇〇歩譲って許可するが、国王の処刑は絶対に行うのは拙いという意見だ。
このニつの意見が真っ向からぶつかり合っていた。
前者の意見も後者の意見も俺にはわかってしまう。
前者は迷惑ばっかりかけられたし、面倒なのでいなくなってくれればいいと思ってしまう俺がいる。
後者は国王がいなくなると王国が混乱して、さらなる面倒事が増える可能性が高いのだ、分かっていてわざわざ面倒事を呼び込む必要はないという事だ。その代わりに国王の意見に同調した奴らを始末することで、留飲を下げろって言われてるんだろうな。
ただここで俺がどちらかに偏った発言をすると、すべてがそっちの方向に傾いてしまうため迂闊な事は言えない。だから黙って見守る以外にできないのだ。
「あなた方は私たちの苦労が分からないから、そう簡単に殺すなとか言えるんです! 死ぬ思いをして住み慣れた街から逃げ出して、こちらに何の落ち度もないのに国家反逆罪にされたんですよ? あんな国王は百害あって一利なしです!」
おぅ、ピーチの言いたい事もよくわかるわ。
「確かに君たちの苦労は分からないが、今の王国の現状で国王を殺すのは愚策でしかないんじゃよ。ワシ等が集めた情報だと、国王はまだ四十代半ばでバリバリの現役なのじゃよ。
その子供たちで成人しているのがニ十四歳・ニ十歳・十八歳の王子とニ十一歳・十九歳の王女なのじゃ。王女の方は嫁ぎ先も決まっており、その家が王国の軍閥名家なので今国王がいなくなると、五人の子供たちが血を血で洗う争いを始めると思うぞ」
「むしろ私たちにとってはそうなった方が好都合なのですが、何か問題があるのですか?」
ブラックピーチ、エンジン全開だな。
「一〇〇歩譲って混乱した方がいいとして、君がかつて住んでいたフレデリクだったか? その街もその混乱に巻き込まれてもいいのか?
あそこはシュウが国家反逆罪で指名手配されてから、王の直轄地になったので否応なくリーファスと一緒に真っ先に標的になるぞ? ミリーの知り合いや、シュウによくしてくれた人だっているはずだ。その街がなくなっても君達はなにも思わないのかね?」
おぉ、ドワーフの爺さん伊達に歳とってないな! 国が混乱するってそういう事だもんな、ただの飲んだくれじゃなかったんだな。
「私たちの中で、あの街に一番長く住んでいたのは恐らく私ですよね。今の生活が嫌とかではないですが、あの街の人が傷付くのは避けたいです。それが私の本音です、わがまま言ってすいませんでした」
「ミリー、それはわがままじゃないぞ。もしあの街の避けたいのなら、みんなにお願いすればいいじゃないか。俺の妻なんだろ? 他の妻たちにお願いするのは決してわがままじゃないさ」
俺がそういう風に言うと、年少・年中組はウンウンとうなづいている。年長組は若干渋い顔をしているが、俺が住んでてお世話になった人達がいるのを知っているし、妻仲間のミリーからお願いされたら無下にはできないだろう。
今回嫁の一人であるリンドが国王を殺さないでくれと言っていたが、確固たる理由がないからただの意見対立になってしまったのだろう。
「みなさん、フレデリクの街を、私の知り合いをくだらない権力争いの犠牲にしないでください……」
妻たちは何も言わないで泣いているミリーを囲んで慰めるような形をとっている。その中である事に気付いたケイティがボソッとつぶやく。
「フレデリクの街の人を連れ出せば、問題なかったりするのかな?」
ん? 必要な人だけ連れ出せれば確かに問題ないんじゃないか? できれば満腹亭のおばちゃんは来てほしいな。あの人の料理って不十分な調味料であの美味さだったからな、ディストピアの食材と調味料を使えば、シルキーに匹敵する食べ物ができるんじゃないかと思ってるんだよな。元気にしてっかな?
「難しいかな、一応王国内では国家反逆罪で手配中だし、王国内でどんな情報操作が行われているか分からない以上、迂闊にフレデリクにはいけないです。それより国王を殺さないとなれば、どういった対応をとるのがいいでしょうか?」
そういえば王国内で俺たちの事どう思われてるんだ?
「そうじゃな、わしならディストピアに手を出そうと考えている重鎮や貴族、軍属の偉い所を切り捨てるかのう? 後は、国王にそれこそ教皇にした以上の恐怖を植えこんで様子見ってところかな?」
「確かに妥当な線かもしれないわね。付け加えるなら、国王の権力がギリギリ維持できるくらいの資金以外は、迷惑料として回収して、国家反逆罪を取り消させて国王の名の下謝罪させる、ってところでいいんじゃないでしょうか?」
「金を回収するのか?」
お金なら腐るほど召喚できるけど足りてないのか? それにお金を回収すると実力を見誤って王国が混乱しないか?
「そうですよ、お金がなければディストピアにちょっかいをかけられなくなりますし、危ない重鎮、貴族、軍属は処刑するから多少の混乱があっても、国が乱れるほどの混乱にはならないですね」
「リンドの言う通りだろうな。そこまで大きな混乱にはならないじゃろう。ひとまずの方針はそれで問題ないじゃろうから、細かいところを詰めていこうかの。どこまで処刑するかは大切なところだから集めた情報を基に決めようじゃないか。決まっても途中の街で貴族捕まえて情報を聞き出せして修正すれば問題なかろう」
「話はまとまったな。じゃぁ飲んd……おっと、ドワーフの爺さんが集めた情報を出してくれ、俺はそういったのに詳しくないからみんなに決めてもらう事になるけどな」
「おい! お前さん今『飲んだくれ』と言おうとしてなかったか? 『飲んだくれ』というのはな大酒飲みでたちが悪い人間を指すのじゃ! わしはたちは悪くないからただの酒好きな大酒飲みなだけじゃ!」
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