ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
291 / 2,518

第291話 毒薬の出所

しおりを挟む
 四店舗の人間を拘束した後、砦の中で罪を犯したものを拘留する牢屋へ連れて行った。

 まずは奴隷の首輪の行動制限の力を発揮させずに、今回の事件に関与したかを聞いてみると、四店舗ニ十人中全員が関与を否定した。続いて奴隷の首輪で嘘をつけないように制限して聞くと、オーナー四人の首輪が締まりコック六人の首輪が半分締まった。

 半分という中途半端に締まった奴等は、うすうす何かに加担させられている事には気付いていたが、事実をきちんと知らされていなかったから中途半端に首輪が締まった様だ。

 嘘をついていなかった、ただの従業員は奴隷の首輪を解除して解放する。こちらの都合で勝手に拘束したので、次の就職口が見つかるまでや移動費として多少のお金を渡しておく。

 そこまでする必要はないとグリエルに言われたが、俺のポケットマネーから俺が勝手に出すという事で黙らせた。路頭に迷わせて死なせるのも寝ざめが悪いし、悪評を流されても言い返せるように先に手を打っただけなんだけどな。

 コックは判断に困ったのでグリエルに対応を丸投げした。直接罪を犯したとは言い難く、でも怪しい事に加担されていると気付いていたのに報告を怠っていたので、グリエルも処罰をどうしようか悩んでいた。

 そこに老ドワーフが助言をしてくれた。今回は厳重に注意して一週間ほど再教育を行って次に同じような事があった際には、きちんと街に報告するように教育する事で決着がついた。

 オーナーの四人はとりあえず情報を聞き出さないといけないので、四人とも会話ができない位置の牢屋にぶち込んだ。一応、奴隷の首輪+拷問+魅了で情報を引き出して、差異がないかしっかり情報を確認する予定だ。

 とりあえず奴隷の首輪だけで、色々情報を聞き出してみる事にした。

 一応毒を盛った犯人を犯人A・犯人B・犯人C・犯人Dという事にした。AからCは宿屋のオーナーでDだけが食堂のオーナーだ。

 犯人四人ともが王国の人間で人質を取られて嫌々この計画に参加していたわけでは無く、嬉々として協力していたことが判明する。分かりやすく言えば全員がバリス教徒だったため、樹海という辺鄙な所にありながら自分たちより、いい生活をしている獣人やドワーフ等が気に入らなかったようだ。それを王国に利用された形だ。

 まぁ利用されたから、バリス教徒だから、と言ってヌルイ対応をするつもりはない。むしろバリス教徒なら苛烈に攻撃すべきだと嫁達から念押しされた。

 直接黒幕に指示されいたのはBとDの犯人だ。AとCは黒幕の遣いを通して指示を受けていたようだ。どいつらも受けた命令は、例の毒薬を宿や食堂で提供する事、例の毒薬を他の店でも使わせるようにのニつの指示を受けていたようだ。

 その指示に従って狙いやすそうな店を選んで毒をばらまいていたらしい。この毒は厄介で少し中毒性のある麻薬的な物質を含んでいるのだ。中毒になっている時はどんな味付けでも美味しく感じてしまうのだ。といっても中毒になっているからそれがほしくなるわけでは無いようだ。謎な毒だ。

 そういえば、黒幕っていうのは特徴や身のこなしの話を聞いておそらく、国王直属の奴隷兵だと判断した。あいつらはここまで来れないので、犯人は自分でジャルジャンに行ったり、送られてきた手紙などで指示を受けていたそうだ。

 魅了でも差異のある情報を得る事は出来なかった。これはツィード君の奴隷の首輪の性能が、魅了レベルで情報を引き出すことが可能だったのだ。

 だが拷問した際に新たな情報が犯人Dから出てきた。

『自分の盛っていた毒は、国王が勇者に無理やり知識を絞り出させてそれに合わせた毒薬を完成させて、シュウと言う人間が作った街に嫌がらせをしてこいと言われた』

 との事だった。何故、奴隷の首輪や魅了で聞き出せなかったのか、それは簡単な話だった。

 俺は毒薬の出所や黒幕の話を聞いたが、黒幕に指示をしていた者やどうやって毒が作られたかなども聞いていなかったため、奴隷の首輪や魅了で聞き出せなかったのだ。質問の仕方や知りたいことを明確にして質問をしないと本当にききだしたいことがきけないようだ。思わぬ盲点だった。

 それに対して拷問は、耐えられなければ自分が助かりたいために、聞かれたことに関係したことまで自分からしゃべるようになるのだ。順番的に奴隷の首輪⇒拷問⇒魅了が良いと今回感じたのだった。体や精神的にズタボロにした後に魅了するのは、どうかと今回順番を変えてしまったのが今回の盲点の発覚の原因だろう。

 でもいい情報が手に入った。

 ある程度大物が絡んでいると思っていたが、まさかまたここで国王が出てくるとはな、しかも勇者という面倒な奴まで出てくるとは考えもつかなかった。

 それにしても懲りない国王だな。教皇みたいに拉致って拷問してズタボロにするか。まぁ国王はそれでもいいけど、勇者はどうするかだな……

 無理やり協力させられた感じはうけるけど、だからと言って罪が無いわけじゃない。それに勇者であるならおそらくだが待遇は悪くないはずだ。

 Sランク冒険者みたいな人外でなければ勝てない上に、魔物には勇者の恩恵でありえない戦闘能力を発揮するから、便利屋のように使えるのでいい待遇で迎えられているはずだ。

 もし同郷の人間だったとしても最悪処分を考えるべきかな? 俺の街に損害を少なからずもたらしたのだ、利用されていたとしても何もなしというわけにはいかないだろう。最低でもボッコボコにしてやるつもりだ。そのために作戦を考えないとな。

 病気の原因は王国からの毒によってもたらされたものだという事が分かり、その毒も拷問の際にある程度詳しい事が分かったのでマップ先生で特定することが可能になったのだ。

 この街に持ち込まれる心配はなくなったのでひとまずは安心だろう。これからは王国にどうやって報復するのかを検討することになった。グリエルやガリア、老ドワーフを交えて方針を決める事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...