ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第285話 秋の味覚?

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 月見が終わってから一週間が経過した。この一週間で驚くほど変わったのは、やっぱりクイーンハニービーだろう。あいつ自体が変わったわけじゃないが、あいつが巣を作り出してからたった一週間しか経っていないのに、すでに直径十メートル程の巣が三個も完成しているのだ。

 ハニービーに至っては恐らく一万匹は越えているだろう、俺の支配下のクイーンハニービーの子であるためもれなく俺の支配下にある。ドリアードの指示を聞いてせっせと蜜を集めたり受粉に協力していた。三十センチメートルもある蜂が受粉の手伝いができるのか謎だったが、活躍しているんだから問題ないんだろう。

 ドリアードの話ではおそらく二ヶ月ほどすれば、俺に献上するための極上の巣蜜ができるそうだ。ハチミツだけじゃなく巣ごとの献上を予定しているようだ。しぼってハチミツだけにしてもいいしな。

 献上されたら初めに食べてあげないと拗ねるらしいので、巣蜜をしっかり感じられて美味しい食べ方をシルキーたちに研究してもらっておこう。

 アリスとライムの結界の魔道具の研究が順調に進んでいるようだった。始めは質量のない物を防ぐための結界に四苦八苦していたのだが、質量の無い物で言えば火や風も同質であることに気付いたライムが、ガルドとメイに魔法での結界についていくつか質問していた。

 そこからヒントを得て何とか、最下級のレイスの侵入を遅らせる事ができる結界の魔道具を完成させていた。

 だけどこの先の結界の強度や性質を強くするのが大変だといっていた。何せ質量の無い物を防ぐという頭でわかっても、物理的な話になるとつじつまが合わなくなってしまうため、システムの破綻が起きてしまうようなのだ。魔法なのに物理的ななんちゃらがあるのは不思議な感じだ。

 実際にユニークスキルの結界を使った際に感じた事は、物理的というか質量のある物ほど防ぎやすく感じたのは事実だ。おそらくイメージの差なのだろう。

 普通の魔法はスキルLvでも魔法をいくつか覚えられるが、イメージ次第でいろいろできることは実証されている。オリジナルマジックとでも呼べばいいのだろうか? 俺の使っている雷魔法のスタンガンや、魔法でスタングレネードを再現した魔法もオリジナルと呼べるものだ。

 それに対して質量のない火や風は結界で防ぎにくかった。俺に限らず魔法の攻撃を防ぐためには打ち消す方法で対抗するのだ。火や風なら水壁や土壁など質量のある物で防ぐのだ。

 どのくらいで結界の魔道具が完成するか分からないが気長にまとう。どうせ急ぐほどの事でもないしな、気長に頑張ってもらいたいところだ。それに行けるようになったとしても、俺が狙っているノーライフキングが倒せるとも限らないしな。

 アンデッド属性に有効な武器や魔法をそろえておかないとな。レイスみたいなスピリチュアル系の魔物にも、対抗できるように準備しておかないと苦労するだろうな。

 いくらそういう敵に強いスキルや魔法を覚えている者を集めているとはいえ、そこを狩場として使う聖国って意外にすごいんじゃないか? ただ対人間に弱いだけで、別にこの世界の平均で言えば弱いわけじゃないか?

 スピリチュアル系の魔物にダメージを与える武器って、基本的に魔法が付与されている武器らしいんだけど、付与魔法ではダメージが与えられないらしいんだよな。どうやって聖国の騎士たちがダメージを与えていたかといえば、聖水と呼ばれる物を武器にふりかけてから攻撃をしていたそうだ。

 その作り方は? といえば、知っている者はいなかった。最悪作ることができなくても、DPで召喚できるリストの中にダメージの与えられる武器があるから問題ないだろう。

 一応、リストに聖水がないか調べたがそれらしきものは無かった。まだ召喚できないか、単に聖国が勝手につけた名称で、ほかにきちんとした名前がついているのだろう、聖水が手に入ればよかったんだけどな。

 手に入らないものはしょうがないから考えない事にしよう! もっと実りのあることをするべきだ。実りといえば、ダンジョン農園の森の区画で色々な秋の味覚が取れるようだ。あれ? 今って秋だっけ? って、ダンジョンの中だから季節なんて関係ないか。

 何がとれるか聞くと、栗とか松茸とかキノコとかサンマとかブドウとか……おろ? サンマとブドウは森の物ではないけど美味いからいいよな!

 栗があるならモンブランとか食べたいよな。作った事ないからどういう風に作るか知らないんだよね。まぁいっぱい拾っておけば、シルキーたちが何とかしてくれるよな! さて、思い立ったが吉日! さっそく取りに行こう。

 今日は絶対にダンジョン農園や家の敷地から出ない事を条件に、一人での行動を許可されている。一人とはいえ従魔たちが監視についているが、いつもより自由なのである!

 それにしても、自分の町のディストピアも自由に歩けないのは正直不便だな。心配なのもわかるけど、もっと信用してほしいところだな。

 森につくと足元に栗がいっぱい落ちていた。集中して一ヵ所に落ち過ぎだよな。二十メートル四方に軽くこんもりするくらい栗が重なってるところもあるし、その範囲から出るとほとんど落ちてないってことはこの周囲の木が栗の木なのだろう。

 いっぱいとろうと思ったが、栗の周りの針が地味に痛くて素手で拾えないんだけど! 俺の体って強くなってるはずなのに、めちゃくちゃ痛いんですけど! これって何ですかね? 俺はこの時点で自力で何とかするのを諦めて、俺の監視役で着いてきていたスライムたちに栗を集めてもらう事にした。

 さすがスライム、たかが針なんかでは動きを止める事もなく二十m四方にあった栗を十分ほどで全部取りつくしてくれていた。きちんと針のついた皮を剥いであの茶色い皮のついたクリの状態にしてくれていた。本当に優秀な奴らだ、今度好きなものを食べさせてあげよう。

 でも俺、こいつらが何が好きかわからんかった。シルキーたちなら何か知っているだろうから、アドバイスをもらってご褒美を上げる事にしよう。

 さて、集めた栗はキッチンに届けてから、モンブランにしてもらうようにお願いする。今日のおやつか夕食に出てくることだろう、楽しみにしておこう!
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