ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
284 / 2,518

第284話 夜の楽しみ

しおりを挟む
「最後はかなり危なかったですな~」

「あの体勢で綺麗に俺の攻撃を止めてよく言うぜ」

「ご主人様、あれは本当に偶然なんですよ。あの状態で転がった回避しても、薙刀の攻撃範囲からは絶対に抜け出せないと思っていましたので、勘を頼りに体を守るように盾を構えた位置にちょうど攻撃が来て運よく止めれただけです。

 あそこで止めを刺そうとするのではなく機動力を落とす目的で、足を攻撃していればご主人様の勝ちですよ。戦場では片足が無ければ魔法使いでもほとんど何もできないでしょう。勝ちにこだわり一撃で決めようとしたのがよくなかったでしょうね」

「むぅ~、確かにそういわれればそうなんだけど、薙刀を使っても勝てなかったか。一番自信があるって言ったら変だけど、それなりに訓練してきた武器なだけにショックはデカいな。一応メインの武器で負けたくないから薙刀で戦うのは控えてたのにな」

「それにしても、薙刀という長物で超接近戦の間合いで、足を刈り取られるとは思いませんでしたよ。あれを回避するには、距離をとるか大きく飛ぶしかありませんね。

 おそらくご主人様の力と体ごと回転させて巻き込むように足をかるあの攻撃は、同じ長物で同じ技が使える人間以外では回避するしかありませんね。回数を重ねるごとに戦闘経験が増えていますので、私が抜かれる日も遠くないかもしれないですね」

 短い戦闘だったがお互いのいい点悪い点などを意見交換して、今後の修行に役立てるためにメモを取っておいた。

 このノートも武器毎に分けてはいるけど、A4のルーズリーフで三〇〇枚くらいになっていた。ファイルにして六個程使っている。俺には絵心が無いので文字と棒人間の絵で、その時を思い出せるような形にしてある。

 ステータスが拮抗してから二十三戦しているが、勝利したのは三回だけだ。本当にレイリーは強かった。

 ちなみにシュリとの勝負は五回ほどやったけど、魔法禁止だと基礎能力に差がありすぎて、盾を越える事が出来なかったのだ。ステータスに圧倒的に差があるから、後出しで俺より早く攻撃が飛んでくるんだから勝てるわけないじゃないか!

 根本的に何かを変えないとシュリには勝てないと思ったので、模擬戦はしなくなっている。他の妻は、年少組と年中組は外から見た目の悪さからやっていない。年長組ではシュリ以外にアリスとしか魔法無しで打ち合っていない。ちなみにアリスとの戦績は十三戦九勝だ、何とか勝ち越している。

 俺ってやっぱり魔法か専用の武器が使えないと、パーティーの中でポンコツなんだと実感できてしまうこの悲しみ。正直前衛の妻たちとはステータスが均衡しているため、下手したら負け越す可能性だってあるのだ。特に成長著しいシェリルとネルは一戦ごとに成長するから、数回やったら勝てなくなる可能性も大。

 短い戦闘だったけどレイリーとの模擬戦闘は、毎回スッキリするからやってて気持ちいんだよね。不完全燃焼も解消されてスッキリしたので、風呂にでも入ってもっとスッキリしよう。

「……おぃ、何でここにいるんだ?」

 サウナに入ったら普通にくつろいでいたカエデがいた。

「何でって、ここはシュウと妻全員の共用スペースでしょ?」

「いやいやそうじゃなくてだな、レイリーと模擬戦してた時に工房から槌でたたく音聞こえていただろ、なのにここにいたから聞いたんだよ」

「あ~あれね、リンドが叩いてた音だよ。忘れてるようだけどリンドだって、ドワーフで腕のいい職人なんだよ? それとシュウが模擬試合してるのに気付いたから先回りして待ってたんだよ。私がマッサージをしてあげるよ」

「なるほどな。体がこってたから助かるわ、ちょっとマッサージしてもらっていいかな?」

 叩いたり揉んだりして気持ちよくほぐしてくれた。でも途中から方向が変わって性的な意味で食べられてしまった。嫌いじゃないけどサウナの中はやめてくれ、いろいろ出てしまって干からびるからさ。

 失った水分をチビチビと補充している。一気に水分をとると腹を下すから、人肌に温めたスポーツ飲料をゆっくりと飲んでいく。一リットルくらいを一気に飲みたい衝動にかられるが、ここは我慢我慢!

 そんなことをしていたらもう夕食の時間が過ぎていた。風呂から上がって普段と違う場所でのんびりしていたため、妻たちがみんなで俺の事を探してくれていたようだった。

 怒られることは無かったけど少しだけ、ちくっと小言を言われてしまった。移動している時に空を見上げたら二つの月が綺麗な満月になっていたので、食事が終わったら月見でもしようと心の中で決めた。シルキーたちにお団子作ってもらわなきゃ。

 夕食を食べ終わってから、妻以外にも家にいるみんなに一時間後位に、庭に来るように声をかけて回った。

 その際にシルキーたちに月見をするというと、納得したような顔をして俺が何も言わなくても「お団子を用意しておきます」と。俺の知識の一部が召喚する際に流れ込んでいるだけあって、こういう事は特に察しがいいな。

 集合時間になり庭へ行くと、ブラウニーたちがスカーレットの指導のもと月見会場を設営していた。そこまでやるつもりはなかったのに、大分大掛かりになってしまったな。

 ゴザやブルーシートなんかを引いて、そこにみんなで座ってみたいな感じでよかったけど、すのこを敷き詰めてその上にゴザを敷いて、座椅子も人数分用意され机までセットされていた。一時間しか時間が無かったはずなのに、お団子も複数の種類を作ったうえで、この会場を設営したのか、せっかくだから楽しもう。

 みんなが集まってきて好きな所に座ってもらっている。従魔たちも勢ぞろいして、そっちは団子でなく特製のおやつを準備してもらっていた。少し違和感があったのはスライムたちだ。

 横一列にくっつきながら移動をして来るまではまだよかった、月見が始まってしばらくすると縦一列に積みあがっていたのだ。重力に従って下に行くと潰れ具合がはっきりとわかるような見た目であった。

 スライムたちの能力なら、あの程度の重さでつぶれる事はないはずなのだが、無駄に物理法則的な何かを再現しているあたり笑える所があった。

 ちなみに用意してもらったお団子は、みたらし団子、こし餡団子、粒餡団子、ゴマ団子、草団子、ごま摺り団子等々を準備してくれていた。従魔たちには、さっぱりとしたお肉で作った肉団子であった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...