ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第280話 ダリアの秘密の部屋

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 寝過ごすと決めて寝た時に限って、目が覚めてしまうこのやるせない気持ち。どうしたものだか。普段七時三〇分頃に起こされているのに、ただいまの時刻……六時三十分! どうしてこうなったし!

 することもなかったので、なんか料理を作る事にした。神の雫のキッチンにつながっているキッチンへ行き朝食の準備を始めようとしたが、食材が何処にあるかわからなかったので、朝食を作っていたブラウニーたちに聞いて足りないものは、持ってきた食材やDPで召喚した食材を使って料理を始める。

 今日はヴローツマインなので、いつものビュッフェタイプではなく、ブラウニーたちが適当にメニューを決めて作る料理だったので、一品追加する形になった。洋風の朝食メニューだったので、付け合わせで出す焼き立てのフランスパンでフレンチトーストを作る事にした。

 特に何がというわけではないが、卵に少し牛乳を混ぜてハチミツで甘みをつけた特製のフレンチトーストだ。

 卵の量がすごいことになったが気にすることもなく、フライパンで焼くのではなく深めの鉄のプレートに卵に浸したフランスパンを入れて少し残り液も一緒に入れ、そのままオーブンに突っ込んで焼いたものだ。中までしっかりと火を通して終了。

 インターネットで一度見たことがあったので作ってみたくて、フレンチトーストを選んでみたのだ。

 妻たちも起きてきて朝食になった。俺の作ったフレンチトーストは賛否両論あったが、俺は美味しいと思ったのでそれでいいだろう。ただ後日ディストピアの朝食ビュッフェに出てきた、特製のフレンチトーストの完成度が高く敗北感を密かにあじわっていた。

 シルキーたちの調理技術恐るべし! 悪気はないんだろうけど、もう少しおいらを気遣ってほしかった。独自に少し酸味のあるベリー系の果実をトッピングするアレンジまでしていた、悔しくなんてないんだからな!

 ヴローツマインですることが無いのでディストピアに帰ろうと準備していると、ダリアが何やら用事があるとの事で家を訪ねて来た。

「シュウさん、まだいてよかった。無線でもよかったのですが、こちらにいらしてるみたいでしたので直接お話しするために来ました」

「あ、ダリアさん。グレッグとかミューズ、新しい街の件本当に助かってます」

「色々と大変な事もありましたけど、きちんと対価をもらっているから気にしないでください。で、自分がここへ来た理由なのですが、ヴローツマインにある鉱山型ダンジョンにできれば追加してほしい魔物がいまして……」

「ん? 頼みにくい魔物なのか? といってもリストになかったら追加して上げる事はできないんだけど、何が必要なんだ?」

「えっと、タートル系なのですが、アンチマジックタートルっていう魔物を召喚できませんか?」

「ちょっと探してみるから……それにしてもアンチマジックって、魔法防御かなにかか?」

「そうですね。付与をすれば同じようなものを作る事はできるのですが、ミスリルに付与するとミスリル自体の耐久度が著しく下がったり、オリハルコンに付与すると耐久度は問題ないのですが、魔法防御の効果が低くなってしまうんですよね。

 アンチマジックタートルは、金属を食べて成長するんですが、その甲羅からとれる鉱石が付与しなくても魔法防御が高いんですよね。

 ただ鉱石の性質上一枚板のようにするのが難しいので、鱗状にしてスケイルメイルに加工すると、前衛職にも十分な物理防御力を持たせることができるんですよね。他にも中衛の革系の鎧の部分強化に使ったり、籠手や小型の盾に仕込んだりできるので可能ならほしいんですよね」

「あ~いたいた、アンチマジックタートル。DPを考えるとCからBランク辺りの魔物かな? 養殖場みたいなのがいいかな? どこかの地下にミニ鉱山でも作って、アンチマジックタートルを召喚しておこうか。どういう生体かわからないから、ディストピアにも情報を回してもらえると助かる」

「別に作ってもらえるんですか? それでしたら、ギルドの地下に作ってもらっていいですか? あそこだったら管理するのに便利なので、お願いしてもよろしいですか?」

「了解、他に適当に色々召喚しておくけど……まった、いきなりギルドの地下に作って大丈夫か? 俺とダンマスが同じって知ってるの上層部の一部じゃなかったっけ?」

「入口の場所だけ指定させてもらえれば問題ないです。自分の許可が無いとは入れないエリアがありますのでそこに作っていただければと思っています」

「あぁ、あの場所ね。確かにあそこは許可なしに入ったら、物理的に首が飛ぶって言ってあるから絶対に普通の人間は近寄らなかったわね」

「そうです、リンドさんが作ったあのエリアです。しかもギルドマスターの部屋からしか出入りできない場所なので、ちょうどいいところだと思います」

「へ~そんな所があったんだ。じゃぁそこに設置すればいいんだよな、場所教えてもらっていいかな?」

 俺の言葉を受けて、ダリアが入口を作ってほしい場所へ案内してくれる。にしても、よくこんな螺旋階段を作ったな。直径にすると三メートル程しかないところに、器用にギルドの最上階にあるマスタールームから一直線に階段を作ったもんだ。

 これなら許可がない人は入れないし、無理して入ったら間違いなくヤバいと思わせる何かがある気がするが、特にこれと言って禁書があるわけでも、秘密のアイテムが置いてあるわけではないのだが、趣味部屋に近いので入れたくないから、物理的に首が飛ぶと脅していたらしい。

 それを引き継いだダリアも同じようにしたとの事だ。そこに入口を作って実質ダリアが管理するダンジョンが完成した。

 ヴローツマインでの一仕事も終わったのでディストピアに帰ることにした。帰りのお供は、ジブリの映画で腕に呪いを受けた青年が旅に出て、山犬に育てられた女の子に出会うあの映画を見ながらの帰宅になった。

 帰ってからは、アンデッドの情報をみんなに伝えて対策ができるまで行けない事を伝えると、年長組の妻たちはどこかしらほっとした顔をしていた。

 やっぱり女の子なのか幽霊みたいなのは嫌いなのだろうか? シュウはこの時ほっとした顔をした理由をもっと深く考えておくべきだった。
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