ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第267話 救出作戦終了

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 帝国に初めて足を踏み入れたがたいした実感はわかなかった。それもそのはず、樹海の近くは基本的に緑が豊かで砂漠化している所はないのだ、見た目に大きな変化があるわけでは無い。ただ、いつもとみている景色が違うなって思うくらいだ。

 なんかさ~もっとこう……グランドキャニオン! とか、ナイアガラの滝! とか、エアーズロック! とかさ、おぉ! って思える景色がほしかったよ。そういえば、この世界に来て砂漠とかって見た事ないよな。樹海に至っては不気味なほど早く木が生えてくるから砂漠化なんてありえないか?

 あ、でも魔物の中には砂漠にすんでいると思われる奴らだっているから、おそらくどこかにはあるんだろうな。だってさ、サンドスコーピオンとかサンドウルフとか召喚リストに載ってるんだからさ。だからと言っていきたいわけじゃないんだけどな、綺麗な景色ってちょっとあこがれるじゃん? 俺日本にいる時紅葉とか好きだったしね。

 さて、こんなことを考えている間にギャロップの見えるところまで来ていた。さすが我が家の誇るウォーホースの馬車だ。普通なら数日かけて移動する距離をニ時間ほどで踏破してしまうのだから……あれ? 速くなってね?

 それだけスピードを出せるのはウォーホースのおかげもあるが、馬車の性能があってのものだろう。普通の馬車ならこんなに早く走らせられない。車に近いショック吸収システムを搭載している無駄にハイスペックな馬車なのだ。それに回転軸には召喚したたベアリングを使っているため軸の回転もスムーズだ。

 さて、さくっとハリアーの家族を助けてから戦争の準備をするか。ちなみに捕らえた十一人も運んできた。こいつらが帰らないと戦争にすらない可能性があったので、仕方がなく連れてきたのだ。といっても半殺しにして今にも死にそうな状態だけどな。ついでに手紙も添えてある。

『俺の街で剣を抜いて人を殺そうとしたので半殺しにした。文句があるならかかってこい。グレッグ領主 シュウ・カザマ』

 と、あえて挑発するようなことを書いておいた。

 こいつらを解放する前に助けに行かないとな、どうも脱線してしまうな。マップ先生をみながらライムと協力して地下通路を作成する。母子のいる地下室までの直通だ。作った瞬間にハリアーは駆け出していた。俺たちはのんびりと歩いて追いかけていると地下室に近い辺りで、ハリアー一家にであった。

 どうやら俺の事を話して連れ出してきたようで、頭を下げられお礼を言われた。生まれたばかりだと聞いていたが、本当に生まれたばかりなのだろう、生後一からニヶ月ってところだろうか? 生まれてすぐに引き離されてグレッグに連れてこられたのだろう。妻から子供を受け取って愛おしそうに抱いていた。

 特に問題があるわけもなく一家の救出がされた。馬車に戻って地下通路を塞いでからとらえた兵士を、適当に放置してからグレッグの家に帰ることになった。

 ただ帰る途中で巡回の兵士一団とすれ違った際にあまりにも速く走る馬車を不審に思って止められてしまった。その際にシュリ・ピーチ・ライムを見つけた兵士たちが差し出せと急に襲ってきたため、全員殺して焼いてうめておいた。

 バレなければいいとでも思ってるのだろうか? 巡回している兵士がよもや盗賊と変わらない行為にでるとは、もしかしてこの国の兵士も聖国と一緒で犯罪の称号の多い人間が多いのか? そう考えると三大国の王国はまだまともな方だった? 国王は最低だったけどな。

 まぁいなくなった兵士たちは俺たちに殺されたと判断されるだろうな。何せ半殺しの兵士たちをギャロップの近くに放置してきたからな、そいつらの証言から俺たちが殺したと思われるんだろう。

 そういえば、この世界って異世界転移や転生物の小説にくらべると、盗賊の類って少ない気がするな。真実の瞳のおかげで城壁に囲まれた街の中で生活もできないし、森の中で生活するにも魔物がいつ攻めてくるかわからない。

 人が少ないところだと、盗賊として生活できないし、人が多いところだと冒険者の出入りも活発だから危険が増える。だから少ないのかな? でも、ある程度強い人間が集まれば森の中も危険じゃなくなるんだよな。森の中はあまり掌握してないから、どれだけいるかわからないけどな。

 ハリアー一家とは別の馬車なのでどういった会話がされているかわからないが、多分幸せをかみしめているんだろうな。俺なら妻たちの誰かが拐われたら世界を敵に回しても救い出そうとするだろうな。でもそれって、俺に力があるからだよな。守り切れなかったハリアーはきっと悔しい思いをしていたんだろうな、よかったな。

 グレッグに到着するとそのまま家に一家を連れて行く。母子は栄養状態が良くなかったようで若干衰弱していたのだ。母が満足いくだけの食事をもらえてなかったのだろう、子供に十分な母乳を与えられずに衰弱していたに違いない。そう考えると三男とそれに協力した奴らを生かしていたことが悔やまれるな、戦場に出てきたら問答無用で斬り殺してやろう。

 なのでまず赤ちゃんには、母乳ではなくブラウニーたちが準備した栄養満点の乳を飲ませている。満腹になった赤ちゃんは、満足そうにベッドで寝ている。赤ちゃんが満足すると母親も安心したようで、自分も食事を食べ始めた。

 よく考えるともうニ十一時を回ってるんだよな。俺たちもお腹がすいていたので食事を食べる。今日は妻たちが中心になって作った夕食だ。俺の好物を中心に作ってくれていたのだ。いつもはシルキーたちが栄養バランスを考えて美味しい物を作ってくれているが、今日は俺の好きなものを中心に栄養のいいものを準備してくれている。

 全員にキスをした……けど、お風呂に入ってなかったので三幼女には汗臭いって言われちゃった。もし娘ができてパパ嫌いとか言われたら、こんな気持ちになるのだろうか?

 とりあえず、ハリアー一家にはのんびり休んでもらおう、この後どうするかは明日ゆっくり決めてもらおう。ある程度の支援はするけど後は自分で頑張ってもらわないとな。ハリアーは戦闘力は問題ないから兵士でも冒険者でも何とかなるだろう。
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