ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
249 / 2,518

第249話 採れたて新鮮

しおりを挟む
 休息日が終わって日常に戻ってきた。特に何があったわけでもないが、農家から報告があがってきているようだ。

 ワームが耕して精霊たちの祝福がある畑では、野菜の成長速度がやはり早いようだ。わかっていた事だが様々な物の成長速度が三から四倍に早くなっているようだ。味は普通に育ったものよりも美味しく栄養価も高いという、なんたるチート食材だ。

 ただ育てるには普通に育てるより手間がかかるようだとのこと。速く育つという事は、それだけ手間がかかってしまうらしい。

 三ヶ月で育つ野菜が一ヶ月で育つとすると。三ヶ月でかかる手間が一ヶ月に凝縮するため、手間も三倍かかるようになるとの事だ。初めの頃はその手間の圧縮がわからなかったため、普通に美味しい野菜になっただけだ。

 その手間が分かるようになってきてからは、品質が上がったとの事だった。前に比べて食事が美味しくなったのは、料理人の腕もあるが野菜自体の味が美味しくなったからだろう。色々な問題があるが、充実した日々を過ごせているようだ。これからも美味しい野菜やお米をよろしく頼むのだよ。

 そうだ! 今日は農業でもしようか!

「今日は久しぶりに畑に行こう! 最近畑の方に足を運んでない気がするから今日は畑に行くぞ! ってことで、シルキーたちにお昼のお弁当お願いしとこう。動きやすい格好に着替えて、水分補給用の水筒も準備しておこう。汗かくからスポーツドリンクみたいなのにしておこうか」

 個人的にポカ〇スエットよりアク〇リアスが好きなので、そっちを召喚して大型の水筒、五リットルサイズのキーパーに入れていく。もちろん氷も入れてキンキンに冷やすよ!

 もちろん他にも麦茶や普通の水に俺の好きなミルクティーも! 冷たいのばかりだとあれなので、ほうじ茶も用意しておく。後はお湯を沸かせるように魔導コンロ(コンパクトタイプ)も持っていく。

「他に必要なものはあるかな?」

「ぱっと思い浮かぶものは無いの! どうしても必要ならとりに来ればいいと思うの! みんなの収納の腕輪にも色々入っているんだからきっと大丈夫!」

「それもそっか! どうしても必要なら召喚してもいいしね! さすがに頼んですぐじゃ、お弁当もできてないよな。畑に運んでもらうか?」

「了解しましたご主人様!」

 急に声がした方を見ると、スカーレットが扉から入ってきており返事をしたようだ。

「さすがに直ぐは作れないので、どうしようか相談しに来ました。畑の方にお持ちすればいいのであれば、少し手の込んだものも作れますので期待しておいてください! 後、畑を管理しているドリアードにいっていい野菜を準備させておきますね」

「スカーレット助かるよ。じゃぁみんなの着替えも終わったし畑に出発しよう!」

 そうすると近くにいた三幼女は元気な声で「おーっ」と返事をしてくれた。こういう風に乗ってくれるからこの三人は好きなんだよな。

 よし、なでてやろう! 強めになでると、三人そろって「髪が乱れるからやめてー」というが、嬉しそうに手に頭をこすりつけてくるのだ。可愛いのう……はっ!? 俺はロリコンじゃないぞ!

 久々に来た畑は、すごかった。植えられている範囲は恐らく一割にも満たないが、どこもかしこも豊作の様だ。近くにいたネルのお父さんであるジミーに声をかける。

「シュウ様、畑に何か御用ですか? それと、ネルはしっかりやっていますか?」

「今日はみんなで畑の様子を見に来ただけだよ。調子はどうかなってね。ネルはしっかり働いてますよ。こんな小さい娘を働かせるのはどうかと思いますが、本人の希望ですしね」

「そんなことはありません。奴隷となれば自由などない身でしたのに、こんないい待遇で働かせてもらえて、自分たちを買い戻すこともできたのです。それにネリムに子供ができたんです。シュウ様にかっていただかなければ私たちは離れ離れになって、子供をつくろうとも思わなかったと思います」

「え? おめでとうございます! ネルに弟か妹ができるみたいだね。おねーちゃんになるんだよ! よかったな」

 娘たちも一緒に喜んでくれている。ネルは隣にいたネリムに抱き着いて「おめでとう」と言っていた。今度赤ちゃん用の何かをプレゼントしようか。この街でも何組か出産をしているんだったな。そういえば医者とかどうしてるんだろ?

「そういえば、医者ってどうなってるんだっけ?」

「それでしたら、ヴローツマインから経験の長いお医者さんが数名来てますよ。確か医者になって三、四〇〇年とか言ってましたね。さすがドワーフというべきでしょうか。それに見た目はネルより少し大きいくらいの女の子たちなのにね、長寿の種族ってすごいですね。

 回復魔法も得意なようで街の皆さん安心して産んでますよ。それに病院ですがすごい設備ですよ。シュウ様には本当に感謝しています」

 ん? 俺、病院なんて作った覚えないぞ? 誰かが作ったのかな? ん? 服を引っ張られてるけど誰だ?

「ご主人様、グリエルさんから病院を設置してほしいという事で、アクア様とメイ様に相談してこの世界基準で最高の施設を準備しています。人材はリンドさんにお願いして呼び寄せました。一応病院で働いてくださっている方たちには、色々な研究をできるようにしてほしいとの事で、街から研究費が出ています」

 まじか~俺の知らない所で色々進んでるんだな。グリエルたちマジ優秀だな。ちらっとリンドの方を見たら、ドヤ顔でこっちを見ている。なんか、こう、イラっとする。見た目が子供だけに可愛いんだけど、歳が何百歳なんだよ? なんか違うんだよ! あ、痛いです。リンドさんごめんなさい……

 最近、なんか俺の考えていることがみんなにばれてる気がするんだよね。なんでかな?

 ジミーに畑の様子を聞いて、どんなふうに育てているかを聞いた。やっぱり特別な事は何もしておらず、普通に育てているようだ。ドリアードたちの指導は適切に育てるのには適しているが、変わり種を育てるには違うんだよな。という事なので、日本の手の込んだ野菜たちを再現してみよう。

「成功するかわからないけど、ちょっと変わった作り方をしたいんだ。ジミーたちに協力してもらっていいかな? ドリアードにも水や土の精霊にも協力してもらう予定だから、気を張らなくていいよ。まずはビニールハウスを建てようか」

 みんなにビニールハウスの説明をして、とりあえず二個建てている。

「ここで育ててもらうのは、水ナスとトマトです! 水の管理や土の管理が大事になってくるので、そこらへんはドリアードたちと一緒に説明するね」

 水ナスは、水をあげすぎてもやらな過ぎてもだめで、加減が難しいようなのだ。そこらへんはドリアードの勘に任せよう。他にも土を工夫しなきゃいけないそうだが、細かいことまではわからないのでそこらへんもドリアードと土の精霊に任せよう。

 トマトは、水分を制限することによって甘みが強くなるのだ。ただ制限すればいいだけではなく程よくやらなくてはいけないらしい。

 そうすると普通のトマトでも、糖度の高いフルーツトマトができるそうだ。ここらへんの調整は、ドリアードにお願いしておこう。話だと植物の声が聞こえるらしいからね、加減は間違わないと思う。

 色々話していると、シルキーたちが食事を持ってきてくれた。その場で準備を始める。バーべキューコンロまで取り出して何をするかと思えば、とったばかりの野菜たちを少し切って焼き始めた。

 キャベツやニンジン、タマネギなどを焼き始めた。味付けは塩コショウのみのシンプルなものだった。他にもソラマメを皮のまま焼いたり、ナスを縦に半分に切って焼いた焼きナスに田楽みそやポン酢、タレ、様ざまな食べ方を準備してくれた。

 とれたて新鮮な野菜は本当に美味い! なるほど、ドリアードに野菜を準備させてたのはこのためだったのか。美味しい食べ方を本当によく知ってるものだ。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...