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第222話 フェピーとばっちりを受けて涙目
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獣人の冒険者三人をディストピアに連れてきて二週間。みんなの話では大分落ち着いたようだ。死んだ方がいいと思うような四ヶ月間だったらしいが、何とかもちこたえたらしい。
昨日はディストピアの街を見て回ったそうだ。獣人も多く安心しているようだったと聞いている。ここにいる奴隷たちの扱いもしっかりしているそうだ。まだ自分を買い戻せた人はいないが、後一年もすれば買い戻せるようになる人が多数いることも話したらしい。
ただ自分たちは自分の意思で、俺の奴隷を続けているという情報まで伝えていた。
次の日にジャルジャンの冒険者ギルドからの連絡が来た。話し合いたいことがあるから来てほしい、と使者の人間が言ったそうだ。ん~マップ先生を見る限りではシングル以上の冒険者はいなそうだが、罠の線も捨てきれないよな。
そもそも何で俺が行かなきゃいけないんだ? こっちに来てもらえば解決するな。グリエルやガリア、老ドワーフなどにも相談した所それがいいという事になった。もしとらえる気があるのなら、ディストピアへは来れないだろうとの判断もあり、ジャルジャンへ使いを出すことにした。
二日後にジャルジャンの冒険者ギルドのマスターがディストピアへ訪問してきた。さすがに街の中へ入れるわけにはいかないので、砦内に作った特別応対室へ来てもらい、俺の護衛にピーチ・シュリ・アリス・ライム・レイリーの五人が付いた。
一緒に獣人の冒険者たちにもついてきてもらい、こちらは獣人の娘たちに付き添ってもらっている。
「シュウ殿、今日は返答させていただきたくまいった。冒険者ギルドとしては、どちらが事実かわからないため静観を貫くことにしました。王国の意思に従う事もシュウ殿を優遇する事もない。当人同士の問題だという結論に至った。なので、シュウ殿には今まで通り冒険者ギルドで依頼を受けてもらって構わない」
静観ね。当人同士の問題って俺たちの方が圧倒的に不利じゃねえか。
「敵でも味方でもないってことですかね? フレデリクのギルドマスターが王国の圧力に屈して、俺に鉱山の指名依頼を出したのが事の発端だと思うのですが、そこらへんはどうなんですか?
それに鉱山の崩落を整備して中の人間を助けた報酬もらってませんよ、その報酬は払ってくださるんですか? ケープマインのギルド職員が依頼達成を証明してくれるはずなんですが」
「冒険者ギルドは、冒険者の味方だよ。ただ今回はどっちが正しいか判断できないので、静観することにしただけだよ。そもそも鉱山の指名依頼が本当にあったのか、証拠がないんだよ。だから報酬はでない」
「それって全然味方じゃねえじゃん、守ってくれてないし。そもそも指名依頼があった証拠がねえってなんだよ。バカにしてんのか?」
「私たちが聞いているのは、鉱山の人為的崩落による国への反逆行為、フレデリクの街の門の破壊と住人の殺害だ。そもそも依頼などなくあなたたちが崩落させて、フレデリクの街の門を壊して混乱に陥れたっていうのが王国の言い分だ」
「いやさ、だからあんたたちが指名依頼があった事を、証明してくれるんじゃないのか? それが冒険者への義理ってもんだろ? フレデリクのギルドマスターは、知っているはずだが何で証明できない?」
「そのギルドマスターが病死して、証拠が何もないんだから証明ができないんだ。そもそも君が嘘をついている可能性だってあるんだ、そこを静観することにしたんだ。王国側につかなかっただけでも、感謝してもらいたいものだよ」
「恩着せがましいな。わかったよ、お前らが俺を守るつもりがないってことがな。そのまんま俺の邪魔せずに静観してろ! お前らに期待することはなんもねえよ!」
「こっちは王国と戦争になる可能性すらあるのに。まぁいい、シングル冒険者の三名を引き渡してほしい」
「はぁ? 引き渡してほしいってバカじゃねえの? 一応言っておくがあの戦場で手に入れた、正当な報酬だぞ? 何の見返りもなしに引き渡せっておかしいんじゃねえのか?」
「そもそも冒険者ギルドに登録されている人間だ。冒険者の君がなぜそれを拒む?」
「なんか頭おかしくなりそう。俺が冒険者でも守ってくれないのに、こういった時ばっか冒険者の責務を果たせ的なやつか? 言葉は悪いが今は俺の物だ。そもそもお前らの不手際で奴隷落ちさせた三人を、引き渡せっておかしいだろ。話にならん帰れ!」
「三人を引き渡してくれたら帰る」
「一応本人たちに聞いてみるか。ライラ、三人を連れてきてくれ」
しばらくすると、四人が部屋の中へ入ってくる。
「おぉよかった! 無事だったか。さぁジャルジャンで保護するから一緒に帰ろう」
「近寄んな! で、君たちはジャルジャンの冒険者ギルドで保護を受けたいかい?」
三人とも声を出さずに首を振っていた。
「だそうだ。そりゃそうだよな。守ってもくれないギルドに帰りたくなんてないよな。ちなみに俺たちの会話は、この娘たちも聞いてたからな。俺たちに対するギルドのやり方を聞いていたら、帰りたいとは思わないよな。しかも一回だまされているわけだし。そいつらが処罰されたとはいえ俺だったら帰りたいとは思わんな」
「君たちはシングルの冒険者だ。私たち冒険者ギルドの大切な戦力なんだよ。そのために高ランクの冒険者は優遇されているんだ。わかるだろ?」
「何が優遇されているよ! 何がわかるだろよ! 私たちが四ヶ月もの間どれだけ苦しんだかもわからないくせに! 優遇されているなら何で助けてくれなかったの! 何でだましたの! 何も守ってくれていないじゃない! 冒険者ギルドは誰にでも開かれているっていうのに、獣人ってだけでギルドの職員だって風当たりが強かったし、罵倒だってされたわ! 何も優遇なんて受けてないわ! 冒険者なんて辞めてやる!」
「という事らしいです。もう冒険者ではないので、ギルドもこれ以上関与できないですよね? さあ帰ってください」
「後悔することになるぞ……」
「静観を貫くって言ったのに方針を変えるわけですか、まぁどっちでもいいです。あなたがジャルジャンに到着したら、ジャルジャン側の地下通路は塞がせてもらいます。フェピーには俺から今さっきの会話を録音したものと一緒に報告しておきますので」
「何を言っている! 何故ディストピアとの通路をつぶす話になっている!」
「だから言ったじゃないですか。俺が作った街で俺が作った通路なんですから、そのくらいの権限はありますよ。
それにディストピアは外部と交流しなくても独立して生活できますからね。多分ですがヴローツマインの竜騎士たちも引き上げるので、リブロフの警備頑張ってね。中立都市同盟からも除名するようにお願いしておくから、全部君のせいだという事になるからね」
「はぁ? なぜ同盟から除名される話になる! ふざけるな!」
「ふざけてないよ。だって俺、グレッグの領主でもあるんだから、当たり前にお願いするくらいの権利はあるよ。ちなみにヴローツマインの重鎮がディストピアにいるしな。まぁヴローツマインがジャルジャンをとるならヴローツマインの地下通路も消さないといけなくなるけどな。おそらくそれはないだろう。
ということで邪魔だからさっさと帰れ。これからジャルジャン側の商人も誰かさんのせいで帰ってもらわないといけないからな、あーあかわいそうに」
何かを言っていたが無視して部屋を出る。フェピーに報告するか。直接行かないといけないし、ミリーに頼んでワイバーンで飛んでくか? ワイバーンの準備をしてもらっている間に、砦のなかの商人たちに放送を聞かせ退場を願う。
リンドにも報告してリンド経由でヴローツマインに報告してもらう。ヴローツマインのダンジョンは、俺が制御してるからジャルジャンに傾くことはまずないだろう。もし傾くなら、ドワーフの大半がディストピアに押しかけてくることになるだろうけどな。
ワイバーンに乗ってジャルジャンについたのが、話し合いが終わってから約二時間三十分後。録音したものを聞かせ、今回の対応を通告すると涙目になっていた。
ギルドマスターが余りにも愚鈍だったので、俺は意図的に冒険者ギルドと俺の話を、ジャルジャンとディストピアの話にすり替えて、今回の事を話していたのだ。巻き込まれたジャルジャンの人たちは、かわいそうだけどな。
まぁ俺もそこまで鬼ではないので、この後の対処次第では再び同盟に戻れてディストピアとの交流もできると伝えておいた。地下通路がなくなれば連絡が取れなくなるので、この世界でも売っている通信機をフェピーに渡しておいた。対応が決まったら連絡するようにと。
冒険者ギルドの総意なのかをはっきりするためにここまで強く出たのだ。総意ならおそらくジャルジャンから冒険者ギルドがなくなるだろう。総意でなければ違う人間がマスターになるのでは? と考えている。どっちにしてもあのマスターはもういらん。
獣人の元冒険者にはしばらく休んでもらって、自分たちのしたいようにしてもらおう。後、首輪は外しておかないとな。
昨日はディストピアの街を見て回ったそうだ。獣人も多く安心しているようだったと聞いている。ここにいる奴隷たちの扱いもしっかりしているそうだ。まだ自分を買い戻せた人はいないが、後一年もすれば買い戻せるようになる人が多数いることも話したらしい。
ただ自分たちは自分の意思で、俺の奴隷を続けているという情報まで伝えていた。
次の日にジャルジャンの冒険者ギルドからの連絡が来た。話し合いたいことがあるから来てほしい、と使者の人間が言ったそうだ。ん~マップ先生を見る限りではシングル以上の冒険者はいなそうだが、罠の線も捨てきれないよな。
そもそも何で俺が行かなきゃいけないんだ? こっちに来てもらえば解決するな。グリエルやガリア、老ドワーフなどにも相談した所それがいいという事になった。もしとらえる気があるのなら、ディストピアへは来れないだろうとの判断もあり、ジャルジャンへ使いを出すことにした。
二日後にジャルジャンの冒険者ギルドのマスターがディストピアへ訪問してきた。さすがに街の中へ入れるわけにはいかないので、砦内に作った特別応対室へ来てもらい、俺の護衛にピーチ・シュリ・アリス・ライム・レイリーの五人が付いた。
一緒に獣人の冒険者たちにもついてきてもらい、こちらは獣人の娘たちに付き添ってもらっている。
「シュウ殿、今日は返答させていただきたくまいった。冒険者ギルドとしては、どちらが事実かわからないため静観を貫くことにしました。王国の意思に従う事もシュウ殿を優遇する事もない。当人同士の問題だという結論に至った。なので、シュウ殿には今まで通り冒険者ギルドで依頼を受けてもらって構わない」
静観ね。当人同士の問題って俺たちの方が圧倒的に不利じゃねえか。
「敵でも味方でもないってことですかね? フレデリクのギルドマスターが王国の圧力に屈して、俺に鉱山の指名依頼を出したのが事の発端だと思うのですが、そこらへんはどうなんですか?
それに鉱山の崩落を整備して中の人間を助けた報酬もらってませんよ、その報酬は払ってくださるんですか? ケープマインのギルド職員が依頼達成を証明してくれるはずなんですが」
「冒険者ギルドは、冒険者の味方だよ。ただ今回はどっちが正しいか判断できないので、静観することにしただけだよ。そもそも鉱山の指名依頼が本当にあったのか、証拠がないんだよ。だから報酬はでない」
「それって全然味方じゃねえじゃん、守ってくれてないし。そもそも指名依頼があった証拠がねえってなんだよ。バカにしてんのか?」
「私たちが聞いているのは、鉱山の人為的崩落による国への反逆行為、フレデリクの街の門の破壊と住人の殺害だ。そもそも依頼などなくあなたたちが崩落させて、フレデリクの街の門を壊して混乱に陥れたっていうのが王国の言い分だ」
「いやさ、だからあんたたちが指名依頼があった事を、証明してくれるんじゃないのか? それが冒険者への義理ってもんだろ? フレデリクのギルドマスターは、知っているはずだが何で証明できない?」
「そのギルドマスターが病死して、証拠が何もないんだから証明ができないんだ。そもそも君が嘘をついている可能性だってあるんだ、そこを静観することにしたんだ。王国側につかなかっただけでも、感謝してもらいたいものだよ」
「恩着せがましいな。わかったよ、お前らが俺を守るつもりがないってことがな。そのまんま俺の邪魔せずに静観してろ! お前らに期待することはなんもねえよ!」
「こっちは王国と戦争になる可能性すらあるのに。まぁいい、シングル冒険者の三名を引き渡してほしい」
「はぁ? 引き渡してほしいってバカじゃねえの? 一応言っておくがあの戦場で手に入れた、正当な報酬だぞ? 何の見返りもなしに引き渡せっておかしいんじゃねえのか?」
「そもそも冒険者ギルドに登録されている人間だ。冒険者の君がなぜそれを拒む?」
「なんか頭おかしくなりそう。俺が冒険者でも守ってくれないのに、こういった時ばっか冒険者の責務を果たせ的なやつか? 言葉は悪いが今は俺の物だ。そもそもお前らの不手際で奴隷落ちさせた三人を、引き渡せっておかしいだろ。話にならん帰れ!」
「三人を引き渡してくれたら帰る」
「一応本人たちに聞いてみるか。ライラ、三人を連れてきてくれ」
しばらくすると、四人が部屋の中へ入ってくる。
「おぉよかった! 無事だったか。さぁジャルジャンで保護するから一緒に帰ろう」
「近寄んな! で、君たちはジャルジャンの冒険者ギルドで保護を受けたいかい?」
三人とも声を出さずに首を振っていた。
「だそうだ。そりゃそうだよな。守ってもくれないギルドに帰りたくなんてないよな。ちなみに俺たちの会話は、この娘たちも聞いてたからな。俺たちに対するギルドのやり方を聞いていたら、帰りたいとは思わないよな。しかも一回だまされているわけだし。そいつらが処罰されたとはいえ俺だったら帰りたいとは思わんな」
「君たちはシングルの冒険者だ。私たち冒険者ギルドの大切な戦力なんだよ。そのために高ランクの冒険者は優遇されているんだ。わかるだろ?」
「何が優遇されているよ! 何がわかるだろよ! 私たちが四ヶ月もの間どれだけ苦しんだかもわからないくせに! 優遇されているなら何で助けてくれなかったの! 何でだましたの! 何も守ってくれていないじゃない! 冒険者ギルドは誰にでも開かれているっていうのに、獣人ってだけでギルドの職員だって風当たりが強かったし、罵倒だってされたわ! 何も優遇なんて受けてないわ! 冒険者なんて辞めてやる!」
「という事らしいです。もう冒険者ではないので、ギルドもこれ以上関与できないですよね? さあ帰ってください」
「後悔することになるぞ……」
「静観を貫くって言ったのに方針を変えるわけですか、まぁどっちでもいいです。あなたがジャルジャンに到着したら、ジャルジャン側の地下通路は塞がせてもらいます。フェピーには俺から今さっきの会話を録音したものと一緒に報告しておきますので」
「何を言っている! 何故ディストピアとの通路をつぶす話になっている!」
「だから言ったじゃないですか。俺が作った街で俺が作った通路なんですから、そのくらいの権限はありますよ。
それにディストピアは外部と交流しなくても独立して生活できますからね。多分ですがヴローツマインの竜騎士たちも引き上げるので、リブロフの警備頑張ってね。中立都市同盟からも除名するようにお願いしておくから、全部君のせいだという事になるからね」
「はぁ? なぜ同盟から除名される話になる! ふざけるな!」
「ふざけてないよ。だって俺、グレッグの領主でもあるんだから、当たり前にお願いするくらいの権利はあるよ。ちなみにヴローツマインの重鎮がディストピアにいるしな。まぁヴローツマインがジャルジャンをとるならヴローツマインの地下通路も消さないといけなくなるけどな。おそらくそれはないだろう。
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リンドにも報告してリンド経由でヴローツマインに報告してもらう。ヴローツマインのダンジョンは、俺が制御してるからジャルジャンに傾くことはまずないだろう。もし傾くなら、ドワーフの大半がディストピアに押しかけてくることになるだろうけどな。
ワイバーンに乗ってジャルジャンについたのが、話し合いが終わってから約二時間三十分後。録音したものを聞かせ、今回の対応を通告すると涙目になっていた。
ギルドマスターが余りにも愚鈍だったので、俺は意図的に冒険者ギルドと俺の話を、ジャルジャンとディストピアの話にすり替えて、今回の事を話していたのだ。巻き込まれたジャルジャンの人たちは、かわいそうだけどな。
まぁ俺もそこまで鬼ではないので、この後の対処次第では再び同盟に戻れてディストピアとの交流もできると伝えておいた。地下通路がなくなれば連絡が取れなくなるので、この世界でも売っている通信機をフェピーに渡しておいた。対応が決まったら連絡するようにと。
冒険者ギルドの総意なのかをはっきりするためにここまで強く出たのだ。総意ならおそらくジャルジャンから冒険者ギルドがなくなるだろう。総意でなければ違う人間がマスターになるのでは? と考えている。どっちにしてもあのマスターはもういらん。
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