ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
166 / 2,518

第166話 変わらぬ日々にもどった

しおりを挟む
 宴会が朝に終わった。俺の肉体言語で語り合った人数は三十人にもおよんだ。いつも過保護になりがちな娘たちだが、酒の場であったり単なる俺へのやっかみで絡んでいたため、娘たちのフィルターに引っかかるものは少なかったようだ。

 でも、中にはガチでボコボコにしようととしていた不届き者がいたらしく、娘たちに引きずられて強制退場させられていた。それにしてもどうやって感知しているのだろう? シックスセンスでも持っているのだろうか?

 リンドが奴隷になり、俺がダンジョンマスターだと知っているため、時を見て色々な情報を開示していこう。

 さしあたってまずしなければいけないことは、ディストピアとヴローツマインの貿易に使う地下通路入口の旧鍛冶ギルド、俺の家ヴローツマイン出張所の扱いについてだ。

 リンドに許可をもらい通した地下通路だが、ダリアにもしっかり許可を取らないとな。と思い移動を開始しようとしたところ、ダリアはもう知っていて問題ないとのことだった。

 じゃぁ後しなきゃいけない事は、セキュリティー面だよな。ヴローツマインでも一部の人間にしか教えないつもりだが、いずればれるだろう。

 そうなればこの町にいる他国の人間に、ディストピアへ行こうとたくらむやつが出てくるだろう。そうなれば実力行使で通路に入ってくる人間がいるかもしれない。それに対応できるようにしておかないとな。

 一階はギルドのロビーだったので、かなりひらけているのだ。以前は一階に地下通路の入口を作っていたが、セキュリティーを考えると絶対にしてはいけないだろう。なので一階は予定してたように飲食できる店にしよう。

 貸し出しをしようと考えたが、あのキッチンを貸し出すのは拙いので、他にもキッチン……調理場をいくつか作りフードコートのような形にしようと考えた。土地も広いので屋根だけつけたオープンテラス方式にすれば、客席は稼げるしな。おっと、二階より上の部分の防音設備をしっかりしておかないとな。

 じゃぁ入口はどこに作るかといえば、軍の駐屯地に新たに厳重な建物を建て入口を監視する場所を作るとのことだ。

 内部構造は、いったん二階に上がって荷物などを検査する場所を通って、地下通路に行く道を作るようだ。地下にも広い空間を作りディストピア側の人間の検問所を設ける予定だ。俺たちにしか利用できない裏道も準備する予定だ。

 ディストピア側にも同じような仕組みの建物を準備してある。こっちはDPで全部作ったからか、建物型のダンジョン扱いになっていた……城壁につけた兵舎は、ダンジョンにならなかったのになんでだろう?

 数日で色々と計画が進んでいく、特に軍の駐屯地に作っている。便宜上【検問所】と呼ぼう。

 検問所の建設ペースが異様なのだ。日本で重機を使った建築より全然早いのだ。実力行使で来た時のために、石材で外装を作り砦のような堅牢さの建物が三日で形になっていたのだ。

 内装はあまり進んでいなかったがその理由が鉄板を内側に打ち付けていたから遅れているようだった。建築的に問題ないのかと思わなくもなかったが、ドワーフの工匠達が作っているのだ、万が一にも間違いはないのだろう。

 地上をドワーフの工匠達に任せている間、俺は地下の整備を行っていた。ヴローツマインの軍駐屯地にかなりのサイズの建物を作ってしまったため、兵士たちの訓練場所がなくなってしまったのだ。

 軍の人間には強くいてもらわないといけないとリンドが主張し、俺も娘たちの誰も反対しなかったので、ダンマスのスキルでかなり広い地下室、訓練所を作成した。

 リンドもダンジョンで訓練をするとスキルのLvが上がりやすい事や、成長速度が速い事を知っていたが、ヴローツマインでも知っているのは一部だけらしいので、問題にはならないだろうとのことだ。

 地下通路に入るための順路として

 軍の駐屯地⇒検問所の入口⇒一階から二階⇒検問所の兵士による検問⇒二階から地下へ⇒兵士の訓練所⇒ディストピア側の検問が用意されている。これらすべて越えないと地下通路に入ることができないようになっているのだ。

 これだけ厳重にしたのにはディストピアに地下通路を使って招かざる客を入れさせないためもあるが、それだけディストピアの価値があると判断されているからだ。

 まぁしばらくは、リンドに選んでもらった物を俺たちの馬車で運んで、検問所の入口で販売する形にする予定だ。この案は、ダリアから提案されそのまま採用した。この検問所が使われるようになるのは年単位で時間はかかるだろうけど。

 俺が地下の整備をしてた間にリンドは、飲んだくれの老ドワーフたちを集めたり、近くの中立都市の奴隷を買い集めていた。奴隷といっても知識奴隷ではなく、農奴や戦奴などの知識が高くない者を購入して、知識の高いものは買っていなかった。そういう奴隷の中にはスパイがいることがあるらしい。

 集まった老ドワーフたちは、俺の家の一階部分のフードコートに入り浸っている。理由は簡単、うまい飯とうまい酒が出てくるからだ。人手が足りなかったのでディストピアにいたブラウニーたちに慌てて援軍に来てもらった。

 俺の護衛は基本的に幼女三人組だ。この三人が選ばれたのは、この子たちが近くにいれば無茶をしないという理由からだ。くそ、よくわかってるな。シュリとかが護衛ならガンガン進んでいくんだけど、この子たちと一緒じゃ無茶はできん。するつもりもないけど、護衛というよりは監視の意味合いだな。

 地下の整備が終わってすることが無かったので、街の見学に出ている。ドワーフが多いせいかソーセージや内臓系の煮込み、筋の煮込み等の酒に合いそうな屋台がすこぶる多い。

 基本的には俺の好みの味が多い、特にソーセージの味は絶品だった。シルキーたちの作るソーセージより美味かった。俺の知らない技法で作られてるのだろう、って俺ソーセージの作り方知らなかった!

 シルキーたちが本で覚えた作り方では、本場の作り方には勝てなかったのだろう。他にも、調味料や香辛料の違いもあるのかな? という事で、シルキーたちへのお土産として色々なソーセージを大量に買い込んだ。

 鍛冶屋も多く様々な武器があった。中には連接剣なんて言うファンタジー武器もあった。でもさすがに鍛冶場までは見学させてくれる人はいなかった。

 でも、当たり前のような顔をしているカエデを見つけた。技術を盗んでいるようで、後で俺も教えてもらおう。これも運がいいからなのかな?なんてことを考えながら幼女三人組と街見学をつづけた。

 リンドの気の迷いといわれる日から、二週間が過ぎるころには検問所も完成していた。ヴローツマインはリンドと老ドワーフたちがいなくなったこと以外に特に変わった事もなく時が過ぎていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...