ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
101 / 2,518

第101話 フレデリクの街の改革

しおりを挟む
 みんなに五日間、便座の作成の修行をしてもらった。俺が初めにお手本を見せてからやってもらったためか、特に問題なく修行が進んでいた。

 もともと魔法を使っていた、ピーチ・キリエ・アリス・レミー・ジュリエット・ライム・イリアの七人は、この数日で実用に耐えうるレベルのものを作成できるようになっていた。二十二人いうち七人か。

 三分の一のメンバーが作れるようになった。三人一組にして作らせれば、それなりの数のトイレを作れるかな? 余った一人とレイリーを護衛につければ、俺が外出するのも問題ないだろう。

 まぁ、その前に地下の空洞を作ってかないといけないんだよな、がんばろう。

 地下への入り口は一ヵ所にするべきだろう。となると、どこに入口を作るかが問題になってくるな。きちんと管理してくれる場所に任せられるならそれがいいんだよな。

 貴族に任せたら何するかわからんからな、フレデリクとリーファスはスライムに任せる予定だから、色々な証拠隠滅に使われる可能性だってあるかもしれない。小説とかの貴族の事を考えれば、ありうる話だ。

 となると、管理がしっかりしている場所となれば、やっぱりギルドだろうな。スライムが増えすぎたら処理してもらわないといけないから、冒険者ギルドがベストかな?

 入口は誰でも入れる場所に作ると勝手に入って、経験値にする馬鹿どもがいる可能性があるので、ギルドの職員と一緒に入るクエストを定期的してもらう必要があるな。もちろん街の管理の一部なので、メルビン男爵もちでやらせる。

 スライム自体は弱い魔物なので、ランクの低い冒険者の経験値にもなって安く雇えるので経済的だろう。冒険者ギルドの職員は、全員それなりの戦闘力があるので、ランクの低い冒険者には安全に経験値を稼げる場所になるかな? うむ、我ながら良い考えだわるくない!

 そうと決まれば冒険者ギルドのマスターに話を通しに行こう。今日の護衛は、キリエ・リリー・チェルシー・ジュリエットの年中組の四名だ。街中の移動だけなのに、過剰な戦力じゃないだろうか? なんてぽろっと口にいたら、キリエに大目玉をくらってしまった。

 それによって三十分も出発が遅れてしまった。怒られた内容は何ともむず痒くなる物だった。だって、私たちにとって、ご主人様が如何に大切な存在か。その大切なご主人様に傷でも負わせようモノなら、他の娘たちに何をされるか……仲は大丈夫なのか?

 そしてご主人様に何かあれば、私たち全員が命尽きるまで元凶を追い回して、報いを受けさせてから後を追います! と言われてしまえば、気持ちが重い以上にむず痒くなってしまう。下手なことは口にできないぞ。

 そんなこんなで、三十分遅れて出発したが無事に冒険者ギルドに到着する。

「ミリーさん、こんにちわ。ちょっと相談したいことがあるのですが、ギルドマスターはお手すきですか?」

「あ、シュウ君。マスターですか? 今日は特に予定はなかったはずなので、奥で事務処理をしてると思います、見てきますね」

 ミリーさんの言った通り、特に忙しい様子がなかったようで、ギルドマスターに連れられて部屋へ移動する。

「えっと、シュウ君。ミリーから聞きました、が何やら相談があると……どう言った内容でしょうか?」

「さくっと要件に入りましたね。えっと相談というか協力していただきたい事がありまして。それは、冒険者ギルドの管理下にある場所から地下への入り口を作りたいんです。衛生面をよくするための施設を、地下に作りたいと考えているんです。その入口の管理をギルドでしていただきたいと思いまして」

「ちょっと待ってくれないか。衛生面をよくするっていうのはどういうことだい? その施設を作ると何が変わるんだ?」

 みんなと同じような疑問を口にしてきた。とりあえず、かみ砕いて説明をしてみる。衛生がよくなると病気の菌が繁殖しにくくなって、病気にかかる人が減る事。

 施設=下水道と言っていいのだろうか? 排泄や生ごみの処理施設を作る事と、それを利用することによって、街のにおいや綺麗な街並みにすることができると熱く語ってみた。

「ふむ、衛生面のいい街の中心に近い住人の方が病気になる人が少ないのはそういう理由があったのか。だが、地下にその排泄物などの病気のもとが貯まるようにするんだよね? その入口がここにあると衛生的には大丈夫なのかい?」

「そのことですが、地下に近くの沼にいるスライムを連れてきて飼おうと思いまして。スライムは何でも消化してきれいにしてくれるからちょうどいいと思いす。まぁ、実験的に作りたいわけです。

 一応スライムを使うわけですので、戦闘力のある冒険者ギルドに入口を作らせていただけないかな、と相談しに来たんです。色々消化したスライムはどんどん増えていくので、ギルド職員同伴でランクの低い冒険者に依頼を出して、ついでにレベル上げに使えないかとも考えています」

「なる程、そういう事なんですね。それでトイレとやらはどうやって準備するんですか?」

「みんなで、その施設までの穴を掘れるように訓練してまして、トイレも魔法で作れるようにしています」

 この後も色々な質問を受けたが、娘たちがしたような質問も多かったので、順々に答えてマスターの疑問をどんどん解消していった。

 この施設を作るのが俺たちで、今回は実験の意味合いが強い事を理解してくれた。これが成功したら、俺のもう一つの支配下にあるリーファスの街にも、同じものを作る予定であることを伝えると、賛成してくれた。

 二つの街で問題なければ、きちんとした作り方を文章にまとめて、他の街の貴族に売り出してもいいことを話したら、マスターに苦笑されてしまった。

 理由を聞いたら、貴族はそんなことに金を使わない。貴族にとって住人は入れ替わる税金を収める道具みたいな認識だと、教えられた。やっぱりそういう貴族が多いのか、嫌になってくるな。

 色々話し合って許可がもらえたので、地下への入り口を職員専用のスペースに作らせてもらった。俺が階段を掘っている間に、チェルシーに便座の作成の修行が終わってる魔法組とノーマンを呼んできてもらうように伝言をする。

 約三十メートル程縦堀りして、クリエイトゴーレムを使って階段を頑丈に作り、魔核を使った修復機能をつけておいた。ちなみに、クリエイトゴーレムで魔核を作る際に修復機能を組み込むと、ある程度の損傷は自動修復されるようになる。

 魔法組が来たので、どんどん穴を掘ってもらう事にした。掘る時に、魔力で干渉する部分に気を付けてもらいながら、ある程度の空間を掘ってもらう。適度な間隔で俺が、クリエイトゴーレムで柱を作って天井と床も滑らかにしていく。

 柱にはDPで出したEランク魔物の魔石を魔核にして修復機能をつけたものを埋め込んでおいた。見える位置にあると絶対に盗むバカが出てくるので見えない様に工夫している。

 街の下に地下を作るのにかかった時間は、約十日間程だ。何に時間がかかったかと言えば、土を収納にしまって運ぶ作業だ。入る上限が決まっているので、何度も行き来をしなくてはならなかったためだ。

 ある程度土の入った収納のカバンが増えたら街の外にもっていって、土を山積みにしても問題ない場所に捨てに行っていたので時間がかかった。後は各家と広場にトイレを作れば衛生面の改革はひとまず終了だ。

 メルビン男爵の所に行って、各家と街の広場にトイレを作る事を告知しろと、脅して周知させてからトイレづくりをはじめ、すべての作業が終わったのが大体三週間程かかった。一週間ほどで街に告知が終わってそこから二週間で家にトイレの設置が終わったのだ。

 告知に使った一週間で農業の改革をするために、農業ギルドに行って説明したら、諸手を挙げてお願いされてしまった。

 今回は実験の意味が強いので、場所を提供してくれる農家を紹介してほしいと言ったら、すべての農家が立候補してきて大混乱になった。農家の人たちに色々聞きながら使いやすい配置に水路をひいて、畑を囲むように壁を建てて入口は管理しやすいように門の近くに作っている。

 壁は侵入しにくいように四メートル程の高さにして、外側には二メートル程の深さの下り坂と返しをつけて侵入しにくいようにしている。ちなみに下り坂の部分で掘った土を使って壁を作っている。

 今までの様に簡単には侵入できなくなったのでおそらく収穫量に響くほどの被害が出ることは少ないだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗
ファンタジー
 異世界で暮らすただの商人・カイトは『レベル売買』という通常では絶対にありえない、世界で唯一のスキルを所持していた事に気付く。ゆえに最強ギルドに目をつけられ、直ぐにスカウトされ所属していた。  その万能スキルを使いギルドメンバーのレベルを底上げしていき、やがてギルドは世界最強に。しかし、そうなる一方でレベルの十分に上がったメンバーはカイトを必要としなくなった。もともと、カイトは戦闘には不向きなタイプ。やがてギルドマスターから『追放』を言い渡された。  途方に暮れたカイトは彷徨った。  そんな絶望的で理不尽な状況ではあったが、月光のように美しいメイド『ルナ』が救ってくれた。それから程なくし、共に世界で唯一の『レベル売買』店を展開。更に帝国の女騎士と魔法使いのエルフを迎える。  元から商売センスのあったカイトはその才能を遺憾なく発揮していく。すると驚くほど経営が上手くいき、一躍有名人となる。その風の噂を聞いた最強ギルドも「戻ってこい」と必死になるが、もう遅い。  見返すと心に決めたカイトは最強ギルドへの逆襲を開始する――。 【登場人物】(メインキャラ) 主人公 :カイト   / 男 / 商人 ヒロイン:ルナ    / 女 / メイド ヒロイン:ソレイユ  / 女 / 聖騎士 ヒロイン:ミーティア / 女 / ダークエルフ ***忙しい人向けの簡単な流れ*** ◇ギルドを追放されますが、実は最強のスキル持ち ◇メイドと出会い、新しい仲間も増えます ◇自分たちだけのお店を開きます ◇みんな優しいです ◇大儲けしていきます ◇元ギルドへの反撃もしていきます ◇世界一の帝国へ移住します ◇もっと稼ぎまくります

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ とある大陸にあるローレスト王国 剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。 だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。 そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。 「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」 タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。 異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが...... ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。

バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜

ふるっかわ
ファンタジー
ガチャで手に入れたアイテムには美少女達が宿っていた!? 主人公のユイトは大人気VRMMO「ナイト&アルケミー」に実装されたぶっ壊れ装備を手に入れた瞬間見た事も無い世界に突如転送される。 転送されたユイトは唯一手元に残った刀に宿った少女サクヤと無くした装備を探す旅に出るがやがて世界を巻き込んだ大事件に巻き込まれて行く… ※感想などいただけると励みになります、稚作ではありますが楽しんでいただければ嬉しいです。 ※こちらの作品は小説家になろう様にも掲載しております。

処理中です...