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第99話 盗賊の正体
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水路と畑、水田の実験をした次の日はイリアとシェリルだけでなく年少組を連れて実験に出た。今度は、下水道をイメージした衛生面の解決法の模索だ。
下水をイメージするのはいいが、上水がないので下水を流すのがまず難しい。それを解決する方法を考えるために、とりあえず下水を掘ってから考えようと思っている。
下水道は、中に入って動けるようにするために、メインになる所は二メートル位を確保したいと思っている。だから、ある程度の大きさが必要となってくるだろう。
とりあえずU字を逆さまにしたトンネル型にして、下側に溝を作り汚物を流すところを作ればいいんじゃないかな? という事で、街から離れたところでイリアに直径五メートル、深さ五メートルの穴を掘ってもらい、出た土は練習のために壁を作ってもらう。
穴を掘って出た土を、魔法で再利用することは問題なくできた。魔法的な因子が少しでもあると、クリエイトゴーレムでの干渉が難しくなるのだろう。掘った穴や土には魔法的因子が残っているが、同じ人間が同系統の魔法を行使すれば問題ないようだ。
だが、各属性のウォール系の魔法をかけたものには、再度行使することはできなかった。効果時間が切れた後でなら、問題ないようだ。
ちなみに、みんなには各属性魔法が行使できるように、火・水・氷・土・風・雷はスキルLv十で覚えさせている。使うか使わないかは個人の戦い方なので特に何もないが、直接魔法として使う娘たちは少ない。
俺が付与魔法をよく使っているのが原因らしい。だけど、この際なのでみんなにも魔法の訓練として、穴掘りや畑、水田の作る練習をしてもらおう。レベルもあげて能力向上スキルもあるので、魔法行使するにも特に問題ない魔力量なのである。
イリアと協力して開けてもらった穴に横穴をあけていく。まずはU字を逆さまにしたトンネル状の穴を十メートル程掘ってもらい、出た土は収納のカバンに収めた。
ん~トンネル掘るのは溝を掘るのと違って、土の排出方法も考えないといけなな。何かに活用できる方法があればいいな。他にあるとすれば、土を圧縮して穴を広げる感じかな? でもそうすると、ハードニングやクリエイトゴーレムがかけられない。
うがぁぁぁ! カンガエルノメンドウニナッテキタ、ヒキコモッテホンガヨミタイ……現実逃避はやめよう、今いるのファンタジー世界だけどな。
うっし、掘った土の活用法は後で考えよう。先にするべきは、下水の活用法の検討だな。下水に流した排泄物の処理法も考えないといけないな。何かいい方法は無い物だろうか?
日本の設備があるわけじゃないから、知識の詰まった本だけでどうにか出来るわけない。この世界にあった下水か……ってことでみんなに聞いてみよう。
「みんな集合! みんなに穴を掘ってもらってたけどこれが何に使うかわかるかな?」
こんな質問をすると年少組は、「秘密の通路?」「隠れ家!」「隣町までの道?」等々色んな答えが出てきた。
「みんな残念。この穴は街の下に作って下水道に使う予定なんだよ」
俺の答えを聞いたみんなは一斉に首をかしげて、「げすいどう?」と聞いてきた。しまった、この世界に下水道なんてなかったのか? なんて説明するか、
「下水道は、排泄物等を流す川と言えばいいのかな?」
みんなから、なんで排泄物をわざわざ川に流すの? 街はそこらへんに排泄して、奴隷がかたずけてるよ! と言われた。
「そこらへんに垂れ流しにすると臭いだろ? 屋敷ではトイレにしてるよね? だから臭くないよね? それに排泄物をそのまま放置していると、病気のもとが発生して危ないんだよ」
なんで排泄物を放置すると病気の素になるの? 体から出てきてるんだから、私たちも病気の素? と心配している姿が見られた。何か説明がめんどくさくなってきたぞ。
「お腹に入ってる間は問題ないんだけど、排泄した後に放置していると病気の菌が繁殖するんだよ。排泄した時はほとんど病気の菌もいないんだけど、放置しておくと一気に増えて悪さをするようになるんだ。
ゴブリンを放置しておくと一気に数が増えるよね? 悪い物は条件が揃うと一気に増えるんだ。病気の菌もゴブリンも一緒だと思ってくれればいいよ」
ふ~ん、わからないけどご主人様が言うならそうなんだろうな……程度の反応しかなかった。
「それに下水道に流すのはいいけど、集まったやつをどうやって処理しようか悩んでるんだよね。そのまま川に流しっぱなしにして放置すれば、道端の排泄物より危険だからね」
みんなでう~んう~ん、と眉間にしわを寄せて考えてくれていた。そのなか勉強は苦手と言っているエレノアが、背伸びをするように手を上げて「はい」と声を上げていた。
お? エレノアの発言は珍しいな、元気よく遊んだり仕事をしたりしている姿を見るけど、こういう場での発言がなかった娘だ。
「ご主人様、普通のダンジョンでは冒険者の排泄物や死体はどうやってきれいにされてるんですか?」
ん? そういえばダンジョンはどうやってキレイにしてるんだろ? ゴーレムとかの魔物に掃除させてるのか? チビ神の作った『これでYOUもダンジョンマニア!!』にヒントが無いかペラペラめくっていると……
『スライムって便利だよ! ダンジョン内をキレイにしてくれるし、勝手に分裂して増えてくれるからね! でも初期のスライムは戦闘能力は皆無だから、ダンジョンではお掃除担当で召喚するといいよ!
基本的に怖がりなので戦闘することもないし、気配を感じると隠れたり擬態するから、探すとなかなか見つけられないけどね。DPを使って強引に吸収する方法もあるし、それなりに長い時間放っておくと勝手に吸収してくれるよ!』無駄にスライムをすすめる文章を書いてあった。
「エレノア、いい視点で意見を言ってくれて助かったよ。どうやら普通のダンジョンは、スライムを召喚して掃除をさせているみたいだ。下水で汚物の処理をしてもらうから用途にもあってるし、後は生ごみ処理としても使えるんじゃないかな?
配置とかを考える必要はあるけど、下水の問題は解決しそうだな。今日の実験はこの辺で終了ね、ノンビリ帰って報告しよっか」
みんなは、元気な声で「は~い」と返事してきた。
屋敷に戻り全員に、冬に向けて衛生面、下水道、畑、水田、水路、壁の改革をして行く事を説明した。年少組と同じで、なんでそんなことをするかわからない様子だったが、臭いのは嫌だし、キレイなとこでご飯食べたいよね? と言ったらなるほど! といった顔をしてくれた。この説明でいいのか?
次の日にフレデリクの街の兵士たちが帰ってきた。帰ってくるの遅くね、これが普通なのかな? おそらく今日中に冒険者ギルドも情報確認が終わるだろうから、明日にでも冒険者ギルドにお金を受け取りに行くか。
次の日は冒険者ギルドの依頼を受けるわけじゃないので、付き添いで来たピーチ・シュリ・マリーは戦闘メイド服だ。みんな可愛いんだけど、何て言うのかな、外に連れてくのは気が引ける部分があるんだよね。
冒険者ギルドに入ると、そのままギルドマスターのいる部屋に通された。
「よく来てくれた。シュウ君、戦争の確認がとれたよ。君の預けた金貨一〇〇〇枚とメルビン男爵の預けた一〇〇〇枚を渡すよ、受け取ってくれ。後日、リーファスの貴族の金貨も届くから、また取りに来てくれ。それと、帰って来た日に連れてきた、君たちを襲った奴らの素性が判明したよ」
「なんでギルドマスターから、あいつらの報告があるんです?」
「初めに言っておく、この件にうちのギルドは一切かかわってない。ここまで言えば何となくわかるだろうが、君たちを襲った奴らは冒険者ギルドの登録者だった。フェンリルの時に処刑された、Bランクの冒険者のクランの人間だった」
「なる程、だからマスターからの報告なんですね。自分が知っているクランっていうのは、組織とかある一定の人間が集まった、共同体みたいな意味合いですがあってますか?」
「大体そんな認識でいい。仲間内でパーティーいくつも集まった感じ、だと思っておけばいい。今回の件は本当に申し訳ない、リーファスの冒険者ギルドに強く抗議しておく。
まぁ、実質フレデリクとリーファスの支配者に手を出したわけなので、クランやリーファスの冒険者ギルドには何かしらのペナルティをかけないのですが……」
「そこらへんはギルドマスターに任せます。どうなったかだけ後で報告してください。用事は済んだみたいなので帰りますね」
「あぁ、こっちでやっておくよ」
あの盗賊共は、冒険者だったか。シングルには勝てないから、俺らに八つ当たりか。迷惑な連中だ。犯罪奴隷になるはずだから下水道の管理に回すのもありかな、ああいう奴らなら気にせずに使えるしな。
下水をイメージするのはいいが、上水がないので下水を流すのがまず難しい。それを解決する方法を考えるために、とりあえず下水を掘ってから考えようと思っている。
下水道は、中に入って動けるようにするために、メインになる所は二メートル位を確保したいと思っている。だから、ある程度の大きさが必要となってくるだろう。
とりあえずU字を逆さまにしたトンネル型にして、下側に溝を作り汚物を流すところを作ればいいんじゃないかな? という事で、街から離れたところでイリアに直径五メートル、深さ五メートルの穴を掘ってもらい、出た土は練習のために壁を作ってもらう。
穴を掘って出た土を、魔法で再利用することは問題なくできた。魔法的な因子が少しでもあると、クリエイトゴーレムでの干渉が難しくなるのだろう。掘った穴や土には魔法的因子が残っているが、同じ人間が同系統の魔法を行使すれば問題ないようだ。
だが、各属性のウォール系の魔法をかけたものには、再度行使することはできなかった。効果時間が切れた後でなら、問題ないようだ。
ちなみに、みんなには各属性魔法が行使できるように、火・水・氷・土・風・雷はスキルLv十で覚えさせている。使うか使わないかは個人の戦い方なので特に何もないが、直接魔法として使う娘たちは少ない。
俺が付与魔法をよく使っているのが原因らしい。だけど、この際なのでみんなにも魔法の訓練として、穴掘りや畑、水田の作る練習をしてもらおう。レベルもあげて能力向上スキルもあるので、魔法行使するにも特に問題ない魔力量なのである。
イリアと協力して開けてもらった穴に横穴をあけていく。まずはU字を逆さまにしたトンネル状の穴を十メートル程掘ってもらい、出た土は収納のカバンに収めた。
ん~トンネル掘るのは溝を掘るのと違って、土の排出方法も考えないといけなな。何かに活用できる方法があればいいな。他にあるとすれば、土を圧縮して穴を広げる感じかな? でもそうすると、ハードニングやクリエイトゴーレムがかけられない。
うがぁぁぁ! カンガエルノメンドウニナッテキタ、ヒキコモッテホンガヨミタイ……現実逃避はやめよう、今いるのファンタジー世界だけどな。
うっし、掘った土の活用法は後で考えよう。先にするべきは、下水の活用法の検討だな。下水に流した排泄物の処理法も考えないといけないな。何かいい方法は無い物だろうか?
日本の設備があるわけじゃないから、知識の詰まった本だけでどうにか出来るわけない。この世界にあった下水か……ってことでみんなに聞いてみよう。
「みんな集合! みんなに穴を掘ってもらってたけどこれが何に使うかわかるかな?」
こんな質問をすると年少組は、「秘密の通路?」「隠れ家!」「隣町までの道?」等々色んな答えが出てきた。
「みんな残念。この穴は街の下に作って下水道に使う予定なんだよ」
俺の答えを聞いたみんなは一斉に首をかしげて、「げすいどう?」と聞いてきた。しまった、この世界に下水道なんてなかったのか? なんて説明するか、
「下水道は、排泄物等を流す川と言えばいいのかな?」
みんなから、なんで排泄物をわざわざ川に流すの? 街はそこらへんに排泄して、奴隷がかたずけてるよ! と言われた。
「そこらへんに垂れ流しにすると臭いだろ? 屋敷ではトイレにしてるよね? だから臭くないよね? それに排泄物をそのまま放置していると、病気のもとが発生して危ないんだよ」
なんで排泄物を放置すると病気の素になるの? 体から出てきてるんだから、私たちも病気の素? と心配している姿が見られた。何か説明がめんどくさくなってきたぞ。
「お腹に入ってる間は問題ないんだけど、排泄した後に放置していると病気の菌が繁殖するんだよ。排泄した時はほとんど病気の菌もいないんだけど、放置しておくと一気に増えて悪さをするようになるんだ。
ゴブリンを放置しておくと一気に数が増えるよね? 悪い物は条件が揃うと一気に増えるんだ。病気の菌もゴブリンも一緒だと思ってくれればいいよ」
ふ~ん、わからないけどご主人様が言うならそうなんだろうな……程度の反応しかなかった。
「それに下水道に流すのはいいけど、集まったやつをどうやって処理しようか悩んでるんだよね。そのまま川に流しっぱなしにして放置すれば、道端の排泄物より危険だからね」
みんなでう~んう~ん、と眉間にしわを寄せて考えてくれていた。そのなか勉強は苦手と言っているエレノアが、背伸びをするように手を上げて「はい」と声を上げていた。
お? エレノアの発言は珍しいな、元気よく遊んだり仕事をしたりしている姿を見るけど、こういう場での発言がなかった娘だ。
「ご主人様、普通のダンジョンでは冒険者の排泄物や死体はどうやってきれいにされてるんですか?」
ん? そういえばダンジョンはどうやってキレイにしてるんだろ? ゴーレムとかの魔物に掃除させてるのか? チビ神の作った『これでYOUもダンジョンマニア!!』にヒントが無いかペラペラめくっていると……
『スライムって便利だよ! ダンジョン内をキレイにしてくれるし、勝手に分裂して増えてくれるからね! でも初期のスライムは戦闘能力は皆無だから、ダンジョンではお掃除担当で召喚するといいよ!
基本的に怖がりなので戦闘することもないし、気配を感じると隠れたり擬態するから、探すとなかなか見つけられないけどね。DPを使って強引に吸収する方法もあるし、それなりに長い時間放っておくと勝手に吸収してくれるよ!』無駄にスライムをすすめる文章を書いてあった。
「エレノア、いい視点で意見を言ってくれて助かったよ。どうやら普通のダンジョンは、スライムを召喚して掃除をさせているみたいだ。下水で汚物の処理をしてもらうから用途にもあってるし、後は生ごみ処理としても使えるんじゃないかな?
配置とかを考える必要はあるけど、下水の問題は解決しそうだな。今日の実験はこの辺で終了ね、ノンビリ帰って報告しよっか」
みんなは、元気な声で「は~い」と返事してきた。
屋敷に戻り全員に、冬に向けて衛生面、下水道、畑、水田、水路、壁の改革をして行く事を説明した。年少組と同じで、なんでそんなことをするかわからない様子だったが、臭いのは嫌だし、キレイなとこでご飯食べたいよね? と言ったらなるほど! といった顔をしてくれた。この説明でいいのか?
次の日にフレデリクの街の兵士たちが帰ってきた。帰ってくるの遅くね、これが普通なのかな? おそらく今日中に冒険者ギルドも情報確認が終わるだろうから、明日にでも冒険者ギルドにお金を受け取りに行くか。
次の日は冒険者ギルドの依頼を受けるわけじゃないので、付き添いで来たピーチ・シュリ・マリーは戦闘メイド服だ。みんな可愛いんだけど、何て言うのかな、外に連れてくのは気が引ける部分があるんだよね。
冒険者ギルドに入ると、そのままギルドマスターのいる部屋に通された。
「よく来てくれた。シュウ君、戦争の確認がとれたよ。君の預けた金貨一〇〇〇枚とメルビン男爵の預けた一〇〇〇枚を渡すよ、受け取ってくれ。後日、リーファスの貴族の金貨も届くから、また取りに来てくれ。それと、帰って来た日に連れてきた、君たちを襲った奴らの素性が判明したよ」
「なんでギルドマスターから、あいつらの報告があるんです?」
「初めに言っておく、この件にうちのギルドは一切かかわってない。ここまで言えば何となくわかるだろうが、君たちを襲った奴らは冒険者ギルドの登録者だった。フェンリルの時に処刑された、Bランクの冒険者のクランの人間だった」
「なる程、だからマスターからの報告なんですね。自分が知っているクランっていうのは、組織とかある一定の人間が集まった、共同体みたいな意味合いですがあってますか?」
「大体そんな認識でいい。仲間内でパーティーいくつも集まった感じ、だと思っておけばいい。今回の件は本当に申し訳ない、リーファスの冒険者ギルドに強く抗議しておく。
まぁ、実質フレデリクとリーファスの支配者に手を出したわけなので、クランやリーファスの冒険者ギルドには何かしらのペナルティをかけないのですが……」
「そこらへんはギルドマスターに任せます。どうなったかだけ後で報告してください。用事は済んだみたいなので帰りますね」
「あぁ、こっちでやっておくよ」
あの盗賊共は、冒険者だったか。シングルには勝てないから、俺らに八つ当たりか。迷惑な連中だ。犯罪奴隷になるはずだから下水道の管理に回すのもありかな、ああいう奴らなら気にせずに使えるしな。
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