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第95話 戦後処理
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ここに来ている騎士団の中のリーダーと思われる人物が、両軍に対して負けたことを宣言する。その次にどのように負けたかを説明しだした。両軍の二割ほどの兵士と冒険者が、その状況を思い出して若干錯乱し始めた。
おぃおぃ、いくら信じられない光景で何もできなかったとはいえ、今の状況で錯乱し始めるのはどうかと思うのだが?
説明が終わると同時に両運の団長に向かって、自分の街に戻る準備を始めるように命令をする。リーファスの騎士団長と同じくらいのレベルなんだがな。
武器防具や装飾品などの装備は、圧倒的に騎士団の人間の方が上だったため、逆らおうとしてもどうにもならないだろう。武器も防具もないしな。
撤退指示を始めると、自分たちが武器防具を持ってないことに気付き、怒鳴り声が聞こえてきた。今まで気付いてなかったのかお前ら、どんだけだよ。
リーダーっぽい人が、武器防具の類は全部戦争の勝者に渡されている事を伝え。もし返してほしかったら自分たちで交渉するようにとの事。物は言いようかな?
貴族との話し合いが終われば返してもいいと思っているので、その際に恩でもきせてみるか? 両軍に分けて装備は保管させてあるので、自分たちで装備を見つけてもらえばいいか?
ブーブー言っている連中がいたが、貴族に話した権限の事を説明すると一斉に声がやんだ。
どうやらやっと戦争の後の話ができるようだ。縛られた貴族を解放して二名が監視について、天幕へ誘導していた。俺はあえて貴族に椅子は用意せずに話を始めるように仕向けた。
「今回の戦争の勝者シュウ殿は、どういった処置をとられる予定か聞いてもよろしいだろうか?」
「その前に、この戦争に参加した理由を説明してよろしいでしょうか?」
リーダーっぽい人に許可をもらい話し始める。
「今回の戦争で、住人に被害が無ければ参加するつもりはありませんでした。戦争の勝者は基本的に今回の戦争に使ったお金を負けた街に、税という形で補填させようとすると聞きましたので、税を回避するために参加しています。
ならフレデリク側で参加すればいいと思われるでしょうが、リーファスの住人にも非はありません。税を重くされるいわれはないのです。戦争がしたいなら自分たちだけで完結させろと私は言いたいのです」
大半の事実に少しだけの嘘を混ぜて騎士団へ説明する。
「なる程、そういう行動原理だったのですね。どのような理由だとしても、宣戦布告の条件を満たすことができたのですから、何の問題もないのですがね」
「そうなりますよね。で、今回の戦争の勝者としての権利を行使する内容は、今までにない内容だと思いますので、全部聞いたうえで騎士団の方に判断していただきたいのです。どの部分が可能でどの部分が無理なのかを判断してもらいたいのです」
「勝者の言い分ですので基本は全面的に通るとは思いますが、それでも無理なこともありますので無理な所は差し止めさせていただきます。今から話す内容を記録してよろしいでしょうか?」
お? この世界もきちんと記録をとるのか? いいことだな。問題ないことを騎士団の人へ伝えると、何か四角い魔導具と紙とペンを取り出した。紙と言っても、向こうの世界でパピルスと呼ばれていた様なものだ。
四角い魔導具が声を録音することのできる物だと言われ、紙には議題の案件になりそうな内容をメモするために用意したとの事。準備が終わりどうぞという仕草をされた。
「そうですね、まず初めに両街をどうこうするつもりはありません。そこの貴族たちにもこれまでと変わらずに、街の領主を続けてもらう予定です」
俺の発言を聞いた騎士団の面々は目を見開き、貴族たちは安堵の表情をしていた。
「ここからが俺たちの要求だと思ってください。貴族たちに対して、今回の戦争について自分たちの私財を使って戦後の処理を行っていただく。そして、俺の許可なく税金を変動させることを禁止する。税金を何に使ったか詳細な情報を、一月毎にまとめたものを街にある商人ギルドと俺に提出するようにしたいと考えている」
貴族たちは絶望したような顔になり、騎士団の面々にすがるように祈りをささげているように見えた。
「なる程、街の権利は一切放棄する代わりに貴族たちに対して制限をかけるというものか? 一ついいだろうか? 税金を許可なく変動させることを禁止するという事は、しかるべき事情があり問題が無ければ、上げることはあると理解していいのだろうか?」
「もちろんです。まずは税金がきちんと使われているのかを精査するために、1月毎の収支の詳細を提出してもらう予定です。商人ギルドも貴族たちに苦汁を飲まされてる可能性もあるので、喜々として手伝ってくれるのでは? と考えています。
ですが、貴族たちの生活は税金で成り立っている所もあるので、そこら辺を収支の詳細を見て適正か考えようと思っています」
「ふむ、理に適っているかな? 君の話を聞いていると、貴族たちは立場を失わないが首輪付きの代官みたいなイメージかな?」
「そう考えていただいて問題ないと思います。俺達がいきなり二つの街を管理する事なんてできませんから。それをすれば街が混乱して、税金が上がるより悲惨な状況になりかねないので、今回の方法を考えていますが可能でしょうか?」
「聞く限り何の問題もないな。てっきり無理難題なことを言われて判断に困るかと思っていたが、そんなことは全くなかったな。他に付け加えておきたい事はあるか?」
「そうですね、きちんと街を管理して無駄なことに金を使わないのであれば、文句をいう事はありませんね」
「なるほど……それでしたら、街の権利を手放す必要は無いですね。街の権利をシュウ殿が保持して、そこの貴族たちに代官をやらせる形がベストだと思います。そうすれば、シュウ殿の命令や考えにそぐわない場合は、無条件で裁くことができます」
「そうなんですか? それなら、貴族たちが抜け道を探して、何か変な事をすることはなさそうですね」
「では、そういう風に記載いたしましょう。これで政策に口を出すこともできるでしょうし、無駄を少なくできるのではないでしょうか? では、書類を製作させていただきたいと思います」
ん? 冒険者ギルドで見た覚えのある紙の魔導具かな? この紙の魔導具がもとの世界でいう公的文書みたいなものかな?
十分程かかって、四通の書類が完成する。
「では、まず敗者の二人にこちらにサインをしていただきます。分かっていると思いますが、虚偽のサイン等をされない様に、物理的に首が飛びますからね」
貴族たちに拒否権は無くしぶしぶといった感じで四通の書類にサインをはじめる。
「では、次にシュウ殿。文章などに不備が無いか再確認して問題が無ければ、サインをお願いいたします」
渡されたものに目を通し、カエデとレイリーにも目を通してもらう。特に問題はないようで、大丈夫と合図をもらう。サインをして、騎士団のリーダーっぽい人に渡す。
「ではこの戦争の見届け人、真紅の騎士団第11中隊隊長ライル・クリムゾンがこの書類が正式なものであることの証明人になります」
宣言して、自分のサインをしていくと紙が光りだした。冒険者ギルドでもこんな感じだったような? これで正式なものとして認められるのかな?
これで終了しました。とのことで貴族たちも解放され、自軍の場所へ戻っていく。先ほど疑問に思ったことを訪ねてみることにした。
「ライルさん、一つ聞きたいのですがいいですか? 装備品に赤色のものが一切ないのに、真紅の騎士団と呼ばれるのはなぜですか?」
「貴族以外はあまり知られていないので仕方がないですね。私たち真紅の騎士団の元になったは、国王直属の粛清部隊でした。その当時、貴族や大商人等普通の立場の人間では、太刀打ちできないような組織等を対象とした部隊だったのです。
その時に、不正や法律を犯したものたちに忠告し聞き入れられなかった時に、粛清という名の処分をする際に返り血を浴びた装備を見て、いつの間にか真紅と呼ばれるようになり、その名残が真紅の騎士団と呼ばれるようになった理由ですね。
そしてこの騎士団に入った人間は、全員がある名前をいただくんだよ。うすうす気付いていると思うがファミリーネームのクリムゾンは、この騎士団に入っている者と入っていた者にだけ与えられる特別な名前なのだ」
クリムゾンってたまたまじゃなかったんだ。こういった経緯で呼ばれるようになったのか。血みどろの道を歩いてきた騎士団なんだな。
おぃおぃ、いくら信じられない光景で何もできなかったとはいえ、今の状況で錯乱し始めるのはどうかと思うのだが?
説明が終わると同時に両運の団長に向かって、自分の街に戻る準備を始めるように命令をする。リーファスの騎士団長と同じくらいのレベルなんだがな。
武器防具や装飾品などの装備は、圧倒的に騎士団の人間の方が上だったため、逆らおうとしてもどうにもならないだろう。武器も防具もないしな。
撤退指示を始めると、自分たちが武器防具を持ってないことに気付き、怒鳴り声が聞こえてきた。今まで気付いてなかったのかお前ら、どんだけだよ。
リーダーっぽい人が、武器防具の類は全部戦争の勝者に渡されている事を伝え。もし返してほしかったら自分たちで交渉するようにとの事。物は言いようかな?
貴族との話し合いが終われば返してもいいと思っているので、その際に恩でもきせてみるか? 両軍に分けて装備は保管させてあるので、自分たちで装備を見つけてもらえばいいか?
ブーブー言っている連中がいたが、貴族に話した権限の事を説明すると一斉に声がやんだ。
どうやらやっと戦争の後の話ができるようだ。縛られた貴族を解放して二名が監視について、天幕へ誘導していた。俺はあえて貴族に椅子は用意せずに話を始めるように仕向けた。
「今回の戦争の勝者シュウ殿は、どういった処置をとられる予定か聞いてもよろしいだろうか?」
「その前に、この戦争に参加した理由を説明してよろしいでしょうか?」
リーダーっぽい人に許可をもらい話し始める。
「今回の戦争で、住人に被害が無ければ参加するつもりはありませんでした。戦争の勝者は基本的に今回の戦争に使ったお金を負けた街に、税という形で補填させようとすると聞きましたので、税を回避するために参加しています。
ならフレデリク側で参加すればいいと思われるでしょうが、リーファスの住人にも非はありません。税を重くされるいわれはないのです。戦争がしたいなら自分たちだけで完結させろと私は言いたいのです」
大半の事実に少しだけの嘘を混ぜて騎士団へ説明する。
「なる程、そういう行動原理だったのですね。どのような理由だとしても、宣戦布告の条件を満たすことができたのですから、何の問題もないのですがね」
「そうなりますよね。で、今回の戦争の勝者としての権利を行使する内容は、今までにない内容だと思いますので、全部聞いたうえで騎士団の方に判断していただきたいのです。どの部分が可能でどの部分が無理なのかを判断してもらいたいのです」
「勝者の言い分ですので基本は全面的に通るとは思いますが、それでも無理なこともありますので無理な所は差し止めさせていただきます。今から話す内容を記録してよろしいでしょうか?」
お? この世界もきちんと記録をとるのか? いいことだな。問題ないことを騎士団の人へ伝えると、何か四角い魔導具と紙とペンを取り出した。紙と言っても、向こうの世界でパピルスと呼ばれていた様なものだ。
四角い魔導具が声を録音することのできる物だと言われ、紙には議題の案件になりそうな内容をメモするために用意したとの事。準備が終わりどうぞという仕草をされた。
「そうですね、まず初めに両街をどうこうするつもりはありません。そこの貴族たちにもこれまでと変わらずに、街の領主を続けてもらう予定です」
俺の発言を聞いた騎士団の面々は目を見開き、貴族たちは安堵の表情をしていた。
「ここからが俺たちの要求だと思ってください。貴族たちに対して、今回の戦争について自分たちの私財を使って戦後の処理を行っていただく。そして、俺の許可なく税金を変動させることを禁止する。税金を何に使ったか詳細な情報を、一月毎にまとめたものを街にある商人ギルドと俺に提出するようにしたいと考えている」
貴族たちは絶望したような顔になり、騎士団の面々にすがるように祈りをささげているように見えた。
「なる程、街の権利は一切放棄する代わりに貴族たちに対して制限をかけるというものか? 一ついいだろうか? 税金を許可なく変動させることを禁止するという事は、しかるべき事情があり問題が無ければ、上げることはあると理解していいのだろうか?」
「もちろんです。まずは税金がきちんと使われているのかを精査するために、1月毎の収支の詳細を提出してもらう予定です。商人ギルドも貴族たちに苦汁を飲まされてる可能性もあるので、喜々として手伝ってくれるのでは? と考えています。
ですが、貴族たちの生活は税金で成り立っている所もあるので、そこら辺を収支の詳細を見て適正か考えようと思っています」
「ふむ、理に適っているかな? 君の話を聞いていると、貴族たちは立場を失わないが首輪付きの代官みたいなイメージかな?」
「そう考えていただいて問題ないと思います。俺達がいきなり二つの街を管理する事なんてできませんから。それをすれば街が混乱して、税金が上がるより悲惨な状況になりかねないので、今回の方法を考えていますが可能でしょうか?」
「聞く限り何の問題もないな。てっきり無理難題なことを言われて判断に困るかと思っていたが、そんなことは全くなかったな。他に付け加えておきたい事はあるか?」
「そうですね、きちんと街を管理して無駄なことに金を使わないのであれば、文句をいう事はありませんね」
「なるほど……それでしたら、街の権利を手放す必要は無いですね。街の権利をシュウ殿が保持して、そこの貴族たちに代官をやらせる形がベストだと思います。そうすれば、シュウ殿の命令や考えにそぐわない場合は、無条件で裁くことができます」
「そうなんですか? それなら、貴族たちが抜け道を探して、何か変な事をすることはなさそうですね」
「では、そういう風に記載いたしましょう。これで政策に口を出すこともできるでしょうし、無駄を少なくできるのではないでしょうか? では、書類を製作させていただきたいと思います」
ん? 冒険者ギルドで見た覚えのある紙の魔導具かな? この紙の魔導具がもとの世界でいう公的文書みたいなものかな?
十分程かかって、四通の書類が完成する。
「では、まず敗者の二人にこちらにサインをしていただきます。分かっていると思いますが、虚偽のサイン等をされない様に、物理的に首が飛びますからね」
貴族たちに拒否権は無くしぶしぶといった感じで四通の書類にサインをはじめる。
「では、次にシュウ殿。文章などに不備が無いか再確認して問題が無ければ、サインをお願いいたします」
渡されたものに目を通し、カエデとレイリーにも目を通してもらう。特に問題はないようで、大丈夫と合図をもらう。サインをして、騎士団のリーダーっぽい人に渡す。
「ではこの戦争の見届け人、真紅の騎士団第11中隊隊長ライル・クリムゾンがこの書類が正式なものであることの証明人になります」
宣言して、自分のサインをしていくと紙が光りだした。冒険者ギルドでもこんな感じだったような? これで正式なものとして認められるのかな?
これで終了しました。とのことで貴族たちも解放され、自軍の場所へ戻っていく。先ほど疑問に思ったことを訪ねてみることにした。
「ライルさん、一つ聞きたいのですがいいですか? 装備品に赤色のものが一切ないのに、真紅の騎士団と呼ばれるのはなぜですか?」
「貴族以外はあまり知られていないので仕方がないですね。私たち真紅の騎士団の元になったは、国王直属の粛清部隊でした。その当時、貴族や大商人等普通の立場の人間では、太刀打ちできないような組織等を対象とした部隊だったのです。
その時に、不正や法律を犯したものたちに忠告し聞き入れられなかった時に、粛清という名の処分をする際に返り血を浴びた装備を見て、いつの間にか真紅と呼ばれるようになり、その名残が真紅の騎士団と呼ばれるようになった理由ですね。
そしてこの騎士団に入った人間は、全員がある名前をいただくんだよ。うすうす気付いていると思うがファミリーネームのクリムゾンは、この騎士団に入っている者と入っていた者にだけ与えられる特別な名前なのだ」
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