ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第27話 戸惑いの奴隷たち

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 拠点へ戻ってきた。行きは俺とカエデの2人だったのが、帰りは俺ら2人+奴隷23人の合わせて25人……一気に大所帯になったな。

「スカーレットいるか~」

 奴隷たちは、奥からふよふよ飛んできたシルキーを見て驚いた顔をしている。

「ご主人様、なんですか?」

「お~いたいた、奴隷を買ってきたけど昼食を用意してもらっていいか? 丼ものを希望したいな。それとサラダを適当に、スープもほしいけどみそ汁は好き嫌いがあるから、具だくさんのポトフみたいなのを用意してできるか?」

「了解です、ご主人様! 今日の夕食はこちらのもので、シチューというものを作ってみようかと思うのですがよろしいですか?」

「食事の事は任せるから、色々試していいよ。一気に人が増えたから仕込むのが大変だと思うけどよろしく頼む。しばらくしたら、全員に一応メイドの修行もしてもらうからそのときは教育頼む」

「了解であります! 少ない量を仕込むのも30人分くらい作るのも大して変わらないのです」

「よろしく頼む、今いる人数の倍くらい作っておいてほしい。理由は食事のときに分かるから、よろしく」

「分かりました。お昼は、オーク肉の豚丼にしますね。昨日ご主人様が取ってこられたものがあるのでそれを使います。玉ねぎにかわる野菜が手元にないので出してもいいですか?」

「もちろんいいよ、調味料も足りなそうなら出して問題ないから任せたよ」

「任されました!」

 ふよふよと来た廊下を飛んで戻っていく。スカーレットの話し方が柔らかくなっているのは、俺がもっとフレンドリーに話してほしいと強引にお願いしたのだ。

 初めは、「絶対に無理です」と言われたけど、もっと柔らかい話し方してくれなければ、料理も掃除もやらせずに俺がやると言ったら、この世の終わりのような顔をして「それだけは勘弁してください、話し方は頑張りますから私たちの仕事を取らないでください」と泣きつかれたのだ。

 まさかここまで効果があるとは思ってなかったけど、柔らかくなってくれてよかった。

「とりあえず、みんながこれから寝泊りする部屋に連れてくかな」

 奴隷エリアの大部屋に連れていく。男と女で分けることを考えていたが女性が22人もいるので11人ずつに分けて共同生活をしてもらうことにした。目の見えない娘と7歳の娘がいるので、しっかりと仲間意識を持ってほしいな。目の見えない娘は薬で治す予定なんだけどね。

 視力を失うまでは狩りをしていたのでレベル14もあるのだ。その子のステータスには、状態異常:失明(物理的)と出ている。高ランクのポーションなら部位欠損も治すことができるとカエデが言っていたので、実験をかねて使用する予定だ。

「ここの部屋と向こうの部屋が、君たちの生活の拠点となる部屋だ。綺麗に使うんだぞ! 部屋割りは俺が勝手に決めるから文句言わない様に、みんな仲間だと思って仲良くしてくれ!」

 娘たちは全員そろって「この部屋で寝れるの?」「中にベッドがあるよ!」「布団もあるよ!」など驚いている様子だった。

 カエデの言った通りこれでもかなりいい待遇なのだろう。他の所で奴隷はどんな過酷な状況なのだろうか?

「服はまだ準備できてないから、少し我慢して。とりあえず落ち着いてくれないか?」

 ワイワイ騒いでいた奴隷たちがハッとした表情をして全員がそろって

「「「「「申し訳ございませんでした」」」」」

 揃った声と揃って頭を下げる姿には、俺もびっくりして声が出なくなってしまった。しばらくフリーズしてから、なかなか頭を上げない娘たちを見て、

「あ、大丈夫だから頭あげて。これからこの家で生活してもらううえで大切なことを伝えるので、しっかりと覚えておいてください。もし破ることがあったら、何かしらの罰を与えるつもりなので、気を引き締めるように!」

 娘たちは、どんなことを言われるのだろうと不安そうな顔になっている。

「一日一回は、この先にあるお風呂に入って体を清潔に保ってください。基本的に夜は自由時間にする予定なので、その時間にお風呂へ入って体を洗うように。

 食事はこの後連れていく食堂で食べること。戦闘訓練の他にメイドの勉強と農園や牧場での仕事もしてもらう予定ですので、それらをさぼらない事。分かりましたか?」

 娘たちは、全員目が点になっている。再起動するまでに10分程の時間を要し、理解が追い付いていない頭でブツブツと言っていた。まだ何もしていないのに、こんないい待遇でいいのか? 実はこれには裏があるのではないか? やっぱり夜伽の相手をさせられるのだろうか? 等々不安を口にしていた。

「まず言っておくことがある。この待遇はここでは普通だと思って、これを基準によくなることがあれば悪くなることもあるから、そこらへんは気を引き締めておくように。

 俺には貴族とは別の意味で多くの秘密があるから、待遇をよくしておけば外に秘密が漏れにくくなる打算もある。そのうち秘密について話していくつもりだけど、秘密を知ったら逃がすつもりはないので覚悟しておいてほしい。ここで話しているのもあれなので食堂に向かおっか」

 食堂に向かう途中にある、小さめの部屋をドラゴニュートのお爺さんの部屋として使うように言い含めた。恐縮していたが戦闘訓練の指導者として購入したので、娘たちよりいい待遇で迎えられるのは当たり前だと爺さんの意見を封殺した。

 食堂に着いたら、食事の準備が整っていた。

「みんなスカーレットは見たと思うけど、ここには他に3人のシルキーがいて、スカーレットの隣がコバルト、その隣がミドリでそっちがアマレロだ。髪の毛の色で見分けてくれ。メイドや料理の先生は、このシルキーたちだからしっかり名前を覚えておくように」

 スカーレットが前に出てきて

「みなさん、ここの建物の管理や料理・家事等を担当しています、スカーレットといいます。これから一緒に生活して行く事になりますので、気をはりすぎないでください。ですが奴隷としての立場はわきまえるように気を付けてください」

「あんまり脅すようなことは言うなよ。それより土鍋と鍋があるってことは、食事の準備ができているってことだよな?」

「もちろんできてます。ご主人様の希望通り丼ものとサラダにポトフを準備いたしました。もうついでもよろしいですか?」

「そうだね、みんなを席につかせたら持ってきてもらおうかな」

 シルキーたちが娘たちを席へつかせ、食事を運んでくる。娘たちは、目の前に出された物が何かわからず戸惑っているようだ。

 どうやって食べるかわからないのだろう。箸は使えないだろうからスプーンとフォークを用意してもらっている。

「この器の食べ物は豚丼って言ってオークの肉を甘辛く味付けした物を、お米という穀物を炊いたものの上にのせて一緒に食べる物なんだ。スプーンを使って食べてみるといいぞ」

 説明するが、娘たちの反応は良くない。すると一番年上だと思われる娘が、

「あの、お聞きしてもよろしいですか?」

「ん? 何を聞きたいんだ?」

「えっと、ご主人様と一緒の机で暖かい食事を食べてよろしいんですか?」

「え? 奴隷ってそこまで不遇な扱いなのか……予想外だな。さっき説明したやつに少し付け加えよう。食事は食堂ですること、その場に誰がいても一緒に食事をとること。これは命令だから守ってね」

 娘たちは命令されると本当に食べていいことを理解して、食事に手をつけていく。豚丼もサラダもポトフも美味しかったようで食が進んでいるな。痩せていた娘が食べ終わったため、お代わりがいるか聞くと遠慮をしているようで「大丈夫です」と返してくる。

 俺的にはもっと食べてもらわないと困るのでここは、お腹がいっぱいになるまで食べろと命令をする。そうすると、やっとお代わりをしてくれる。

 20杯ほどお代わりをするとお腹いっぱいになったようで、満足な顔をしていた。

「みんな食べ終わったみたいなので、遅くなったけど自己紹介をしていこう」
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