ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第26話 奴隷を買った

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 今日の朝食は、昨日希望しておいたフレンチトーストとコーンスープ、フルーツの入ったヨーグルトをシルキーたちに作ってもらった。

 朝食の間に、シルキーたちに奴隷を購入して手伝いをしてもらう予定だということを伝えて、どういった奴隷がいいか話を聞いてみた。

 条件はそんなに多くなかった。

・15歳まで位の女の子

・メイドとして働かせるのでそれなりの見た目の娘

・上記の二つを満たして、家畜の解体経験があれば文句なし

 こんな感じだった。解体経験の有無は料理にもかかわってくるのだろうか? それともダンジョン牧場の家畜を捌くための人材といてほしいのかな?

 何で15歳以下の女の子か気になったので聞いてみると、それより上だと物覚えが悪かったり変なプライドを持ってることが多いとのことだった。何で召喚したばかりのシルキーたちが人間の事情に詳しいか不明だが、そういう理由みたいだ。

 シルキーたちの条件を頭にメモをして、奴隷商に向かうことにした。

 奴隷商とは、読んで文字のごとく奴隷を商っている商人のことだ。この世界では、奴隷が当たり前のように存在して、家族を助けるために奴隷に身を落とす人がいるらしい。

 どんな経緯で奴隷になったにせよ、扱いは変わることなく奴隷の首輪でその行動を制限される。奴隷が違反をおかすと首輪が締まり、最悪奴隷を殺してしまう。

 奴隷商は、各街に一個しかない。理由は簡単で、国が法律でそう定めているからである。どこかの街から攫ってきた娘を売ったり、盗賊が馬車などを襲い連れ去った人たちを売ったり、そんなことが平然と行われていたため国が見かねて、奴隷商を許可制にして各街に一つしか置かないようにしたのだ。

 その奴隷商にも、国から派遣された監査員が常駐していて、その監査員も半年周期で人が変わっていくらしい。こういった国の対策で、本人や家族の意志と関係なく売られてしまう人は減ったが、それでも完全とは言えず闇市みたいなものは存在している。

 街唯一の奴隷商へ到着する。ここには約200人の奴隷がいるようだ。女性の六男性四位の割合だ。人口4万人の街に200人が売りに出されているってことは人口に対して0.5パーセントが奴隷の売られている割合か。この街全体の奴隷となると約1000人程いるようだ。これは多いのだろうか?

 マップの検索機能で調べた感じだと、女性の方は大半が普通の奴隷で戦闘奴隷はごくわずかなようだ。戦闘のできる女性自体が珍しいのかもしれないな。

「いらっしゃいませ、私はこの奴隷商の店主、イゴールと申します。本日はどのような奴隷をお探しでしょうか?」

 店に入っていきなり聞くのか?

「えっと、まずは女性で15歳くらいまでの娘で10人程メイドをしてもらおうかと思ってます。その中で戦闘もしてみたいと思う娘がいたら文句ないかな」

「10名ですか……ある程度教育はしていますが、王都ではないのでさすがにメイドの教育まではできてません。ですが、戦ってみたいと思う娘は多いかと思われます」

「ん? 戦ってみたいと思う娘って多いものなのか? 危険が沢山あるし街の中で安全な方がいいとか思うけどそうじゃないのか。メイドの教育については、うちの人間が気合を入れて教えるみたいなので、最低限の知識があれば問題ないかな」

「いくつか理由はあると思いますが、大きい理由としては戦闘奴隷は普通の奴隷に比べて危険な分、待遇がよくなりますからね。戦闘スキルが無いと戦闘奴隷にはなれないのであきらめている娘が多いんです。

 それなので、お客様みたいに戦ってみたいと思っている奴隷を探している人がいれば、希望をする者が多いかもしれません」

「今回は、実験の意味もあるから本人の意思を尊重したいと思っている。戦闘は戦う意思も大切だからね。戦闘ができなくても、メイドとして働いてもらう予定なので気にせず希望してほしい」

「わかりました。条件に合う奴隷を連れてきますのでしばらくお待ちください」

 20分ほど時間が過ぎたころに扉がノックされる。

「失礼します。一つよろしいでしょうか? この店で一番若い娘なのですが7歳の娘が希望していますが、連れてきた方がよろしいでしょうか?」

「条件から外れていないなら連れてきて問題はないけど、そんな幼い娘までいるのか?」

「本来であれば、12歳ぐらいから上を取り扱うのですが、この娘は両親が魔物に殺されてしまって、親族もおらず1人で生活できないため、奴隷になってしまったのです」

 奴隷を買いに来ている俺がいうのもあれだが、人を取り扱うって言葉は何か嫌だな。

「何かご不快だったでしょうか?」

 いかん、どうやら不機嫌な顔になってしまっていたか。

「いや、そういった境遇の子供たちは多いんだろうかと思ってな。気にするな、俺の個人的な感傷だ。初めに言った条件に当てはまっていれば特に問題はない。もし問題があれば、購入予定に入れないだけだから気にしないで連れてきてほしい」

「了解いたしました。25名程希望している奴隷がいますので、時間がかかるとは思いますがよろしくお願いします。この部屋に連れてこれるのは十名ずつくらいになります。では、連れてまいります」

 一分もしないうちに扉がノックされる。

「お待たせいたしました。初めの9名を連れてまいりました。何か聞きたいことがございましたら直接お聞きください」

 奴隷商の主人が言っていたように、12歳くらいから上の娘たちのようだ。それにしてもどういう事だろう、普通に可愛いと思えるような子ばかりが並んでいる。学年で二番目とか三番目にモテるようなタイプの娘たちである。戦闘奴隷ではないのなら、見た目が重要なのだろうか?

「俺のところに来るとしたら、一度は戦闘訓練を受けることになるけどそこらへんは問題ないかな? もし適性がなくても、メイドとしてうちにいてもらうことになるから、適性がなかったから捨てるなんてことはないから安心して答えてほしい」

 娘たちの志望動機は大きく分けて3つあった。3人は戦闘奴隷として本当にやっていきたいと願っている事。4人は、適性があるなら戦闘奴隷としてやっていきたい。

 残りの2人は、できれば戦闘奴隷にはなりたくないがわがままを言っていられる状況ではないので、買っていただけるのであれば精一杯頑張るとのこと。

 ずっと奴隷商に居られるわけじゃないから、より良い条件の所に行きたいのだろうか? 初めの九名はイゴールに連れられて部屋の外へ出ていく。しばらくするとノックがあり、十二名連れて先ほどと同じ流れで話が進む。

 違うところといえば、みんな獣人だという事だろう。

 4人がシアンスロープ(犬人)、3人がライカンスロープ(狼人)、2人がキャットピープル(猫人)、2人がフォックスロープ(狐人)、1人がドラゴニュート(龍人)だった。

 同じ質問をすると、人間とは違い全員が戦闘奴隷を強く望んでいた。スキルがない為に戦闘奴隷にはなれず、ケモナーたちの愛玩奴隷になる可能性が高かったためか俺の話を聞いた時には全員がくいついた。

 ただドラゴニュートの女の子だけは、もし買っていただけるならお爺様も一緒に買ってもらいたいと言われた。そのお爺様は戦闘奴隷として売りに出されているが、他の戦闘奴隷に比べて年が高い為あまり見向きをされないとのこと。

 次に連れてこられたのは、訳アリの奴隷四人だった。

 一人目は、7歳の少女。二人目は、目が見えないが魔法が使える少女。三人目は、エルフで戦闘奴隷だが特殊な条件があったため買い手がなかなか見つからなかった少女。四人目は、少しやせ気味の人間の少女。

 前の二組と同じ質問をする。7歳の少女は、「怖いけど頑張ります」と。目は見えない少女は、「役にたちたいです」と一言。エルフの少女は、「条件に合ってるみたいなので買われてもいいです」と。4人目の少女は、「こんな見た目ですが、力は強いほうだと思います」と言われる。

 いったん全員に出ていただきカエデと相談する。

「カエデ、お前から見て害意のありそうな奴隷はいたか?」

「一番初めのグループの戦闘奴隷になりたいって言っていた3人はやめたほうがいいわね。精霊の血が否定してたわ。嘘をついている可能性が高いわね。最後の娘は戦闘に耐えられるとは思わないけど、嘘はついてなかったわね。それ以外の娘は見込みありだと思うわ」

「ん~初めのグループの3人は望みが薄いのか、嘘をついてる可能性があるなら候補から外すか」

 最後の娘は、マップでステータスを確認したところ状態異常に【英雄症候群(呪い】と出ていた。中二病をこじらせてしまった痛い娘に見えなくもないが、その他の状態異常に空腹と出ていた。

 何かの小説で、英雄症候群は筋肉密度が高いせいで基礎新陳代謝が異常に高く、その分しっかりと食べないとやせ細り死に至るという何かだった気がする。

「カエデ、最後の娘だけど英雄症候群という珍しい呪いにかかってるんだ。多分呪いを解くことはできないが、俺の知識が間違ってなければ相当高い戦力になるぞ」

「へーそうなの? で10人くらいって言ったけど何人買う予定なの?」

「値段次第だけど、初めのグループの3人を除いた22人と、ドラゴニュートの子が言っていたお爺さんを含めて買おうと思ってる。色々実験したいこともあるからな。もしダメでもシルキーやダンジョン農園、ダンジョン牧場の手伝いにも回せるしいいかなと」

「へー結構買うのね。まぁ無駄がないならそれでもいいんじゃないかな?」

 イゴールを呼び、23人の値段を聞くと。合計で2500万フランになるようだ。

 DPで召喚できる金額なので、収納の腕輪から取り出したような動きをして現金で一括払いをする。

 イゴールは、驚いた顔をしていたがすぐに商人の顔に戻り対応する。

 奴隷の譲渡が済み買った奴隷たちを連れて拠点へと帰った。
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