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穴蔵の底へ

この とびら を ちょうのうりょく で あけるんだ

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意外な反発(?)に遭い、ペイルガンも一瞬面食らったが、
「そう…まあいいわ。じゃあ先にあなたが戦う?私はどちらでもいいわ」
「いえ!わたしの戦場はここではないので!」
言い切りやがったな…茶長低無(仮)…。
いやまあ確かにお前との決着はラジ館脇のビルで付けてやるけどさ。
「話を戻すわね」
ペイルガンはこちらへ向き直り、
「取引をしたいのだけれど、いいかしら?」
「…何を、かは分からないけどまあ、そういうのがないんであれば、わたしを不意打ちしてただけだろうしね。話は聞く」
「ありがとう。…この扉の向こうには古の偉大なる王が眠っているわ。…その偉大なる業績に見合う財宝と共に、ね。ただ、得るためには乗り越えないといけない障害がある…」
ようやくソレっぽい話になってきたな。
「王は生前、常に攻コス全振りであらゆる敵を征服したわ」
…既に話が怪しくなってきたな…
「移動のスタミナもままならないほどに。守コス振りは悪!とまで言い切るほどで、王国全盛期に作られた絵画や彫刻には『守コスに振るよう進言した家臣を処刑する王』をモチーフにしたものがいくつもあるわ」
後ろで茶長低無がうんうん頷いてる…マジなのか…
「攻め込んでくる敵さえ居なければ守コス不要!の言葉通りに王は全土を征服し、長く平和な治世が訪れたわ。そして、王は天寿を全うする前に、ある恐るべき計画を実行した。一生に一度だけ使う事を許された「コスト振替チケット」を使い、それまで積みに積み重ねた攻コス全てを守コスへ転化させたのよ!」
…はー…
いや、凄い事なのかも知れんがちょっとなに言ってるかわかんない。
「そして人生の最後に守備フロント編成を組み直した…守備力が飛び抜けて高い奴や、守備用の特殊なスキルを持つ五人で組まれた王墓の番人。通称『冥界の門の守フロ』よ」
なんか民間に伝わる伝承みたいに言ってるけど守フロでダメだった。
「つまりそいつらを倒してお宝ゲットしてずらかりたい、って事でいいの?」
「うん」
ペイルガンは頷いた。
「となると後は取り分か…でもどうせアレでしょ?凄い特殊アイテムが一個だけあって後はやるわ!みたいな展開だけど、その一個が世界を支配出来るみたいな奴で…」
「あなた私の立場知らない訳でもないわよね?」
…最高神の教主で国王に匹敵する権力者だったわコイツ。
「でも確かに、取り分の話にはなるわね。私があの中に欲しい物があるのは事実だけど、守フロを蹴散らしてあなたが先に入る以上、あなたにお宝を先に選ぶ権利はあると思ってる」
譲歩せざるを得なくなったなコレ。
多分守フロ撃破をわたしにさせようってのは当初からの予定だったんだろうけど、本当は大勢で囲んで「殺されたくなければやれ!」する気だったんだろうな。
「ちなみにあなたはなにが欲しいのさ?」
わたしは素直にペイルガンに聞いてみた。答えるとも思わないが。
「…思い出の品、ってところね。具体的に何かの魔力がある、とかではないわ」
そう言ったペイルガンの表情はどこか寂しげであった。
「なんかずりーなぁ、そういうの。まあいいわ。チャチャっと片付けりゃいいんでしょ。んでお宝ゲット。話は単純だったわね」
よくよく考えると盗掘阻止に来たんじゃなかったっけ?とも思ったが、まあペイルガンとやり合ってケガするのも馬鹿馬鹿しいから、とりあえずペイルガンのやりたいであろう、ある程度まではやらせるか…
決して、わたしが「なになに、守コス全振り?面白いじゃん?いっちょやってみっか!」という軽い気持ちで戦いたい訳ではない。断じて無い。
「と、油断したわたしを後ろから…ってのはナシね、頼むよ!?」
わたしがペイルガンに言うと、
「当然よ、キミを倒すのはわたしなんだから、手出しはさせないわ…ていうかそんな卑怯な真似しないわ!」
茶長低無が何か言ってる。
「…なんでお前が答えてんだ…まあいいわ。頼むで」
そしてわたしは玄室の扉をゆっくりと押し開いた…。
中は薄暗くカビ臭い匂いが充満していた。空気の流れがかなり長い期間なかったのだろう。まあ墓所内で換気もクソもないか。
扉が開くと、室内の天井に薄明かりが灯るように全体的に輝きだした。
室内は中々に広いようだ。
部屋の奥には祭壇らしいものが鎮座し、
その前には四人の人影があった。
あれが守フロ…?
しかし…
明らかに、わたしのこの外見にも近いような「女の子」が四人並んでいるだけだ…。
ペイルガンや茶長低無のように武装をしている訳でもなく…
ただ、あの服装のセンスは物凄く近々で見たようにしか…
要は、マイナと同じような服装の、マイナぐらいの見た目の女の子が四人並んでいるのだ。
「脚鎧だけは王のものか」
「ここへ至るだけの事はある」
四人が全く同じ歩様で、ゆっくりと歩いて近づいて来た。
左端の奴から順に話をしながら。
「だがこの見た目に惑わされていると見える」
「甘い甘い」
一番右端の女の子の全身から白い気炎のようなものが立ち昇る…
「!?」
かと思うと、急に足元から力が抜けるような感覚に襲われた。
一番左端の女の子からは青い気炎が立ち昇っていた。
「我らには侵入者を倒す程の力は無い」
「だが侵入者にも我らを倒す事は出来ぬ」
「分かるかね?」
左から二番目の女の子がわたしの前まで駆けて来た。カウンター気味に放ったわたしの必殺の刃は、女の子の体に当たる事は無かった。見えざる壁に阻まれた、と感じた。
この戦い、長くなりそうだ…
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