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一章 白い光に包まれて
18.真子と誠-2
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こちらの世界に来る直前の話を真子が語り終えると、アレクセイは静かに真子に尋ねた。
「マーコはどうしたい?」
「……わからない。お母さんやお父さん、友達とか、みんなにもう二度と会えないと思うとさみしい」
真子が膝に置いた手をギュッと握ると、アレクセイがその上に自分の手を重ねて置いた。
大きな手のひらがあたたかかい。
「でも、元の世界に戻って、また兄の、誠の代わりにされるのは、もう嫌だ。何をするのにも、お母さんが気にいるかどうかを考えないといけなくて……。あそこで私はずっと息ができなかった。どこか違う世界に行きたいってずっと思っていた。だから……だから、ここに来たのかもしれない」
真子は思いの丈を一気に吐き出した。
「私、お母さんに私がどうしたいかなんて聞かれたことない。……私は、私の気持ちがわかってなかった」
ポソリとつぶやいてから、真子は下を向いて肩を落とした。
「マーコ、あなたに口づけても良いか?」
「え?」
頭の上から降ってきた言葉に驚いて、つと真子は顔を上げてアレクセイを見つめた。
真子の髪飾りの鈴が小さくリィンと鳴った。
「あなたの哀しみをなぐさめさせて欲しい」
アレクセイのあたたかい大きな手のひらがゆっくりと真子の頬を撫でた。
真子はその時やっと、自分が涙を流していることに気づいた。
「あれ? 私、いつもは、全然泣かないのに。あ、あれかな? アレクセイさんとは、最初に会った時に、泣いているとこ見られちゃったから、だから、気が緩んじゃうのかな」
「マーコ」
アレクセイは両手で真子の顔を包み込みながらそっと上を向かせると、おでこを重ねて真子の目を覗き込んだ。
アレクセイの金色の目に懇願するような熱を感じて、真子は了承の意味を込めてゆっくりとまぶたを閉じてから小さくうなずいた。
アレクセイは真子の頬に優しくキスを落とし、その涙を吸いとった。
それでも真子の涙は止まらず、アレクセイは何度も何度も真子の頬にキスを降らせた。
真子の目尻にキスを落として涙を吸って、額に、鼻の頭に、こめかみに、と顔中にキスを落としていく。
そのキスが真子の唇の端をかすめ、真子が身体をピクリと震わせる。
アレクセイは一度身体を離すと、つと人差し指で真子のあごを持ち上げて、自分の唇を静かに真子の唇に重ねた。
一度目はちょんと軽く触れるだけで、一呼吸置いてからの二度目はもう少し長くグッとその唇が押しつけられた。
唇が静かに離されて、真子はアレクセイに優しく抱きしめられた。
あたたかい腕の中は心地よくて真子はそのままアレクセイに身体を委ねた。
アレクセイは真子の背中を大きな手のひらでゆっくりと撫で続けた。
「マーコ」
アレクセイがなだめるように何度も真子の名を呼び、その低く落ち着いた声は小さな鈴の音と共に真子の耳に心地よく響いていた。
「マーコはどうしたい?」
「……わからない。お母さんやお父さん、友達とか、みんなにもう二度と会えないと思うとさみしい」
真子が膝に置いた手をギュッと握ると、アレクセイがその上に自分の手を重ねて置いた。
大きな手のひらがあたたかかい。
「でも、元の世界に戻って、また兄の、誠の代わりにされるのは、もう嫌だ。何をするのにも、お母さんが気にいるかどうかを考えないといけなくて……。あそこで私はずっと息ができなかった。どこか違う世界に行きたいってずっと思っていた。だから……だから、ここに来たのかもしれない」
真子は思いの丈を一気に吐き出した。
「私、お母さんに私がどうしたいかなんて聞かれたことない。……私は、私の気持ちがわかってなかった」
ポソリとつぶやいてから、真子は下を向いて肩を落とした。
「マーコ、あなたに口づけても良いか?」
「え?」
頭の上から降ってきた言葉に驚いて、つと真子は顔を上げてアレクセイを見つめた。
真子の髪飾りの鈴が小さくリィンと鳴った。
「あなたの哀しみをなぐさめさせて欲しい」
アレクセイのあたたかい大きな手のひらがゆっくりと真子の頬を撫でた。
真子はその時やっと、自分が涙を流していることに気づいた。
「あれ? 私、いつもは、全然泣かないのに。あ、あれかな? アレクセイさんとは、最初に会った時に、泣いているとこ見られちゃったから、だから、気が緩んじゃうのかな」
「マーコ」
アレクセイは両手で真子の顔を包み込みながらそっと上を向かせると、おでこを重ねて真子の目を覗き込んだ。
アレクセイの金色の目に懇願するような熱を感じて、真子は了承の意味を込めてゆっくりとまぶたを閉じてから小さくうなずいた。
アレクセイは真子の頬に優しくキスを落とし、その涙を吸いとった。
それでも真子の涙は止まらず、アレクセイは何度も何度も真子の頬にキスを降らせた。
真子の目尻にキスを落として涙を吸って、額に、鼻の頭に、こめかみに、と顔中にキスを落としていく。
そのキスが真子の唇の端をかすめ、真子が身体をピクリと震わせる。
アレクセイは一度身体を離すと、つと人差し指で真子のあごを持ち上げて、自分の唇を静かに真子の唇に重ねた。
一度目はちょんと軽く触れるだけで、一呼吸置いてからの二度目はもう少し長くグッとその唇が押しつけられた。
唇が静かに離されて、真子はアレクセイに優しく抱きしめられた。
あたたかい腕の中は心地よくて真子はそのままアレクセイに身体を委ねた。
アレクセイは真子の背中を大きな手のひらでゆっくりと撫で続けた。
「マーコ」
アレクセイがなだめるように何度も真子の名を呼び、その低く落ち着いた声は小さな鈴の音と共に真子の耳に心地よく響いていた。
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