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一章 白い光に包まれて
9.魔術騎士-2
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「あの、この世界って、みんな、男装したり女装したりしなきゃいけないの?」
「え? あぁ、違う違う! ほら、見て」
アレクサンドラが指した先には、他のテーブルに給仕をしているお姉さんがいた。
お姉さんは両肩と胸をギリギリまで見せるようなオフショルダーの上衣を着ていて、お姉さんの胸は本物のように見えた。
また給仕されている筋肉質の男性も上衣のボタンを半分ほど開けて立派な筋肉を見せていて、見た目と中身の性別に差がないように見えた。
「え~と、ミラーシアでは魔術士は本来の性別とは逆の格好をするのよ」
「つまり私たちはただの騎士じゃなくて、魔術騎士ってわけ」
アレクサンドラの言葉をジェーンが補足する。
「魔術騎士……?」
「魔術騎士は貴重なんだよ」
「そうそう。ミラーシアには私たちしかいないしね」
マリーベルとジェーンが教えてくれるが、真子にはその凄さがいまいちピンとこなかった。
よくわからないけれど、とりあえず皆が女装するわけではなく、彼女ら(彼ら?)が特別らしい。
真子は自分の恰好を眺めて不思議に思った。
「えっと、じゃあ、なんで私はこの格好? これ、男の人の格好だよね?」
「知り合いが誰もいない所で、カワイイ女の子が一人でいたら危ないでしょう?」
「か、カワイイって!」
「ふふ、マーコはカワイイわよ。カワイイ、カワイイ」
アレクサンドラは真子の頭をぐりぐりと撫で回した。シルヴィオが落ち着いた静かな声でアレクサンドラに賛同した。
「王宮に着くまではその方が安全でしょうね。女の子らしい服はその後にでも用意しましょう」
「あ、えっと、女の子らしい恰好は苦手だから、このままでいいよ……」
「そうなの? 似合うと思うんだけど」
「このままで良いから!」
思わず大きな声を出してしまって真子はあわてて口を押える。
アレクサンドラがポンと大きい手を真子の頭に乗せた。
「そうね、マーコの好きな格好をするのが一番よね」
「あの、ごめんなさい……」
せっかく親切にしてもらっているのに申し訳なくて真子が謝ると、アレクサンドラはにこりと笑ってからポンポンと優しく頭を撫でた。
(それにしても性別と逆の格好をすると言うことは……?)
「……もしかして、シルヴィオさんは女の人?」
シルヴィオは小さくうなずくと、にっこりと優雅に微笑んだ。
「何か困ったことがあったら言ってくださいね」
真子は改めて華やかな美女集団をぐるりと見回した。
「こんな美女揃いなのに男の人だなんて……」
「ふふ、今夜、ベッドの中で確かめてみる?」
ジェーンが真子のあごに手を当ててクイと顔を自分の方に向けさせて、上衣の首元に手を当てて脱ぐ真似をする。
「こら、ジェーン!」
アレクサンドラがジェーンの腕をつかんで、真子のあごから手を外させた。
ジェーンはまたケラケラと笑っていた。
「ふざけるのもいい加減にして、さっさと食べて行くわよ」
「はーい」
カイラが不機嫌な声を出して急かすので、皆で急いで朝ごはんを食べた。
外に出ると赤い馬には二人乗りの鞍が乗せられていた。
「今日はちょっとスピードを出すから気をつけてね」
二人乗りの鞍は前の部分が掴めるようになっていて、真子はしっかりと握りしめた。
アレクサンドラは真子の背中をアレクサンドラお腹にぴたりとくっつけてから、落ちないようにしっかりとベルトで繋いだ。
「ハッ」
アレクサンドラが掛け声をかけて赤い馬を走らせ始めると、馬は風のように走り始めた。
昨日まではだいぶスピードを緩めてくれていた事がわかる。
真子は振り落とされないように必死で鞍に掴まった。
目の端を流れるように消えていく景色の中で様々な家や人の姿が見えたが、それはやはり真子が今まで見たことのない色や形、格好をしていた。
真子はなんだか不思議な気分だった。
「え? あぁ、違う違う! ほら、見て」
アレクサンドラが指した先には、他のテーブルに給仕をしているお姉さんがいた。
お姉さんは両肩と胸をギリギリまで見せるようなオフショルダーの上衣を着ていて、お姉さんの胸は本物のように見えた。
また給仕されている筋肉質の男性も上衣のボタンを半分ほど開けて立派な筋肉を見せていて、見た目と中身の性別に差がないように見えた。
「え~と、ミラーシアでは魔術士は本来の性別とは逆の格好をするのよ」
「つまり私たちはただの騎士じゃなくて、魔術騎士ってわけ」
アレクサンドラの言葉をジェーンが補足する。
「魔術騎士……?」
「魔術騎士は貴重なんだよ」
「そうそう。ミラーシアには私たちしかいないしね」
マリーベルとジェーンが教えてくれるが、真子にはその凄さがいまいちピンとこなかった。
よくわからないけれど、とりあえず皆が女装するわけではなく、彼女ら(彼ら?)が特別らしい。
真子は自分の恰好を眺めて不思議に思った。
「えっと、じゃあ、なんで私はこの格好? これ、男の人の格好だよね?」
「知り合いが誰もいない所で、カワイイ女の子が一人でいたら危ないでしょう?」
「か、カワイイって!」
「ふふ、マーコはカワイイわよ。カワイイ、カワイイ」
アレクサンドラは真子の頭をぐりぐりと撫で回した。シルヴィオが落ち着いた静かな声でアレクサンドラに賛同した。
「王宮に着くまではその方が安全でしょうね。女の子らしい服はその後にでも用意しましょう」
「あ、えっと、女の子らしい恰好は苦手だから、このままでいいよ……」
「そうなの? 似合うと思うんだけど」
「このままで良いから!」
思わず大きな声を出してしまって真子はあわてて口を押える。
アレクサンドラがポンと大きい手を真子の頭に乗せた。
「そうね、マーコの好きな格好をするのが一番よね」
「あの、ごめんなさい……」
せっかく親切にしてもらっているのに申し訳なくて真子が謝ると、アレクサンドラはにこりと笑ってからポンポンと優しく頭を撫でた。
(それにしても性別と逆の格好をすると言うことは……?)
「……もしかして、シルヴィオさんは女の人?」
シルヴィオは小さくうなずくと、にっこりと優雅に微笑んだ。
「何か困ったことがあったら言ってくださいね」
真子は改めて華やかな美女集団をぐるりと見回した。
「こんな美女揃いなのに男の人だなんて……」
「ふふ、今夜、ベッドの中で確かめてみる?」
ジェーンが真子のあごに手を当ててクイと顔を自分の方に向けさせて、上衣の首元に手を当てて脱ぐ真似をする。
「こら、ジェーン!」
アレクサンドラがジェーンの腕をつかんで、真子のあごから手を外させた。
ジェーンはまたケラケラと笑っていた。
「ふざけるのもいい加減にして、さっさと食べて行くわよ」
「はーい」
カイラが不機嫌な声を出して急かすので、皆で急いで朝ごはんを食べた。
外に出ると赤い馬には二人乗りの鞍が乗せられていた。
「今日はちょっとスピードを出すから気をつけてね」
二人乗りの鞍は前の部分が掴めるようになっていて、真子はしっかりと握りしめた。
アレクサンドラは真子の背中をアレクサンドラお腹にぴたりとくっつけてから、落ちないようにしっかりとベルトで繋いだ。
「ハッ」
アレクサンドラが掛け声をかけて赤い馬を走らせ始めると、馬は風のように走り始めた。
昨日まではだいぶスピードを緩めてくれていた事がわかる。
真子は振り落とされないように必死で鞍に掴まった。
目の端を流れるように消えていく景色の中で様々な家や人の姿が見えたが、それはやはり真子が今まで見たことのない色や形、格好をしていた。
真子はなんだか不思議な気分だった。
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