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118.繁殖期祭の夜は、まだ長く・・・後編

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嘘は言っていない。

此処で、どうやばかったんだと聞かれたら困る為、2人の活躍で締めくくっておいた。

それですんなり納得した赤毛。

しかも、やっぱ不慮の事故で侯爵を殺しとけば良かったか・・と恐ろしい独り言をポツリと吐いた。

そして私に向き直り、皇太子の忍耐の強さとケンダロスの口の悪さに感謝だなと言って、私の乱れた髪を両手でとかしながら耳にかけた。また、顔を引き寄せちゅっちゅと音を鳴らして口や瞼にキスをしてくる赤毛。

瞼なんかにもするから、目を瞑ったままキスを受けいれる。手もち無沙汰な両手をどうしたらいいか分からずだらんとさせて居たら、その手を掴んで自分の首に廻させた。

赤毛がまた、私を抱き込む形で押し倒した。


『///ん、ん、ん?・・ちよっ、ちょっとタンマ!だから、交尾はっ、きゃ・・ん』

服の上から胸にかぶりつかれる。赤毛の舌がピンと立った頂きを探るようにその口の中で這わす。はっきり言おう・・処女に対して///マジ厭らしすぎるわっ!しかも片方の頂きは指で挟むように揉まれてるしっ!もう一度文句を言おうとしたら、逆に向うからまた文句が出た。


「あ゛ー!何でこんな色気のない格好なんだよ?!しかも、下着があってねぇ!パツパツじゃねぇか・・。こんなのしてたら胸を押さえられて形くずれんだろうが、折角形のいい胸が勿体ねぇ!!…ん?ん?あれ?!でかくなったつう事か?!!」


そうなのだ・・・、この頃下着がきつい。多分DからEに移行したと考えられる。

因みに赤毛が言った色気のない格好とは、パジャマ・・・に腹巻だ。

ネグリジェはどうしても、寝相が悪いせいか胸の所までたくし上げられ、腹が冷えた。

その為、ラムス家御用達の仕立て屋に頼んでパジャマと毛糸の腹巻を作ってもらった。

出来上がった物を見て、私に絵心が無かった事を恨んだ。

襟付きをやめて、丸首にした事が仇となり、ダボシャツとステテコのようなパジャマが出来上がっていたからだ。それに腹巻をすれば、志村けんの変なおじさんの出来上がりだ。

そんな事を思ってる間にダボシャツのボタンをブツブツ言いながら外していた赤毛。一連の作業がスムーズ過ぎて、下着が露わになるまで気づかんかった。

慌てて突っ込む。


『おい、何してんねん』
「ん?窮屈そうだから胸を解放しないとな。それとこんな色気のない服、ヤル方の俺が萎えるだろう…。後、口一杯に被り付いても、はみ出す生乳って……男のロマンそのものだ。そこは察しろ」


そう言って舌舐めずりしたスケベ。


『///お、お、お前はーー!!』
「上はがっつり食わしてもらうとして、下は先っぽだけでいいから、なっ?あっ、やっぱり無理しても半分まで入れさせてくれ。先っぽだけだと処女膜まで到達できねぇし・・。一応俺のもんになった証として破瓜はしてもらわねぇとな・・・」
『何が半分まで入れさせてくれやねん!拒否るわ!』
「何で?俺じゃ嫌か。結構嬢ちゃんと俺って合ってると思うが・・・。それに今ならヒューズもついてくんぞ?」
『ヒューズをおまけみたいに言うな!』
「じゃあ聞くが、好きでない男に何で此処が湿気てんだ?」


そう言って油断していた無防備なお股を下着越しとはいえ、筋をつぅーっとなぞられた。フィニッシュに下着の横から指を入れられ、あろうことかあそこを直で触られる。『あ゛っ!』またしても隙をつかれ驚きの声が出る。しかもその指を目の前に持って来て「ほら、なっ?!」と私に同意を求めて来た。


『///お前はー!!何でそうデリカシーが無いねん!』


そしてデリカシーの無さに追い打ちを掛けるように、指をべろっと舐めて「お漏らしの味じゃねぇな」って厭らしく言いやがった。

殴ろうとしたら「おっと・・」と言って笑いながら交される。

じゃれ合いのような攻防でどったんばったん暴れていたら、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
その途端、私等は、"ぼんさんが屁をこいた※"状態で固まる。


「トーカ?起きているのか?!少し話がしたいのだが。トーカ?聞こえているか」
『!』
「!」


その声はゲル様やった。


『赤毛、お前バルコニーにちょっと出てろ!』
「おい、嬢ちゃん。何で隠れなきゃなんねぇんだ?!これじゃまるで間男見てぇじゃねぇかよ!!いでっ!!」
『いいか赤毛、絶対そこ動くなや!これは、主人としての命令やからな!ステイやぞ!ステイ!!』


赤毛をバルコニーに蹴飛ばして、乱れた服と髪を正して慌ててドアを開けに行く。


『何か用か?』
「・・・・・・・・・・」


私の恰好を見て、何かを期待していた目が死んだ目になった。
寝間着なんて見せるもんとちゃうし油断してた私も悪いが・・そこまでな顔を赤毛といい立て続けにされると、へこむやないか・・・。仕方ない、今度から腹巻だけでもやめとくか。

そして、自分の動揺を隠すように、どもって声を出したゲル様。

「なっ、な、な、何かあったのか?暴れていたような音がしたが・・・」
『・・・・バルコニーから蝙蝠が入って来て、追い払ってただけや。ほんで、こんな時間に話って何や?大事な話じゃなかったら、明日にしてくれるか今日はもう疲れた・・・』
「すまぬ…。どうしても気になって…このままじゃ眠れそうにない。すぐ済む、悪いが中に入れてくれないか。此処は目立つ故……」


何かあったら、バルコニーにいる赤毛が出てきよるやろ…。そう思って、ゲル様を中に入れる。横を通ったゲル様を見ると風呂に入ったばかりなのか、髪の毛が濡れていた。

ちゃんと拭いてこいよ…。

ゲル様にソフォーに座るように言うと、私は浴室からタオルを取って来る。


『ちゃんと拭かんかったやろ。肩んとこ水滴で濡れてるやん。ほれ、これでごしごし拭いとき』


そう言ってタオルを渡した。


「すまぬ・・・。」


こいつもさっき眠れんって言いよったな・・。私は疲れて寝む寝むやのに・・。


『で、聞きたい事って何やねん?』


ゲル様の真向かいに座ってそう聞くと、ボソボソと言葉を言うゲル様。


「そ、その・・だな・・・・・・・ない・・と思っていいのか?」
『ごめん、小さすぎて聞こえんかった。もう一遍言うてくれるか』


真向いのソファー越しに身を乗り出して耳を突き出した。


「だから・・、その・・、皇太子と・・・・・ないと思っていいのか」


モゴモゴ言うゲル様にイライラして大阪人独特の言い回しで注意してみた。


『その風呂ん中で屁こいたみたいな喋り方やめてもらえるか。大きな声ではきはき言うてくれ』


その途端、大きな声ではきはき言われる。しかも、怒鳴り気味に言われた。



ヤッタ・・・のかと聞いたのだ!!」


デジャブである。赤毛にも同じ事を聞かれた。

この流れに嫌なものを感じ黙っていると、誤解したゲル様に余裕が無くなった。


「っつ!やはり!!危うい所までヤッタのだな?!・・・健太から媚薬を使われ、ほぼ未遂と聞いたが・・。何処まで・・、何処までヤッタのだ!!言えぬ所までかっ!?」


そう言って、ソファーから立ってジワジワ寄って来るゲル様。私もソファーから立ち上がり逃げるように後ろに下がった。

赤毛、もしもの時は頼むぞ!そう思ってバルコニーのへりに私が蹴ったままの状態でこっちを見てる赤毛にアイコンタクトを送っておく。そして赤毛に向かって"頼むぞ"的に親指を立てた。赤毛もスタンバってる。安心してゲル様と対峙するため、後ろにずさるのを止めた私。




"さぁ、隙が有ったら掛かってこんかい!"



この時の私は重大な事に気づいていない。
その自分がやらかした重大な事を知るのは、長い長い夜が明けてからだった・・・・。

そして・・繁殖期祭りの夜はまだまだ長い──────と、思い知らされる。


※ぼんさんがへをこいたとは、関東地方でいうだるまさんが転んだです。大阪人は何につけても屁に繋がる言葉が好きです。ボソボソ喋る奴には、風呂の中でブクブクおならをしたみたいな言い回しで「風呂ん中で屁こいたみたいに喋んな」と言い、解散する時や一日の最後に掴みを取りたい時に「家帰って屁こいて寝よ」「イモ食って屁ぇこいて寝よ」を使い、脅すときは「屁かますぞ」などなど・・。因みに、私の地域では、ぼんさんがへをこいたは、「ぼんさんが屁をこいた。匂いだら臭かった」までありました・・・。(笑)次回はゲル様回だ。。。
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