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27.群がるオスども

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『はぁー、さっぱりした!』


そう言って風呂から出た私。

『自分が匂わんようになったら、今度はこの部屋に残った匂いが気になるなぁ…、窓でも開けて空気入れ替えとこか!』

そう言ってバルコニー付きの窓を全開にした。
夜風も入って来て、空気の入れ替えに丁度良くベットでくつろぐ。

『しかし、明日もこれをあそこ・・・に塗らなあかんと思ったら気が重いな』

小瓶を持ちながら、明日からのザルビア観光にげんなりする。下腹も少し痛くなってきたし、憂鬱さ倍増である。

部屋のどぶ臭さも無くなり、さて窓を閉めようとした時、表が五月蠅いのに気が付く。間違いなくマルクスの声が聞こえる。ギルスさんの声もするような?表には出るなと言われてるし・・・、どうしたものかと扉前で思案していると、はっきりとマルクスの声が聞こえた。

「もう限界だー!!」

その叫びと同時に扉がけ破られた。
扉前にいた私はあんぐりである。
そして存分に後ろにたじろぐ私・・・。

まずギラギラしたベルさんが目につき、次にクロード皇太子にゲルのおっさん・・それになんでか、ババチビリまでおった。その後ろでは、壁に打ち付けられたギルスさんとザルビアの騎士達に、マルクス諸々。まるで人のゴミ溜めみたいになっていた。

『こ、こ…これは、どういう事や!説明を求ムぞ!!マ、マルクスー!!』
「いってぇ…、お前のせいだろうが!!何、窓開けてんだよ!!匂いを表に出せば隣りにいる俺達に行きつくって思えよ!!このアホがー!!」

『・・・///き、気づかんかった』

じりじりとオス共が私に近づく。間違いなく貞操の危機である。しかも、3Pならぬ5Pの可能性が出て来た。いや、この場合取り合いの争いになるのか?

そう考えてる最中にも、私との間合いを詰めてくるオスども・・・。
しかし、ベルさんは分かる。何故クロード達も混じってんねん。特にあまり接点のなかったババチビリ、お前に一番聞きたいわ!!喧嘩には自信があるが、こういう追い込まれ方は何か違う気がする…。この雰囲気に勝てる気がせんのは何でやろう。ラムスのおっさんの時はおっさん1人に集中すれば良かったが、こうギラギラしたオスがいたら、怖すぎるで。気絶するぐらい殴らんと、ゾンビのように復活しそうでゾクっとした。クロード皇太子の手が伸びて私の腕を取る。

思わず『ひっ!!』と声が出て、手を振り上げる。それをマルクスが止めさせた。

「やめろバカ!ここの皇太子だぞ!」

そう言われて殴る手が止まる。その間にも、ゲルやベルナール、ババチビリまでの手が伸びてきてベットに抑え込まれた。

『がぁー、また噛まれたー!!ちょっ…、///手が出せへん私はどうなんねん!!』

揉みくちゃになりながらマルクスに聞く。

「・・・・」
『///黙るなや!!』


マルクスの横にいたギルスさんが、慌てて復活した騎士達を連れ私の方に来た。
誰の手が何処を触ってるか分からんぐらい、8本の触手地獄を味わってる私。

『ちょっ、やめ!!///ギャー!!どこに手を入れてんねん!!この手は誰や!!///後でコロスー!』


騎士達が自分の皇太子と上司、そして他国の王弟やその家臣に手が出せる訳はなく、ただただひっぺ剥がそうとするだけで埒が明かなかった。私は必死に手を伸ばす。隙間から見えた一筋の光に必死だ。漸くそれに手が届き、思いっきりそれぶちまけた。

その途端、全員が鼻を押さえた。液体がかかった人間は、悶絶打っている。
服も髪もボロボロの私が正気に戻った連中に怒鳴る。



『お前等4人、そこに正座せぇ!!!!』



肥溜め臭い部屋で説教を始める私。

『お前等の盛り、強烈すぎて引いてまうわ!!!』
「「「「、、、」」」」
『そこまで溜まってんねんやったら、どっかで何遍でも抜いて来い!それか自慰しとけ!!』

「///お前・・・、言ってて恥ずかしくねぇか?」
『マルクスもマルクスや!何やねん!!殴ろうと思った所止めといて、後は知らんみたいに黙りやがって!』
「・・・言わせてもらうが、事の発端はお前だからな!周りを見てみろ!!」

指を指されて周りを見渡す。ズタボロの騎士と壊れた調度品…それに、け破られた扉がそこにあった。
皆がじと目で私を見てる。
ん、雲行きが怪しくなってきた。発端は確かに私やな。それは自覚がある。
となると、そんな私が説教できる立場ではないということになる。
ならば正座させてしまったこの雰囲気をどう"解散"的な状況に出来るかを考えた。

「今更失敗したみたいに、考えてんじゃねーよ!!」

私の考えてることが顔に出てたみたいで、マルクスに速攻突っ込まれた。
その後有難いことに、ギルスさんが指揮を執って部屋を片付けて行く。
正座させられていた面子も、取りあえず風呂に入りにすごすごと退室していった。
そして、私はここでは寝れないため別部屋を用意され、そこに連れて行かれた。

部屋に着き今度は同じ轍を踏まぬよう、もう一度風呂に入っても、空気の入れ替えと言って窓を開けなかった私。

悪臭漂う部屋の中、我慢してベットで目を瞑って寝た。
案の定私は、肥溜めのようなどぶ川で溺れる夢を見た・・・。
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