40 / 81
第3章 Challenge
疑問
しおりを挟む
「相原くんの好きな音は何?」
水瀬は、ふと僕にそんな質問を投げかけた。
「僕の、好きな音…?」
何だろう。考えたことがなかった。
僕には、好きだと思える音があるのだろうか。そうして暫く考え込んでしまった。そんな僕に対して、水瀬は言葉を続ける。
「好きな音がなかったら、自分で自分が好きな音を出せるようにする、とか」
「…あぁ。なるほどな」
確かに、今の僕には、それが一番いいのかもしれない。少しだけ心が軽くなった。
「そうしてみる。ありがとう」
「うん。頑張ってね」
水瀬のエールに、僕は少し嬉しくなった。水瀬のためにも、クラスの皆のためにも、最高の伴奏ができるようにしよう。
「水瀬のクラスって発表順何番目?」
「1番目」
「トップバッターか。僕のクラスは2番目」
「おっ、相原くんの前かぁ。頑張ろっ」
「あぁ、僕も頑張る」
「相原くんの伴奏、楽しみにしてるね」
本番前に、水瀬と少し話せるかもしれない。
水瀬が近くにいることが、こんなにも心強いだなんて。僕にはもう、水瀬が居ないと駄目なんだな、と改めて思う。
それに、「楽しみにしてるね」、か。
僕の演奏を楽しみにしてくれる人がいる。そんな事実が、僕の心に喜びをもたらした。もうあの時とは違うのだと、証明してくれる。
水瀬は、ふと僕にそんな質問を投げかけた。
「僕の、好きな音…?」
何だろう。考えたことがなかった。
僕には、好きだと思える音があるのだろうか。そうして暫く考え込んでしまった。そんな僕に対して、水瀬は言葉を続ける。
「好きな音がなかったら、自分で自分が好きな音を出せるようにする、とか」
「…あぁ。なるほどな」
確かに、今の僕には、それが一番いいのかもしれない。少しだけ心が軽くなった。
「そうしてみる。ありがとう」
「うん。頑張ってね」
水瀬のエールに、僕は少し嬉しくなった。水瀬のためにも、クラスの皆のためにも、最高の伴奏ができるようにしよう。
「水瀬のクラスって発表順何番目?」
「1番目」
「トップバッターか。僕のクラスは2番目」
「おっ、相原くんの前かぁ。頑張ろっ」
「あぁ、僕も頑張る」
「相原くんの伴奏、楽しみにしてるね」
本番前に、水瀬と少し話せるかもしれない。
水瀬が近くにいることが、こんなにも心強いだなんて。僕にはもう、水瀬が居ないと駄目なんだな、と改めて思う。
それに、「楽しみにしてるね」、か。
僕の演奏を楽しみにしてくれる人がいる。そんな事実が、僕の心に喜びをもたらした。もうあの時とは違うのだと、証明してくれる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
本当の春
あおなゆみ
青春
僕たちは、自分を何と呼べば良いのかも分からない曖昧な存在で、それでも、出会いたいと願う一人がいて、それなのに、出会ってしまえば臆病になって手放す始末だーーー
高校入学に合わせて東京から引っ越してきた西山くんと、クラスに馴染めない浅田さんは、お互いの優しさを頼りに親しくなる。
北海道の本当の春の中、自然と始まった二人の下校時間は、穏やかで、優しい時間だった。
でも、恋とか友情だと断定しない、曖昧な関係を続ける二人には、当たり前のように噂が流れ始めてしまう。
本当の自分が何なのかも分からない不安定さは、穏やかな青春さえも奪ってゆく。
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
深海の星空
柴野日向
青春
「あなたが、少しでも笑っていてくれるなら、ぼくはもう、何もいらないんです」
ひねくれた孤高の少女と、真面目すぎる新聞配達の少年は、深い海の底で出会った。誰にも言えない秘密を抱え、塞がらない傷を見せ合い、ただ求めるのは、歩む深海に差し込む光。
少しずつ縮まる距離の中、明らかになるのは、少女の最も嫌う人間と、望まれなかった少年との残酷な繋がり。
やがて立ち塞がる絶望に、一縷の希望を見出す二人は、再び手を繋ぐことができるのか。
世界の片隅で、小さな幸福へと手を伸ばす、少年少女の物語。
からふるに彩れ
らら
青春
この世界や人に対して全く無関心な、主人公(私)は嫌々高校に入学する。
そこで、出会ったのは明るくてみんなに愛されるイケメン、藤田翔夜。
彼との出会いがきっかけでどんどんと、主人公の周りが変わっていくが…
藤田翔夜にはある秘密があった…。
少女漫画の主人公みたいに純粋で、天然とかじゃなくて、隠し事ばっかで腹黒な私でも恋をしてもいいんですか?
────これは1人の人生を変えた青春の物語────
※恋愛系初めてなので、物語の進行が遅いかもしれませんが、頑張ります!宜しくお願いします!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる