鍵盤上の踊り場の上で

紗由紀

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第3章 Challenge

そんな日々

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「…っていう感じかな」
「そんなことがあったんだな」
水瀬の今までの過去が少しだけわかって、水瀬が更に人間らしく見えた。音楽に関する過去は違えど、僕らは同じ痛みを分かち合えた同士だ。
「うん。だから、病気には感謝してる。私を音楽に出会わせてくれたから」
自分を苦しめた病気のことさえも、「感謝してる」と言えるなんて。僕なら絶対に言えない。そんな明るさが、どこまでも希望を見出してしまう強さが、水瀬らしいと改めて思った。
「それに、君とも会えたし、一石二鳥」
水瀬はそう言って、ニカッと笑った。その言葉と仕草に、僕の胸は高鳴った。無意識に顔を背けてしまう。
「えっ、なになに、照れてるの?」
「照れてない」
「素直じゃないなぁ」
水瀬はそう言って笑っていた。釣られて僕も笑みを零す。
そうして僕らはお互いに笑いあったり、やり取りを交えたり、ピアノを弾いたりして僕らの2週間はあっという間に過ぎた。
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