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第五話「お腹が空いたので閉店、そして…大混乱!?」

第4章:営業は短く、ご褒美はたっぷり

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営業再開とお客様対応

午後1時。雪乃はやる気なさそうにソファから立ち上がり、弥生に声をかけた。
「さぁ、営業始めるわよ。今日は2時までね。それ以上は無理だから。」

弥生は小さくため息をつきながら、静かに答える。
「お嬢様、それなら最初から1時間営業と告知しておくべきではありませんか?」

「いいのよ。お客様にはその場の気分を楽しんでもらうのが『雪の庭』のルールなんだから。」
雪乃は堂々とした口調で言いながら、忍に「OPEN」の看板を出すよう指示する。

すると早速、常連客が店内に入ってきた。
「やっと開いたな! 今日はランチが食べられると思って来たんだけど……。」
常連のレオンがそう言いながらカウンターに座る。

雪乃はすかさず答えた。
「ランチは12時から1時までよ! もう1時過ぎてるから、今日はスイーツと紅茶だけ!」

レオンは苦笑しながら肩をすくめた。
「ま、仕方ないか。それじゃチョコレートパフェを頼むよ。」

弥生が小声で雪乃に耳打ちする。
「お嬢様、1時からの営業でランチを求められるのは当然ではありませんか?」

「細かいことは気にしないの! 大事なのは私が疲れないことよ!」
雪乃はそう言い切り、カウンターの奥で紅茶の準備を始める。


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特別なスイーツの提供

午後1時半を過ぎた頃、雪乃が突然思いついたように言い出す。
「そうだわ! 今日限定のスイーツを出しましょう!」

弥生は驚いた表情で問い返す。
「限定スイーツですか? それは何を作るおつもりですか?」

「プリンアラモードよ! お客様にもご褒美をあげる日があってもいいでしょ?」
雪乃は意気揚々と厨房に入り、フルーツやホイップクリームを取り出し始める。

忍が小声で弥生に話しかける。
「お嬢様、限定スイーツを作ると言っても、あまり準備していないようですが……。」

「いつものことですね。きっとお客様の反応を見て満足するだけでしょう。」
弥生は微笑みながら答えた。


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お客様の反応

完成したプリンアラモードを提供すると、お客様たちは目を輝かせながら写真を撮り始めた。
「これ、すごく可愛い! 写真映えする!」
「プリンもフルーツも美味しいね!」

雪乃はその反応を見て満足げに微笑み、そっと弥生に囁いた。
「ほらね、私のセンスは完璧でしょ?」

弥生は微笑みながら返す。
「お客様が満足されているなら何よりです。ただし、次回も期待されますよ?」

「次回のことなんて、その時に考えればいいのよ!」
雪乃は軽い口調で答え、再び紅茶を飲み始めた。


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営業終了後の雪乃の提案

午後2時になると、最後のお客様が帰り、店内が静けさを取り戻す。
雪乃は椅子に座り込み、疲れた表情を浮かべながら呟いた。
「はぁ……今日も働きすぎたわ。」

忍が冷静に言う。
「お嬢様、それで働きすぎというのはさすがに甘えすぎではありませんか?」

弥生も苦笑しながら言葉を続ける。
「ですが、お客様は満足されていましたし、今日は成功だったと言えるのではないでしょうか。」

雪乃はその言葉を聞き、少しだけ考えた後、突然笑顔を見せた。
「そうね! やっぱり私、センスのある店主よね。」

そして、立ち上がってこう提案する。
「決めたわ! 次回から営業は週に2回だけにしましょう!」

弥生と忍はその発言に驚き、同時に声を上げる。
「お嬢様、それはさすがに営業日が少なすぎではありませんか?」

しかし、雪乃は全く気にする様子もなく、最後にこう言った。
「大丈夫よ! お客様は私の自由なスタイルを楽しんでくれるんだから!」


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締めの一言

こうして、「雪の庭」の自由奔放な営業スタイルはまた一つ進化を遂げた――。
果たして、雪乃の提案する新たな営業方針はどうなるのか? 次回に続く。



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