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29 バレたので、告白!(7)
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*
「んん」
朝日の眩しさで目を覚ました私は、ゴロリと寝返りをうった。すると固い何かにぶつかる。その温もりに思わずすり寄ると、ぎゅうっと抱きしめられた。そこで異変に気づく。
「起きたかい? おはようリディ」
「!?」
驚きすぎて声が出ない。クリス様の麗しすぎるご尊顔が目の前にある。私はベッドで寝ていたようだが、クリス様も隣で!? ……服は着ている! よかった。
「リディ? 大丈夫? 痛いところはない?」
私と同じく寝起きらしいクリス様は、見てはいけないのではないかというくらい眩しい。妖艶で色気がすごい。イケメンの寝起きは危険です!
「……あ、あああ、あの……」
「どこか痛いの?」
「いっ、いえ! いいえ!」
「それはよかった」
やめて! 甘く微笑まないで! 心臓がバクバク音を立てて、変な汗が出てきそうだ。イケメンの色香で気絶しそう!
「な、ななな、なぜ私のベッドに殿下が!?」
「クリス」
「?」
「クリスと呼んでくれ」
「クリス様!」
恐らく私の顔は真っ赤だ。恥ずかしい。そんな私を見て、くすくすと笑いながら、クリス様は答える。
「リディが昨日森で倒れたんだ。だからしばらくはここで休養してもらうことにした」
「休養? ここは、王宮……ですか?」
確かによく見てみれば、王太子妃教育が始まってから用意された、私の自室だ。公爵家へ鍛錬の為に必ず帰宅するので、滅多に使用しない部屋なのだけれど。
でも何故運ばれた先が公爵家ではないのか、何故クリス様と同じベッドで寝ているのか、色々な疑問が湧いてくる。頭の中は大混乱だ。
「リディが倒れた姿を見て肝が冷えたよ。君が目を覚ますまで、どうしても側にいたかった。公爵家ではそれは難しいだろう?」
クリス様は優しく丁寧に私の髪を撫でた。そして私の身体をそっと抱き寄せる。
「目が覚めてくれてよかった。君がいないと私は──」
「あああああ、あの、だ、大丈夫ですわ! ご存知の通り、きっ、鍛えておりますからっ! ほらっ、もう元気ですっ! ご心配をおかけして申し訳ございませんんっ!」
寝起きのクリス様は暴力的な位かっこいい。何度も言うが、色気がすごい。このスチルがあったら買う。買い占める。いつも以上にくしゃりとした前髪にとろんとした瞳、気怠げな雰囲気がたまらなく色っぽい。そんなすごい状態の男性と同じベッドの上で横になり、さらには抱き寄せられたので、もう私はパニックだ。
「あのあのあの! だ、大丈夫なので、えっと、帰りますッ!」
「ダメだ」
「えぇぇ!?」
勢いよく起き上がりベッドから抜け出そうとする私を、クリス様が再び抱き止めた。混乱で頭がパンクしそうだ。この状況一体どういうこと!?
「しばらくリディはここで暮らして?」
「ど、どうしてですの?」
「私が、リディと、離れたくないから」
「!?」
色気満載の男性から後ろからハグされて、耳元でそんなことを囁かれて、倒れない令嬢などいるのだろうか。沸騰する勢いで真っ赤になった私は、思考能力を失った。
ぎゅうっと抱き寄せられながら、「私のそばにいてくれるよね?」と問われれば、混乱したまま頷くことしか出来なかった。
そうして私はそのまま三日間、クリス様と共に過ごすことになったのだった。
公務や妃教育も学園も全て休んで、ずーっと一緒。鍛錬もさせてもらえず、王宮から一歩も出られなかった。傷一つないのに!
「んん」
朝日の眩しさで目を覚ました私は、ゴロリと寝返りをうった。すると固い何かにぶつかる。その温もりに思わずすり寄ると、ぎゅうっと抱きしめられた。そこで異変に気づく。
「起きたかい? おはようリディ」
「!?」
驚きすぎて声が出ない。クリス様の麗しすぎるご尊顔が目の前にある。私はベッドで寝ていたようだが、クリス様も隣で!? ……服は着ている! よかった。
「リディ? 大丈夫? 痛いところはない?」
私と同じく寝起きらしいクリス様は、見てはいけないのではないかというくらい眩しい。妖艶で色気がすごい。イケメンの寝起きは危険です!
「……あ、あああ、あの……」
「どこか痛いの?」
「いっ、いえ! いいえ!」
「それはよかった」
やめて! 甘く微笑まないで! 心臓がバクバク音を立てて、変な汗が出てきそうだ。イケメンの色香で気絶しそう!
「な、ななな、なぜ私のベッドに殿下が!?」
「クリス」
「?」
「クリスと呼んでくれ」
「クリス様!」
恐らく私の顔は真っ赤だ。恥ずかしい。そんな私を見て、くすくすと笑いながら、クリス様は答える。
「リディが昨日森で倒れたんだ。だからしばらくはここで休養してもらうことにした」
「休養? ここは、王宮……ですか?」
確かによく見てみれば、王太子妃教育が始まってから用意された、私の自室だ。公爵家へ鍛錬の為に必ず帰宅するので、滅多に使用しない部屋なのだけれど。
でも何故運ばれた先が公爵家ではないのか、何故クリス様と同じベッドで寝ているのか、色々な疑問が湧いてくる。頭の中は大混乱だ。
「リディが倒れた姿を見て肝が冷えたよ。君が目を覚ますまで、どうしても側にいたかった。公爵家ではそれは難しいだろう?」
クリス様は優しく丁寧に私の髪を撫でた。そして私の身体をそっと抱き寄せる。
「目が覚めてくれてよかった。君がいないと私は──」
「あああああ、あの、だ、大丈夫ですわ! ご存知の通り、きっ、鍛えておりますからっ! ほらっ、もう元気ですっ! ご心配をおかけして申し訳ございませんんっ!」
寝起きのクリス様は暴力的な位かっこいい。何度も言うが、色気がすごい。このスチルがあったら買う。買い占める。いつも以上にくしゃりとした前髪にとろんとした瞳、気怠げな雰囲気がたまらなく色っぽい。そんなすごい状態の男性と同じベッドの上で横になり、さらには抱き寄せられたので、もう私はパニックだ。
「あのあのあの! だ、大丈夫なので、えっと、帰りますッ!」
「ダメだ」
「えぇぇ!?」
勢いよく起き上がりベッドから抜け出そうとする私を、クリス様が再び抱き止めた。混乱で頭がパンクしそうだ。この状況一体どういうこと!?
「しばらくリディはここで暮らして?」
「ど、どうしてですの?」
「私が、リディと、離れたくないから」
「!?」
色気満載の男性から後ろからハグされて、耳元でそんなことを囁かれて、倒れない令嬢などいるのだろうか。沸騰する勢いで真っ赤になった私は、思考能力を失った。
ぎゅうっと抱き寄せられながら、「私のそばにいてくれるよね?」と問われれば、混乱したまま頷くことしか出来なかった。
そうして私はそのまま三日間、クリス様と共に過ごすことになったのだった。
公務や妃教育も学園も全て休んで、ずーっと一緒。鍛錬もさせてもらえず、王宮から一歩も出られなかった。傷一つないのに!
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