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リーヴェス アフェーレ
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アティランが目覚めたと報告を受け、早く会いたいという気持ちと不安な気持ちで複雑だった。
アティランの記憶は…私の思いとは違っていたからだ。
アティランは記憶を失っていなかった…。
何故だ。
以前は私のことを忘れたくせに、なぜ奴のことは忘れないんだ…。
神はどこまで私を苦しめれば気かすむんだ…。
私はただ、アティランと愛し合いたいだけなんだ。
アティランが王宮へ来ると報せを聞いてから不安ばかりが膨れ上がった。
アティラン…私達の関係は大丈夫…だよな…。
アティランと公爵が到着するのを待っていた。
本来であれはあちらが待つのだが今回は…。
王族としての権威などは表すことなど出来ない。
アティランが現れ姿を見ると少し痩せたように見えた。
数日眠り続けていたと聞く…。
階段から転落させたのは私だ…。
ただ、記憶を失って欲しかっただけなんだ。
どうして私の願いは叶わないんだ。
「金…王子はそんなに俺の事が嫌いなんですか?殺したい程に。」
今アティランはなんと言った?
嫌い?殺したいと言ったのか?
「なっ違うっ」
「俺に言いたいことあんだろ?言えよ。」
突き放されるような言葉…。
「………」
「憎かったんだろ?」
「違うと言ってるだろ。」
何故だ?
私がアティランを憎むはずないだろうっ。
私の思いは全く届いていなかったのか?
「何が違うんだ?」
「私は…」
「なんだよ?」
「アティランは私のだ。」
「ん?」
「婚約者となってから、お前はずっと私のだ。何があろうと…」
それは決して変わらない…はずだったのに…。
「んーちょっとよく分かんねぇな。婚約者だから所有物みたいに思ってたんだろ?なら、婚約解消すれば終わりだろ?」
「終わらない、お前は私のだ。」
私の…私のなんだ…。
「………」
「俺から婚約解消したのが不快なんだろ?」
「不快だ、私は婚約解消するつもりはなかった。」
「…ん?お前には恋人いんだろ?」
「アティランだ。」
アティランと恋人になりたい。
「それは婚約者だろ?」
「婚約者であり恋人で未来の王妃だ。」
「リーヴェス、そんなんじゃ伝わらん。」
父に言われても何故こんなにも伝わらないのか悔しくて堪らなかった。
「アティラン、なぜ私と婚約を解消した?」
「んあ?そんなもん、お前に恋人がいたからだろ?」
「あれは恋人ではない。」
アティランの口からそんなことは聞きたくない。
あんなの恋人なんか…。
「肩抱いてたろ?俺が倒れてもあいつとくっついてたろ?」
「違っ動けなかっただけだ…」
倒れたアティランを見て動けず、微かに動いた足すらあれにしがみつかれて動きを止めてしまった。
「その後も一切謝罪も無かったよな?」
「…それは…」
分からなかったんだ…。
今までそんなことしたことはなかったから…。
「婚約解消も問題なかったって聞いたぜ。」
「私は納得していない。」
「なんでそんなに不満なんだよ。俺達って不仲だったんだろ?」
「なっそ…んな…はず…は…」
不仲だと思っていたのか?
「んあ?違うのか?」
違う、全く違う。
私達は距離は遠くても互いに思いあって…。
「いい加減素直になりなさい…これが最後なんだぞ。」
「…っ…最後…」
父の言葉に言葉が分からなくなった。
最後?…最後?…最後…。
なにが最後?
「私は…アティランと婚約を望んだ。」
「………」
「…アティランは私との関係を国のための婚約者としか見ていなかった。私はもっとアティランとの時間を…」
欲した。
「ん?」
「アティランが人との接触をあまり好きではないと感じたから一定の距離を保った。会話も常に簡潔で無駄が嫌いなのだと…。それでも婚約者である私との時間はきっちりと守っていた。常に完璧で感情の揺れが見えなかったが、ある時注意している姿を目撃した…何か争い事に巻き込まれた生徒を庇い相手を諌めていた。自信の失態を認識相手に謝罪していた生徒に対してアティランが微笑んだんだ。私の知らない表情で。あんな奴には見せるのに私には一切表情を崩さなかった…初めの頃は私も努力したさ、アティランの笑みが見たくて…だがアティランが私に微笑むことはなかった。次第にお前が憎くなった。必死に努力しても認められず笑顔さえ見せないお前が…。学園であの男を側に置く理由はアティランと正反対だったからだ。そんな相手なら好きになることもないし、うまく行けばアティランが私に感情を見せてくれると思った。笑顔じゃなく嫉妬でも良かった。私はアティランに、嫉妬されたかった…そして、真剣に私に向かって注意するアティランを見るだけで次第に心が満たされ始めた…」
思いがスラスラと溢れてきた。
どうして私はもっと早く伝えることが出来なかったんだ…。
「なら、なんで突き飛ばしたりなんかしたんだよ。」
「………」
「俺が記憶を失った時。」
「あの日は…突き飛ばしたのは私ではない。私は倒れるアティランを掴もうとしたが…腕が届かなかった…直前でアレに遮られた…私は一番大事な時にアティランを助けられなかった…」
そう…助けられなかった。
見ているだけしか…。
「なら、手紙だの寄越せば良かったろ?」
「…怖くて…出来なかった。」
「婚約解消は?」
「私の意思ではないっ。」
婚約解消なんて…。
「…全部間違ってんじゃねぇの?」
間違って…。
何処から?
「………」
「誰かを利用して感情を出させようとしたのが間違え。今みたいに本音をぶつければ良かったろ?」
「そんなこと…出来ない…アティランに…そんな事…言えない。」
子供のようだとアティランに思われたくなかったんだ…。
今はわからないが胸に痼のようにあった感情が漸くアティランに伝えられた。
簡単なようで私には長い年月を要した…。
「何でだよ、今は言えてんじゃねぇかよ。」
「お前はアティランだがアティランじゃない。」
「…なら、別人の俺なら婚約解消しても良いじゃねぇかよ。」
「嫌だ。」
「子供かよ。」
「お前はアティランじゃないが、アティランだ。私と婚約するべきだ。」
今なら素直に言えた。
「無理だろ。」
「何故だ。」
「俺にはエストレヤがいる。」
「あんな奴のどこが良い?」
私ではだめなのか?
「他の男とイチャついたりはしないな。」
「なっ、私だってお前がちゃんと私の側にいればそんな事はしない。」
あんな奴の事なんてどうでも良い。
アティランから二度と逢わないでくれと言われれば喜んで逢わない。
私の傍に居てくれるならどんなことでも私はアティランにいわれたい。
「…手遅れだな。」
そんなことはない。
「間に合う。」
「俺が無理なんだよ。」
無理…。
「…私が嫌なのか…。」
「お前がじゃなくてエストレヤが良いんだよ。」
あいつの何処が?
私の第二妃を狙っていた男だそ。
「そんなにか?」
「あぁ」
「…もし、記憶喪失と分かった時ちゃんと謝罪していたら変わったか?」
「もし」なんてものに縋りたくなかったが、聞かずにはいられなかった。
私にも可能性があったのだと少しでも救いが欲しかった。
「分からねぇよ。」
わからない…それは可能性が全く無かったと言うことではないんだな?
「公爵邸に通いつめたら何か違ったか?」
「かもなっ」
…私があの時素直になっていたら…。
「私の事もあんな風に愛したか?」
「どうだろうな。」
「今から…」
なら出来る。
「それは出来ない。」
どうしてそんなにもきっぱりと…。
「…本当に無理なのか?」
「あぁ、無理だ。」
無理…。
「………」
「もしかして、階段から突き飛ばしたのって俺がまた記憶を失えば関係を変えられるって思ったからか?」
「………」
「エストレヤに成り代わろうって?」
「私は…あれになりたかった…っく…」
私がそこら辺にいる侯爵令息になりたい等と口にするのも悔しかった。
悔しさのあまり涙が溢れてきた。
「…私はアティランに愛されたかった…」
ただ、それだけなんだ。
「…それは出来ない。」
「私はアティランしか嫌だっ。」
「こんだけ周囲を振り回して元には戻れねえよ。」
「嫌だ。」
どんなに迷惑をかけたとしても私はアティランが良いんだ…。
「…子供じゃねぇんだ、俺じゃなくても良い奴沢山いんだろうが。」
「…いない。」
アティランの言う通り子供だと私にも分かる。
取り繕う余裕もなくアティランに縋りついた。
この程度のことでアティランが手に入るのであれば、私はなんでもする。
「そんな風に思ってりゃ見えねぇよ。相手の事をちゃんと見ろ。」
「アティランは私の事をちゃんと見ていたか?」
「…過去のアティランはわかんねぇし、俺にはあいつといるあんたが幸せに見えたよ。」
あいつとはあの平民だろ?
平民といて私が幸せだったことは一度もない。
「………」
「次は間違うなよ。」
私は間違っていたのか…。
「………」
次の相手はアティランではない…。
もう、本当に希望はないんだな…。
アティランも公爵も部屋から出ていった。
「リーヴェスよ。」
「…はぃ」
「新たな婚約者を決める。」
「………はぃ」
過去に戻れることが出きるなら戻りたい。
最初からやり直したい。
アティランの誕生日パーティーのエスコートから…。
時間を戻すことは出来ないだろうか…。
アティランの記憶は…私の思いとは違っていたからだ。
アティランは記憶を失っていなかった…。
何故だ。
以前は私のことを忘れたくせに、なぜ奴のことは忘れないんだ…。
神はどこまで私を苦しめれば気かすむんだ…。
私はただ、アティランと愛し合いたいだけなんだ。
アティランが王宮へ来ると報せを聞いてから不安ばかりが膨れ上がった。
アティラン…私達の関係は大丈夫…だよな…。
アティランと公爵が到着するのを待っていた。
本来であれはあちらが待つのだが今回は…。
王族としての権威などは表すことなど出来ない。
アティランが現れ姿を見ると少し痩せたように見えた。
数日眠り続けていたと聞く…。
階段から転落させたのは私だ…。
ただ、記憶を失って欲しかっただけなんだ。
どうして私の願いは叶わないんだ。
「金…王子はそんなに俺の事が嫌いなんですか?殺したい程に。」
今アティランはなんと言った?
嫌い?殺したいと言ったのか?
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「俺に言いたいことあんだろ?言えよ。」
突き放されるような言葉…。
「………」
「憎かったんだろ?」
「違うと言ってるだろ。」
何故だ?
私がアティランを憎むはずないだろうっ。
私の思いは全く届いていなかったのか?
「何が違うんだ?」
「私は…」
「なんだよ?」
「アティランは私のだ。」
「ん?」
「婚約者となってから、お前はずっと私のだ。何があろうと…」
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「んーちょっとよく分かんねぇな。婚約者だから所有物みたいに思ってたんだろ?なら、婚約解消すれば終わりだろ?」
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私の…私のなんだ…。
「………」
「俺から婚約解消したのが不快なんだろ?」
「不快だ、私は婚約解消するつもりはなかった。」
「…ん?お前には恋人いんだろ?」
「アティランだ。」
アティランと恋人になりたい。
「それは婚約者だろ?」
「婚約者であり恋人で未来の王妃だ。」
「リーヴェス、そんなんじゃ伝わらん。」
父に言われても何故こんなにも伝わらないのか悔しくて堪らなかった。
「アティラン、なぜ私と婚約を解消した?」
「んあ?そんなもん、お前に恋人がいたからだろ?」
「あれは恋人ではない。」
アティランの口からそんなことは聞きたくない。
あんなの恋人なんか…。
「肩抱いてたろ?俺が倒れてもあいつとくっついてたろ?」
「違っ動けなかっただけだ…」
倒れたアティランを見て動けず、微かに動いた足すらあれにしがみつかれて動きを止めてしまった。
「その後も一切謝罪も無かったよな?」
「…それは…」
分からなかったんだ…。
今までそんなことしたことはなかったから…。
「婚約解消も問題なかったって聞いたぜ。」
「私は納得していない。」
「なんでそんなに不満なんだよ。俺達って不仲だったんだろ?」
「なっそ…んな…はず…は…」
不仲だと思っていたのか?
「んあ?違うのか?」
違う、全く違う。
私達は距離は遠くても互いに思いあって…。
「いい加減素直になりなさい…これが最後なんだぞ。」
「…っ…最後…」
父の言葉に言葉が分からなくなった。
最後?…最後?…最後…。
なにが最後?
「私は…アティランと婚約を望んだ。」
「………」
「…アティランは私との関係を国のための婚約者としか見ていなかった。私はもっとアティランとの時間を…」
欲した。
「ん?」
「アティランが人との接触をあまり好きではないと感じたから一定の距離を保った。会話も常に簡潔で無駄が嫌いなのだと…。それでも婚約者である私との時間はきっちりと守っていた。常に完璧で感情の揺れが見えなかったが、ある時注意している姿を目撃した…何か争い事に巻き込まれた生徒を庇い相手を諌めていた。自信の失態を認識相手に謝罪していた生徒に対してアティランが微笑んだんだ。私の知らない表情で。あんな奴には見せるのに私には一切表情を崩さなかった…初めの頃は私も努力したさ、アティランの笑みが見たくて…だがアティランが私に微笑むことはなかった。次第にお前が憎くなった。必死に努力しても認められず笑顔さえ見せないお前が…。学園であの男を側に置く理由はアティランと正反対だったからだ。そんな相手なら好きになることもないし、うまく行けばアティランが私に感情を見せてくれると思った。笑顔じゃなく嫉妬でも良かった。私はアティランに、嫉妬されたかった…そして、真剣に私に向かって注意するアティランを見るだけで次第に心が満たされ始めた…」
思いがスラスラと溢れてきた。
どうして私はもっと早く伝えることが出来なかったんだ…。
「なら、なんで突き飛ばしたりなんかしたんだよ。」
「………」
「俺が記憶を失った時。」
「あの日は…突き飛ばしたのは私ではない。私は倒れるアティランを掴もうとしたが…腕が届かなかった…直前でアレに遮られた…私は一番大事な時にアティランを助けられなかった…」
そう…助けられなかった。
見ているだけしか…。
「なら、手紙だの寄越せば良かったろ?」
「…怖くて…出来なかった。」
「婚約解消は?」
「私の意思ではないっ。」
婚約解消なんて…。
「…全部間違ってんじゃねぇの?」
間違って…。
何処から?
「………」
「誰かを利用して感情を出させようとしたのが間違え。今みたいに本音をぶつければ良かったろ?」
「そんなこと…出来ない…アティランに…そんな事…言えない。」
子供のようだとアティランに思われたくなかったんだ…。
今はわからないが胸に痼のようにあった感情が漸くアティランに伝えられた。
簡単なようで私には長い年月を要した…。
「何でだよ、今は言えてんじゃねぇかよ。」
「お前はアティランだがアティランじゃない。」
「…なら、別人の俺なら婚約解消しても良いじゃねぇかよ。」
「嫌だ。」
「子供かよ。」
「お前はアティランじゃないが、アティランだ。私と婚約するべきだ。」
今なら素直に言えた。
「無理だろ。」
「何故だ。」
「俺にはエストレヤがいる。」
「あんな奴のどこが良い?」
私ではだめなのか?
「他の男とイチャついたりはしないな。」
「なっ、私だってお前がちゃんと私の側にいればそんな事はしない。」
あんな奴の事なんてどうでも良い。
アティランから二度と逢わないでくれと言われれば喜んで逢わない。
私の傍に居てくれるならどんなことでも私はアティランにいわれたい。
「…手遅れだな。」
そんなことはない。
「間に合う。」
「俺が無理なんだよ。」
無理…。
「…私が嫌なのか…。」
「お前がじゃなくてエストレヤが良いんだよ。」
あいつの何処が?
私の第二妃を狙っていた男だそ。
「そんなにか?」
「あぁ」
「…もし、記憶喪失と分かった時ちゃんと謝罪していたら変わったか?」
「もし」なんてものに縋りたくなかったが、聞かずにはいられなかった。
私にも可能性があったのだと少しでも救いが欲しかった。
「分からねぇよ。」
わからない…それは可能性が全く無かったと言うことではないんだな?
「公爵邸に通いつめたら何か違ったか?」
「かもなっ」
…私があの時素直になっていたら…。
「私の事もあんな風に愛したか?」
「どうだろうな。」
「今から…」
なら出来る。
「それは出来ない。」
どうしてそんなにもきっぱりと…。
「…本当に無理なのか?」
「あぁ、無理だ。」
無理…。
「………」
「もしかして、階段から突き飛ばしたのって俺がまた記憶を失えば関係を変えられるって思ったからか?」
「………」
「エストレヤに成り代わろうって?」
「私は…あれになりたかった…っく…」
私がそこら辺にいる侯爵令息になりたい等と口にするのも悔しかった。
悔しさのあまり涙が溢れてきた。
「…私はアティランに愛されたかった…」
ただ、それだけなんだ。
「…それは出来ない。」
「私はアティランしか嫌だっ。」
「こんだけ周囲を振り回して元には戻れねえよ。」
「嫌だ。」
どんなに迷惑をかけたとしても私はアティランが良いんだ…。
「…子供じゃねぇんだ、俺じゃなくても良い奴沢山いんだろうが。」
「…いない。」
アティランの言う通り子供だと私にも分かる。
取り繕う余裕もなくアティランに縋りついた。
この程度のことでアティランが手に入るのであれば、私はなんでもする。
「そんな風に思ってりゃ見えねぇよ。相手の事をちゃんと見ろ。」
「アティランは私の事をちゃんと見ていたか?」
「…過去のアティランはわかんねぇし、俺にはあいつといるあんたが幸せに見えたよ。」
あいつとはあの平民だろ?
平民といて私が幸せだったことは一度もない。
「………」
「次は間違うなよ。」
私は間違っていたのか…。
「………」
次の相手はアティランではない…。
もう、本当に希望はないんだな…。
アティランも公爵も部屋から出ていった。
「リーヴェスよ。」
「…はぃ」
「新たな婚約者を決める。」
「………はぃ」
過去に戻れることが出きるなら戻りたい。
最初からやり直したい。
アティランの誕生日パーティーのエスコートから…。
時間を戻すことは出来ないだろうか…。
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