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リーヴェス アフェーレ

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程なくして私達は学園に入学した。

私は王子なので入学してまもなく生徒会入りした。
遅れて彼も生徒会に入ることになった。

優秀な彼なら当然の事だが、私は私に気があるものに「生徒会に無理に入ったのは私の役に立ちたかったのだろう」と伝えた。

彼は私を慕っているんだと噂が流れるように。

だが、噂は私の思いとは違い「私と彼は不仲」「お互い一定の距離を保っている」と全く変わらないどころか、第二妃候補の話しまであると広まった。

第二妃なんて私は知らない。

そんな話し父からも聞いてはいない。
誰だ、そんなデタラメを広めたのはっ。
厳重に処罰してやる。

…まさか、彼の耳にも入っているのか?

下らない噂を信じたりはしていないよな?
教室は違うが生徒会では必ず顔を合わせていた。
彼はいつもと変わらない冷静さだった。

…私に興味がないのか?

今まで彼は私と婚約を望んでいるんだと確信していた…。
だが…違うのか?
一度頭を過った不安はなかなか消えることはなかった。

婚約解消されたら…どうしよう…。

急に不安になった。
彼に瑕疵は無いだろう。
だとすると私…。

私は王子だ、何らかの問題が無ければこのまま継続なはず。

彼から婚約解消も…来るはずが無い…きっと。
それに、彼が他の奴と~なんて有りはしない。
あんな堅物人間、私以外誰が相手にするものか。
私だから婚約も続いているんだ。
私にもっと感謝しろっ。
全く、何も知らずに他の奴と呑気に会話なんてするな。
こいつもわざわざ私の前で何故アティランに聞くんだ?
アティランは私の婚約者だ、他の奴に聞けっ。
アティランが私のものだと知りながら気安く話し掛けるなっ。

「アフェーレ王子っ」

誰だ私を気安く呼ぶ奴はっ。
アティランだって私を「王子」としか呼ばないのに。
振り向くと見知らぬ人間がいた。
制服を着ているから生徒だろうが、記憶に無い。
貴族であれば名前までは分からなくとも顔を見れば何となく思い出すので、きっと平民だろ。
平民が無礼だとは聞いていたがここまでとは不愉快通り越して…呆れるな。

「用はなんだ。」

「僕ぅ、まだ学園の事とか分からなくて教えていただけないかなぁって。」

「…同じ教室の者に聞けば良いだろ?」

「僕、平民なんで嫌われてるみたいなんですよね…。」

「では、平民の奴に聞けば良いだろ?私も同じ一年なんだ、全てを知っているわけじゃない。」

「なら、僕と一緒に校内回りませんか?」

何をいっているんだこいつ?
平民とはここまで図々しいものなのか?
確かに学園は平等を掲げているが、ここまで愚かな行動する者はいないぞ。
その理解力でよく、学園に入学できたな…。

「王子っ」

聞き覚えの有る声に私は笑みを浮かべ振り向いた。
予想通り居たのはアティランだった。
歩くだけでも美しく、目を惹いてしまう。
あれを見た後だからかもしれないが、アティランは見た目だけでなく仕草や姿勢、歩き方全てが完璧で洗練されていた。

これが私の婚約者。

私のもの。

「生徒会の時間です。」

「…あぁ」

しまった、ついアティランに見蕩れてしまった。

「アフェーレ王子ぃ。」

こいつまだ居たのか…なぜ私に許可無く腕に絡み付いているんだ?
汚らわしい、君は男娼なのか?

「君、婚約者でもないのにむやみやたらに相手に触れるのは誤解を生んでしまう。それは君の為にもならない、気を付けなさい。」

「やぁん、怖いぃ。」

いやっ、アティランは正しいことを言っている。
怖いも何も間違っているのは君だ、早く私から離れろ。

「アフェーレ王子はこれから僕と校内を見学するんですよ、邪魔しないでください。」

お前っ何を言っているんだっ。

「王子、そうなのですか?」

違う、そんな目で私を見るな。
これが勝手に言っているだけだ…。
私を…信じてくれないのか?

「私は…生徒会へ行く。」

「ぇっ?アフェーレ王子っ。」

私は悪くないのに、なんだか叱られたような居心地の悪さを感じた。

「ぁっァティ…」

がちゃ 

私の言葉はアティランに届かなかった。

タイミングが悪かったんだな…。

この後アティランと話そうと決意するも、有能を発揮したアティランは先輩方に気に入られ少し残ることになり王子の私は気を使われ先に帰ることになった。

その日は不安な夜を過ごした。

明日、私からアティランに会いに行こうと決意して眠りについた。
翌日のアティランは昨日と変わらず態度で存在し、話し掛けようと思うのに緊張してしまいなかなか足が進まなかった。

「アフェーレ王子っ」

腕に重みを感じ視線を移すと昨日の平民がいた。

「僕の事探してくれたんですか?」

「………」

私はアティランに会いに来たんだ、何故お前がここにいる? 

「わざわざ僕の教室に来ていただくなんて嬉しいですぅ、僕の教室はこっちですよぉ。」

何を勘違いしたのか、この平民は私が会いにやって来たと思い込んでいる。
お前はアティランと同じ…いや隣の教室だったか。
こんな奴に無駄な時間を割きたくない。

「ふふ、行きましょ?」

行くはずもないだろ。

ふと視線を感じた方向をみるとアティランと目があった。
昨日に引き続きこんな姿をみられるなんて…。
溜め息をつき瞼を閉じたアティランを見て、呆れられたと感じた。

誤解なのに…。

アティランの存在を目の前に感じるも、子供のように視線をそらしてしまった。

「君、昨日も言いましたが過度な触れ合いは…」

何故だっ。
どうして私よりこの平民に声を掛けるんだ?
まず私に声をかけるべきではないのか?
私を見ろ、こんな奴どうでもいいだろっ。

「そんなこと、どうでもいいっ。」

つい強めに言ってしまった。
周囲にいた人間も更に私達に注目しはじめた。
アティランも気付いているはず。

ならば、二人きりで話を…。

「…そうですか。」

アティランは私に背を向けて離れてしまった。
違う…そうじゃない…。
追いかけることもできず、背中を見送っていた。

「ふふ、嬉しいです。ありがとございます、僕を守っていただき。」

隣でしがみつく奴の戯れ言に余計腹を立てた。
お前の所為で…。
私が睨み付けているのにも関わらず、勝ち誇ったような笑みをアティランに向けている姿に苛立ちを感じる。

この日からアティランは一層私に興味を無くしてしまった。
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