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相談者 ラーデン ティエンダ
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恥ずかしい悩みをグラキエスに相談した。
婚約が決まってから一度も婚約者について不満を持ったことはなかった。
婚約したら双方どちらかに瑕疵が無い限り当然のように婚姻する。
当時の俺は反論もなく受け入れ、今まで一切の疑問すら持たなかった。
伯爵家の嫡男として生まれ幼い頃には跡取りとしての教育を施され、その一貫として婚約者が決まった。
相手は子爵家で父親同士が知り合いで信頼できると話していた。
丁度俺達が同い年というのもあり、すんなりと婚約が決まった。
決まった後に顔合わせをした。
相手への印象は「彼が俺の婚約者なのか」だった。
不満と言うものは生まれず、彼と婚約者としての会話をした。
おどおど話すのは緊張からなのか、それとも人見知りで俺の事が気に入らないからなのは分からなかった。
俺と会うことに緊張したり不快な思いがあるのなら、無理に会うべきではないと考えた。
月に一度の婚約者のお茶会は行うが、それ以上は彼にとっては負担になる恐れがあると決めつけてしまっていた。
それから、俺は婚約者の彼を避けるわけではないが無理に誘うこともなかった。
誕生日などには贈り物をしたが、直接会って良いものか悩んだ結果やめておいた。
月日は経ち学園に入学した。
今までは月に一度しか会うことがなかったが、学園や寮ではすれ違う回数が増えたが挨拶等はなかった。
視線は合っていると思うが会話はなかった。
相手にも交遊関係は必要だし、無理に距離を近づけることはしなかった。
それでも視線で彼の姿を追ってしまうのは許して欲しい。
彼は私の事なんて気にもしていないようだった。
だが婚約したからと言って四六時中一緒にいたり不用意に密着・接触する必要はないし、している者は居なかった。
だが、ある日突然驚くべき光景を目にした。
グラキエス様が教室、廊下、食堂など至るところで新たな婚約者と戯れている姿があった。
あのグラキエス様が。
彼を一言で表すならば「潔癖」だった。
何事に大しても。
そんな人が突然婚約者と一目も憚らず睦み合っていた。
いや睦み合うなんて軽いものではなく見てはいけない、視線を逸らさなければならないようなものだった。
事故に合い記憶を失ったとか。
事故と言っているが、原因が王子であることを口にしてはいけない事は暗黙の了解だった。
そしてすぐ婚約が解消され新たな婚約者が現れた。
侯爵家のエストレヤ イグニス様だった。
話したことはないが、美しい見た目に惹きつけられた。
孤高なグラキエス様と同じく、彼も誰も寄せ付けず背筋を伸ばし凛としていた。
よからぬ噂を聞いたが所詮は噂、信じた事はなかった。
彼らが婚約したことに疑問はなかった。
あんな光景を目撃するまでは。
二人が親密と言うのは、毎日彼らの事を話す生徒の会話で知っていた。
尾ひれが付いたとしても婚約者同士が仲が良いのは悪いことではない。
何故二人を祝福しないのか俺には分からなかった。
彼らの家柄などを考えれば不釣り合いなんて事はなかった。
確かにグラキエス様の能力は国に必要で王族にと望むが、こうなってしまったのは王子にも原因がある。
王子と髪色が印象的な平民が親密なのは、学園にいる者であれば全員知っていたことだろう。
婚約者でない者に対して如何なものかと疑問に思っていたが、伯爵家の俺が口出すべき事ではないと理解していた。
そんな二人を嗜めて居たところ暴力で解決しようとした王子によりグラキエス様が記憶喪失となった。
記憶喪失となったグラキエス様はまるで別人となり、イグニス様の身体に触れていた。
抱き締めるだけでなく、口づけを交わしたりと見てはいけないのに脳が理解できず視線が釘付けとなっていた。
夢を見ているようだった。
だが、伯爵家の俺と公爵家と侯爵家の彼らとは同じ上位貴族であっても似て非なるものだった。
関わることなどないと決めつけていた。
あの日まで。
訓練の後小腹が空き食堂に行った。
いつもの友人二人と俺の三人で居たのだが、友人のうちの一人フェッセン コンパーニョの婚約者が現れた。
フェッセンに会いに来たのだろうが、そんな友人に便乗して現れたのが子爵家のリヴァル ヴィシャスだった。
何故彼の名前を知っているのかと言うと、彼は最近よく俺に挨拶をしにくる。
挨拶をして大して会話はしないが、その後も横にいることが多かった。
害が無いと判断し彼に苦言を呈することはなかった。
当然だろう、ただ挨拶をして隣にいる事を咎めるなんて事してしまえば子爵家の彼によからぬ噂がたってしまう。
それ以前に俺は彼に全く興味がなかった。
俺には婚約者がいる。
彼以外と婚約も婚姻もする気はないし、婚約解消なんて…滅多にするもんではない。
この関係は続く。
問題なんて起こらない。
そう信じていた。
だがグラキエス様と婚約者の関係を目撃して以来、私も婚約者と…と卑猥な考えが生まれてしまった。
一度生まれてしまうと書き消すことが出来なかった。
グラキエス様に触れられるイグニス様は色気を増し、とても幸福に満ちた表情をさせていた。
私も婚約者にそんな表情をさせたかった。
だが、いきなり口づけを交わしたりしては彼は驚きそれが原因で婚約解消されかねない。
どうしたらお二人のように出来るのだろうか…。
悩んで悩んで悩みぬいた末、グラキエス様に相談することにした。
婚約が決まってから一度も婚約者について不満を持ったことはなかった。
婚約したら双方どちらかに瑕疵が無い限り当然のように婚姻する。
当時の俺は反論もなく受け入れ、今まで一切の疑問すら持たなかった。
伯爵家の嫡男として生まれ幼い頃には跡取りとしての教育を施され、その一貫として婚約者が決まった。
相手は子爵家で父親同士が知り合いで信頼できると話していた。
丁度俺達が同い年というのもあり、すんなりと婚約が決まった。
決まった後に顔合わせをした。
相手への印象は「彼が俺の婚約者なのか」だった。
不満と言うものは生まれず、彼と婚約者としての会話をした。
おどおど話すのは緊張からなのか、それとも人見知りで俺の事が気に入らないからなのは分からなかった。
俺と会うことに緊張したり不快な思いがあるのなら、無理に会うべきではないと考えた。
月に一度の婚約者のお茶会は行うが、それ以上は彼にとっては負担になる恐れがあると決めつけてしまっていた。
それから、俺は婚約者の彼を避けるわけではないが無理に誘うこともなかった。
誕生日などには贈り物をしたが、直接会って良いものか悩んだ結果やめておいた。
月日は経ち学園に入学した。
今までは月に一度しか会うことがなかったが、学園や寮ではすれ違う回数が増えたが挨拶等はなかった。
視線は合っていると思うが会話はなかった。
相手にも交遊関係は必要だし、無理に距離を近づけることはしなかった。
それでも視線で彼の姿を追ってしまうのは許して欲しい。
彼は私の事なんて気にもしていないようだった。
だが婚約したからと言って四六時中一緒にいたり不用意に密着・接触する必要はないし、している者は居なかった。
だが、ある日突然驚くべき光景を目にした。
グラキエス様が教室、廊下、食堂など至るところで新たな婚約者と戯れている姿があった。
あのグラキエス様が。
彼を一言で表すならば「潔癖」だった。
何事に大しても。
そんな人が突然婚約者と一目も憚らず睦み合っていた。
いや睦み合うなんて軽いものではなく見てはいけない、視線を逸らさなければならないようなものだった。
事故に合い記憶を失ったとか。
事故と言っているが、原因が王子であることを口にしてはいけない事は暗黙の了解だった。
そしてすぐ婚約が解消され新たな婚約者が現れた。
侯爵家のエストレヤ イグニス様だった。
話したことはないが、美しい見た目に惹きつけられた。
孤高なグラキエス様と同じく、彼も誰も寄せ付けず背筋を伸ばし凛としていた。
よからぬ噂を聞いたが所詮は噂、信じた事はなかった。
彼らが婚約したことに疑問はなかった。
あんな光景を目撃するまでは。
二人が親密と言うのは、毎日彼らの事を話す生徒の会話で知っていた。
尾ひれが付いたとしても婚約者同士が仲が良いのは悪いことではない。
何故二人を祝福しないのか俺には分からなかった。
彼らの家柄などを考えれば不釣り合いなんて事はなかった。
確かにグラキエス様の能力は国に必要で王族にと望むが、こうなってしまったのは王子にも原因がある。
王子と髪色が印象的な平民が親密なのは、学園にいる者であれば全員知っていたことだろう。
婚約者でない者に対して如何なものかと疑問に思っていたが、伯爵家の俺が口出すべき事ではないと理解していた。
そんな二人を嗜めて居たところ暴力で解決しようとした王子によりグラキエス様が記憶喪失となった。
記憶喪失となったグラキエス様はまるで別人となり、イグニス様の身体に触れていた。
抱き締めるだけでなく、口づけを交わしたりと見てはいけないのに脳が理解できず視線が釘付けとなっていた。
夢を見ているようだった。
だが、伯爵家の俺と公爵家と侯爵家の彼らとは同じ上位貴族であっても似て非なるものだった。
関わることなどないと決めつけていた。
あの日まで。
訓練の後小腹が空き食堂に行った。
いつもの友人二人と俺の三人で居たのだが、友人のうちの一人フェッセン コンパーニョの婚約者が現れた。
フェッセンに会いに来たのだろうが、そんな友人に便乗して現れたのが子爵家のリヴァル ヴィシャスだった。
何故彼の名前を知っているのかと言うと、彼は最近よく俺に挨拶をしにくる。
挨拶をして大して会話はしないが、その後も横にいることが多かった。
害が無いと判断し彼に苦言を呈することはなかった。
当然だろう、ただ挨拶をして隣にいる事を咎めるなんて事してしまえば子爵家の彼によからぬ噂がたってしまう。
それ以前に俺は彼に全く興味がなかった。
俺には婚約者がいる。
彼以外と婚約も婚姻もする気はないし、婚約解消なんて…滅多にするもんではない。
この関係は続く。
問題なんて起こらない。
そう信じていた。
だがグラキエス様と婚約者の関係を目撃して以来、私も婚約者と…と卑猥な考えが生まれてしまった。
一度生まれてしまうと書き消すことが出来なかった。
グラキエス様に触れられるイグニス様は色気を増し、とても幸福に満ちた表情をさせていた。
私も婚約者にそんな表情をさせたかった。
だが、いきなり口づけを交わしたりしては彼は驚きそれが原因で婚約解消されかねない。
どうしたらお二人のように出来るのだろうか…。
悩んで悩んで悩みぬいた末、グラキエス様に相談することにした。
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