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オマケの続きのその後

国王陛下

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「結局あの者には解決できなかったか」

「はい」

 国王陛下の執務室にて。
 国王と宰相の会話。

「ヴァレリア夫人があそこまで調査し、あとは解決だけだというのに」

「いえ。あの方もランクーベ夫人があそこで断念したのを引き継いだので、未解決は当然かと。あの方に解決は難しいと分かっていたのではないですか?」

 資料を捲りながら宰相は応える。

「あぁ、そうだな」

 国王は笑みを溢す。

「それと、使用人達からも報告が上がっています」

「ほぉ」

「副作用によりこのところ情緒不安定が目立つようで、調度品への被害額が上がっています」

「そうか」

 二人は相手の名前を特定することはないが、誰について会話しているのかは明白。王妃選定時から、決して認めることのない人物。

「もう、そろそろですね」

「あぁ。あれらのお陰で側妃の様子に気付く者は少なく、無事に出産を迎えられそうだ」

「男児である事を祈ります」

「あぁ」

「では今後、あの者の投薬を止めさせますか?」

「…ん…そこはまだ継続させよ。あれに王族の子を産ませるわけにはいかないからな」

「畏まりました。王子の方はいかがなさいますか?」

「あれも処分だな。全く…偽の玉璽を製作するだけでなく、公爵家の結婚を私的に命令を下すとは…」

 公爵家の結婚は王命ではなく、王命のように見せかけた手紙で呼び出し私的に利用した愚かな王子夫妻によるものだった。

「困ったように仰いますが、王子が玉璽を発注していた時点でお気付きだったのでは?」

「ふっ…あれは国王に相応しくはないからな。いい時間稼ぎをしてくれた」

「恐ろしい方ですね」

 国王と王子は実の親子であり、王妃が不貞を犯した事実はない。国王王妃夫妻の結婚に愛はなく、二人の婚約に慣例は適応されなかった。
 当時王妃選定は行われていたのだが、突如決定が覆されたのだ。慣例が適応されていれば国王は別の令嬢と結婚していた…それは密かに国王が懸想していた令嬢。
 だが、国王は先代国王の命令により結婚相手を変えざるを得なかった。

「宰相もあれが次期国王に相応しくないと判断したから、私の案に乗りすぐに処罰を下さず口をつぐんだのだろう?」

「ふふっ」

「では、最後の計画を頼む」

「畏まりました」

 数日後。
 王子妃は些細なことで感情を抑える事が出来なくなり、遂には使用人を突き飛ばし怪我を負わせてしまった。その際、隣国から贈られた国宝が割れてしまい責任問題に発展。
 王子妃は、「事件の全ては使用人に責任がある」と主張するも、最近の行動から公務から外れ医師からは療養が必要と診断される。

 王子妃は王宮から少し離れたある場所に移される事になり、表向きは環境の変化や王子妃という重責から体調を崩された為の療養と発表された。
 実際には王子妃の移された場所は内側からは開けることが出来ない部屋、それは実質幽閉である。

 王子の方は「王子妃が療養とのことでは体裁が悪いので、別の妃が必要なのでは?」と国王に直訴し、期待の眼差しでヴァレリア・ルルーシアンの名を挙げる。

「その相手は既に結婚した。命令を下したのはグレンバルディオではないか」

「ルルーシアン嬢がとても優秀なのはご存じですよね?令嬢は今でも私の妃を望んでいますし、あの男ではヴァレリアを幸せには出来ません」

 令嬢ではなく夫人となった女性にここまで執着している息子を国王は冷めた目で見ていた。

「二人は幸せそうに見えたが?」

「国王の前だからです」

「…ヴァレリア夫人と個人的に会話したのか?」

「してませんが、目を見れば分かります」

 目をみれば分かるというのは、長年連れ添った夫婦や常に相手の事を考え互いの考えがわかるような関係性の者が使う言葉で、以前から会話もしていない者が相手の目を見ただけで分かる訳がない。空想なのか妄想なのか、そんな事を自信満々に宣言してしまう息子に国王は、父として呆れていた。

「…グレンバルディオ、妃が体調不良で療養したばかりだ。傍に居てやりなさい」

 王子はそこで食い下がったが、王子妃が療養されている場所を見て幽閉と気付きどういう事なのか国王に抗議するも、翌日には自身も王子妃と共にいた。

 数日後、側妃は無事に男児を出産したと国王と宰相は執務室で報告を受ける。

「おめでとうございます」

「あぁ、側妃もよくやってくれた」

「今度は王子教育お願いしますよ?」

「あぁ、分かっている」

 全ては二人の計画通り。

「それより、ランクーベ夫妻に子は未だか?」

「そのような報告は届いておりませんが、二人の仲は良好で健康についても異常はないようです。夫人は若いですから問題ないでしょう」

「夫人には女児を生んでほしいものだな」

「そうですね」



【完】

 
 漸く完全に終わりましたぁ。
 本編より長いオマケで申し訳ありません…
 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます。
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みんなの感想(400件)

みずな117(まるる999)

1の11
抗議文くらい出してもいいのでは?ないですか?
言われっぱなし、しかも、片方により過ぎ。悪意あり過ぎです。

対抗するような、読みもの書く会社に、事実はこうだし、そっちは、偏りすぎでお金もらってんじゃないの?読んでる人も、少しは冷静に公平に読んだら。
くらい、出版しても。

もう先の話はある事は分かってるけど、すごく気になりました。

発行してる会社に調査くらい入れてたらいいのにな。

天冨七緒
2024.05.28 天冨七緒

感想ありがとうございます
ゴシップ紙はとても重要となっております。
ここで語ってしまうとネタバレになってしまう為、控えさせていただきます。
ゴシップ紙はこの物語で大事な役割をしています……とだけお伝えさせていただきます。

解除
りりあ
2024.05.23 りりあ

面白かったのでついつい一気読みしてしまいました!
領地の疫病は体から黒くなるから炭疽菌かなと思ってましたがカビなのは同じですけどなんか微妙に違う病気で予想が外れました。
ランクーベ夫妻の今後も気になるので気が向いた時にでも書いてくださると嬉しいです。

天冨七緒
2024.05.24 天冨七緒

炭疽菌…よい情報をありがとうございます。
ハッキリと病状を書いてしまうと『気持ち悪い』『怖い』と思われてしまうのではないかと悩み、明確には書きませんでしたので、その辺りの病気かな?と予想していただけたら正解だと思います。

こちらこそ、続きを望んでいただき嬉しいです。
感想ありがとうございます。

解除
小判鮫
2024.04.25 小判鮫

書籍化、おめでとう御座います🥳

やはり楽しいお話ですわー😀
特に夏のかき氷大作戦🍧

侯爵家パーティで「恥をかけ」と言わんばかりの伯爵令嬢をやり込め…… 間違えましたわ、たしなめるイラストに心震えましたの🤭{イイゾモットヤレ)

ところで、かき氷大作戦の時、北部男爵へお手紙を送った直後に、「南部への視察云々」と唐突に出てきて、まぁしっかり読んでいれば勘違いは起きませんけれども、あの書き方では、その後の返信が男爵からのものとも受け取れますが。

ミスリードを誘う手法なのでしょうか?

校正はアルファポリス様がなさっておられるでしょうが、誤植なのか『〜〜」というのも発見致しましたので、ご報告でございます。

大好きな作品ですので、小さな粗探しのように思われると残念なのですが、推し作品に瑕疵がつくのが許せない心狭い派ですの😨

落丁版や誤植版が嬉しい派とは相容れないので、申し訳ございませんわ😓

天冨七緒
2024.04.25 天冨七緒

ありがとうございます

北部…確認します。

今回は時間に終われる修正となり、小さなミスが多々出ております。
電子書籍の方で修正が可能なのか分かりませんが、編集様に相談したいと思います。
お気づきの点がございましたら、教えていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします

解除

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