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オマケの続き
候補
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「ヴァレリア」
「はい」
「今まで決め兼ねていたんだが、今日の姿を見て安心した」
お父様もオルフレッドの事を気にしていたのだろう。
彼自身ではなく目に見えない「呪い」についてを…
「実のところヴァレリアの今後を考え養子を迎えるべきなのか悩んでいてね」
養子であったレイモンドが廃嫡となり時間が経っていたが、お父様が後継者を育てていなかったのは、私が離縁して戻ってくることを考えていたのだと容易に想像できる。
後継者を育てるなら幼いうちから教育する方が吸収するというのもあるが、私が戻って来てしまえばその相手は必然的に私の夫ということになる。
貴族社会で女性が爵位を受け継ぐことは、無いこともないがとても珍しく苦労するのは目に見えている。
「そうですね、ルルーシアン公爵家を継いでくれる方が必要ですもんね」
だが私はオルフレッドと別れる気がないので、ルルーシアンを継ぐことは出来ない。
「あぁ、遠縁に素質のある子を見つけてはいたんだ」
お父様は私の事もあり、決めるのを待ってくれていた。
候補の彼は今現在九歳で三兄弟の三番目。長男は子爵家を継ぎ、既に婚約者もいる。次男は男爵令嬢と婚約し男爵家に婿入りが決定している。三男だけが未定だったがお父様の目に留まり養子にと考えているらしい。だが、まだ相手側には話していない。私次第だとか。
「その子に会えるの楽しみにしています」
私としては問題ないが、少し不安も過る。
長男が父親の跡を継ぎ子爵、次男が婿入りし男爵、末っ子の彼が養子として公爵…家庭環境は分からないが、兄達二人は弟が格上の…貴族の頂点になるのをどう思うだろうか?この事で兄弟仲が悪くならないことを願うしかない。
「彼は私達の遠縁ではあるが、髪や瞳の色は私達と同じでね。勉強の方はこれからだが乗馬は得意なようで活発な子だよ」
彼の事を語る父の表情からとても気に入っているよう。この様子だと今日にでも相手方に打診の手紙を書くに違いない。
養子だったレイモンドは当時、家族に不幸があったので私と年齢も近いことでお父様が彼を引き取ることにした。私とは折り合いが悪かったが、お父様とはどうだったのかは聞いていない。ただ、私を侮辱したことで娘溺愛のお父様の逆鱗に触れ養子離縁という事になった。その後はとある貴族の使用人となるも、自身の選択で貴族との関係を絶ちその後は平民となっていると聞く。今現在の彼は知らない。
その事もあり当主候補選びには慎重になっていたようだが、その事が気にならない程お父様は彼を気に入っているようだ。
以前の私が義弟に対してどのような対応をしていたのかは分からないが、会った時には理不尽な対応はしないように心がけようと思う。
これ以上お父様に迷惑を掛けたくないのと、跡継ぎ問題で悩ませたくなかった。
今回の目的である結婚式を挙げる報告は無事に遂行出来、私としては満足だ。
実家で安心してか、かなり寛いでしまったので帰ろうとするも「夕食食べていくわよね?」というお母様の笑顔の圧を感じ「も…勿論」と答えてしまいオルフレッドに視線で確認すれば、微笑み頷かれた。
そして食事を終えランクーベ邸に戻るのをお母様には「今日は泊まっていきなさいよぉ」と何度も引き留められる。
娘溺愛が激しいのはお父様だけでなくお母様ものようで、馬車に乗り込むのにかなりの時間を要した。私達のやり取りをうんざりすることなく見守ってくれるオルフレッドの優しい表情に癒され、いつの間にかランクーベ公爵邸に到着していた。
「はい」
「今まで決め兼ねていたんだが、今日の姿を見て安心した」
お父様もオルフレッドの事を気にしていたのだろう。
彼自身ではなく目に見えない「呪い」についてを…
「実のところヴァレリアの今後を考え養子を迎えるべきなのか悩んでいてね」
養子であったレイモンドが廃嫡となり時間が経っていたが、お父様が後継者を育てていなかったのは、私が離縁して戻ってくることを考えていたのだと容易に想像できる。
後継者を育てるなら幼いうちから教育する方が吸収するというのもあるが、私が戻って来てしまえばその相手は必然的に私の夫ということになる。
貴族社会で女性が爵位を受け継ぐことは、無いこともないがとても珍しく苦労するのは目に見えている。
「そうですね、ルルーシアン公爵家を継いでくれる方が必要ですもんね」
だが私はオルフレッドと別れる気がないので、ルルーシアンを継ぐことは出来ない。
「あぁ、遠縁に素質のある子を見つけてはいたんだ」
お父様は私の事もあり、決めるのを待ってくれていた。
候補の彼は今現在九歳で三兄弟の三番目。長男は子爵家を継ぎ、既に婚約者もいる。次男は男爵令嬢と婚約し男爵家に婿入りが決定している。三男だけが未定だったがお父様の目に留まり養子にと考えているらしい。だが、まだ相手側には話していない。私次第だとか。
「その子に会えるの楽しみにしています」
私としては問題ないが、少し不安も過る。
長男が父親の跡を継ぎ子爵、次男が婿入りし男爵、末っ子の彼が養子として公爵…家庭環境は分からないが、兄達二人は弟が格上の…貴族の頂点になるのをどう思うだろうか?この事で兄弟仲が悪くならないことを願うしかない。
「彼は私達の遠縁ではあるが、髪や瞳の色は私達と同じでね。勉強の方はこれからだが乗馬は得意なようで活発な子だよ」
彼の事を語る父の表情からとても気に入っているよう。この様子だと今日にでも相手方に打診の手紙を書くに違いない。
養子だったレイモンドは当時、家族に不幸があったので私と年齢も近いことでお父様が彼を引き取ることにした。私とは折り合いが悪かったが、お父様とはどうだったのかは聞いていない。ただ、私を侮辱したことで娘溺愛のお父様の逆鱗に触れ養子離縁という事になった。その後はとある貴族の使用人となるも、自身の選択で貴族との関係を絶ちその後は平民となっていると聞く。今現在の彼は知らない。
その事もあり当主候補選びには慎重になっていたようだが、その事が気にならない程お父様は彼を気に入っているようだ。
以前の私が義弟に対してどのような対応をしていたのかは分からないが、会った時には理不尽な対応はしないように心がけようと思う。
これ以上お父様に迷惑を掛けたくないのと、跡継ぎ問題で悩ませたくなかった。
今回の目的である結婚式を挙げる報告は無事に遂行出来、私としては満足だ。
実家で安心してか、かなり寛いでしまったので帰ろうとするも「夕食食べていくわよね?」というお母様の笑顔の圧を感じ「も…勿論」と答えてしまいオルフレッドに視線で確認すれば、微笑み頷かれた。
そして食事を終えランクーベ邸に戻るのをお母様には「今日は泊まっていきなさいよぉ」と何度も引き留められる。
娘溺愛が激しいのはお父様だけでなくお母様ものようで、馬車に乗り込むのにかなりの時間を要した。私達のやり取りをうんざりすることなく見守ってくれるオルフレッドの優しい表情に癒され、いつの間にかランクーベ公爵邸に到着していた。
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