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オマケの続き
会いたかったな…
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私は朝早く南部を出発した。
南部と王都は遠い…早く…会いたい…
移動中の馬車内ではずっと公爵の事を考えている。
早く帰りたくて昨日はよく眠れなかったのが、今ここに来て眠さに襲われている。王都に着く頃には公爵は仕事で屋敷にはいないのは分かっているのに、少しでも早く帰りたかった…
「奥様…奥様…ヴァレリアお嬢様っ」
「ふぇっ」
「到着しました」
「あっうん」
私はいつの間にか眠りジャネットに起こされるまで熟睡していて、既にランクーベ公爵家に到着していた。
馬車から降り屋敷に入るも、出迎えた執事のイーサンから「私の帰りを待つことなく、今日は先に休んでいてください」と、公爵の帰りが遅くなることを伝えられた。
私は初めての恋に、一喜一憂を繰り返している。
早く会いたくて浮かれ、会えないことに沈んでいる。
必死に落ち込んでないフリをするも、ベテランなイーサンや私が幼い頃から一緒にいるジャネット、それに公爵家の使用人でいつも私の身の回りの世話をしてくれるルーリにも見破られてしまっていた。
皆に甲斐甲斐しく世話をされ、食事にお風呂を頂くと急激な睡魔に襲われる。
公爵を待っていたかったのに、寝不足や長距離移動で私の体力は限界で更には宿とは違う柔らかいベッドにあっさりと眠りに落ちた…
キャンキャンキャンキャン
「んっ…ん゛~っ何?」
目覚まし時計のように、犬が吠え続けている。公爵家にいて初めての事だ。
何かあったのだろうか?私の知っている犬の鳴き声ではなく、甲高い声で鳴いている。もしや、誰かが怪我を負って助けを求めているのかもしれない。
嫌な予感に眠気も一気に吹き飛び起き上がる。
この世界では寝巻きを夫以外の男性に見せるのは「はしたない行為」らしいが今はそんなことを言っている場合ではない。
ワンピースなので私としては全く恥ずかしくない格好だが、一応寒くもないのにガウンを羽織った。
犬舎に向かうと使用人が何かを囲うように手を拡げ檻を作っていた。その中心には一匹の犬が転げ回っている…遊んでいるのか?
彼らの様子を確認の為眺めていると、犬は突然走りだしたかと思えば急に倒れ身体を地面に擦り付けていた。その間も甲高い声で犬は鳴くので、何らかの異変なのだろう。
「どうしたの?」
「奥様っ」
執事のイーサンや世話係のルーリ以外にも私をちゃんと「奥様」と呼んでくれている。
「昨日の夕方からフェップンの様子がおかしくて、走り回り甲高い声で鳴いたりと…きっと呪いのせいかと…ですので、奥様は近づかないでください」
「…呪い…ですか?」
犬は駆け回り体を振ったりと忙しなく動き続ける。確かに普段の犬をよく知らないが、異常行動であるのは分かった。
「呪いが伝染する前に…」
「前に…何ですか?」
何をするつもりなの?嫌な予感しかない。
「…楽に…してやるんです」
使用人は顔をしかめながら口にした。
彼も本意ではないのだろう…長く苦しめるくらいなら…と犬のためを思ってだろう。
「楽にって…殺すって事ですか?」
私はそこを確認せずにはいられなかった。
「はい」
「やめてくださいっ」
そんなの酷すぎる…
二つ目の呪い、呪われた犬
南部と王都は遠い…早く…会いたい…
移動中の馬車内ではずっと公爵の事を考えている。
早く帰りたくて昨日はよく眠れなかったのが、今ここに来て眠さに襲われている。王都に着く頃には公爵は仕事で屋敷にはいないのは分かっているのに、少しでも早く帰りたかった…
「奥様…奥様…ヴァレリアお嬢様っ」
「ふぇっ」
「到着しました」
「あっうん」
私はいつの間にか眠りジャネットに起こされるまで熟睡していて、既にランクーベ公爵家に到着していた。
馬車から降り屋敷に入るも、出迎えた執事のイーサンから「私の帰りを待つことなく、今日は先に休んでいてください」と、公爵の帰りが遅くなることを伝えられた。
私は初めての恋に、一喜一憂を繰り返している。
早く会いたくて浮かれ、会えないことに沈んでいる。
必死に落ち込んでないフリをするも、ベテランなイーサンや私が幼い頃から一緒にいるジャネット、それに公爵家の使用人でいつも私の身の回りの世話をしてくれるルーリにも見破られてしまっていた。
皆に甲斐甲斐しく世話をされ、食事にお風呂を頂くと急激な睡魔に襲われる。
公爵を待っていたかったのに、寝不足や長距離移動で私の体力は限界で更には宿とは違う柔らかいベッドにあっさりと眠りに落ちた…
キャンキャンキャンキャン
「んっ…ん゛~っ何?」
目覚まし時計のように、犬が吠え続けている。公爵家にいて初めての事だ。
何かあったのだろうか?私の知っている犬の鳴き声ではなく、甲高い声で鳴いている。もしや、誰かが怪我を負って助けを求めているのかもしれない。
嫌な予感に眠気も一気に吹き飛び起き上がる。
この世界では寝巻きを夫以外の男性に見せるのは「はしたない行為」らしいが今はそんなことを言っている場合ではない。
ワンピースなので私としては全く恥ずかしくない格好だが、一応寒くもないのにガウンを羽織った。
犬舎に向かうと使用人が何かを囲うように手を拡げ檻を作っていた。その中心には一匹の犬が転げ回っている…遊んでいるのか?
彼らの様子を確認の為眺めていると、犬は突然走りだしたかと思えば急に倒れ身体を地面に擦り付けていた。その間も甲高い声で犬は鳴くので、何らかの異変なのだろう。
「どうしたの?」
「奥様っ」
執事のイーサンや世話係のルーリ以外にも私をちゃんと「奥様」と呼んでくれている。
「昨日の夕方からフェップンの様子がおかしくて、走り回り甲高い声で鳴いたりと…きっと呪いのせいかと…ですので、奥様は近づかないでください」
「…呪い…ですか?」
犬は駆け回り体を振ったりと忙しなく動き続ける。確かに普段の犬をよく知らないが、異常行動であるのは分かった。
「呪いが伝染する前に…」
「前に…何ですか?」
何をするつもりなの?嫌な予感しかない。
「…楽に…してやるんです」
使用人は顔をしかめながら口にした。
彼も本意ではないのだろう…長く苦しめるくらいなら…と犬のためを思ってだろう。
「楽にって…殺すって事ですか?」
私はそこを確認せずにはいられなかった。
「はい」
「やめてくださいっ」
そんなの酷すぎる…
二つ目の呪い、呪われた犬
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