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オマケの続き
控え室
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過去を振り返ると、私には友人も恋人もいない人生だった。
楽譜の背景にある感情を考え想像することは出来ても、体験したことはなかった。ピアノに捧げた人生はピアノしから知らない人生で、人生経験があまりにも乏しく表現者として感情を知らなすぎた。
そんな私が今回選曲したのは恋愛にちなんだものばかりに惹かれていた。
コンコンコン
三度目の訪問者。
もう、本当に私には親しい人はいないのに誰だろうか?
悩んでも思い浮かばない…いやっ一人いるが「彼が来たっ」と期待して別の人が現れ落ち込みたくなかったので、彼を予想の一人に入れなかった。
そして、控え室に入ってきたのは…
「…申し訳ない、挨拶をと思ったんですが取り込み中でしたね」
私は彼の姿を見るなり駆け寄っていた。
「いえっ大丈夫です」
控え室に沢山の人を確認すると遠慮しがちな彼は、自分がいることで今の雰囲気を壊すのを恐れすぐさま立ち去ろうとする。
私はそんなものは気にしない、私は彼の存在で新たなピアノの可能性を見つける事が出来たんだもの。
「まっ…待ってくださ…うぇぁっ…」
彼が帰ってしまうと思い急いで手を伸ばし駆け寄ると、長いスカートに足を取られ勢いよく彼に突撃…抱きついてしまった…
「あっ、すみません」
「いっいえ…大丈夫ですか?」
「はっはぃ…」
急に恥ずかしくなり、急いで離れるも気まずい空気が流れる。
「ふふふ、なんだ二人は上手く行っているのね」
お母様の声に振り向くと、皆が嬉しそうに微笑んでいた。特に、ニクソン令嬢はニヤニヤしているようにも見える。
「ランクーベ公爵、娘を頼む」
定番でもある父親の台詞を聞き、公爵がなんて返事するのか期待する。
「…令嬢は素晴らしい方です。そんな人が私なんかで良いのか…」
「なんかじゃないです。公爵は素敵な方です」
つい私は二人の会話に割り込んでしまった。
「…あ…りがとうございます」
見た目は極上に美しく、王族の命令で押し付けられた私に対しても丁寧な対応で優しい人。領地で何かあれば、すぐにでも駆けつける正義感が強く医療関係に多額の支援する素晴らしい人なのに「呪われた公爵」と呼ばれるようになって人前を避けるようになったとか…
何故そんな人が呪われなければならないんだっ。
呪われた…と言うことは呪った人間がいるのか?いやっそもそも公爵は呪われてなんかない。
部屋の手形だって、職人の不注意によるもので公爵は被害者だ。
あんなこと誰かが故意に広めなければ知られることはなかったのに…
あの部屋を請け負った職人が自分の失態を隠すために「呪われた公爵」と噂するとは考えられない。バレた時に貴族に対してそんな対応をしたとなれば仕事がなくなるどころが、法的に罰せられると考えなくても分かるもの。
彼でないなら誰?呪われた部屋の存在を知ることが出来、公爵に恨みをもった人間…
もし、そんな人物がいるのなら絶対に暴いてやる。
楽譜の背景にある感情を考え想像することは出来ても、体験したことはなかった。ピアノに捧げた人生はピアノしから知らない人生で、人生経験があまりにも乏しく表現者として感情を知らなすぎた。
そんな私が今回選曲したのは恋愛にちなんだものばかりに惹かれていた。
コンコンコン
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もう、本当に私には親しい人はいないのに誰だろうか?
悩んでも思い浮かばない…いやっ一人いるが「彼が来たっ」と期待して別の人が現れ落ち込みたくなかったので、彼を予想の一人に入れなかった。
そして、控え室に入ってきたのは…
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私は彼の姿を見るなり駆け寄っていた。
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私はそんなものは気にしない、私は彼の存在で新たなピアノの可能性を見つける事が出来たんだもの。
「まっ…待ってくださ…うぇぁっ…」
彼が帰ってしまうと思い急いで手を伸ばし駆け寄ると、長いスカートに足を取られ勢いよく彼に突撃…抱きついてしまった…
「あっ、すみません」
「いっいえ…大丈夫ですか?」
「はっはぃ…」
急に恥ずかしくなり、急いで離れるも気まずい空気が流れる。
「ふふふ、なんだ二人は上手く行っているのね」
お母様の声に振り向くと、皆が嬉しそうに微笑んでいた。特に、ニクソン令嬢はニヤニヤしているようにも見える。
「ランクーベ公爵、娘を頼む」
定番でもある父親の台詞を聞き、公爵がなんて返事するのか期待する。
「…令嬢は素晴らしい方です。そんな人が私なんかで良いのか…」
「なんかじゃないです。公爵は素敵な方です」
つい私は二人の会話に割り込んでしまった。
「…あ…りがとうございます」
見た目は極上に美しく、王族の命令で押し付けられた私に対しても丁寧な対応で優しい人。領地で何かあれば、すぐにでも駆けつける正義感が強く医療関係に多額の支援する素晴らしい人なのに「呪われた公爵」と呼ばれるようになって人前を避けるようになったとか…
何故そんな人が呪われなければならないんだっ。
呪われた…と言うことは呪った人間がいるのか?いやっそもそも公爵は呪われてなんかない。
部屋の手形だって、職人の不注意によるもので公爵は被害者だ。
あんなこと誰かが故意に広めなければ知られることはなかったのに…
あの部屋を請け負った職人が自分の失態を隠すために「呪われた公爵」と噂するとは考えられない。バレた時に貴族に対してそんな対応をしたとなれば仕事がなくなるどころが、法的に罰せられると考えなくても分かるもの。
彼でないなら誰?呪われた部屋の存在を知ることが出来、公爵に恨みをもった人間…
もし、そんな人物がいるのなら絶対に暴いてやる。
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