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四章 物語は終盤へ

真実は残酷

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「私の体調不良は貴様の…光属性の加護が原因だ。」

ハーヴィル様との距離が多少離れたことで、王子の僕に掛かる重量が僅かに減ったが僕の肩を掴む手は力強いままだった。

「ぇっ…僕の…加護…う…そ…」

「嘘ではない…」

「…だって…光属性の加護は…誰にでも…」

加護について疎い僕もアレックスの説明で初めて光属性の加護は特別で誰に対しても拒絶反応が無いと知った。
その為に光属性は珍しいが国に数名いるものの、加護を施す事が出来る者は今のところハーヴィル様だけらしい。

それだけ貴重な存在…。

そんな人の魔力に酔ってしまうなんて信じられない事だった。

「あぁ、だが私には受け付けられなかった…。」

「………。」

「シャルマンは体調不良の私を気遣い色々と動いてくれていた…」

「…ぇ…」

ハーヴィル様の揺れる瞳が僕を捉えた。

「私に近付くな…」

ハーヴィル様にキツイ言葉を浴びせ、王子は歩きだした…。
僕の肩に支えられるというより僕を杖のようにしていたので、多少は体力がついていたんだと…思いたい。

強制的とは思わないが僕に王子を払い除けることは出来ず、慣れてしまった王子の私室への道のりを歩いた。

王子に肩を貸しながら振り返れば、未だに尻餅を着いてこちらに視線を送っているハーヴィル様が見えた。

どうして…特別な力は良いことだけじゃないんだろ…。

ハーヴィル様は王子の事を思ってる…なのに…許されない…。
特別な力さえなければ…僕達はちゃんと幸せに…。

部屋に着きベッドまで王子に付き添った。

庭園を散歩していた時とは違いのっそりと動きベッドに横たわる王子を確認後、僕はバングルの結果をアレクサンダー様に報告を…。

「行くな…」

王子が休んでいるのでいつまでも部屋にいるより、一人休ませてあげようとその場を離れようとした瞬間手を捕まれた。

「ひゃっ」

驚いた声をあげたのは咄嗟に手を捕まれたこともあるが、王子の手が氷のように冷たかったからの方が大きかった。

「側に…居てくれ…」

「…ぇっ…バングルの事を…」

側にいてあげたいがバングルの事も早く報告するべきなのではと、どちらを優先するべきが僕に判断できず悩んでしまう…。

「…頼む…」

「……はぃ」

僕は夜でもないのに王子のベッドにお邪魔して添い寝することに…。

ベッドに横たわり王子の腕の中に閉じ込められると、驚くことに服の上からでも王子のひんやりとした体温を感じた。

王子の背に手を回し撫でながら摩擦で温めると、王子との距離がさらに密着していく。僕の身体からも体温を奪われていくがそんなことはどうでもよく王子の身体を暖めることに必死だった。

暫くすると王子の寝息が聞こえ始めた。

これからどうなるんだろう?

ハーヴィル様は側室として王宮に来た…けど、王子の体調不良の原因はハーヴィル様だった。
光属性の加護が体調不良を起こすなんて聞いたことが無い為に魔力酔いの魔道具も効かない…。

もし対策が見つからないとハーヴィル様は…王宮を…。

そんなことにはなってほしくない…けど、解決策がそれしか見当たらない。
僕が問題を解決するのに出来る事は何もない。
出来る事は…魔力酔いをしてしまう王子の世話を魔力の無い僕がする…というだけだった…。

王子には一日でもこの苦しみから抜け出し元気になってほしい…それに僕も…屋敷に帰ってライに…皆に逢いたい…。

僕は我が儘にも自分の事ばかり考えてしまった。
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