396 / 414
四章 物語は終盤へ
真実は残酷
しおりを挟む
「私の体調不良は貴様の…光属性の加護が原因だ。」
ハーヴィル様との距離が多少離れたことで、王子の僕に掛かる重量が僅かに減ったが僕の肩を掴む手は力強いままだった。
「ぇっ…僕の…加護…う…そ…」
「嘘ではない…」
「…だって…光属性の加護は…誰にでも…」
加護について疎い僕もアレックスの説明で初めて光属性の加護は特別で誰に対しても拒絶反応が無いと知った。
その為に光属性は珍しいが国に数名いるものの、加護を施す事が出来る者は今のところハーヴィル様だけらしい。
それだけ貴重な存在…。
そんな人の魔力に酔ってしまうなんて信じられない事だった。
「あぁ、だが私には受け付けられなかった…。」
「………。」
「シャルマンは体調不良の私を気遣い色々と動いてくれていた…」
「…ぇ…」
ハーヴィル様の揺れる瞳が僕を捉えた。
「私に近付くな…」
ハーヴィル様にキツイ言葉を浴びせ、王子は歩きだした…。
僕の肩に支えられるというより僕を杖のようにしていたので、多少は体力がついていたんだと…思いたい。
強制的とは思わないが僕に王子を払い除けることは出来ず、慣れてしまった王子の私室への道のりを歩いた。
王子に肩を貸しながら振り返れば、未だに尻餅を着いてこちらに視線を送っているハーヴィル様が見えた。
どうして…特別な力は良いことだけじゃないんだろ…。
ハーヴィル様は王子の事を思ってる…なのに…許されない…。
特別な力さえなければ…僕達はちゃんと幸せに…。
部屋に着きベッドまで王子に付き添った。
庭園を散歩していた時とは違いのっそりと動きベッドに横たわる王子を確認後、僕はバングルの結果をアレクサンダー様に報告を…。
「行くな…」
王子が休んでいるのでいつまでも部屋にいるより、一人休ませてあげようとその場を離れようとした瞬間手を捕まれた。
「ひゃっ」
驚いた声をあげたのは咄嗟に手を捕まれたこともあるが、王子の手が氷のように冷たかったからの方が大きかった。
「側に…居てくれ…」
「…ぇっ…バングルの事を…」
側にいてあげたいがバングルの事も早く報告するべきなのではと、どちらを優先するべきが僕に判断できず悩んでしまう…。
「…頼む…」
「……はぃ」
僕は夜でもないのに王子のベッドにお邪魔して添い寝することに…。
ベッドに横たわり王子の腕の中に閉じ込められると、驚くことに服の上からでも王子のひんやりとした体温を感じた。
王子の背に手を回し撫でながら摩擦で温めると、王子との距離がさらに密着していく。僕の身体からも体温を奪われていくがそんなことはどうでもよく王子の身体を暖めることに必死だった。
暫くすると王子の寝息が聞こえ始めた。
これからどうなるんだろう?
ハーヴィル様は側室として王宮に来た…けど、王子の体調不良の原因はハーヴィル様だった。
光属性の加護が体調不良を起こすなんて聞いたことが無い為に魔力酔いの魔道具も効かない…。
もし対策が見つからないとハーヴィル様は…王宮を…。
そんなことにはなってほしくない…けど、解決策がそれしか見当たらない。
僕が問題を解決するのに出来る事は何もない。
出来る事は…魔力酔いをしてしまう王子の世話を魔力の無い僕がする…というだけだった…。
王子には一日でもこの苦しみから抜け出し元気になってほしい…それに僕も…屋敷に帰ってライに…皆に逢いたい…。
僕は我が儘にも自分の事ばかり考えてしまった。
ハーヴィル様との距離が多少離れたことで、王子の僕に掛かる重量が僅かに減ったが僕の肩を掴む手は力強いままだった。
「ぇっ…僕の…加護…う…そ…」
「嘘ではない…」
「…だって…光属性の加護は…誰にでも…」
加護について疎い僕もアレックスの説明で初めて光属性の加護は特別で誰に対しても拒絶反応が無いと知った。
その為に光属性は珍しいが国に数名いるものの、加護を施す事が出来る者は今のところハーヴィル様だけらしい。
それだけ貴重な存在…。
そんな人の魔力に酔ってしまうなんて信じられない事だった。
「あぁ、だが私には受け付けられなかった…。」
「………。」
「シャルマンは体調不良の私を気遣い色々と動いてくれていた…」
「…ぇ…」
ハーヴィル様の揺れる瞳が僕を捉えた。
「私に近付くな…」
ハーヴィル様にキツイ言葉を浴びせ、王子は歩きだした…。
僕の肩に支えられるというより僕を杖のようにしていたので、多少は体力がついていたんだと…思いたい。
強制的とは思わないが僕に王子を払い除けることは出来ず、慣れてしまった王子の私室への道のりを歩いた。
王子に肩を貸しながら振り返れば、未だに尻餅を着いてこちらに視線を送っているハーヴィル様が見えた。
どうして…特別な力は良いことだけじゃないんだろ…。
ハーヴィル様は王子の事を思ってる…なのに…許されない…。
特別な力さえなければ…僕達はちゃんと幸せに…。
部屋に着きベッドまで王子に付き添った。
庭園を散歩していた時とは違いのっそりと動きベッドに横たわる王子を確認後、僕はバングルの結果をアレクサンダー様に報告を…。
「行くな…」
王子が休んでいるのでいつまでも部屋にいるより、一人休ませてあげようとその場を離れようとした瞬間手を捕まれた。
「ひゃっ」
驚いた声をあげたのは咄嗟に手を捕まれたこともあるが、王子の手が氷のように冷たかったからの方が大きかった。
「側に…居てくれ…」
「…ぇっ…バングルの事を…」
側にいてあげたいがバングルの事も早く報告するべきなのではと、どちらを優先するべきが僕に判断できず悩んでしまう…。
「…頼む…」
「……はぃ」
僕は夜でもないのに王子のベッドにお邪魔して添い寝することに…。
ベッドに横たわり王子の腕の中に閉じ込められると、驚くことに服の上からでも王子のひんやりとした体温を感じた。
王子の背に手を回し撫でながら摩擦で温めると、王子との距離がさらに密着していく。僕の身体からも体温を奪われていくがそんなことはどうでもよく王子の身体を暖めることに必死だった。
暫くすると王子の寝息が聞こえ始めた。
これからどうなるんだろう?
ハーヴィル様は側室として王宮に来た…けど、王子の体調不良の原因はハーヴィル様だった。
光属性の加護が体調不良を起こすなんて聞いたことが無い為に魔力酔いの魔道具も効かない…。
もし対策が見つからないとハーヴィル様は…王宮を…。
そんなことにはなってほしくない…けど、解決策がそれしか見当たらない。
僕が問題を解決するのに出来る事は何もない。
出来る事は…魔力酔いをしてしまう王子の世話を魔力の無い僕がする…というだけだった…。
王子には一日でもこの苦しみから抜け出し元気になってほしい…それに僕も…屋敷に帰ってライに…皆に逢いたい…。
僕は我が儘にも自分の事ばかり考えてしまった。
12
お気に入りに追加
2,865
あなたにおすすめの小説
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる