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二章 ハーレムルート
またもや失敗
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案内された談話室。
エドは気にすること無くソファに僕を引き連れ優雅に座った。
僕の腰を引き寄せ、このままキスしてしまいそうな雰囲気を醸し出しながら…キスしてしまったら僕は拒めない。
キスする前にエドを止めないとと必死だった。
僕は周囲の、特にある人の視線が気になって気になって仕方がなかった。
学園でよく見る僕を毛嫌いしている人たちと同じ目をした彼…。
「エドバルドからフィンコック様に婚約の申し出をしてほしいと手紙があった時は驚いたよ。」
「どうなるかと心配だったけど、婚約承諾の返事が来た時も信じられないくらい驚いたよ。」
お父様とお母様は僕達の婚約を喜んで…楽しんでる?
「だけど二人を見て安心した。」
「エドバルド一人の思い込みじゃなくて。」
「思い込み?」
どういうことだろう?
「フィンコック様の意思が見えなかったもので、つい…」
あっ僕の気持ちがってこと?
「僕は…エドを…」
「王子の変わりにしてる?」
突如エドやお義父様に似た声に遮られた。
「えっ」
僕の言葉なんて聞く必要ないと言わんばかりに彼は話を進めていく。
「フィンコック様がずっと王子だけを追いかけてたのは有名な話だ。父さんや母さんが心配するのも当然だろ?」
「おいっ」
「事実だろ?学園にいる者で知らないヤツはいないよ。ペアの授業だって何度も直談判してるのを目撃したヤツも一人や二人じゃないだろっ。」
僕ではないが「僕じゃないです」なんて彼には言えなかった。
僕は転生者ですって言ったら今度は別の問題を挙げられそうで静かに彼の言葉を聞くしか出来なかった。
「ルマン悪ぃこいつのことは気にするな。」
「でも…」
エドが僕を守っての事は分かる。
けど、彼は「父さんも母さんも心配していた」と言った。
やはり、口にはしなくても僕の事を受け入れるのを迷っていたんだ…。
「エイダン、ルマンは俺の婚約者だ。俺が望んだ婚約だ口出しするなっ。」
「兄さんだけの問題じゃないだろ?兄さんは時期当主になるんだ、何かあれば家門で責任を取らされる可能性だって有る。フィンコック様は今まで公爵家が守って大事にはならなかっただろうが、俺達は伯爵家だ。守りきれない。」
僕の過去の行いを全てではないが知っていての兄への忠告なんだと思う。
彼は僕が嫌いとかじゃなく、家族のエドが大事なんだ。
僕に対して当たりはきついけど、家族愛が強いんだなって現実逃避のように考えてしまった。
「それに始業式でも注目を浴びるように倒れて、そんなに特別扱いされたいですか?獣人の真似事までしてっ…くっ…」
「いい加減にしろよっ。」
エドは彼の胸ぐらを掴み、殴り掛かるような勢いだった。
「エドっ」
僕は急いでエドの背中に飛び付いた。
「彼は間違ってないから。全部本当の事だから…でも、今はエドの婚約者です。王子の婚約者になりたいなんて思ってませんし、エドを誰かの変わりなんて考えてないです。」
非力な僕だがエドを止めながら彼の目を見て宣言した。
「口ではなんとでも言える。フィンコック様が婚約したのだって王子への当て付けなんだろうっ。」
「お前っ勝手なこと言ってんじゃねっ。」
「エドォ」
「二人とも止めなさいっ。」
ビリビリと身体に響くお義父様の声に二人は冷静になり、エドも彼から手を離した。
「エドバルト、フィンコック様と部屋に。」
「…はい」
「フィンコック様、申し訳ないがエドバルトと居てもらっていいか?」
「はぃ」
「エイダンが悪かったね。」
「いえ、エイダン様は家族の事を真剣に思ってのことなので…。僕の方こそすみません。」
「そう言って頂きありがとうございます。フィンコック様について話しておかなかったこちらの責任です。」
「…行くぞっ」
エドに肩を抱かれ談話室を出て、多分エドの部屋に向かってる。
エドは気にすること無くソファに僕を引き連れ優雅に座った。
僕の腰を引き寄せ、このままキスしてしまいそうな雰囲気を醸し出しながら…キスしてしまったら僕は拒めない。
キスする前にエドを止めないとと必死だった。
僕は周囲の、特にある人の視線が気になって気になって仕方がなかった。
学園でよく見る僕を毛嫌いしている人たちと同じ目をした彼…。
「エドバルドからフィンコック様に婚約の申し出をしてほしいと手紙があった時は驚いたよ。」
「どうなるかと心配だったけど、婚約承諾の返事が来た時も信じられないくらい驚いたよ。」
お父様とお母様は僕達の婚約を喜んで…楽しんでる?
「だけど二人を見て安心した。」
「エドバルド一人の思い込みじゃなくて。」
「思い込み?」
どういうことだろう?
「フィンコック様の意思が見えなかったもので、つい…」
あっ僕の気持ちがってこと?
「僕は…エドを…」
「王子の変わりにしてる?」
突如エドやお義父様に似た声に遮られた。
「えっ」
僕の言葉なんて聞く必要ないと言わんばかりに彼は話を進めていく。
「フィンコック様がずっと王子だけを追いかけてたのは有名な話だ。父さんや母さんが心配するのも当然だろ?」
「おいっ」
「事実だろ?学園にいる者で知らないヤツはいないよ。ペアの授業だって何度も直談判してるのを目撃したヤツも一人や二人じゃないだろっ。」
僕ではないが「僕じゃないです」なんて彼には言えなかった。
僕は転生者ですって言ったら今度は別の問題を挙げられそうで静かに彼の言葉を聞くしか出来なかった。
「ルマン悪ぃこいつのことは気にするな。」
「でも…」
エドが僕を守っての事は分かる。
けど、彼は「父さんも母さんも心配していた」と言った。
やはり、口にはしなくても僕の事を受け入れるのを迷っていたんだ…。
「エイダン、ルマンは俺の婚約者だ。俺が望んだ婚約だ口出しするなっ。」
「兄さんだけの問題じゃないだろ?兄さんは時期当主になるんだ、何かあれば家門で責任を取らされる可能性だって有る。フィンコック様は今まで公爵家が守って大事にはならなかっただろうが、俺達は伯爵家だ。守りきれない。」
僕の過去の行いを全てではないが知っていての兄への忠告なんだと思う。
彼は僕が嫌いとかじゃなく、家族のエドが大事なんだ。
僕に対して当たりはきついけど、家族愛が強いんだなって現実逃避のように考えてしまった。
「それに始業式でも注目を浴びるように倒れて、そんなに特別扱いされたいですか?獣人の真似事までしてっ…くっ…」
「いい加減にしろよっ。」
エドは彼の胸ぐらを掴み、殴り掛かるような勢いだった。
「エドっ」
僕は急いでエドの背中に飛び付いた。
「彼は間違ってないから。全部本当の事だから…でも、今はエドの婚約者です。王子の婚約者になりたいなんて思ってませんし、エドを誰かの変わりなんて考えてないです。」
非力な僕だがエドを止めながら彼の目を見て宣言した。
「口ではなんとでも言える。フィンコック様が婚約したのだって王子への当て付けなんだろうっ。」
「お前っ勝手なこと言ってんじゃねっ。」
「エドォ」
「二人とも止めなさいっ。」
ビリビリと身体に響くお義父様の声に二人は冷静になり、エドも彼から手を離した。
「エドバルト、フィンコック様と部屋に。」
「…はい」
「フィンコック様、申し訳ないがエドバルトと居てもらっていいか?」
「はぃ」
「エイダンが悪かったね。」
「いえ、エイダン様は家族の事を真剣に思ってのことなので…。僕の方こそすみません。」
「そう言って頂きありがとうございます。フィンコック様について話しておかなかったこちらの責任です。」
「…行くぞっ」
エドに肩を抱かれ談話室を出て、多分エドの部屋に向かってる。
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