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一章 純愛…ルート

ライアン視点

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学園に入学し、ペアの授業も問題なく過ぎた。
相手に深入りすることもなく、相手に迫られることもなかった。
そんな中、ペアを継続する者や特定のペアを希望する人間が現れ出した。
一人出ると自分もと流行りに乗りたがる者も居たが、俺には無い事だった。
相手も、続けたいと言う感情も。

二年に上がり何度目かのペアチェンジで俺でも知っている有名人に当たった。
王子しか見てない奴、シャルマン フィンコック。
そんなに誰かを特別に思えるのは少し羨ましく思っていた。
あんなにも望んでいるんだ一度のペアくらい叶えてやればと安易に考えるも、そこには教師の思惑もあるんだろう。
俺は関わること無く他人事のように日常を過ごしていた。

だが、まさか俺がペアに当たるとは思っていなかった。
ペア発表の当日も当然ながら、教師に抗議しにいっていたらしい。
俺との接点は一つもないので、俺が嫌だと言うよ王子が良いんだろうな。
何度も頼み込んでいるのにペアになら無いのは、教師が一生徒を特別扱いしない為なのか王子から頼まれているからかそれとも本人に問題があるからか…。
答えが出ないまま彼を視線で追っていた。

その後すぐにペアでの授業が始まった。
案の定、ペアのフィンコックの表情は不満を隠そうとはしなかった。
部屋に入ることさえ叶わなかった令息もいたと聞いたが、入ることはできた。
きっと噂に尾ひれが付いたのだろう。
部屋に入れば会話も無くベッドへ向かい脱ぎ出した。
行為の前の雰囲気作りなどせずに、清々しいとさえ感じさせる。
俺も躊躇うこと無く裸になった。
フィンコックはベッドに上がり俺を待っているが、心なしか足で隠しているのが唆られる。
俺がベッドに上がりゆっくりフィンコックを跨がるように近づく。
シーツを握り顔を背ける姿を見ると、まるで初めて経験するような反応だった。
どの噂が正しいかは分からないが相手を拒むことは本当に有ったと聞く。
その為、他の奴らより慣れていないのだろう。

「ローションは?」

尋ねれば棚を指す指が震えているのは気のせいではないだろう。
態とキスが出来てしまいそうな程近づけば、分かりやすく顔を背けられた。
確か「キスは行為に関係ないからしないで。」と言われた令息の話をエドバルトが話していたな。

キスは王子にだけか…。

洗浄魔法を秘所にかけ、更にローションを掛けただけで全身に力が入るのが見て取れた。
普段は流れ作業のように俺の決まった手順で進めるが、フィンコックには同じように出来なかった。
ゆっくり丁寧にフィンコックの反応を見ながら進めた。
フィンコックのモノは色も綺麗で誰も触れたことが無いんじゃないのかと馬鹿げた考えが浮かぶ程だった。
学園に入学してから何度も行ったはずだ、例え不慣れだったとしても俺以外の誰かは触れている。
口に含むことに躊躇いはない、何度もしてきた事だ。
好きでも嫌いでも無くただの義務。
フィンコックには義務でしたくなかった。
俺の気持ちとは裏腹にフィンコックの顔を背け耐えている姿は、あの男に申し訳ないとか思っているのか?
相手が俺だから感じないようにしているのか?
感じている自分に対しての嫌悪感か?
まさか俺を見ないことで、俺の姿を王子へと変換しているとか?

そんなに王子が良いのか?

無性に腹が立ってきた。
フィンコックの中に入った瞬間、気持ちいいと感じる事にも苛立ちを覚えた。
この身体に夢中になってもフィンコックは俺を見ない。
俺を意識させたくて激しく動き出した。
フィンコックを利用して俺は俺を気持ち良くさせることに集中した。

こんなに夢中にさせておきながら避け、目の前で他の男を考えながら抱かれている奴に苛立っていた。
他人にこれ程怒りを感じたのは初めてだ。

「んっんっふっんっふぅっんんっんんん」

一度強く締め付けられたと思えば、急に息遣いが荒くなった。
それからは、箍が外れたように喘ぎ出した。
声を必死に押さえているようだが、更に激しく動いて我慢出来なくさせた。
フィンコックの視線を感じたが、敢えて逸らし続けた。
もっと俺を見ろよ。

「んっあっあぁぁぁんふぅんはぁんはっぁんん゛ん゛ん゛…もっ…むりぃ。」

フィンコックはイッたと思えば眠るというより気絶した。
その姿に興奮しフィンコックの中に勢い良く注いだ。
たった一度の行為でフィンコックにハマッているのが分かる。
本心は中にいつまでも俺のを留めて置きたかったが、腹を壊す可能性もあるので洗浄魔法を掛けた。

「キス…拒むなよ…。」

眠るフィンコックにキスしてしまおうかと考えたが思い止まった。
惚れた奴の為に約二年も守り続けたんだ、奪うことは出来ない。
聞いていた話とは違い感じまくる姿は魔性のように思わされた。
噂では一切反応がなく人形のようだって聞かされていたが、全くそうではなかった。
感じまくってるのを押さえていたが隠しきれていない。
フィンコック自身はアイツの為に耐えているんだろうが気持ちよく感じているのが丸わかりだった。
アイツに対して良い印象も悪い印象も無く「王子」としか思っていなかったが、段々敵意が芽生えてきた。
暫く寝顔を観察し部屋を出た。
他人を泊めるのを嫌うと本人からは聞いていないが噂で知っていた。
直接本人からは聞きたくないと感じる俺は意外に弱虫だと知った。

フィンコックの部屋を出ればエドバルドとフレデリックがいた。
二人とも俺に尋ねたいのを我慢している素振りでいる。
フィンコックの事は教えてやりたくなかった。

フィンコックが欲しい。

俺にとって始めての感情だった。
あれからフィンコックが教師に抗議しに行くのかどうか気になった。

俺と解消したいのかだろうか?

ペア決め担当の教師が現れ神経を集中させていたが、呼び出されることはなかった。

「ライアン、ペア解消されないみたいだな。」

エドバルトも俺同様気になっていた。
いや正確には、クラス全員が関心が有った事だろう。

「良かったね?って言うべきなのかな?」

フレデリックも直接声を掛けてきたが、視界の角に金髪野郎が不満気にこちらを確認しているのに気付いた。

アイツも本当はフィンコックの事を?
それとも同情か?
今はまだ分からないが、あいつは俺にとって敵となった。
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