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11の扉 神である ために
神であること 2
しおりを挟む「 やっぱり。 もっと、ずっと前から 囁かれてたのかな??」
ぅぅむ?
指に ピッタリと嵌っている。
「セフィラの指輪」を キラキラと煌めかせながら
そうポツリと呟く。
すると ソファーに丸くなっていた朝が
そのままの形でさっくりとツッコミを 入れてきた。
「て、いうかさ。何をどうやったら、あんたの落とし物がエローラの家に届くのよ?」
「 わかんないけど。 多分、拾ってくれたのが「せかいだから」なんだと 思う。」
その「私的な返答」を聞いて。
朝は 大きな溜息を吐いてくるりと向きを変えただけだし
私もあまり 深くは考えていなかったけれど。
"やっぱり 「犯人」は せかい"
そう 思えば思う程に。
「いろんな事実」が 自分の中で
ピタリ ピタリと嵌ってくる。
そう ある時
私が「指輪を落とした」ことも、そのうちの一つだ。
そもそも
「指輪を落とすこと」自体もこれまでならばあり得なくて
勿論「落としていること」にも 気付いていなかった自分
何故かと言えば
そもそも「あの指輪」は「普通見えない」し そう簡単に抜ける様なものでも ない。
それが きちんとエローラの店へ 届くこと
始めはそれが「ただのラッキー」だと 思っていたけれど。
それは 「ようく 観ると」違っていて。
「私の行動」に 対する
「せかいからの返事」だったんだ。
「あり得ないこと」が 起こること
「奇跡の様なこと」が 起こること
そう それは 「落とすこと」もそうだけれど
その「落とし物が無事持ち主に届くこと」も そうで
そもそも「扉も違えば」「何故見えたのか」
それもわからず
「偶然が重なっただけ」では済まされないのだが
しかし。
なにより
その「失くしたことを聞いた時の自分」
その時の「動揺」「驚き」「反応」それが。
自分でも 驚く程に 冷静だったこと
それが「自分の理解」に 拍車をかけたのだと 思う。
「 そもそも、「失くしたこと」自体 気付いてなかったもん。ウイントフークさんに聞いて、「嘘でしょ?」と思って指見たら 嵌ってないから「なんで???」ってなって。 で、少しして「あり得ないこと」が 「あり得る」事に気付いたんだよね。なんだろうか、「せかいに対する信頼」? なんか、相変わらず不安になる事もあるし ぐるぐるしたりもするんだけど その時は冷静に。「えっ そうなんだ じゃあ取りに行かなきゃ」みたいな感じだったんだ。」
「…………ふぅん?」
含みのある 間の。
「なにか 言いた気」の 鼻から出る声を聞きながら
自分でも 「その自分の変化」を改めて感じるけれど。
そうなのだ
「これまでの私」ならば 確実に「焦り」「騒ぎ」
「探して」「不安になり」「自分に対して怒り」、そんな「工程」があったのだけど
なんでか それがなくて。
「失くした」→「あり得ない」→「でも あり得てる」
「じゃあ そうなのか」
「そしてエローラの店にある」
「じゃあ大丈夫」→「安心」と。
その「ぐるぐるの範囲」が そもそも平和なのだ。
結局 エローラに訊いてみても
「直接拾った人」が誰かは分からず仕舞いで
「なんでか」「何処からか」「伝わって」。
「このデザインならば あそこか」
そんな感じで行き着いたのではないかと、聞いている。
「 いや、親切な人が多いなって。 私も思ったけど まあ 確かに。 この頃視界が変わってきて「相手も」「物も」「時間 いや 瞬間さえ」も。 「せかい」、だと思って 相対してるけどさ 。だから だったのか 。」
そう 私の「やり方」が 変わったから。
それに 付随して 「起きてくる 変化」
それは「自然の摂理」で「せかいのルール」でもあり
ある意味「当然の結果」とも 言える。
そして「相対する相手をせかいだとわかること」で
起きてくる「副産物」
その「結果」という「ギフト」。
言葉にすると おかしな感じだけれど
きちんと「世界に返事が反映される」のだ。
その「ぐるぐるの範囲が 平和である」様に。
「 やっぱり。 そう なのか。」
だから 「ここまでの奇跡」が起きないと
気付かなかったけれど。
いつでも私が「そうであること」
それに対しての「せかいの返答」
それはやはり「世界を通して」私に齎されるし
そう思い辿ってゆくと
指輪以外にも「事柄」として沢山の光が「紐付いてあり」、それを点滅させ 「そうだよ」と。
私に知らせあるのが 視える。
「 ふぅむ。」
日々の みんなからのメッセージ
小さな 幸せ
瞬間の 笑顔
なんでもないことが 有り難いこと
だけど それが「当たり前」に なってくると
「なにかがあるから」「こうだから」、それが
私の中から 消えていって。
「わたしはせかい」が 板についてきて
何をするにしても「相手はせかい」だからして
「面白い」し
「なんか楽しい」し
朝起きて「おはよう、せかい」とは 思うけれど。
そもそも 「私がせかい」だからして
「私が目覚めねば」「せかいも起動しなく」
「なんにもない」し
「ありがとうせかい」は「ありがとうわたし」なのだ。
だから いちいち「感謝すること自体」も「自然」になってきて。
「わたしたちは ひとつ」
「感謝も 融け込んで ある」
「祝福が 充満で ある」
「循環」
「等価交換」
「それ 自体」
「それ そのもの」
だから。
そう なにか「理由を持ち出すこと」自体が
自分の中で違和感を感じる様になってきたんだ。
「世界に在れば」「理由が必要」だった「すべての こと」「存在自体」
だが「せかいへあらば」「ただ それだけでいい」、その 圧倒的 事実。
そこに加えて。
日々の中で 全体的に
「みんなが私にかけてくれる 言葉の端々」
そこから感じられる「世界と距離を 置いていい許可」
それは「言葉の形」は違うけれど
「せかいに翻訳すれば」。
「私は裏側へあっていいこと」
「寧ろそこから世界を俯瞰すること」
「自分の必要だけをやり」
「それで 生活が廻って」
「どこにも摩擦が起きていないこと」。
そう「形としては 変わっていない」けれど
私は既に「神をやっている」のだ。
なんだか 言い方としては おかしな感じだけれど。
「その 「場」に 「あり」」
「軸を保ち 在ること」
「その状態で 調和して在ること」。
「 ふむむ。」
一段と低い声で 唸り始めた私に。
呆れた様な声が 追い打ちを かけてくる。
「何に悩んでんだか、知らないけど。……だから私はなんか、とりあえず「ずっとそうだと思ってた」し、言ってたけどね。「神」だがどうかは知らないけど、あんたはもう「それでしかない」し「それしかできない」しある意味器用で不器用だから。なる様になる、…てか、「まだそこでぐずぐずしてたの?」って感じだけど。」
「 ぅ、うん。 ありがとう。」
「 ……… 。」
ちょっとだけ
「なんか嫌な目」をした朝は、そう言うと そのまま丸くなって寝てしまった。
その いつもの温かな背中を見つめながら。
結局
だから
どう
する
どう やる
じゃなくて もう「そう」なんだ
まだ 沁み込みきれていない、私に
アピールする様に。
目の前で回り始めた カケラ
キラキラ達
そのくるくると回り始めたカケラ達を
無意識に 並ばせながら
光達と協力し
「自分の中にそれを編み込んで ゆく」。
そう それは「徐々に」
「やって」「動いて」「そう なってゆくもの」
今 「既にそう」であろうが
その「神率」はまだまだヒヨコで。
私は「それを始めたばかり」でも あるのだ。
だから先ずは それをきちんと意識できる様に。
大きく 息を吸い
その カケラに含まれる「新しい光」を 吸い込みながら
じっと アンティーク色の天井を 眺めて いたんだ。
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