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8の扉 デヴァイ 再々

歓喜

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 ん? あれ?

   やっぱり ?


 これが 「歓喜」ってこと ?

 確かに みんなが 震えて。

 歌って  喜んでいて 満ち溢れていて

   騒いでて でも静かで

  なんだ なんだ

  なんかよく 言い表せないけど

  ひたすら 「歓喜している」のは。


   わかる。



「  うん? う~ん ?」

その日の 朝。

なんとなく 「せかいとふるえる」
そのキーワードが私の中に 落ちて来て
 きっとそれが みんな光達からのメッセージだと
 わかって。

「 ふむ。」

なんとな~く 支度をして
なんとなく 神域を出て
なんとなく 青の廊下を 歩いていたら。


「なんか。 「生きとし生けるものの喜び」とは。 こういうことか。 ?」

そんな光景が 私の前に広がっていた。


  あれも   それも

    どれも      これも


   あっちも  こっちも

       あの辺も    その辺も。


「みんな。 確かに、喜んでるな ??」

 「粒子達が」「わちゃわちゃしている」

  「震えている」「歓喜している」

  「喜び」「存在している」「」。


「 ほうほう?  ふぅん ??」

確かに。


 「ある」、ということは 喜びであり
 「存在する」ということは 「当たり前」ではない。

 何かしらの「意図」があり 「生まれ」

 「そこに存在している」私達

 それは 誰か なにかの「エネルギー」がないと
 ことで

 それは全てのものに関して そうだと 言えるだろう。


「 ふぅむ。」

だから 今 ここにいる私の視点から見ると。


 この「生み出された」廊下

 壁 絨毯 調度品達

   窓 鏡   壁紙  枠組み

  花瓶 取手  塗料  

 そもそも 「もの」でなくとも 
 ここにある 「空気」さえも。


「ふるえ、あり。 私の中に 入り また 変換されて出て ふむ。 せかい と循環している 。 ふむ。」

 なにこれ 面白い。


いきなり視点が変わった、自分の変化に 少し驚きつつも
その原因が「夢の中」にあることは わかっている。


 昨日 わたしが ずっと
 「アレが出たら 嫌だな」と 思っていたから
 「そうなったら嫌だな」、それが。


 


 それがわかって、辞めようと思ったからである。


そう 実はエローラの店から出て、ご機嫌に帰る途中「アレ」を見てしまったのだ。
 あの 「黒いアレ」
 この世界にもいるのかと久しぶりに戦慄した
 あの 黒い虫の アレである。

 え?
   ウソでしょう ?????


そこから「アレ」に取り憑かれた私は 道中ずっと「どこに生息しているのか」「まだ出会ったら」「うちデヴァイにもいるのかどうか」、
「アレ」に出会う可能性についてあれこれ、考えを巡らせてしまったのだけど。

「 ん?」

ふと、気付いたのだ。

 その 「原因」は やはり
 他ならぬ 「わたしがつくっている」のだと。


「  そう か。」

そうしてぐるぐると「自分ループ」の中で
 ああでもない こうでもないと
 カケラを回して辿り着いたのが
「こうなったら嫌だ」と、それ自体が
 「極である」その事であった。


 「ああなれば いい」「こうなったら嫌だ」
それ即ち「いい悪い」の二極状態なのである。

 そう 「思っている」ということは
 そうなる事を許している ということで
 それを 自分で招いている 引き寄せている
 また「世界にある」 と いうこと

だからそれを辞めて。

 
 「出てもいい」「出なくともいい」
 ではなくて
 「なんでもない」を、採用する

 それなのである。


「そうよ。アレは なんでもないもの。寧ろアレは ユニコーンが擬態した仮の姿で うむ。」

 出ても 「なんでもないもの」

 ただ そこにある「事実」、それだけ。


「その、事実の上に 私が「イケてる色」を乗っければいいのよ。うん。なんか キラキラした、可愛いやつね、そう ユニコーンがいいわ。」


そうして。

「極性を利用する」から 
「なんでもないを利用する」に 設定変更した私

それをぐるぐると回しながら帰って きたから。

 きっと 光達が仕事をしてくれて
  
  私の「不安定な部分」「足りないパーツ」
  「せかいに保証されている」という軸を
  補ってくれたんだ

そう 思うんだ。



「 そうなんだよね。 これか。 なんか、「行き先はわかってるんだけど まだ出発できない感」があったのは。」

 多分 そう。


私は「わかっては いた」のだ。

でも 「何度も繰り返して いた」。

 復習 していたのか
 反芻 していたのか

兎に角 「持ってはいた」けど
    「上手く嵌る場所」が 見つけられなくて

 深い ところがわかってなくて。

きっとまた、知らぬ間にぐるぐると 回っていたのだろう。



 「世界」が 変わること

   「激変」すること

   「流れる」こと

  「粒子」のこと   「感じる」こと


  これから「起こる」 大きな変化

  
  「世界」と 「せかい」

  「じぶん」の 在り方


    「わたし」というもの 。


色んなカケラがある中で まだ しっかりと定まっていなかった 光
 
 齎される 光と カケラ

   集まれど 見えなかった焦点


  「一番高い私」が 見せたい景色

     目的地  かたち  


  なんとなく ぼんやりとしていたけれど

   輪郭はできていた 私の「新しい 形態」。



「それが。その、「せかいとの共同」?「協調」? いや、「調和」で  しかし」

 ふむ?  それは

  前から ずっと   して ませんか ね?


「  うん ?」

 でも それがまた 

広くなり、「部分」だったものが「全体的に」なってきたのが わかる。

 これまで断片的で 表面的だったものが
 深く広く様になってきて。
 

「粒子レベルで、「そうなる」って ことかな?」

 自分の 「ある場所」
     「拠りどころ」
     「置きどころ」

 「今の私」が動く為に必要な 確固たる 地盤。


 それがきっと 「せかいの粒子」なんだ。


だから それと共に 常に あり
 ふるえ 調和し
自分で 在れば。


「 ふむ。 また 成る、と いうことか。」

そういうことなんだろう。


 確かに 「その目」で 見てみると。


「景色」は 形を変え
 隅にある塵すらも 「色の違うふるえ」であり
 「せかいの一部」「構成部分」
 「なくてはならない 必要の部分」だ。


 繊細な 調度品達は 「高く微細なふるえ」で
 この場の輪郭を先導しており
 全体の雰囲気を「品良く」纏め上げ

 少し柔らかな壁紙の質感は
 「ゆっくりと優しく間を取って」おり
 この場のみんなの 中に ある 。

 「中盤の支え」その役目を担って 
 「高きと低きを繋げる」役目

 あれもこれも どれも 全てがその「持ち場」を持ち
 「自分の場所で」。

 その 役目を果たし 「喜び存在している」のが
 わかる。

 角にちょこんと 落ちている 埃なのか
 ゴミなのか
 それすら ふるふると粗くふるえ
 気合を入れて 存在しているのが わかって。

  なに これ 。

 最高に 可愛いし  面白いし

  だからこそ 「ぜんぶが必要」なのが

  わかる 。



「ふむ。」

 それに、


 「高い」んだ、ここは。


自分で言うのも何だが、私の空間は素晴らしく調  美しいまじない空間で ある。

 それは わたしの この 「細かさ」の反映

 「美しいもの」を 好み
 「澱を排する」性質の 反映だ。


だからきっと 私が「居心地の悪い 空間」は
「粒子達が喜んでいなく」「低い」場所

 澱み 留まっている流れ
    澱の溜まっている場所

 「生気」の 「気力」の 「エネルギー」「チカラ」の
  ところだ。


それは 「流れがない」のか「遅い」のか
「少ない」のか 
様々だろうが なにしろ「停滞のエネルギー」のもの

 「成長 拡大の法則」に 抗っている
 もの こと ひと 場所 
 それである。


「 成る程 ねぇ。 なるほど  なるほど。」

しみじみと そこまでのカケラを眺め
その「現状」を見て また改めてみんなに 感謝して。

  
   ありがとう

      ありがとう ありがとう

 えっ ああ 返してくれてるのね

  うん また 「ありがとう」。


みんながみんな、私の漏らす感謝に また歓喜のふるえで
返してくれるから。

なんだか楽しくなって、「ご清聴ありがとうございます」的なポーズで手を振り 「どうどう」とみんなを宥める。


「えっ 何これ面白。 ちょっとこれ、探検だわ。」

そのまま手を振り ぐるりと廊下を見渡して
「自分以外の場所」も観察してみたくなって。
とりあえず目的地を書斎に定める。

 フェアバンクスは 私の空間だけど
 あそこは なんか。

 ちょっと 色が違う 気がするよね ??


そうして、眼鏡の奥の 嫌そうな瞳を予測し
思い浮かべながら。

「 フフフ」

こっそり突撃しようと、とりあえずはスキップで 
そこまで向かうことに したのである。







   
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