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8の扉 デヴァイ 再々

掛け違い

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 確か。

 奥の壁に 紐の様なものが あった 筈。


そう思って、くるりと振り返り
奥の正面、ドライハーブやリボン 束ねられた紐が下がるその一角へ進んで行く。

魔女部屋の壁は、基本スッキリしているけれど奥の壁だけは。

 古布  長細い鋏  細い鏡
  
 素敵な木の枝 ドライ達  小石の入った袋

様々な趣きある、古いもの達が丁寧に下げられている。

これまで使った事は無いけれど、こうして見れば
私に「どうぞ」と「見せて」いるそれらはやはり
「生きて」いて。

 ああ やっぱり って。

思いながらも リボンと麻紐、どちらにしようかと少し考えていた。


しかし、使い勝手で言えば断然麻紐である。

 そう ただ単に「見てしまうと」可愛いリボン
 それに気が一瞬取られただけで。

「 ふむ。」

そのまま麻紐を手に取り、長机まで戻る際
チラリと文机にある石が目に入った。

 あれは 確か パミールとガリアに
  選んでたやつの 残り。

そう 頭の中に浮かんだ二人の色
くるくると回り始めたそれと共に、鍋を上から覗き込んだ。

「  なん 、か。」

 ねえ。  うん。

 なん か?


自分で自分が「何に気を取られているか」分からぬまま、覗いた鍋の中は「混沌」でなく「光の虚空」へ変化している。

 ん??

もう一度、改めて覗き込んで みても。

「 ふむ?」

やはり、私の空間「光の虚空」と 同じ それ
それは

それを考えながらも、とりあえずバーガンディーに座る事にした。
何故ならきっと その「齟齬」「詰まり」「絡まり」「瘤」の部分を 解かないと。

 きっと 意味が ない

それが 始める前に。
 わかる、からである。



  ふむ?   して??

一度、ぐるりと魔女部屋を見渡し 誰もいない
素敵空間を目に映して「場の確認」をする。

 ふむ。

 いい感じよ そう 今日も 
  なんら 変わりのない 私の魔女部屋

 素敵がいっぱい詰まった 空間。

「その、中にある 混沌の鍋が。 光の虚空に??」

チラリと鍋に目をやるが、見た目は変わっていない大きな鉄鍋である。
そう あの「魔女が何かを煮てそうな」、アレである。

 それが ?

 なんで。

 「光の虚空」に なったんだろう か。


でも。
多分、あれは 「なった」と言うよりは「繋がった」のだろう。
チラリと覗いただけだけれど、あの 奥が「自分の神域」へ繋がっているのは 流石にわかる。

「ふむ?」

しかし、確かに そう考えてみると。

この前 「白を黒じゃない」「あっちをこっちではなくて」、そう思ったのは確かだ。

「だから、か。? でも、そうだよね。」

きっと「澱を光に転換させる」のではない
そうではないから、変化した筈だ。

 と いうこと は ?


「あっちを、こっちではなく まるっとひとつで ぜんぶ、だから? だから??うん? 転換、じゃなくて じゃあ なんなんだ? ?」

バーガンディーに 深く沈み込んだまま。

そのままじっと、焦点を光の鍋に据え
自分の中にあるカケラの動きをじっと 見守る。


 私 は   なにを   なにが。

  気になって いるのか

  何処が「合わなくて」「ピタリ 嵌まらなくて」。

 躓いて いるのだろうか 。



   「同じ部分」   「同じ所」

 「ぐるぐる」
        「繰り返し」

     「停滞」  「詰り」

  「ズレ」

    「結局 戻る」

    「世界の枠」

      「引き摺られる 過去」

  「これまでの光」。


でも。

これまでの光それ」が 悪い訳じゃないんだ。

 それは 何度も 何度も 繰り返してきたこと
 わかってきたこと
 納得して 理解もして  わかって。

 解きほぐし 洗い流して 浄め 織り直して。

 ずっとずっと やってきた、それなのだ。


「だから。  じゃ ないんだよ。」

私がズレている
それは確かだ。


 だって  ずっと 結局 「同じ所」を。

 ぐるぐる ぐるぐると 回っていて
 戻ってきて  誰が何が 光が どうのこうの
 言ってるけれど

 結局「自分」が。

 まだ 何処かで 引っ掛かってるんだ。

  
     だから 進めない。


その 「絡まった部分」「掛け違っているボタン」を
掛け直す 解すんだ。



 そう 
 多分

 私は 「わかっていない」訳でもなくて
 
 何度も やり直して わかって 理解した
 つもりでいるけれど

 それは 「中にある」けど
 「使えていない」、その状態に 近くて。


だから 「理解」じゃなくて。

 多分 今 やらなきゃならない のは

 「順序」「並べ直し」「絡まりを見つけ解く」

 そんな様な ことで。


「 ああ、 か。」

そこまでカケラが回ると「光の虚空」へ変化した理由が知れる。

 あの
 そう 「綾の龍」、あれを使うんだ。

 
多分 あの子は。

 私の虚空 光の中を自在に泳ぐ 「私の糸の龍」
 光の虚空は 今 「名もなき光達」が
 沢山の「かたち」を創り 銘々遊んで 
  とても美しい空間になっている。


「そう見れば 確かに。」

そう 多分だけど。

 
  光の曼荼羅の 中に 少し歪な箇所がある。

 でもそれは 「私だから気になる」それで
 「その場所でもいい」けれど
 「こっちにあった方がもっと 美しくなる」、
 そんな光の齟齬だ。

だから 私がやるのは
もう「澱を光に転換させる」事ではなく、これまで集めた光を 再び織り直すこと

 「裏側」にある 名もなき光達を 更に美しく並べて。

 もっともっと 解り易く 展開すること。


多分、それは「私が一等 美しいと思うかたち」で いい筈だ。

そう すれば。

きっと みんなに解り易く、なる。


「はあはあ、ほう?」

薄く儚い、雲もある 時折靄も出るし
また澱が浮く事もあるのだろうけど

 でも 今は。

 きっと その時期なのだ。


先ずは 自分の中を整理して 自分の場所で
 「存在の仕方」を 定着させる

その時期なのだろう。


  そう どう したって 

 私 は 「生きて」いて

  「外」へも 出れば 「世界」も見るし

 そもそも 「行動すること」で「かたち創られる」、その法則に則るならば
「私は世界にて 創造もする」、それも そうなのである。

 その 時に。

 表に在りながら 裏で在ること
澱を溜めずに 仕事ができること
世界を目に映しながらも 美しく光の曼荼羅を描いて。

 
  光の波及を 「かたちにして」ゆくこと。


それを、する為にはやはり
ズレずに ブレずに 「紛れもない自分 で 表に在ること」それができなくてはならない。

 積極的に関与しない のと
 裏に隠れて在る とでは やはり違うのだ。


「なんか。わかんないけど 「現す」、にはやっぱり「表」で動かなきゃ。多分、駄目なんだよね 。それで、他人に関与するのではなく 光を編んで? かたちに する ??」

 うん ??

その辺りは、よく分からないけど。

でも きっとそう。

「なに」をするのかは 分からないけど
 多分 「両方必要」なのは わかる。


「裏側で 在り 光を編む 整理する」
それも勿論、必要だし 続けるけれど
多分じゃ。

 駄目 というか きっと


「 なんでだろ ? ?」

言葉は浮かんでこないが、「わかる」のだ。

それはきっと、ずっと私がから
裏だけそれでは 成らない」のが。

 本能的に わかってるんだ。


「 ふむ。」

なにしろとりあえず、理由はわからなくとも そう困りはしない。

 それは 事実で 経験上の勘
 だから それはそれで、良くて。

私はその「導き」に従い、自分が思う方向へ 進めばいい
それが わかるんだ。

「まあ、なにしろ それならば。」

 うむ。


そうして一つ一つを確認しながらも、今し方見つけた糸の先を。
途切れさせぬ様に 辿ってゆく。

 私は

 なに を

  「白を黒に」では なく

  粒子を並べ替える  位置を変える
  組み合わせを変える
  混ぜる順を変える 反応を変える
  経由地を変える  

 さも 「当然の様に」「思い込みで」
 そこに収まっている 「それなりに美しい並び」を。

 「もっと 適切な箇所に」
 「思い付かなかった場所へ」
 「もっと しっくりくる場へ」
 配置するんだ。


先ずは 今まだ不明な 「表でやること」は
横に置いて 「光の虚空でやること」をはっきりさせる
それが先決だ。


 じっくり すっきり まだ 焦点は見えねど
 方向性をしっかりと定め
 その道に沿って ゆっくりと自分の光を這わせていく。

 私の 中には。

 「わかっているけど」「思い違いをしていて」
 「そうだけど そうじゃなくて」
 「私にとっては 分かり難い」「齟齬が」
 「ある筈なんだ」。

それが なんなのか。

チラリと浮かんだ「応援の光」、その青を受け取り みんなを思い浮かべて。

手に 握っている白い角に視線を落とし
あの 私の杖を思う。


 ああ でも まあ なんだろうな。

多分、これはかき混ぜ棒ではなく 杖の様に使う ナガの代わりだ。

 白く ツルリとした 胴体
 長さは短いけれど 滑らかで美しいそれを撫でながら立ち上がり
 文机の上で見た 「赤い石」を取りにゆっくりと歩く。

あった。

「 これかな。」

丁度良い大きさの 赤い石
それ手に取りまたバーガンディーへ戻る。

脇に、落ちない様石を置き まず持ち手の麻紐を巻こうと上下のアタリを決め、始点を押さえぐっと手に力を 入れた。



 



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