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8の扉 デヴァイ 再々

見えない原因

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時の流れの 早さを感じる。

「世界」を 見ていて
  周りを 見ていて。

 みんな 変化してきているし
 方向性も はっきりしてきた様だ。


  「世界は 別れ始めている」

そう思った 少し前
しかしそのスピードは 私の予想よりも数段早くて。

 それは 何故かと言うと 
 きっと 「見えないなにか」達が 本気を出し始めたから。

 多分 そうなんだと 思うんだ。


「 風が強いな 。」

「そうだ、最近はそんな日が多い。」

シュレジエンとそんな会話をしたのは いつだったか。

ここ最近、暫く。
 風の強い日が多くて、畑の様子を確認しようと人々がチラホラ、この灰色の土地を彷徨いている。

いつもは そう 人に会わないのだけど。

「今日も 多いな 。」

でも、それもみんなが畑を大切にしているからだ。

そう思って、羽衣を深く被り フワリと「そっち側」を避けて グロッシュラーの大地を廻る。


「 ふむ。」

何故 私が 「世界」を 彷徨き始めたのかと 言うと。

「やっぱり ここか。」

大きな神殿の、あそこ
 私の好きな天空の門 その大きな木の下に来た。

ここは 空中だ。
 あの色と一緒に来ようかとも、思ったけれど
多分羽衣これがあれば なんか 大丈夫な気がする。

そう思ってフラリとやって来たけれど、どうやら正解だった様だ。

そのまま フワリと降りて。
木の撓んだベンチにヒョイと腰掛けた。


「 うーーむ。」

風が 強い。

 ブワリと 木の枝 根を撫で上がってゆく風
  まだ細く若い根は 心許なく晒され行き場を失っている。

 
 「多分 るんだろう」

そう、イストリアに言われてやって来た 灰色の島
風が強い、それ以外にもここに問題は起きていた。

 あの 細い川が枯れそうなのだ。

「それは由々しき 事態。」

そう言ってやって来たのだが、旧い神殿側 あの泉に異常は無かった。
なんとなく、勢いが緩い気はしたけれど「枯れる」要素は見えなかったのだ。

だから 多分。

「こっち側」じゃないかと アタリをつけて
やって来たの だけれど。


「ふむ。」

確かに神殿の前の大きな四角、あの池に水は殆ど 無かった。

しかし。

 てか 「元」は あっち旧い方なんじゃ
  ない の ???

私は元々、旧い神殿の池からスタートして、ここの大きな池に溜まると思っていたのだ。
しかし、どうやら それは なにか
 何処かが。

 
  ズレ て ?

  いや  やっぱり?  

       る のか ???


そうして見て来た結果、イマイチ原因が掴めなかったので 今こうして「下から見よう」と木のベンチへやって来たのである。

 灰色の 岩肌  ゴツゴツとしたそれ

  しかし ずっと前よりは幾分「蓄え」を持った大地は
  確かに「変化」を示しては いる。


「ねえ。 どうして ?」

思わず、そのまま問い掛けた。

強い風と、島の変化 
 なんだかそれが 「合っている」様で しかし。

 やはり 下から見るとちぐはぐに 感じたからだ。



しかし、期待に反して「返事」は ない。

 ならば?

ふと、目を瞑ってぐるりと島に 光を廻した。

ここには、勿論 「私の光」が通って いるから。
きっと何かしら 「こたえ」が 返ってくる 筈。


 目を 瞑っている間にも 風は吹き荒び
 髪が頬を叩く。

しかし、岩肌に近いからか そう煽られる事はなく ただ感じるままに風を受け その声を聴いた。

 なんだか 風も。

 私に 「違和感」を 伝えようとしている様に
 感じたからだ。





「    ふぅん。」

 成る程?


暫く 感じていた。

 「なに」という事もなく そのまま。
 目を瞑って 静かに 自分の「あたま」を鎮めて。

 ただ 風に吹かれていた だけ。


しかし、その「訴え」の様な 「啓示」の感覚に
私の中身は。

なんだか 粟立って いたんだ。




   「流れたい 」

      「 通りたい 」

 「清く」

     「すっきりと 」

  「緩やかに」

       「 透り たい  」


  「 しかし」
     「これでは 」

 「詰まり」  「濁り」  「堰き止め」

    「重石」


   「逆らうな 」


  「 抵抗 するな 」

     「何故  拒む」

  「何故  流さぬ」


   「何故」  「見ぬ のだ」


大地は この島は。

一度死んで 「再生」のターンに 入ろうとしている。

しかし 「重石」が。

 邪魔なんだ。
 堰き止めているんだ。
 詰まっているんだ。

 そう 「私達人間達の抵抗」が。

 「重石それ」に なって。



「 成る程ね  なるほど。」

ずっと前に。

 あの 揺り籠の中で聴いたこと

 「 一度死なねば ならない 」

 「そうして 再生する 」こと。


多分、だけど 私が思うに。

 やはり 「絶望」まで いかないと 
 ひとは 「再生」できない

 若しくは「世界」に見切りをつけないと。

 「手を 離せないと」この子が 飛べないんだ。

私達が しがみついて いるから。



ある意味この島は、私が来た時 既に一度 死んではいたのだと思う。

 きっと 「再生の準備」でも 始めていた頃
 泉は勢いよく 湧き出ていた頃。

そうして順調に風は吹き 光が通り
 大地も掻き混ぜられてきて。

 緑も 増えた。

 子供達も 元気。 チカラも 廻り始め

 これから、と いう所で。


「でも。   かな。」

そう 私には「心当たり」があった。

 多分 それは そう 「目的地」の話

 なんだか フワリと自分の中にもあった 「違和感」。


それはきっと 「良くなりたい」と「創造する」の、違いで。

 「良くなりたい」のは 「現状を変える」こと

 「創造する」のは「せかいを創る」ことだ。


多分。

 「現状」とは 「物質的」なんだ。

対して

 「創造」は 「見えないなにか」

 「チカラ」と「エネルギー」を使うこと

 私達の「可能性の拡大」である。


「ふむ。」


 だから。  この子は。

 「物質もの」としては「限界」だから
 「創造のサイクル」に 入りたいのだろう。


 だけど。

 「物質現状を 変えよう」という 動きが。

 抵抗となって 「エネルギー的に 詰まっている」んだ。

 この島に 乗っている「私達人間」が
 詰まっている から。




ここのところ よく見る「動き」、それは「お互い良くなろう」という集まりや「癒し」
新しい自分達の行き先のこと「もの」や「ひと」の動きだ。

 大っぴらにデヴァイでは やり難いのか
 こちら グロッシュラーで開かれている事の
 多いそれ
 
それはこちらの畑に来る女性達によって行われていた。

時折見る 集まっている様子
 まだ始めは殆ど人数は いなかったけれど。

「そういや、最近 多いかも?」

畑を口実に、気分転換になると 集う女性達が増えた。
神殿では、一部のセイアが集まっている様子も見られたし きっとこれは男女関係無く場所によって行われているのだろう。

 黒の廊下を歩いていて、思い当たる節がある。

 あれは 「これ」だったんだ。


   「謎の 詰まり」
  
それはやはり 世界の各所で起こっている事
 人の血管が 詰まるように。

 ひっそり 「見えないところで」進行していたんだ。




 
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