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8の扉 デヴァイ 再

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「なんか、私。気が付いたんだけど。」

「なんだ。」

黒い部屋で呟く、私の独り言の様な、相談。


「なんかやっぱり、「ひっくり返す」のは一時凌ぎで、やっぱり駄目で。だって、黒から白になるならば、白から黒にもなる訳でしょ?それならなんにも、変わってない。だから、やっぱり「まるっとひとつ」に、しなきゃいけないんだと思うんだけどさ………。」

でも。

「どの色も有りたい様」を、実現しようとするとどうしても「鈍い色」は、出てくる。

「いや、「悪が駄目」じゃないんだけど………なんて言ったらいいのかな………もっと、こう、みんなが魔法を使えるみたいな、自分自身で好きな事をやっていく、みたいな??…………なんか分かんなくなってきちゃったな??」

そう、「在りたい色」であることを実現すると、もしかしなくとも「濁りたい自由」もある訳で。

もし、世界がひっくり返って「全てが在りたい色」で在れたとしても、その「濁り」がまた世界をひっくり返す事も、あり得るという事なのだ。

 私が 「ひっくり返す」自由が あるならば

 濁り反対側が「ひっくり返す」自由も。

 それ即ち 「ある」ということ

だから、きっと。

本当の「まるっと ひとつ」に。


「しないと、駄目なんじゃないかぁと、思って。…………ねえ、どう思う?」

私がつらつらと溢している相手は、勿論シンである。

金色がいない今、この「世界の理」系の話はやはりシンと話すのが一番すっきりするからだ。
多分、極彩色に話しても答えは返ってくると、思うけれど。

「あの人、ちょっと揶揄いがちだからな…。」

私が寂しがっていないかと、心配しているのか面白がっているのか。
何処にいてもちょくちょく顔を覗きに来るものだから、堪らない。
流石にこの部屋に現れる事が無いのはシンの場所だからなのか、この人達の関係性は今はどうなっているのか。

それは、分からないけれど。

いや、ホントに 心配してくれてるのかも 知れないけど。
うーーーむ。




  「私の 見たい世界」

 「在りたい 姿」 「見たい景色」

     「美しい もの こと ひと 」


沢山のものを、実現する為には
どうするのが一番、いいのだろうか。

「変えない………影響、ならギリギリいいかな………?」

直接手出しせずに、世界の「流れ」を「光の方向」へ持って行くこと。


 私  チカラ   光   調和

    神 観音   色   石   蝶

  まじない   デヴァイ  グロッシュラー

  シャット  ラピス   ティレニア


 光の方へ 向き始めた 場所と
      そうでない 場所

その  乖離  分離   
      差      段差


「なんっか、「ズレてる」んだよなぁ………。」

なにが。
ズレてるんだろうか。

なにが 原因? 原因なんて  ある の ??



「要するに、「依るとの違い」という事だろう?それを見つけ、探って行く方が早い。」

「成る程、そうかも?」

「だがお前はその「違い」を自分の性質を把握する為に使い、他者に干渉する必要は無い。それが「狭間」という事だ。ただ、「そう在る」こと、そう「在って」その「存在」が大きくなればなる程。」

言葉を切って、ぬらりと瞳を一瞬だけ金に光らせたシン。

「続きは解るだろう?」という顔をしている。

ウンウン唸りながらぐるぐると回っていた私の真ん中で、静かにそう提案してくれる赤い瞳は少し、得意気で。
「このシン」に表情がある事を改めて感じ、なんだか胸にジンと来た。

この神も、少しずつ。

変容してきて いるのだろうか。


そんな私を暖かい瞳で見つめながら、再び開いた赤い唇。

「お前がよく知る、「人が皆 持つもの」それは大きな守りとなっている。それは、なんなのか。を思い出せると、いいのだがな。」

えっ。
それって 何ですかね?

くるくると回る頭の中、この前シンが教えてくれなかった「ある方法」が頭の中を掠める。
それは同じ「匂い」がするのだ。

確か  「それ」があれば 

 なんか まるっと解決 できる みたいな?
 話じゃ なかった???


そんな私を他所に、再び質問を繰り出すシン。

「例えばだが。本当に皆が、「魔法を使える」、いや「まじない」を自由自在に使える様になるには。どうしたら、いいと思う?」

「うーーーーーーーん。石は関係無く、って事だよね?」

ゆっくりと頷く赤い瞳、後は自由に考えろという風にそれはフイと向こうを向いた。


成る程。  魔法  まじない まじないね


 「魔法」「まじない」それはまあ どっちでもいいんだけど。


どうして私が当然の様に、まじないを使うのか、って事だよね?
いや?
例えば「私が自分の世界でまじないを使うとしたら?」かな??


 「当たり前に できる」が 前提の世界と

 「当たり前に できない」前提の 世界


どっちも でも。

最終的には  おんなじ  だよ ね??



 信じる 積み重ね  日々 瞬間瞬間
 高くし それ神性に 近づく
 自分に近づく
 神聖さ 神性な  
 純度の高い

 きっと 「魔法」は「チカラ」に似て
 この「エネルギー」を 「具現化」するもの


手のひらをじっと見て、考える。

チラリと藍の青を見て、少し意識すると
 手のひらには美しい水の雫と小さな渦
 キラキラと輝き 回る それは
  やはり どう見ても「魔法」だ。


この世界には「まじない」があって
「石」がチカラを持ち その力を使って沢山のことをしているけれど。


 「エネルギー」「チカラ」「まじない石」

  「転換」「変化」「変容」


しかしそれを今、みんなが「パッとできるか」と言われれば。

「うーーーーむ?「世界」が、違うからなの??」


 前提? ベース?  基本的な「なにか」??

「基本」「前提」「設定」?
「世界の理が 違う」 それは なんだろうけど。


 その「世界の密度」みたいなのを

    こっちに 持ってくる みたいなこと だよね??


しかもそれはみんなが世界を移動するとか、そんな話でもなくて「なかみ」「意識」を変える、そんな話だ。

「目に見えないもの」、私がずっと思ってきた、大事にしてきた、ことだけれど。


 「人間ひとは 見たいものしか 見ない」


そう そもそも 「ない」としている人には
意識してもらうことすら 難しいし
私が「変える」必要もない もの

でも。

 「みんなに 上を向いて 欲しい」
 「どんな人でも」

それは変わらない私の想いだ。


だから?それなら、どう、する?
いや、「する」の?

 「観照する」んじゃ なかったっけ??


「うむむ。」


だから
 

 「変える」「ひっくり返す」「変革する」

ではなくて。


 「合わせる」「上がってゆく」「分母を増やす」?

みたいな?


シンは さっき そんな事を言っていた 筈だ

 「私との 「違い」」
 「それを 知り 「そう在って」「そのまま拡大する」こと」


 きっと は。

 私が「そう 在り」世界に融け込み 振動し
 波及していく

 そんな様な こと



 浸透  振動  光

      上がる 上昇   次元

   可能   世界  軽さ   時間

     密度   純度

  融け込む  溶け合う   融合

    共に 流れる  変化してゆく

       スピード   手順   

   工程    数    色     音


    すべてを 包含する   包み込む


「えっ。」

それって   やっぱり。


 「愛」「慈悲」「思いやり」かも ?



すっぽりと自分の「なか」にいる私に、直接降ってくる、声。


「より、「こちら側」に来れば来る程、力は増し光は増えよう。お前が今は一つの視点からしかものを見れない様に、を合わせたものが「より 高いもの」だ。だから自ずと、「そうなる」のだ。」

「お前の言い方で言えば、より高い方が「より多く色を持つ」という事だな。」

 
成る 程?
えっ 「高い」って やっぱり「次元」とかの
はなし です    よね ???

「頭で考えるな。でいい。「本当」ならば必ず胸に響くし震え、反応する。それをそのまま、受け取れば良いのだ。「その時」が来れば、解ろう。」

「……………え、うん。はい。」


 「感じたままで いい」そのセリフにドキリとした胸、しかしシンの言葉はどれも重要で私の胸はドキドキしっぱなしだ。
全部覚えていられるか、それは「真ん中」にお願いしよう。
うん。

ぐっと胸に手を当て、そのまま色を浸み込ませる様深呼吸する。

身体の「なか」の、「色」「空気」を入れ替えて。
また 進んでゆくのだ。

一つ一つ、繰り返しながら、時には 行きつ戻りつ ながら。






その日の、夜。

ふと、目が覚めてもう一度寝ようとウトウトとしていた時。


   半分閉じた目  光

 頭の上   後光    優しい ひかり

   星  煌めき
             艶

   曼荼羅    拡がる


  ピンク  薄紫  金   水色


静かにサラサラと光る繊細な光が頭の上を広がり、「パァッ」と散るのが分かって。


       『プリズム』


降りてきた ことば

半分寝ながらでも納得できた、その光。


   ああ また  「更新」できたんだ


そんな優しい光と安堵の、中
再びゆっくりと眠りに落ちて行ったんだ。
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