上 下
775 / 1,636
9の扉 グレースクアッド

死と再生

しおりを挟む

 なんで 

  どうして

 誰が   いつまでも


   同じ       繰り返し

      また

     もう    いい  いいんだ



  やめて     いい


      もう     無理


   繋が  なく     とも



             もう いい  か




何度も、何度も。

繰り返されてきた、この「問い」。

「何故」。

「私達は」「何を」「「繋いで」」

  「繰り返して」 「生きる」

 「生きる とは 」   「ひと とは」


その度に来る終わり、救いの無い「現実」。

は、紛れも無く私の目の前にある「事実」で。

凡そ、受け入れたくはない、ものだったけれど。


 「それ」は。

 「ずっと ずっと」「見えなかった」

  私 自身  なんだ。



呆然と立ち尽くす、自分に段々と意識が戻る。

「立っている」こと
「見ている」自分
「相変わらず暗い周囲」と
「なんにも」聴こえない 空間

意識を飛ばした指先が動くことを確認する。

死んだ私この私」でも。

試した事がある、やり方だ。

そう、「今」「生きているのか」「もう死んだのか」、確かめる為によく、やっていた、やり方。


「動く」 その 「事実」が。

また、ありありと私をこの光景に縛り付ける。


何も考えず、動く足、しかしその靴は私を目的地へ、連れて行こうとしているのは、分かる。

なにしろ。
とりあえず何も考えられなかった私は、そのまま姫様の靴について行った。

勝手に足が、動くに任せて奥へ、進んでいたのだ。




うん?

「この私」も 馴染みがあるな


そう思える、一人の私の元へ辿り着く。

白い服を着た、やはり「少女の私」だ。


え?
これ?
これも、「見て」って こと?

だよね…………。


姫様の靴は、話す訳じゃない。

なにしろ私が思ったならば、そうなんだろう。

とりあえず導かれるままに、その「私」も見てみることにした。




 「祈り」  「チカラ」

  「願い」  「請う」   「自然」

 「共同」   「共存」  「助け」

    「チカラ を 借りる」



「ふむ?」

なんら、暗い色の無い、それ。

馴染んだ「私」を、もっと知る為に深い所まで入っていく。


 「不都合」  「権力」 「闘争」

    「利用」  「奪い合い」「監禁」

 「チカラを 受ける」 「苦痛」



「………っ、えっ、うぅっ。」

はっきりと見える光景、それは。

祭祀をしている「私」、協力してくれる「自然」たち。
見えない、チカラ。

を利用しようと、争いが起き閉じ込められて。

でも、「利用」されているうちはまだ良かった。

時折チカラを出せば。
祈れば。

自然みんなに、助けを借りれば、良かったからだ。

しかし。

その「チカラ」を直接受けようと、「違った利用」をしようとする輩が生まれ始め。

「私」は「また」、あの「渦」に。

巻き込まれて行くことに、なったのだ。


あの。

仄暗く、どす黒い。

あの「直接交わる受ける」、やり方で。




「…………」

胸の真ん中に、手を当てたまま、身体を起こした。

自然と折り曲がっていた身体は固まって、少しゆっくりと解す様に起き上がる。

そうして。

また、ずっと「並んだ私」を、眺めていった。


きっと、まだ。

「あんな私」が、いる筈だから。


ずっと ずっと。

 「そう」「利用」されてきた その「想い」が。


 沸沸と湧き上がって、ことに。

 「気がついた」のだ。



 「人間ひと」の 持つ 残酷さ

  身勝手さ

  欲

  冷酷さ

  
沢山の「冷たい色」、しかしそのどれもが「今」なら、「必要だった」のが、解るけれど。

「その時」は。

わからなかった んだ

知らなかった

知れなかった


知る術もなく  知ろうとせず 怨んだことすら

 あった


でも。


も。



 「期待」「愛」 「信じる」 「勇気」


それを。

その、カケラを持っていたからこそ、「絶望」へ。

より、救いようの無い「諦め」へ。


転換したのが、解るのだ。




だよね  わかる  わかるよ

 思うもん  与えれば 返ってくるって

 信じれば。

 信じて くれるって。


「なんで」「どうして」って。

思うけど。

仕方が無いことも、なら解る。


でも。

この、全部の並んだ「ここの私」は。


 「まだ」の私 だったから。




涙が出て、止まらないけどどうしようもない事だけは、解っている。

これは、全て世界にとって、私にとって、必要だったことも。

「今の私」が、あって。

ここまで。

繋がってきた、ことも。



止め処なく流れる涙を拭う事もせず、そのままずっとその光景を目に映していた。

これは。

私が見なければならないことで、越えなければならない山だということは、知っているからだ。



えっ 

 でも?


チラリとぎる、重たい雲。



こんなに 「絶望」と 「諦め」を
  
          取り込んだら

  私。

死んじゃわない?

大丈夫 なの ?



 ここで  この

 暗く 誰もいない なにも

 「死んだ私」しか ない  空間で


 私 も。


  死んで しまうのではないか

  生きて。

  いられるの だろうか。


   共に。


   並ぶことには  ならないだろうか





そう思っても、仕方の無い様な、数。

そう、そこには。

おびただしい、数の。


 「沢山の私」が 並べられて いた から。





しかし、手のひらに感じるはあの、「色」「温もり」、少し熱くなるあの焔の煌めき。

 
        「大丈夫」


そう、それだけは知っていたから。

なにしろ落ち着く様、「真ん中」に私を集中させて。


じっと 「小さな 新しい私」に 戻れるまで。


目を 瞑って いたのだ。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

『別れても好きな人』 

設樂理沙
ライト文芸
 大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。  夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。  ほんとうは別れたくなどなかった。  この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には  どうしようもないことがあるのだ。  自分で選択できないことがある。  悲しいけれど……。   ―――――――――――――――――――――――――――――――――  登場人物紹介 戸田貴理子   40才 戸田正義    44才 青木誠二    28才 嘉島優子    33才  小田聖也    35才 2024.4.11 ―― プロット作成日 💛イラストはAI生成自作画像

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

結婚して四年、夫は私を裏切った。

杉本凪咲
恋愛
パーティー会場を静かに去った夫。 後をつけてみると、彼は見知らぬ女性と不倫をしていた。

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

家に帰ると夫が不倫していたので、両家の家族を呼んで大復讐をしたいと思います。

春木ハル
恋愛
私は夫と共働きで生活している人間なのですが、出張から帰ると夫が不倫の痕跡を残したまま寝ていました。 それに腹が立った私は法律で定められている罰なんかじゃ物足りず、自分自身でも復讐をすることにしました。その結果、思っていた通りの修羅場に…。その時のお話を聞いてください。 にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。

処理中です...