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9の扉 グレースクアッド
死と再生
しおりを挟むなんで
どうして
誰が いつまでも
同じ 繰り返し
また
もう いい いいんだ
やめて いい
もう 無理
繋が なく とも
もう いい か
何度も、何度も。
繰り返されてきた、この「問い」。
「何故」。
「私達は」「何を」「「繋いで」」
「繰り返して」 「生きる」
「生きる とは 」 「ひと とは」
その度に来る終わり、救いの無い「現実」。
それは、紛れも無く私の目の前にある「事実」で。
凡そ、受け入れたくはない、ものだったけれど。
「それ」は。
「ずっと ずっと」「見えなかった」
私 自身 なんだ。
呆然と立ち尽くす、自分に段々と意識が戻る。
「立っている」こと
「見ている」自分
「相変わらず暗い周囲」と
「なんにも」聴こえない 空間
意識を飛ばした指先が動くことを確認する。
「死んだ私」でも。
試した事がある、やり方だ。
そう、「今」「生きているのか」「もう死んだのか」、確かめる為によく、やっていた、やり方。
「動く」 その 「事実」が。
また、ありありと私をこの光景に縛り付ける。
何も考えず、動く足、しかしその靴は私を目的地へ、連れて行こうとしているのは、分かる。
なにしろ。
とりあえず何も考えられなかった私は、そのまま姫様の靴について行った。
勝手に足が、動くに任せて奥へ、進んでいたのだ。
うん?
「この私」も 馴染みがあるな
そう思える、一人の私の元へ辿り着く。
白い服を着た、やはり「少女の私」だ。
え?
これ?
これも、「見て」って こと?
だよね…………。
姫様の靴は、話す訳じゃない。
なにしろ私がそう思ったならば、そうなんだろう。
とりあえず導かれるままに、その「私」も見てみることにした。
「祈り」 「チカラ」
「願い」 「請う」 「自然」
「共同」 「共存」 「助け」
「チカラ を 借りる」
「ふむ?」
なんら、暗い色の無い、それ。
馴染んだ「私」を、もっと知る為に深い所まで入っていく。
「不都合」 「権力」 「闘争」
「利用」 「奪い合い」「監禁」
「チカラを 受ける」 「苦痛」
「………っ、えっ、うぅっ。」
はっきりと見える光景、それは。
祭祀をしている「私」、協力してくれる「自然」たち。
見えない、チカラ。
それを利用しようと、争いが起き閉じ込められて。
でも、「利用」されているうちはまだ良かった。
時折チカラを出せば。
祈れば。
自然に、助けを借りれば、良かったからだ。
しかし。
その「チカラ」を直接受けようと、「違った利用」をしようとする輩が生まれ始め。
「私」は「また」、あの「渦」に。
巻き込まれて行くことに、なったのだ。
あの。
仄暗く、どす黒い。
あの「直接交わる」、やり方で。
「…………」
胸の真ん中に、手を当てたまま、身体を起こした。
自然と折り曲がっていた身体は固まって、少しゆっくりと解す様に起き上がる。
そうして。
また、ずっと「並んだ私」を、眺めていった。
きっと、まだ。
「あんな私」が、いる筈だから。
ずっと ずっと。
「そう」「利用」されてきた その「想い」が。
沸沸と湧き上がって、知っていたことに。
「気がついた」のだ。
「人間」の 持つ 残酷さ
身勝手さ
欲
冷酷さ
沢山の「冷たい色」、しかしそのどれもが「今」なら、「必要だった」のが、解るけれど。
「その時」は。
わからなかった んだ
知らなかった
知れなかった
知る術もなく 知ろうとせず 怨んだことすら
あった
でも。
それも。
「期待」「愛」 「信じる」 「勇気」
それを。
その、カケラを持っていたからこそ、「絶望」へ。
より、救いようの無い「諦め」へ。
転換したのが、解るのだ。
だよね わかる わかるよ
思うもん 与えれば 返ってくるって
信じれば。
信じて くれるって。
「なんで」「どうして」って。
思うけど。
仕方が無いことも、今なら解る。
でも。
この、全部の並んだ「ここの私」は。
「まだ」の私 だったから。
涙が出て、止まらないけどどうしようもない事だけは、解っている。
これは、全てにとって、私にとって、必要だったことも。
だから「今の私」が、あって。
ここまで。
繋がってきた、ことも。
止め処なく流れる涙を拭う事もせず、そのままずっとその光景を目に映していた。
これは。
私が見なければならないことで、越えなければならない山だということは、知っているからだ。
えっ
でも?
チラリと過ぎる、重たい雲。
こんなに 「絶望」と 「諦め」を
取り込んだら
私。
死んじゃわない?
大丈夫 なの ?
ここで この
暗く 誰もいない なにも
「死んだ私」しか ない 空間で
私 も。
死んで しまうのではないか
生きて。
いられるの だろうか。
共に。
並ぶことには ならないだろうか
そう思っても、仕方の無い様な、数。
そう、そこには。
夥しい、数の。
「沢山の私」が 並べられて いた から。
しかし、手のひらに感じるはあの、「色」「温もり」、少し熱くなるあの焔の煌めき。
「大丈夫」
そう、それだけは知っていたから。
なにしろ落ち着く様、「真ん中」に私を集中させて。
じっと 「小さな 新しい私」に 戻れるまで。
目を 瞑って いたのだ。
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