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6の扉 シャット

迷子の私達

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どれくらい、歩いただろうか。

真っ暗闇の中を、ひたすら石たちの導きによって歩いていた。

正直、右も左も分からない。何となく、腕輪が引っ張られるような感覚があるので、そっちの方に進んでいるだけ。
それも、真っ暗なのでどのくらい進んでいるかが全く分からない。
ずーーーーーーーーーっと歩いて、もう何キロも進んだ気もするし、もしかしたら全然進んでいないのかも知れない。


流石に気が滅入って来た私は、こんな奴でも居るだけ有難いと思ってベオグラードに事情聴取していた。彼自身に興味がない私も、デヴァイには興味があったし(どんな所でどう育ったらこんな性格になるのかとか)、レナのことがいつから好きなのかとか恋話なら話をしてもいいかと思えた。

あと、ヤツの好感度、若干上がってたし。


「で?ベオ様はデヴァイで何番目に偉いの?」

ベオグラードの名前が長いな?と思っていた私はヤツに「ベオ様」という皮肉っぽいあだ名を付けたのだが、本人は至って気に入った様子。

うーん、ほんとある意味素直なんだよね…………。
まぁ真っ直ぐ受け取っているなら、それに越した事はない。うん。

そんなベオ様は流石にこの状況に堪えているようで、結構ちゃんと、私の質問に答えてくれる。
この人、ここまで喋っちゃって大丈夫?と私が心配するくらい。

「僕は上から二番目の銀の家格だ。長に会った事のある、数少ない銀の家だぞ?」
「え?会ったことあるの??」

フローレスだって、見たこともないって言ってた。ツチノコくらいの感じだと思ってたのに。
会った事あるって、どのレベルで?見た、とかなのかな?しかも銀の家格って、なに?

「いつ?どこで会ったの?どういう関係??家格って?」

矢継ぎ早にした私の質問にまた得意げに答えるベオ様。こんなに迂闊な後継ぎで大丈夫か、心配になってくる。守秘義務とか、無いのかな?

「うちは代々長に支えてる銀の家格だからな。長の家だけが金の家格で、その次が銀だ。父が僕を後継の挨拶に連れて行ってくれたんだ、そこで会った。素晴らしい、金の瞳だった…………。」
「…………どんな感じだった?いくつくらいの人なの?おじいちゃんだよね?」
「ん?ああ、そうだな…………一族の中では最高齢なのは間違い無いだろうな?」

そりゃ、不死って言われてますから…………。
もっと、見た目とか聞きたいんだけど。でも、ベオ様自体がお年寄りの年齢を分かっていない可能性は、ある。気になっていたのだが、デヴァイはほぼ同じ一族間でずっと結婚しているのではなかろうか。血が濃いと、長生きできないんじゃなかったっけ…………?
ベオ様がきちんと答えられるか分からないけれど一応聞いてみようかな?

「ねぇ、デヴァイってお年寄りの人は多いの?あなたのおじいちゃん、おばあちゃんは?」
「?祖父と祖母はもうとっくに亡くなっている。僕が生まれてすぐだったと聞いているが?」
「…………そうなんだ。」

兄弟がいるかでも違うかもしれないけど、早いよね??

うちは上のお姉ちゃんとお兄ちゃんと10くらい歳が離れている。でも、おばあちゃんが亡くなったのは私が大きくなってからだ。
もし、結婚するのが遅くて30だとしても60歳くらいって事だよね…………。
それだと逆に80くらいで「不死」って噂になったりして??うーん。でも、私のおばあちゃんのお父さんなんだよね???
ただ、おばあちゃんがいくつでお父さんを産んだのかが分からないけど。

私が一人ぐるぐるしていると、不安になったのかベオ様が逆に質問してきた。何だか、物凄く答えにくい、質問を。

「お前はどこから来た?何故白エプロンなんかしてるんだ。髪もグレーのくせになんで…………」

私が答えに窮して足を止め、ベオ様がそう問い続けた瞬間。
辺りがピカッと一瞬光ってすぐ、物凄い音がした。







「ゔあ…………耳壊れるかと思ったぁ…。」

物凄い爆音に思わず両耳を抑えて蹲み込んでいた私。
顔を上げると、同じく耳を抑えたベオ様が少し離れた所で尻餅をついて私を見ている。

「大丈夫?」

立ち上がって、ベオ様の所に踏み出した所で「あ。」気が付いた。

見えてる。

光って、目を閉じて開けたら明るかったので一瞬そのまま動いてたけど、そういえばあの暗闇は?どこに行ったんだろう?私達が移動したの??

一人顎に手を当て考え事をしていた。
でも、考えても分からないのでとりあえずまた進むしかないかな?と思って辺りを見渡しても、何も、無い。
正確に言うと、何だか薄い橙のモヤモヤの中にいてちょっと濃い所と薄い所がある。何が違うのか、目を凝らして見ているとどうやら濃い所が壁の様に見えてきた。触ってみれば、分かるかな?
とりあえず、ちょっと進んでみようか。
そう思って、ベオ様を振り返る。

「ん?」

ベオ様はさっきと全く同じ体勢で、まだ私の事を見ていた。

え?もしかして、時が止まってるとかじゃないよね?やだ!怖っ。
ちょっとドキドキしながら近づいて、「ベオ様?」と声をかける。

すると、魔法が解けたように急に耳から手を離したベオ様は、そのままガサガサっと後ずさった。

え?なに?私、化け物?

そう思って、自分を見る。いや、下を見ただけだけど、その瞬間ベオ様の奇行を理解した。

でも、酷くない?後退りするほど、おかしくは無いでしょう?

そう、私は髪留めを失くしたままだったから。





なんて言っていいか、分からなかったのでとりあえずベオ様がいろんな意味で戻って来るまでその場に座り、私は私の考え事を始めた。
というか、石たちと作戦会議だ。

「ねえ、何これ?どうなったの?」
「開きましたね?」
「うん。感じる。」
「外側が壊されたのですよ。あとはまじないだけなので、何とかしてくれるといいのですが。」
「わたしたちが探した方が早いんじゃない?」
「それはある。まじないを解こうとしても、気焔が気が付くか、主が…」
「とりあえず、行きましょうか。探しに。」

何だか蓮の言葉が遮られたけど、大丈夫かな?

石たち曰く、このモヤモヤの中の何処かに核となるまじない石があるらしい。
それを見つければ、多分出られると。

「それは助かる。なんかお腹空いてきたし?」

どのくらい、ここにいるんだろう?
でも腹時計的には、次の日のお昼くらいかな?夜ご飯は食べてから落ちたみたいだから、朝は緊張してお腹が空いてなかったとしてもこの減り具合は最低でもお昼の筈。
私は自分の腹時計と相談すると、首を傾げつつベオ様の方を見る。
お腹、空いてないのかな?

ベオ様は目を擦ったり、頭を振ったり、何だか色々やってたけど諦めたのか私の所にやっと、近づいてきた。

そして核心を、ついた。

「お前が…………本当の青か…………。」

「本当の青…?」

偽物の青とか、あるの?

私が質問する前に、ベオ様は独り言のように、いや、独り言なのか話し出した。

「僕が言われたのはレナが…レナが青かもしれないって…でも青だからレナが気になってた、訳でも無い。僕は始めから…………いや、どうなんだ?青だから?違う。あいつはそれを?僕を利用する為に…しかし利点は少なく無いか?」

一人、真剣に独り言を呟きながら考えているベオ様。完全に自分の世界に入っている。

??何だかよく分からないけど、ベオ様は誰かに「レナが青かもしれない」って言われたって事だよね?
それは、許せないな………誰?危ない事を吹き込んだのは。私のレナに、なんて事。

勝手に私のレナにしたけど、一緒に店をやる約束をしている。大事な仲間だ。

「ねえ。その、ベオ様に「レナが青だ」って言ってきた人って誰?」

その質問をした私の瞳を見たベオ様の瞳がまた驚きの色になる。ベオ様も目は青いのね…。

初めてきちんとベオグラードの瞳を見た私はそんな事を感心しながら考えていたが、その時、彼の頭の中はもっと重大な事で占められていた。

「おな…じ?長…………。」

ありゃ。
まずい?話がややこしくなってきた?

ベオグラードに、金の瞳を気付かれたのだ。

どうしよう。まずいよね…………。
また頭の中はぐるぐるし始める。

何となく、「私が青」まではまだいい。だって予言は所詮、予言だ。当たるかどうかは分からないんだし、最悪しらばっくれればいい。
また髪留めを付けて「気のせいじゃない?」とか言ってシンか気焔にチョチョイとして貰えば記憶くらい何とかなるんじゃない?
いや、私も大分毒されてるな…………。

でも、「金の瞳」はまずい。しかも、ベオグラードは直接長に会ったとさっき言っていた。
きっと、一族の、その血の、長の、重要性をここにいる誰よりも解っている筈。
逃げられるかな…………。
さて、どうするか。

①置いて行く
うーん。人としてやってはいけない気がする…私一人なら多分、出れるんだよね…。石たちの反応からして。でも、置いて行ったら多分ベオ様は出られなそう。それは駄目だ。

②とりあえず連れてって、記憶を消してもらう
まあ、アリ。結構現実的。消す記憶をここだけにすれば、そんなに人権にも触れなそう…………多分?

③協力してもらう
うーん。これが一番いいけど、難しいよね…………?でも、ベオ様レナの事、好きなんだよね?いけなくもないかも??ていうか、この人の一番大事なものって、何だろう。
それ次第かもね?


私がぐるぐるしている間、ベオ様は私の髪と、瞳を、じっと交互に見て何か考えていた。検分するように、両方よく確認して、でも何だか諦めるようにため息を吐いてまた座った。
薄い、橙の地面に。


ん?ここ、川の下じゃない?

いきなりパッと閃いた私は、辺りをぐるりと見渡しみんなにすぐに聞いた。ここが、シャットの中で別の空間とかじゃないならもしかしたら通じるかもしれない。
明るくなった上を見上げてそう思った。
勘だけど、多分合ってる。

「ねえ、ここ川の下だよね?」
「だと思います。」
「そうね。この上は、水よ。あの橙の。」

藍とクルシファーが答える。
見覚えのある、この色。幻の魚を見る為に出かけた夜の川の色なんだ。いつもより明るく、光って見える橙。その上の空は今は何色だろうか。
そう考えると、無性に帰りたくなってきた。

きっと心配してる。目の前で私が消えて、気焔はシンに怒られてないかな?朝は心配してる。うん。エローラは泣いてはないだろうけど、心配してソワソワしてるだろう。レナはきっと隠してる。表立って心配出来ない性格だ。リュディアはベオグラードがここに居るから困ってるだろう。
そっか。一応、こいつにも心配してる人、居るな?

私はそこまで考えるとやっぱりベオグラードを説得しなければいけないと、思った。

レシフェも、最初に言ってた。みんなを味方にしろって。いい人材にはベオ様も入ってたかな?
確かに、打算だけど彼が味方になれば利は多い。
一族に顔は効くだろうし、何より私が忍び込みたい所にめちゃくちゃ近いのだ。
もし、ベオグラードが協力してくれたら…………。
凄く、捗りそう。多分、なんか、色々。

どうしようかな?
なんて言おう。

私がいいセリフが無いか思案していると、ベオ様が話しかけてくる。しっかりと、確かめるように質問してきた。

「お前、その、瞳は本物だよな…?」
「…そうだね。」
「デヴァイの、生まれでは無い?」
「…そうだね?」
「…………。」

ベオグラードは何を考えているんだろう?
分からないけど、私のできる事は一つ。

いつだって、まっすぐ、ぶつかる事しか出来ないんだ。

小細工無用。

そう決めて、私は話し出した。



「まあ、座ってよ。」

いや、ベオグラードは座っていた。うん、座ったのは私だ。まあそれはいいとして、しっかりと腰を落ち着けて、話さないといけない。
これからするのは、大事な話だ。私達の、今後を左右する。

「ちょっと、真面目な話なんだけど。聞いてくれる?」

まずは話をする準備だ。ベオグラードは多分、まだ私の髪や目に気を取られている。だが、本題はそこでは無い。私が長の孫で、しかも青なのは今はどうでもいい話。それが絡むとまた違う話になる。忘れてもらわなければいけない。

「ちょっと、目を瞑ってくれる?」
「え?」

突然私がそんな事を言い出したので、戸惑うベオ様。でも、私は手を彼の目に当てて塞ぐ。そして、聞いた。

「あなたの、一番大事なものは、何?」
「…………。」

考えてるな…………。「父上」とか言われなくてよかった。なんか洗脳されてそうだしな………なんて答えるか、ちょっと楽しみでもあるな?

「………分からない。」
「え??」

おっと。これは意外な答えが来たぞ?でもこの人、ホント正直だな…………悪い事、向いてないだろうに。いや、でも悪いことしてる訳じゃぁ無い?ある意味当たり前だと思ってやってるんだもんね…………。
そこからかな?

「どうして、分からないの?」

狙いを定めた私は切り崩す糸口を探る為に質問を掘り下げる。
ぐっと、行くよ?ぐーっと。深い所まで。聞いちゃうもんね。
しばらく考えて、ベオグラードは答える。

「…………大事なものは、父上だ。家と、家を守る事。でもレナを好きになった。」
「うん。」
「…………でもレナを大事にしようとすると、家は大事に出来ない。駄目なんだ。だから、よく分からなくなった。」
「うん。でもさ…どうして、レナを大事にしようとすると家は大事じゃなくなるの?レナをお嫁さんにすればいいじゃない。で、大事にすれば、いい。」
「駄目なんだ。レナはデヴァイの娘じゃ、ない。」
「どうして?デヴァイの娘じゃないと駄目なの?」
「…………外は穢れているから。」

ほう。そこまでか。

「で?あなたのレナは穢れているの?」
「いや。違う。」

うん、ここはきっぱり答えるね。合格。

「じゃあ、どうして外は穢れているなんて言われてるんだろうね?誰に、教えられたの?」
「誰にでも…………みんな。全員、多分思ってる。僕も思って…た。」
「ふうん?今は思ってないの?」

「レナは、違う。」
「じゃあ、私は?エローラは?シェラン、シャルム、イスファは?先生達は?」
「…………分からない。でも、違うと思うやつも、いる。」
「じゃあ、穢れているなんて嘘だったのかな?みんな、嘘を教えているのかな?」

「…………分からない。でも、全てが嘘だとは思えない。でも、全てが本当だとは思えなくなった…。」

なんだ。

分かってるじゃん。


「ねえ。私も、探してるんだ。「本当のこと」。この世界のしくみの事もそうだし、あなた達デヴァイの事もそう。レナのグロッシュラーの事も、そう。勿論、予言の事も、ね。」

「…………。」
「一緒に探さない?もし、「本当のこと」が見つかったら、多分あなたの問題も、私の問題も、解決すると思うんだ。」

「…………。」
「どうかな?」

そこまで言うと、私は言葉を切って彼に考えてもらう。あとは、待つだけ。
どんな答えを彼が出すのか。

答えに無事辿り着けるのか、探す事自体が困難であろう、「本当のこと」。
そう、とても難しい、この問題。

でも多分、この「本当のこと」には私達は二人ともとても深く、関わっている筈なのだ。



答えを待っている間、この空間をボーッと眺めていた。

川の下だと思うと、何だか楽しいこの空間。
上はきちんと意識して見ると橙の水が揺蕩っているし、壁のようなものはきっと道を示している。壁があるということは、それは道があって、いずれ、出口へ辿り着く気がする。きっと、そう。

座っている地面は一段薄い色で、何となく暖かく感じるのは気のせいかな?
私はちょっと、うつ伏せに寝そべってみた。あったかかったら、岩盤浴みたくならないかな??

あー、いい感じ。

寝そべって、ゴロリと上を向く。揺ら揺ら、橙が揺れていて物凄く気持ちがいい。
ここって本当にまじないの中なのかな?居心地、良過ぎない?

まるで自宅のようにリラックスし始めた私を、見ている人がいる事なんて、すっかり忘れていた。

「なあ。」
「うひょっ!」

あ…ああ、そうだったね。
もうやり切った感でリラックスし過ぎたね…………。

きちんと起きて、ベオグラードに向き直る。じっと、青の瞳を見つめて言葉を待った。

「やるよ。探す。方法を。」

何だかカタコトだけど、きっと「レナと一緒にいられる方法」だろう。
あ…でもな…………。

「よし!やろう!とりあえず手始めに言っておくけど、ベオ様、レナに嫌われてるからね?」
「な、なんだって?!?」
「だってさ、散々だったでしょ?みんなの事馬鹿にするしさぁ、愚民とか言ってたじゃん。聞いてたよ?」

ベオ様は完全に青くなっている。
ちょっと、可哀想かな?でも事実だもんね?
いや、いいと思う、マイナスからの出発。
もう、プラスになるしかないじゃん。いや、笑ってないよ?うん。多分。ププ。

「どうすればいい?ど、どうしよう………??」
「うーん。でも地道にやるしか無いんじゃない?とりあえず、言動を改めて私達が協力すれば、どの道私はレナとお店やるし嫌でも…………」

そう言いかけると、食い気味にベオ様が身を乗り出して、質問してくる。
怖いよ…………?

「は?店?どこで?!」
「いや、勿論グロッシュラーだけど?」
「駄目だ!何言ってる?どんな店か解ってるのか??!」
「やだ。ベオ様、思考が汚いおっさんみたくなってるよ?私達がやるのは、みんなに癒しを提供するナイスでプレミアムなお店だよ。」

ん?なんかアホっぽいな?でもまぁいいか。きっとベオ様、意味は分からないに違いない。

「駄目駄目。グロッシュラーで店、って言ってすぐそう思うんだから、やっぱり印象を変えるのは難しいね。…うーん。でも、私達はやるよ!」

「…………大丈夫なのか?」
「多分。レシフェもいるし、気焔もいるし。」
「…………協力する。いや、させてくれ。方法は考えるから。」
「そりゃ願ったり叶ったりだけど、無理しなくていいよ?まだ大人を説得するのは難しいだろうから。」

何故か、私が「無理しなくていい」と言った事で逆にベオ様に火が付いたらしい。
どうやって私達の店を安全にやっていくのか真剣に考え始めた。
でも、確か貴石の客はデヴァイからもいる筈。
そこら辺をベオ様がコントロールしてくれるなら物凄く助かる。まあ、あまり期待しないで待っておこう。子供一人で何とかできる事じゃない。
だからこそベオ様がどんな事を考えて、レナの為に奔走するのか楽しみでもある。

うんうん。オッケー。
とりあえずの問題は解決した。
いい感じにレナの事に気を取られてて、もう私の髪と瞳の事なんて忘れているに違いない。


ベオ様はまだうんうん悩んでるので、その間に私はここから出る手段を考える事にした。

でもさ、居心地いいんだよね………ここ。おかしくない?それ。


「ねえ。何でここ、落ち着くのかな?そんなまじないなのかな?」
「いや、段々我々も感じてきたんですがここは多分…………。」
「え?なに?」
「多分だけど。」
「なに?教えてよ。」

「きっと、ビクスの空間です。」

最終的にクルシファーが答えてくれる。何でみんな言い澱むのよ?

「とりあえず、向かいましょうか。」
「え?どこに?」
「ビクスの所ですよ。きっと姫様ならまじないを解けるでしょう。」
「ふぅん?ビクスって姫様の石って事だよね?」
「そう。6の石よ。」

「…………そっか。」

なんか、ここに来て呆気なく見つかるとか…………いや、でも呆気なくはないか。こんな所に落ちちゃったし?でもなんでここにあるんだろう?
落ちなきゃ分かんないって事??

色々疑問はあるが、また、思い出した。
居心地はいいけど、気焔の胃が心配だ。いや、石だからいいかもしれないけど。

とりあえず、私は帰らなくちゃいけないのだ。

「ベオ様!とりあえず行こう?」

まだ悩んでいるベオ様を立たせて、出発を告げる。何しろここから出ない事には、何も始まらないのだ。

「よし!行こう。」「ああ。」


こうして、何だか仲良くなった?天敵の私達は姫様の石を探して進む事にした。


まぁ、探すのは石たちだけどね?うん。





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