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11日目 洞窟の中で授業を受けるインド人
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太陽の光が眩しい午後12時半。
ジャグナフさん 男性 27歳 インド在住
ジャグナフさんの第一印象
英語での会話がメインだったが、訛りが強く聞き取れない箇所が多かった
明らかに洞窟の様な建物の中でレッスンを受けていた
※全編英語でのレッスン(時々日本語も含まれる)
「ジャグナフさん?聞こえます?」
「はい、聞こえます」
「レッスンのご予約ありがとうございました」
「どういたしまして」
「今はどこにいますか?洞窟のように見えるけど」
ジャグナフさんが笑う。
「そういう造りなんです。洞窟に見えますか?」
「はい。ジャグナフさんの声も響いているし、まるで洞窟ですね」
「それはそれでクールでいいですね笑」
「はい笑 今回は初めてのレッスンなので最初に自己紹介しましょうか」
「はい」
「私は講師のエリです。日本の北海道に住んでいます。読書や料理が好きです。宜しくお願いします」
「ジャグナフです。インドにいます。27歳です。英語の先生をしています。宜しくお願いします」
「27歳なんですか! 私と同い年ですね」
「そうですか笑」
「あとは英語の先生をしてるんですね~」
「はい。先生はずっと日本語の講師として働いていますか?」
「いえ、実はまだこの仕事は半年目です。以前は別の仕事をしていました」
「そうですか。私も大学では物理学を学んでいて研究者になりたかったんですが、今は英語を教える仕事をしています」
「そうなんですね~。私も大学生だった頃は日本語講師になるなんて微塵も思っていませんでした」
「先生は大学ではなにを勉強していましたか?」
「日本文学です。主に落窪物語や源氏物語などの古典文学を学んでいました。これらの物語が書かれたのは平安時代で、現在の日本文化や日本語の基礎が出来たのはこの時代だと言われています」
「そうなんですか。日本文化にも興味があります」
「日本文化のどのような部分に興味がありますか?」
「食べ物や日本の伝統などです」
「食べ物ですか。好きな日本食はありますか?」
「実はまだあまり食べたことがないです。しかし、和食は多様ですから色々と試してみたいです」
すると、画面越しに数人の男達が歌を歌い出す声が聞こえ始める。歌といっても遠吠えのようで、ジャグナフさんがいる洞窟の様な住居の中で響き渡る。
「これは、なんの音ですか?」
「ははは~、うちのドラえもん」
「ドラえもん...?」
「はい、ドラえもんです」
ジャグナフさんは笑っている。
「ドラえもんって、アニメのですよね?」
「そうです」
駄目だ...。全く理解出来ない。
「ドラえもんが近くにいますか?」
「いえ、近くにいるわけではありません」
それからジャグナフさんは私にノートのようなものを見せた。そこにはドラえもんの絵や日本語の漢字を何度も書いて練習した痕跡が残っていた。
「わあ、ドラえもんですね。それに漢字も沢山練習してるんですね」
「はい。ドラえもん好きです。先生は好きですか?」
「えーと、今はあまり見ていませんが子供の時はよく見ていましたよ」
画面越しに男たちの謎の遠吠えのような声が大きくなっていき、洞窟の様な住居の中で響き渡るが、これ以上それについて触れないことにした。
「先生は北海道出身ですよね?」
「はい」
「ドラえもんののび太の出身は北海道」
え?そうだっけ?東京じゃなかったっけ...。
「確か東京だったと思いますけど」
「いえ、北海道です」
ジャグナフさんは譲らない。
「そうでしたっけ...。まあ、いいや。ジャグナフさんはアニメも見るんですね」
「はい。沢山見ます」
「日本語を勉強してどのくらいなんですか?」
「一年間です」
「日本語を勉強し始めたきっかけは先ほど言っていたように日本の文化に興味があるからなんですか?」
「はい。小さいときから日本の文化全般に興味がありました。それに。旅行に行きたいです」
「旅行ですか。良いですね」
「はい」
この辺りからジャグナフさんの周りの遠吠えの様な声が聞こえなくなり安心する。
「日本には来たことがありますか?」
「2歳の時に行きました」
「ええっ、本当に小さい時ですね笑 その時の事を覚えていますか?」
「いえ笑 殆ど忘れてしまいました笑」
「小さい時の記憶というのはあまり覚えていないものですよね」
「はい。それ以来は日本に行っていません」
「その時は日本のどこに行ったんですか?」
「えーと、確か東京と大阪に行きました」
「そうですか。次の旅行ではどこに行きたいとか、希望はあるんですか?」
「そうですね。北海道に行ってみたいです。雪があるし、食事が美味しいと聞きました」
「そうですか。是非遊びに来てくださいね。北海道は広くて移動は大変ですが、その分、綺麗な自然の景色が沢山見られますよ」
「良いですね。先生は海外旅行にいきたいですか?」
「はい、行きたいですよ~殆どの国に行ったことがありませんから。インドはどうですか?」
「楽しい国ですよ。日本とは全然違う。驚きも多いと思いますが、刺激的な旅になる事間違いなしです」
「へー、それは良いですね。インドはカレーのイメージが強いですが、料理も多様だと聞きました」
「もちろんです。地域によって全然違いますよ。ただ、カレーをよく食べるのは間違いないです笑」
「あとは少し前にインド人が日本の激辛料理を食べる動画が流行りました。彼が、日本人が舌に痛みを感じるほどの激辛料理をなんでもないような顔であっという間に完食してしまったのを覚えています笑」
「もちろんインド人でも辛いものが食べれない人もいますが、殆どのインド人は辛さに強いと思います。日本のカレーとは全く比べ物にならないほどこっちのカレーは辛いですよ」
私はインドカレーが大好きで、よくランチにインド人が経営しているインドカレーの店に食べに行くが、そこのカレーは日本人向けなのだ。一度友達と都内の本格インドカレーの店で、辛さが普通のマトンカレーを食べた時に火を吹くほどの辛さだったのに加えて、味わったことのない様な不思議な味の調味料が調合されていたのを覚えている。それ以来インドカレーを食べていない...。
「私、インドのカレー食べれないかも...」
「ははは~、辛いのは苦手なんですね」
「はい。インドで美味しいスイーツはありますか?」
「沢山ありますよ。丸いドーナツのようなスイーツのラドゥーというものやバルフィというナッツや穀物を使ったお菓子もあります」
「うわ~、それがいいなあ」
「お菓子にしても北東南西でガラッと種類が変わります」
「インド料理も中々奥深いんですね...」
レッスンの終わりの時間
「ジャグナフさん、今日はレッスンありがとうございました。インドのお話しも沢山聞けて良かったです~」
「はい、こちらこそありがとうございました」
「今回は英語でのお話しが中心になってしまったので次回からは日本語を使ってお話しできるように頑張っていきましょうね~」
「はい、頑張ります。それではまた」
「はーい、さようなら~」
ジャグナフさんと話した感想
好青年という感じのジャグナフさん。訛りが強くて多少聞き取りづらい部分もあったが、お互いの国の文化についてお話しできて良かった。
あとはジャグナフさんの洞窟の様な住居から聞こえた男達の遠吠えの様な声が気になった...。ジャグナフさんが言うドラえもんとはなんだったのだろう。
ジャグナフさん 男性 27歳 インド在住
ジャグナフさんの第一印象
英語での会話がメインだったが、訛りが強く聞き取れない箇所が多かった
明らかに洞窟の様な建物の中でレッスンを受けていた
※全編英語でのレッスン(時々日本語も含まれる)
「ジャグナフさん?聞こえます?」
「はい、聞こえます」
「レッスンのご予約ありがとうございました」
「どういたしまして」
「今はどこにいますか?洞窟のように見えるけど」
ジャグナフさんが笑う。
「そういう造りなんです。洞窟に見えますか?」
「はい。ジャグナフさんの声も響いているし、まるで洞窟ですね」
「それはそれでクールでいいですね笑」
「はい笑 今回は初めてのレッスンなので最初に自己紹介しましょうか」
「はい」
「私は講師のエリです。日本の北海道に住んでいます。読書や料理が好きです。宜しくお願いします」
「ジャグナフです。インドにいます。27歳です。英語の先生をしています。宜しくお願いします」
「27歳なんですか! 私と同い年ですね」
「そうですか笑」
「あとは英語の先生をしてるんですね~」
「はい。先生はずっと日本語の講師として働いていますか?」
「いえ、実はまだこの仕事は半年目です。以前は別の仕事をしていました」
「そうですか。私も大学では物理学を学んでいて研究者になりたかったんですが、今は英語を教える仕事をしています」
「そうなんですね~。私も大学生だった頃は日本語講師になるなんて微塵も思っていませんでした」
「先生は大学ではなにを勉強していましたか?」
「日本文学です。主に落窪物語や源氏物語などの古典文学を学んでいました。これらの物語が書かれたのは平安時代で、現在の日本文化や日本語の基礎が出来たのはこの時代だと言われています」
「そうなんですか。日本文化にも興味があります」
「日本文化のどのような部分に興味がありますか?」
「食べ物や日本の伝統などです」
「食べ物ですか。好きな日本食はありますか?」
「実はまだあまり食べたことがないです。しかし、和食は多様ですから色々と試してみたいです」
すると、画面越しに数人の男達が歌を歌い出す声が聞こえ始める。歌といっても遠吠えのようで、ジャグナフさんがいる洞窟の様な住居の中で響き渡る。
「これは、なんの音ですか?」
「ははは~、うちのドラえもん」
「ドラえもん...?」
「はい、ドラえもんです」
ジャグナフさんは笑っている。
「ドラえもんって、アニメのですよね?」
「そうです」
駄目だ...。全く理解出来ない。
「ドラえもんが近くにいますか?」
「いえ、近くにいるわけではありません」
それからジャグナフさんは私にノートのようなものを見せた。そこにはドラえもんの絵や日本語の漢字を何度も書いて練習した痕跡が残っていた。
「わあ、ドラえもんですね。それに漢字も沢山練習してるんですね」
「はい。ドラえもん好きです。先生は好きですか?」
「えーと、今はあまり見ていませんが子供の時はよく見ていましたよ」
画面越しに男たちの謎の遠吠えのような声が大きくなっていき、洞窟の様な住居の中で響き渡るが、これ以上それについて触れないことにした。
「先生は北海道出身ですよね?」
「はい」
「ドラえもんののび太の出身は北海道」
え?そうだっけ?東京じゃなかったっけ...。
「確か東京だったと思いますけど」
「いえ、北海道です」
ジャグナフさんは譲らない。
「そうでしたっけ...。まあ、いいや。ジャグナフさんはアニメも見るんですね」
「はい。沢山見ます」
「日本語を勉強してどのくらいなんですか?」
「一年間です」
「日本語を勉強し始めたきっかけは先ほど言っていたように日本の文化に興味があるからなんですか?」
「はい。小さいときから日本の文化全般に興味がありました。それに。旅行に行きたいです」
「旅行ですか。良いですね」
「はい」
この辺りからジャグナフさんの周りの遠吠えの様な声が聞こえなくなり安心する。
「日本には来たことがありますか?」
「2歳の時に行きました」
「ええっ、本当に小さい時ですね笑 その時の事を覚えていますか?」
「いえ笑 殆ど忘れてしまいました笑」
「小さい時の記憶というのはあまり覚えていないものですよね」
「はい。それ以来は日本に行っていません」
「その時は日本のどこに行ったんですか?」
「えーと、確か東京と大阪に行きました」
「そうですか。次の旅行ではどこに行きたいとか、希望はあるんですか?」
「そうですね。北海道に行ってみたいです。雪があるし、食事が美味しいと聞きました」
「そうですか。是非遊びに来てくださいね。北海道は広くて移動は大変ですが、その分、綺麗な自然の景色が沢山見られますよ」
「良いですね。先生は海外旅行にいきたいですか?」
「はい、行きたいですよ~殆どの国に行ったことがありませんから。インドはどうですか?」
「楽しい国ですよ。日本とは全然違う。驚きも多いと思いますが、刺激的な旅になる事間違いなしです」
「へー、それは良いですね。インドはカレーのイメージが強いですが、料理も多様だと聞きました」
「もちろんです。地域によって全然違いますよ。ただ、カレーをよく食べるのは間違いないです笑」
「あとは少し前にインド人が日本の激辛料理を食べる動画が流行りました。彼が、日本人が舌に痛みを感じるほどの激辛料理をなんでもないような顔であっという間に完食してしまったのを覚えています笑」
「もちろんインド人でも辛いものが食べれない人もいますが、殆どのインド人は辛さに強いと思います。日本のカレーとは全く比べ物にならないほどこっちのカレーは辛いですよ」
私はインドカレーが大好きで、よくランチにインド人が経営しているインドカレーの店に食べに行くが、そこのカレーは日本人向けなのだ。一度友達と都内の本格インドカレーの店で、辛さが普通のマトンカレーを食べた時に火を吹くほどの辛さだったのに加えて、味わったことのない様な不思議な味の調味料が調合されていたのを覚えている。それ以来インドカレーを食べていない...。
「私、インドのカレー食べれないかも...」
「ははは~、辛いのは苦手なんですね」
「はい。インドで美味しいスイーツはありますか?」
「沢山ありますよ。丸いドーナツのようなスイーツのラドゥーというものやバルフィというナッツや穀物を使ったお菓子もあります」
「うわ~、それがいいなあ」
「お菓子にしても北東南西でガラッと種類が変わります」
「インド料理も中々奥深いんですね...」
レッスンの終わりの時間
「ジャグナフさん、今日はレッスンありがとうございました。インドのお話しも沢山聞けて良かったです~」
「はい、こちらこそありがとうございました」
「今回は英語でのお話しが中心になってしまったので次回からは日本語を使ってお話しできるように頑張っていきましょうね~」
「はい、頑張ります。それではまた」
「はーい、さようなら~」
ジャグナフさんと話した感想
好青年という感じのジャグナフさん。訛りが強くて多少聞き取りづらい部分もあったが、お互いの国の文化についてお話しできて良かった。
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