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はじまり
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カナゲは目の前が真っ暗になった。これは始まりの序章に過ぎないと言われていると言葉の裏の意味として理解した。
(これから……どれ程の痛みと苦痛が……嫌だ…)
絶望の淵にいるのに涙も出なかった。
「綺麗だな……」
地主のうっとりとした声が落ちてくる。羽織を更に引っ張られて肩が出た。カナゲは痛いくらいの心臓の鼓動を感じていた。破裂してしまうのでは無いかと思う程だ。
肩を撫でられしゃぶられる。反対側の肩も同様に撫でられしゃぶられる。カナゲに跨るように覆い被さっていた地主はカナゲの足を広げその間に膝を入れてくる。
(つ、潰される!!)
カナゲは腰紐のみで体にまとわりついている羽織をぎゅっと握りしめた。膝を立てられ更に足を広げられる。カナゲの足も剥き出しにされ、ももの内側をサワサワと撫で回してくる。次は何をされるのか意図が読めず青ざめるカナゲ。
「呼んでみろ」
「え…………」
「私の事を呼んでみろ」
「あ……ぁ……じ、じ……じ…地主…様…」
地主は上体を上げ、カナゲの体をじっくり見回す。
「気に食わん」
「えっ!……あ、ぁ……」
地主の手がカナゲの太もも、ふくらはぎ、と往復して何度も撫で回す。
「だん、旦那様……」
「まぁ……まだ良いか………私の名はアルセだ。名を呼べと言ったら呼べ」
「は、はい……」
カナゲの足を撫でていた手がカナゲの太ももの更に上を撫でてくる。下腹部と恥骨辺りを円を描くように触っていたかと思ったらカナゲの中心を軽く握ってきた。ガチガチと歯が鳴る。止めようと思い必死に口に力を入れても震えは止まってくれない。
「流石に…今日は無理そうだな」
(き、今日は!?……続くのか…?)
「暫く、私だけ楽しませてもらう。お前…カナゲが楽しむのはまだ先になりそうだな…」
(なに?なに?なに?……どういうこと?痛みに慣れるってこと?)
「ここ、触られるのは…初めてか?」
握っていたカナゲの中心を上下に擦ってくる。
「???」
恐怖の底にいるカナゲはもちろん反応などしない。
上からカナゲの様子を観察していた地主、アルセはグッとカナゲの顔に自分の顔を近付け、カナゲの頬をベロリと舐めた。耳に唇をつけて言う。
「聞いているだろ?…答えろ」
「ひっ……な、なななない…です」
「そうか、私だけだな?」
「はい、はい、はい…そう、です」
「恐怖に戦く姿も良いな」
カナゲの瞳をもう一度じっくり見つめてから顔を傾けたかと思ったら経験のないカナゲでも分かるようにネットリといやらしくキスをしてきた。
く……ちゅ……
カナゲは目を見開くしか出来なかった。
「意味が分かったか?」
頭が真っ白になった。目の前の男は自分の中心を握りながらキスをしてきたのだ。考えられる事は1つしかない。
「ぇ…………」
バクンバクン
心臓の音は相変わらず煩いが先程とは種類が変わった。何故か呼吸が苦しいのだ。
「大きく息を吐いて…そう。吐けば自然と吸える」
「はぁ………はぁ………」
カナゲの首をアルセの唇がなぞりながら話し続ける。
「口が塞がっている時は鼻で息をするんだ」
胸まで到達し、緊張の余り硬く尖っている箇所を口に含まれる。中心を揉んだり擦ったりと弄っている手とは別の手で空いている胸の尖りを摘まれる。
硬直した身体の上をアルセが好き勝手に弄くり回す。まさかである。男の自分がこんな目に合う日が来るとは想像したこともなかった。
「はあ……はあ……はあ……」
カナゲの耳には自分の呼吸音と心臓の音しか聞こえない。執拗に胸の尖りとカナゲの中心を弄る。体感としてはとても長く感じたが実際はそんなに長い時間ではなかった。
「舐めろ」
アルセが自身の指をカナゲの口に突っ込んできた。
震える口元を少し開けピタリと動きが止まる。
「舐めるんだ。咥えるだけじゃなく」
困惑を絵に書いたような顔つきでアルセを見る。その表情は最初にあった時から変わらず無表情だ。訳もわからず言われた通りに指に舌を這わせる。他人の指を舐めたことがないカナゲは妙な味に眉を顰める。
「ふっ思った通り…お前は良い顔をする」
(何を……言っているんだ…)
「あぁ……駄目だな…口の中が乾いているな」
そう言うとカナゲの口から指を抜き、信じられないことにアルセはそのまま自分の口の中に含み、唾液をタップリとつけている。息を乱しその様を見ていたカナゲはアルセがニヤリと笑ったのが分かった。唾液まみれの指をカナゲに見せてから目的の場所に指をあてる。
「はっ……」
「知らんだろ……ここに入れる」
「え!?」
アルセはぬめる指をカナゲの尻の奥、蕾を擦りだした。ヌルヌルとした感触が気持ち悪い。
「やっ……」
あまりの不快さに腰が引けてしまう。アルセの片手は今だにカナゲの中心を握ったままだった。その手をキツく握りこまれてしまう。
「あぁっ…痛……」
「逃げるな」
「は、はい……」
(怖い、怖い、怖い……)
改めて羽織を強く握りしめ直す。手汗が酷く持っていた場所が湿っていた。無意識に顔を横に向けて目をぎゅっと閉じる。しかしそれがいけなかった。目を閉じてしまうと、触られている感触がより鮮明になってしまうのだ。
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