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第9章 桜の花が散る頃に

109 桜の災害

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 俺と那由他はその本部らしきテント(凄いでかい)のところに行き、話を聞いていた。
「自分の持ち場につけ!前半戦に出撃する人は急いで桜の所へ!」何人か見知った顔のやつも居るが、でも全員真剣な顔でゾロゾロとそちらに向かい、数秒後爆音が何度も鳴り響き戦闘が始まったことを知らせた。
 ここは一応桜よりも高いところにあるので少し見下ろすが、とんでもない光景だった。桜が黒に覆われ、それを囲むように人が能力をぶつけている。早くも乱戦状態だ。一騎討ちじゃない、明らかにこちらのほうが少ない。ただ、最初だからか弱いやつしか居ないそうで、こちらが優勢だった。
「これなら今のところは大丈夫そうだな」俺はそう結論付けて再び本部に戻った。



 オレこと右京流は今1対5で戦っている。拳に岩を纏わせ、殴った瞬間に砕く。
「重てぇ!」そのままの勢いで大振りになり体勢を崩す。そして、影の刃がオレに向かって振り下ろされ
「もう死ぬのかよ」そう呟いて眼を閉じたが、
「馬鹿野郎が、ほら戦え」クラスAの黄色眼のオレの中学校来の友達がソイツを倒し、オレに手を差しのべる。オレは立ち上がって
「注意散漫かよ」そう言われた時にはオレの後ろで雷が落ちた。
「まあ、この段階なら余裕だな」そう言われ彼は再び深層生物アンダーアイズを自分から集めて薙ぎ倒していた。
「オレも負けてられねぇな」
「粉砕拳」地面を殴り、周りの深層生物アンダーアイズを蹌踉めかせる。
「オレはあんたらに恨みは無いが、お前らのボスに用があるんでな」蹌踉めいた一体に岩を刺し、砕く。その砕いた欠片を更にまた別の岩に突き刺し、軽く割る。バキッと言う音がオレの周りで炸裂する。そして、コアを一個ずつ割る。
「おお、オレ強くない?」そうふと漏れたオレの本音は戦闘音で掻き消されたのだった。



「少しマズいな」俺は桜を見てその事を急いで駆けつけてきた先生に伝えた。
「前哨戦では優勢でしたが、少しずつ数も増えてきてますしランクA程度のやつも少しずつ出て来ています」まだSやSS、SSSは来ていないが、それでも数じゃ押し切れない。
「霰、なつ、廻の3人に出撃を頼む。広範囲で掃討するならお前達が適任だ。そして、狼煙を焚くからそしたら戻ってこい」そして、そう言われた俺達は桜へと駆けるのだった。



「クソッ!ランクAなんて聞いてないぞ!」オレは仲間を数人集めて目の前のランクAの深層生物アンダーアイズに攻撃を仕掛けていた。ただ、やはり強い。既にオレも怪我を負ってしまって動きが鈍っている気がする。そんな時、ふと、本能的にヤバい一撃が放たれたのを感じた。強力な炎の能力。とんでもない爆風にオレ達は吹っ飛ばされた。
「だ、誰だ…!」そう言っても立ち上がる気力は既に無い。すると、
「あ~!ごめん!やり過ぎた!」洞戸なつだったか、この学園の赤眼の能力者なら最強の人間。
炉心融解メルトダウンを使うのは良いが、お前の爆発力に耐えれないやつも多いから少し自重しろ」三郎の声もする。
「刻刃」そして三郎は手を軽く握り、刀を作り出し、跳躍する。九十九霰が今の爆発で倒れたオレ達を水で浮かべて安全圏まで移動させてくれた。そして、
「ここからは任せてね」そんな声が聞こえると共に水が消え、桜の方に巨大な渦巻が出来るのだった。
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